魔王と勇者が悟空とベジータ   作:レイチェル

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大変長らくお待たせしました!
テスト勉強で忙しかったんです

・・・・もっとも、テストは今週の木曜日と金曜日ですけど。

今回からオリキャラをバンバン出していきますのでご了承ください。
・・・というか出していかないと話が進みません。


魔王になった悟空

魔王城には大きな水晶のある部屋があります。そこに魔王がました。魔王は水晶で人間界の様子を見るのが日課です。その部屋に魔王の側近である魔物が入ってきました。頭に二本の角が生えている魔物です。

 「魔王様、人間界で何か面白いことがあったのですか?」

魔王が答えます。

 「ああ。ついに我を倒そうとする勇者が出た。」

側近が言います。

 「厄介なことにならないうちに、始末しておいたほうがいいのでは?」

魔王が笑って答えます。

 「いや、あいつはそのまま泳がせる。最近暇だったからな。久々にいい暇つぶしができた。だが少し…………いや、かなり弱いのが難点だな」

その魔王の言葉を聞いて側近はこんな提案をしました。

 「ではこの勇者を強くいたしましょうか?」

魔王は少し驚いて側近に聞き返しました。

 「何?そんなことができるのか?」

 「簡単なことでございます。弱い魔物からあえて勇者に戦わせ、経験積ませるのです。そうすれば最後に残るのは…………」

魔王が頷いて言いました。

 「なるほど。魔王の覇者であるこの我、ということだな」

側近の提案を魔王はとても気に入りました。

 「良いだろう。方法はお主に任せる。勇者を強くしろ」

 「仰せのままに」

そう言う魔王の手首には、蛇の形を模したブレスレットがあります。その蛇の目が怪しく光りました。

                              「勇者の冒険」より抜粋

 

 

 

 ここは魔王城の水晶のある部屋。その部屋にいたのは、

 「魔王様、本当に何もわからないのですか?!」

頭に二本の角が生えた魔族(、、)と、

 「ああ。オラなんのことだかさっぱりだ」

魔王と言われた…………悟空だった。

 「よくわかんなかったからもう一回説明してくれねえか、べリアル?」

側近、いや、『べリアル』と呼ばれた魔族は息を一つついて、

 「いいですか?まずこの世界は大きく二つに分けることができます。魔族が住むここ魔界。そして人間と、エルフや人魚など少数の種族が住む人間界があります。ここまではいいですね?」

と言った。

 「ああ」

そして衝撃的な事実を告げる!

 「そしてあなた様は魔界の覇者である魔王様なのです」

 「だからオラは魔王じゃねえぞ。オラ孫悟空だ」

 「つまり、あなたが、『魔王孫悟空』ということでしょう!!」

今、悟空が本の中にやってきて六時間がたっている。

 ただ、ここで六時間が長いと思ってもらってはいけない。ここはどこで私はだあれ?から始まった悟空、もとい魔王に対してべリアルが『魔王様がおかしくなられた!』と騒ぎ出して医者を呼び、当然のことながら診察を拒否した悟空が部屋を飛び出し『オラ腹減っちまった』という悟空が、魔界に住む者なら誰でも知っているはずの毒キノコを食べて死にかけ、なんとか解毒して一命を取り留めて、落ち着いてから魔界について一から教えた。ここまでで六時間だ。

 ちなみにべリアルを含め、周りの者からは『魔王が記憶喪失になっている』ということになっている。

 「大体、オラが魔王だっていう証拠もねえじゃねえか………それなのになんでオラが魔王にならなくちゃいけねえんだ?」

悟空が力なく反論する。

 ちなみにこの魔王だ、魔王でないのやりとりはかれこれ六十二回目だ。

ベリアルが言う。

 「そのブレスレット、『蛇の選定者《セレクトスネイク》』が証拠です!」

 「へ?このセレクト……なんだって?」

そう言い返されてしまった。

 「そうです!その蛇の選定者(セレクトスネイク)は魔王様の一族に代々伝わる特別なもの。それにはある特別な力が施されており、他の者が付けることは絶対にできないのです!」

