魔王と勇者が悟空とベジータ   作:レイチェル

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 え~・・・実はこの小説を読んでくださっている方に謝らなければならないことがあります。
感想に「悟空が魔王になったことについて、その適応についてどうなっているの?」と質問がありましたが、おいおい書きますと言い説明しなかったことがあります。
 その理由はいたってシンプルです。何を隠そうそのことについては何も考えていなかったからです!(一応考えたのですが、何も思い浮かばなかったんです)まあ、魔王が記憶喪失うんたらかんたらは、本来魔王であるはずの人(?)がこんな行動を取ったら周りの人はこう思うだろうな~と思っって、そういうことにしました。
 「魔王が悟空で勇者がベジータだったら面白そうだな~」という軽い気持ちで書いたものなので皆様もそれくらい軽い気持ちで読んでくださると嬉しいです。


悟天合流

~あらすじ~

 ブルマによって半ば強引に本の中に入れられた悟空とベジータ。(あと面白そうだからと入った悟天とトランクス)本から出るには魔王になった悟空を勇者になったベジータが倒さなければならない!

 さあ、ベジータは悟空を倒すことができるのか?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔物を倒しに行く勇者と剣士。勇者は剣士に剣の修行をつけてもらっていました。ただ、使っているものは真剣ではありません。木刀にもならないような棒きれです。

 剣士が笑って勇者に言います。

 「やっぱお前素質あるよ。そのうちオレよりも強くなるんじゃないか?」

剣士はそう言いますが、勇者は剣士に負勝ったことがありません。

 「ううん。そんなことないよ。ぼくなんかまだまださ」

でも剣士にはわかります。勇者が自分よりも剣の素質があり、そのうち自分を追い越す実力があることを。

 「さあ、もう一度だ!」

 「ああ!」

剣の修行が再開し、カンカンと木がぶつかる音があたりに響きます。

 しかし、二人が修行しているところに、一人の少女がやってきました。長袖の服を着た、緑色の髪の可愛らしい少女です。

 「あの!あなた方があのワニの魔物を倒した人たちですか?!」

剣の修行をやめて、勇者は言います。

 「いいや、それはそこの剣士のこと。ぼくは見ているだけしかできなかったからね。それよりも何か用かい?」

少女は何かを決心したかのように言います。

 「実は、盗賊から魔法の杖を奪われてしまって……取り返すのを手伝って欲しいんです!」

それを聞いた剣士は面白そうに言います。

 「へえ!魔法の杖?もしかして君って、魔法使い?」

 「は、はい……ただ杖がないので魔法を発動することもできないんです」

少女、もとい魔法使いはがっくりうなだれてそう言いました。

 「でもなんで盗賊は魔法の杖なんかをとったりしたのかな?」

不思議そうな勇者に魔法使いは説明します。

 「私の杖には、特殊な鉱石が使われているんです。それが高値で売れるので、狙ったんだと思います」

そう言うとまた落ち込んでしまいました。

 そんな魔法使いを勇者は元気づけるように言います。

 「大丈夫!ぼくたちが取り返してあげるよ!」

剣士も言います。

 「おう!盗賊なんて、腕試しのちょうどいい機会だ!」

 盗賊から魔法の杖を奪い返して欲しい。そんなムチャクチャな願いをすぐに聞き入れてくれた勇者と剣士。魔法使いは、嬉しくて涙が出そうでした。

 「……ありがとう」

                             『勇者の冒険』より抜粋

 

 

 

 本の中に入ったベジータとトランクス。トランクスはいい機会だからと、ここでは剣を使って戦っていくことにした。それに伴ってベジータに稽古を付けてもらっていた。いたのだが………

 「……随分とあっさり壊れたな」

 「……うん。まあ、本でもワニの魔物を倒しただけであっさりと壊れちゃったからね」

あっさりと壊れてしまった。真っ二つにポキンと折れたのならまだわかる。だが根元からバラバラになってしまったのだ。そう、バラバラ。地面にはいくつもの剣の破片が転がっている。トランクスの手の中には剣の柄の部分しかない。

 ことの顛末はこうだ。

 トランクスがベジータに剣を振る。しかしその動きは遅く、躱されてしまう。そして間髪いれずにトランクスはベジータに剣をつく。ベジータは剣の腹を手で押し、軌道を逸らすことで攻撃を回避する。しかしそこで剣がメキメキを音を立てて壊れてしまったのだ。

