スタートゥインクルプリキュア 〜Evolution〜 作:ふーる40
一応断っときますが、エボルトこのプロローグ以外ほぼ変身しないです。
プロローグ
俺は、何も無い荒野を、あてもなくぶらぶらと歩いていた。見渡す限り、赤い土と青緑色の空と黄色い雲。
退屈の余り、脇に抱えたパンドラボックスを置いて、その上に座って一休みすることにした。
この惑星に来て、もう7日が経った。地球の時間の測り方じゃもう1ヶ月だ。
「畜生。戦兎の奴。お前のせいで、退屈極まりねぇよ。」
俺の名はエボルト。星を滅ぼすために生まれたブラッド族の……奴らの言い方を借りれば、地球外生命体ってやつだ。
俺は、戦兎の企みによって、旧世界から消された。最後まで足掻きはしたが、ムリだった。
だが、不思議なことに、どうやら俺の意識は別の世界、別の宇宙の、言ってしまえばパラレルワールドの俺自身と同化したらしく、消えはしなかった。我ながら、しぶといもんだ。まぁ、新世界を作ったところで、万丈もいるし、俺の体と意識を復活させる方法はあるわけで、何の問題もない。そのためには他のブラッド族の誰か(最悪なことに、残りはキルバスの野郎しかいないが)の協力が必要になっちまうが、アイツらなら大丈夫だろう。歓迎はされないだろうが頑張れ、復活した向こうの世界の俺。
で、心機一転、張り切って星狩りをまた始めるかと思った結果がこれだ。生命体の一つにも逢えやしない。
おかしい。ブラックホールフォームのセンサーには、ここは破壊するべき星としてしっかり映っていたはずだが。
あまりにもこの星の要素が無さすぎて、それを抽出したフルボトルが10個くらいしか作れないくらい、何も無い星だ。これじゃあパンドラボックスで楽に滅ぼせない。
「科学力を高めすぎて自滅して結構経った星…って可能性もあるがなぁ。」
もしそうなら、是非見たかったもんだ。
俺が居ない地球はどうなることやら。
「はぁ……。地球に帰りたい。」
ジーニアスのせいで本物の感情を植え付けられたせいか。俺という者が、柄にもなくホームシックってやつに陥っているらしい。
決めた。あと一日、生命体に出会えなければ、この星はブラックホールで滅ぼしてどこか別の星に行くことにしよう。
「さて、と。…………………ん?」
パンドラボックスから腰を上げるのと同時に、センサーが何かを捉えた。この星の大気の外からだ。
「円盤状の飛行体……UFO五つ……か。」
それらはあっという間に俺の目の前の地面に降り立ち、中から細身で灰色の、同じ顔をした弱そうな奴らが、「ノットレーイ!」と口々に叫びながら飛び出して来た。
あの顔は…地球のNOに見える。……ダメだ。地球に長いこといたせいで、少しだけ考え方に影響を受けたらしい。
隊長機らしき機体からは、体からドロドロの液体を出している、妙にガタイのいい生命体が出てきた。そいつが付けている首輪が、突然ピコピコと光り出し、三秒くらいで止まった。
「nu×<$:|〆…%÷$!!」
「悪いが、この星の言葉はわからねえんだ。できるんなら、日本語で話せ。」
再び首輪が光った。
「お前、地球人か?あんな辺境の星に、こんな星まで来る技術は無いはずだが。」
「まぁ確かに、ないなぁ。俺の知る限り、地球人がここまで来れるわけが無い。とんでもない誤解だが、俺は地球人じゃあない。ただこの言語がお気に入りなだけだよ。」
「なら、何者だ。この星は我等ノットレイダーの植民地だ。何者も、入れるはずは無い。」
「あぁ、この星に入った時のあの妙なバリアはお前らの仕業か。それなら小指をちょいと動かしただけで大穴を開けてやったよ。それより俺は、こっちの宇宙にも地球があるってわかっただけで、結構嬉しい。」
「何?」
「名乗らないのもあれだ。俺の名はエボルト。星を破壊することが使命の、ブラッド族の一員だ。
……………チャオ!」
「かかれ!」
向こうが戦闘態勢に入ると同時に、俺は体をゲル化させて手近な戦闘員に憑依した。
明らかに向こうが動揺するのがわかった。
「………ノットレーイ。なんてな。」
「「「「「「「「!!!?」」」」」」」」
おもむろにエボルドライバーを取り出し、腰にはめた。
コブラ!ライダーシステム!
エボリューション!
Are you ready?
エボルボトルをはめ、レバーを回し、腕をクロスさせた。
「…………変身。」
コブラ!コブラ!エボルコブラ!
フッハッハッハッハッハッハッハッ!
そして俺は、仮面ライダーエボル コブラフォームに変身した。もちろん、さっきまで怪人態だったわけだから、明らかに弱体化だが。
「誰かの体を乗っ取るのは久しぶりだなぁ…。準備運動がてら、遊んでやるよ。」
まぁ、暇が潰せるならなんでもいい。
「貴様……!我等ノットレイダーを敵に回して、生きて帰れると思うなよ!」
「残念だが、死ぬのはそっちだ。」
「「「「ノットレーイ!」」」」
「フハハハハハハハハハハハハ!来い!」
誰かと話せる喜びに高笑いしながら、手始めに近くにいた奴を軽めのパンチ一発で倒し、それから横殴りのキックでまとめて十人ほどふっ飛ばした。
「タボドロウパンチ!」
ドロドロの液体をまとわせた隊長格のパンチが襲いかかって来たが、危なげなくパーで受け止めた。
「………!」
「軽いなぁ……。それじゃあ俺は倒せない。」
「んぐあぁぁぁぁぁ………」
掴んだ拳を振り上げ、隊長格を真上に投げ上げた。
そして、この星の数少ないフルボトルを、エボルドライバーに指し、レバーを回した。
Ready!Go!
€<→%々」<♪!フィニッシュ!
黄色い雷光が右脚を包み、落下してくる隊長格に回し蹴りをくらわせると、地平線の彼方へと見えなくなった。
「………チャオ。」
「「「「「………ノット…レイ?」」」」」
残った戦闘員達が、唖然と俺を見つめていた。
*
一分も経たないうちに、俺の周りには、千切れた灰色の何かがたくさん転がっていた。
「さて、と。」
UFOの入り口をこじ開け、中に入ってみた。
俺の方が速いのは当然だが、あれほどの性能のUFOだ。きっと星と星を又にかけている連中に違いない。まだよく知らないこの宇宙のことについて何かがわかるかもしれない。
もっとも、まずは地球に向かうがな。運命のリベンジマッチだ。
コックピットに備え付けられていた端末を起動し、ホログラムに表示された様々な情報を流し読みした。
「は〜ん。やっぱり前の宇宙には無いものがたくさんあるな……。星空界…………プリキュア……。スターカラー…ペンダント。」
少しだけ興味が湧いてきた。
「場所は……不明。ノットレイダーとか言っていたが、奴らはこれを探してる、ってわけか。目的は……ダメか。当たり前すぎて逆に載ってないらしい。」
だいたい読んだ後、もう少し奥まで探って見ることにした。
それが俺の運命を180度変えた…って言っていいだろう。色んな意味でな。
「これは……!」
一番下の、荷物置きらしい場所に、驚くべきものを見つけてしまった。
円筒状のカプセルの中に、緑色のゲルに漬けられた地球人の女が、昏睡状態で閉じ込められていた。
そして、その首には、さっきデータで見た、スターカラーペンダントとやらがぶら下がっていた。
なぜエボルトが星狩りに行けなくなったのか、理由はすぐわかりますよwww