特別な力、とそう言った。だから悟空はなぜか本の中に入ってから身に着けていたブレスレットを見ながら聞き返す。

 「特別な力?これがかあ?」

悟空の言葉にべリアルが力強く頷く。

 「そうです!それは魔王家に代々伝わる強力なマジックアイテム。強力であるが故に魔王様を除き誰ひとりとして身につけることができなかったことから、魔王様と蛇の選定者(セレクトスネイク)はここ魔界のおいて同義となっているのです!さらにその秘められた力は…………」

ぐうううううぅぅぅぅぅ…………

ベリアルが説明しているところに、場違いな音が聞こえてきた。

 「魔王様、今のは…………」

 「や~、オラ腹減っちまってよ。なんか食うもんねえか?」

 「………………」

 とりあえず食事をすることになった。

 

 

 

 

 

 

 そこではひとつの戦いが繰り広げられていた。やつ(、、)は次から次へと無限に出てくるのだ。だから端から一つずつ片付くていく。一つでも残せばそれが負けを意味することだとわかっているから。

 男は考える。自分の経験からいえば、一つ一つは大したことがない。けれどもやつ(、、)は数を武器に戦ってくる。多勢に無勢だ。この一人の戦いは厳しい。かなりの確率で負けるだろう。けれども自分は一度『やる』と言ってしまったのだ。ここで諦めるのは簡単だ。それでも自分にはなんとしてでも認めさせなくてはならないことがあるのだ。諦めることは絶対にできなかった。

 男が口を開く。

 「……まだだ。まだ食えっぞ」

男―悟空が言う。やつ―料理はその間にも他の使用人やメイドの手によって、次から次へと出されていた。

 ここは魔王城にある食堂。悟空は無駄に縦長のテーブルのお誕生日席に座って、出される料理と格闘していた。もうかれこれ二時間近く経っている。

 「魔王様、無理をなさらないでください。後でお腹を壊しても知りませんよ?」

ベリアルが飄々と言う。

 「へっ、構うもんか。それよりもあの約束を覚えってっだろうな?」

 「はい。魔王様がおっしゃった『オラはいっぱい食べっぞ!ここにある食べ物全部食うことができたら、オラは魔王じゃねえって認めろよ』でしたよね。一語一句漏らさず覚えていますよ?」

それは一つの賭け。何を言っても魔王は悟空だと言って聞かないベリアルに放った言葉だった。つまり、これは最後の希望。

 「…………」

悟空は無言で答える。なんせ出される料理はまだあるのだ。もう二時間近くも共に戦っている相棒―フォークを手に持ち己を奮い立たせる。しかし胃袋は限界に近かった。

 「……けど、オラはやらなくちゃなんねえんだ!!」

それは、世界を幾度となく救った男の姿だった。

 集中する。武道で培った動体視力で出される料理を瞬時に見抜き、鍛えられた瞬発力で手元に運ぶ。そして手に持ったフォークを使い食べ物だけを口に入れる。注意することはだた一つ。皿と飾りの食べられないところを食べないようにすること。

 けれども最初の勢いはない。もう限界だったのだ。

 「……へっ、あともう少しだな」

その言葉は本当だ。テーブルの上にある料理は残り三皿。しかも料理を出していた使用人の姿がない。これが最後なのだ。

 残る料理は、ミートパイ、シチュー、それにムニエル。

 まず比較的量の少ないムニエルを一口で食べる。もちろん付け合せのパセリも一緒に。次に水分補給がてらシチューを一飲みする。もちろん肉や野菜は喉に詰まらせないようによく噛んで。

 最後は量が少し多いミートパイだ。どれくらい多いかと言うと、普通の四人家族が腹を満たせる程度、といえばわかりやすいだろう。それに悟空は失敗したか、と思う。ミートパイは量が少し多い。つまり味が単調になるのだ。普段なら問題ないが、今は限界に近い。悟空は思う。半分食べてからシチューやムニエルを食べてから残り半分を食べたほうがよかった、と。でも、もう遅い。