 つまり………ベジータが剣を手で押しただけで壊れてしまったのだ。それは剣がもともと壊れやすかったからか、あるいはサイヤ人の力故なのか……おそらくは後者が大きいだろう。

 ベジータがトランクスに聞く。

 「ワニの魔物?」

 「うん。頭が二つある、5メートルくらいのワニ」

 「ああ、あれか」

ベジータは何か納得したように頷く。

 「パパ、知ってるの?!」

 「お前が不味いと言いながら食べたあの肉がそうだ」

 「……マ、マジかよ」

 二人はこちらに近づいてくる気を感じた。よく見知った気だ。

 「トランクスくーん!あ、ベジータさんもこんにちは!」

すっかり忘れ去られていた悟天だった。いつもの道着ではなく長袖の服を着ている。

その服に見覚えがあったトランクスは悟天に聞く。

 「なあ、悟天。魔法の杖っぽいの持ってなかったか?」

 「え?うん持ってたけど………」

 「けど?」

 「近くにいたおじさん達が欲しいって言ったからあげちゃった!」

その悟天の言葉にトランクスは頭を抱えた。

さらに聞く。

 「……な、なあ悟天。その『おじさん達』ってどういう人だった?」

 「ん~とね………なんかいかつい顔の人たちばかりで……」

 「で?」

 「自分たちのことを『盗賊』って言ってたよ……ってどうしたの、トランクス君?そんなに頭を抱えてさ」

 「……いや、自分から盗賊に進んで物を差し出す人がいるんだな~と思ってさ………」

そんな会話を聞いてたベジータは訳がわからないというふうにトランクスに聞く。

 「おい、トランクス。一体何をそんなに悩んでいるんだ?」

そんなベジータにトランクスは、本で読んだことを思い出してベジータに教える。

 「えっと……その杖には特殊な鉱石が使われていて、それが結構高く売れて………」

そこまで言いかけてベジータがわかったように頷く。

 「なるほど。『勇者御一行』はその杖を売って路銀にするのか」

 「え?!いや、ちょっと違……」

訂正しかけたところで悟天が無邪気に、というか空気を読まずに聞く。

 「ねえ、『ろぎん』ってなあに?」

トランクスが答える。

 「えっと、旅に必要なお金とかそういう意味だったばず。………って杖は売らな……」

 「そっか!お金って大事だもんね!」

トランクスは『杖は売らない』ということをどうやって説明しようかと考える。でも悟天が魔法を使っているところが想像できなくて………というか、いつも魔法みたいな力を使って空を飛んだり攻撃したりしているのを思い出して、

 「……うん、そうだよな……。お金って大事だよな………」

説明するのを諦めた。

 「おい、悟天!その盗賊とやらの気を覚えているか?」

ベジータが悟天に聞く。

 「うん!なんか嫌な気だったから覚えてるよ。あっちの方!」

そう言ってトランクスの後ろの方を指差した。

 「なんで嫌な気がする奴に杖を渡しちゃったんだよ………」

 「え?だって持ってたって邪魔だったんだもん!」

 「………」

この時トランクスは思った。自分は、自分だけはしっかりしていないと、と。

 「盗賊か……少しは骨のあるやつがいればいいんだがな」

 「お金があったら~……お菓子とおもちゃが欲しいなあ!」

 「……はあ……もうどうでもいいか………」

こうして盗賊の元へ、悟天が自らあげた杖を強奪しに行くという、どっちが盗賊だかわからないことをすることになった。

 「ところでトランクス君、その手に持っているの何?」

 「……剣だったものだよ」

 

 

 

 

~ある盗賊の日記~

 今日は散々な日だった。途中までは良かったんだ。なぜか魔法使いしか持たないような杖を年端もいかない子どもが持っていたんだからな。案の定なんの価値も知らずに、あっさりと渡してきた。強奪したんじゃあねえぞ!こっちが欲しいって言ったら、向こうが進んで渡してきたんだ!向こうが進んで渡してきたんだ!!(ここ重要!)