 悟空はピンチヒッターであるナイフを手にとった。このナイフは一口では食べきれない時にいつも助けてくれた、頼りになる戦友だ。その戦友を使って、ミートパイを半分に切り分けて口へ運ぶ。半分の量でもかなりあるが、それを一口で食べる。そして最後の一口。最後だからよく咀嚼し、飲み込む。

 そして机の上からひとつ残らず料理が消え去った!

 「…………はは。これでオラの勝ちだな」

悟空が疲れきった声でベリアルに言う。

 「いいえ、まだ終わりではありません」

 「…………どういう意味だ?」

ベリアルの言葉は悟空をさらなるどん底へと落とす言葉だった。

 「今パンが焼きあがったようです。もちろんジャムとバターもありますから味についてはご心配なく」

その言葉に、悟空は初めて血の気が引いた。

 止めと言わんばかりに料理を出していたメイドの一人が言う。

 「もしお食事がお済みでしたら、デザートをお持ちしましょうか?」

メイドの言葉を最後に悟空は完全に気を失ってしまった。

 だから悟空には聞くことができなかった。「いつもはこの倍の量を食べておられたのに」というメイドの独り言を。

 

 

 

 

 

 「……はあああぁぁぁぁ…………。全く魔王様は一体どうなってしまったのか……?」

ベリアルがつぶやく。気を失った悟空をとりあえずベットに寝かしつけ、自分の部屋で一息ついていた。必要最低限のものしかない質素な部屋。しかしその床には大きな六芒星の魔法陣が描かれていた。

 「記憶喪失にいては医者に任せるとして、私はいつ記憶を取り戻されてもいいように勇者を強くするか。記憶喪失になられる前は勇者が強くなることを楽しみにしておられたからな」

 その時、コンコンとドアを叩く音が聞こえてきた。

 「お呼びでしょうか、ベリアル様」

 「待っていたぞ、アモス」

そこにいたのはベリアルの部下で、長い尻尾を持つ魔族だった。

 「お前の成すべき事は分かっているな?」

 「はい。人間界へと侵入し、勇者が強くなれるよう手引きをすること。それと、人間どもから効率的に食料を奪うように取り計らうことです。今までは行き当たりばったりでしたから」

ベリアルはアモスの言葉に頷き、労わるように言う。

 「すまないな。私一人の力では、お前一人を送るだけで手一杯なのだ。苦労をかける」

アスモは笑いながら言う。

 「構いません。寧ろ名誉なことです」

そして床に描かれた六芒星の魔法陣の中央に立ち、胸を張って言う。

 「行ってまいります」

人間界、その見知らぬ土地に一人で任務を遂行しに行く。その短い言葉には一体どれだけの意味が込められていただろうか?

 だからベリアルは何も言わない。

その代わりアモスを人間界へと転送する呪文を紡ぐ。

 「……我、万物の力を借り、異界への扉を開く」

魔法陣が赤く光る。アモスが不安がっている様子はない。むしろ嬉しそうにも見える。

 「我の祝福と栄光によって、彼の者を異界へと届けよ!」

ベリアルが言い終わると同時に、部屋全体が目映い光に包まれる。けれどもそれは一瞬。次の瞬間には、アモスはもういなくなっていた。

 「上手くやれよ」

そのつぶやきは、誰にも聞こえない。

 




書いていて思った。「あれ?何も進んでない??」
書きたいことはたくさんあるのになかなか筆が進まない。

それにしても、悟空に食いつぶされないほどの食料がある魔王城。なんて恐ろしいところなんだ!!
無印のころ、悟空は50万近く食べてやっと腹八分目でしたからね。一体魔王は普段どれだけ食べていたんでしょうかねえ・・・・?

次回はベジータの方で書いていきます!

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