 杖には特殊な鉱石が使われているからな。後はそれを街に持っていって売るだけ。そうすれば当分は仲間30人、遊んで暮らせたんだ。そう、後は売るだけだったんだ。

 それなのにどうだ!アジトへ帰ったと同時にあの時の子供がきやがった!しかも青い鎧を着た男と、もうひとりの子供のおまけ付きで!

 何も問題ないと思ったんだ。こっちは三十人。向こうは三人。所詮は多勢に無勢、しかも子供、いやガキが二人に大人が一人だ。どう考えたってこっちが勝つ。そいつらが入ってきた瞬間、誰もがそう思っていた。

 それなのにどうだ!男が入ってすぐに、親分が『なんだテメエは!?』そう言おうとしたんだ。それなのに『なん……』までしか言えなかったんだ!親分が男によって吹っ飛ばされたからだ!!

 男の動きは、俺には全く見えなかった。一瞬消えたと思ったら、後ろにいた親分が吹っ飛ばされていたんだ!それで男はなんて言ったんだと思う?『一番強い奴はどいつだ?』そう言いやがったんだ!!そんなの親分が一番強いに決まってるじゃねーか!その親分が男によって倒されて伸びている。もう絶望的な状況だった。全員体が動かなかった。

 俺の兄貴は最高だと思う。こんな状況でも指示を出してくれたんだからな。まあ、『全員でかかれ!』なんて作戦もへったくれもないような指示だったけど、その指示のおかげで俺たちはなんとか体を動かすことができた。

 だけど、男との実力差は圧倒的だった。なんせ相手はひとりだっていうのに十秒もしないうちに二十人がやられたんだ。

 その時、兄貴が俺に目で指示を送ってきた。目線の先にはガキが二人。そこからの行動は素早かった。駆け出すと同時に腰のナイフを取り出し黒髪の方のガキの首筋にナイフを当てる。そしてこう叫んだんだ。『こいつの命が惜しければ大人しく言うことを聞け』ってな。

 だけどそこから先は覚えてねえんだ。ガキの体勢が崩れた、と思ったら顎に衝撃が走って、気がついたらベットの上だった。どうやらガキに一発お見舞いされて気を失っちまったらしい。

 兄貴に話を聞くと………まあ、聞くまでもなく結果は惨敗。杖はもちろん食料と有り金全部取られた。つまり俺たち全員無一文だ。俺はというと、ガキにお見舞いされたおかげで顎が骨折。歯も5本折れた。おかげで喋れないし飲み食いができない。一体俺たちが何をしたって言うんだ?!

 今日は本当に散々な一日だった。

 あの男……は敵いそうもねえからガキの方、いつか絶対ぶっ殺してやる!

                             ある盗賊の日記より抜粋

 

 

 

 

 一方その頃、悟空はというと、

 「……な、なあベリアル、あと何枚の書類にサインしなきゃなんねえんだ?」

ここは魔王城の執務室。

悟空はというと、なぜか書類に押しつぶされて死にかけていた。

 「なあに、あとほんの二百枚ほどですよ。」

ベリアルと呼ばれた、頭に二本の角が生えている魔族がそう答えた。

 あと二百枚と聞いた悟空は、

 「………勘弁してくれよ………」

と力なく答えた。

 「これも魔王様の仕事のうちですよ。やってもらわないと路頭に迷うものが約三千人、明日のご飯が食べられない者が約5千人出てくるのです。まあ、その者達がどうなってもいいというのなら、気絶するなり寝てしまうなりなんなりしてくださっても結構ですよ」

そいってベリアルは部屋から出て行った。

 「もうやだ………こんなところ……」

ここで悟空はブルマの言葉を思い出した。

 「そういえばブルマはベジータを倒せばいいようなこと言ってたっけな……。これが終わったらベジータと組手でもすっか!」

悟空は、ベジータと組手をするという予定が立って、だいぶ元気になった。

 出て行ったベリアルが戻ってきた。しかもなぜか手には書類が山ほどある。

 「魔王様、申し訳ありません追加であと三百二十八枚お願いします」

それを聞いた悟空は机に突っ伏した。

 




 ベジータと盗賊。一体どっちが悪党なんだか・・・

 というかこの調子で本当に魔王の悟空を倒せるのか不安になってきた。
修行回でも入れようかな?

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