車両を走らせることはや数時間、タワシ達は目的地に着いていた。
2人は車から降り、装備を整え調査を始めた。
「酷いな、そこら中に戦闘の跡がある。」
「相当抵抗が激しかったのかもしれないな。鉄血の奴らの残骸もなきしもあらずだ。」
その街は、かつてタワシ達がいた時とは違い、廃墟だらけの無人都市であった。
家屋は銃弾の跡だらけ、道に横たわる鉄血の残骸と民兵らしき者の骨、まともに手入れされておらず自由気ままに生えきった植物。
「悲しいけどこれ戦争なのよね、後に残るものなんてなんにもない。」
端末を片手に調査結果を記入するタワシ、一方シデンも調査結果をメモしていた。
「でも不幸中の幸いだ、ウィルスらしき反応は一切ない。」
「けどなんかいるな、アンドロイドだが…鉄血じゃなさそうだ」
電子戦仕様のタワシの端末に何かが反応していた。
「ここから西へ2ブロック…これってまさか…」
「どうしたタワシ?」
「すまん、少し行ってくる」
そう言って端末に出された座標へと向かうタワシ。
端末が出した座標に、彼は心当たりがあった。
「まさかな、鉄血に堕ちてたら敵と認識して表示されるはずだが…あそこは…」
端末の示した座標、それはある二階建ての家屋だった。
そして、1つの壊れたアンドロイドがいる座標でもあった。
ポツリと座っていたそのアンドロイドは、鉄血に抵抗した跡をくっきりと残していた。
「あぁ、やっぱりか。」
タワシはそのアンドロイドを見た瞬間察した。
タワシがG41を連れて行かなかった理由、そしてタワシとシデンの過去を象徴したものがそこにあった。
「…そういえばお前が初めてだったな、電子戦を教えたのは。
元々はただの興味本位だったのに、いつの間にか電子戦仕様になったりしたよな。
…なぁ、“エリカ“」
タワシはそう言うと、エリカと呼んだアンドロイドを優しく抱きしめ、また言葉を放った。
「初めて会った時は驚いたよ、なんせエリカの教育係として会ったからね。
俺には妹とか弟とかいなかったし、何をすればいいのかわからなかったけど、エリカはそんな俺を実の家族のように見てくれた。
色々と興味津々で、まるで幼子のように無邪気で、そして美しかった。
だから俺も毎日頑張れたし、君の笑顔が見たくて少し無理もした。
それほど恋しかったよ、あの時は。」
シデンを除く501全員が知らないタワシのフラれた後の過去、それこそがエリカであった。
「なぁエリカ、聞いてくれ。俺、ついに結婚したんだ。相手もお前と同じアンドロイドだけど、お前と同じで無邪気で可愛い娘だよ。
…なぁ、返事してくれよ…」
エリカを抱きしめたまま、タワシは涙をこらえてた。
例え血は繋がってないが、タワシにとってエリカは、娘であり妹であり、家族だった。
せめて彼女の前では泣かないと決めたタワシは、今にも零れ落ちそうな涙をこらえて、エリカに優しく言葉を放っていた。
「でも、これからは一緒さ。」
タワシはエリカのハードディスクを抜き、リュックの中へしまった。
「後は…素体とOSと…説得だな。俺のわがままでG41を傷つけたくないしn…」
『おーいタワシー、生きてるか?』
無線からシデンの声が聞こえた
「ん、なんだ?」
『それがよ、さっき商店街見たんだが、保存食が結構残っていてな。
折角だし飯にしようかな〜って』
「OK、そっち向かうわ」
タワシはエリカを背にシデンの元へと向かった。
商店街に着いたタワシは、シデンと共に保存食の安全を確かめていたが…
「うーん、冷たい」
「美味いんだけどなぁ…やっぱ冷めてるな、これ。携帯コンロで温めるか?」
もはや安全第三の勢いで食していた。
「でもアレだな、缶詰残ってたのは幸いだな」
「そうだな、糧食よりはマシだしな」
そう言いながら缶詰を温める二人、なお缶詰の種類は様々であり、鯖の味噌煮や牛の時雨煮、さらにはハンバーガーや味噌汁と多種多様だった。
「にしても…随分変わったな、この街も」
「だな、あいつらT-54やレオパルト1まで使ってた」
「なら相当抵抗は激しかったのは確定だな、よりによってセイバー中隊がか…」
「でも面白いこともわかった。PMCの奴ら、あちこちに罠をしかけてた」
「クレイモアとかジャマーとかか?」
「あとワイヤートラップもあったな、しかもRPG-7のな」
「ミンチよりひでぇや」
シデンの調査結果をメモするタワシ、メモしている間に缶詰は温まり、二人はまた箸を進めた。
「さて、次は俺からだが…エリカが見つかったとしか言えないかな」
「エリカ…あぁ、お前が世話してたアンドロイドか」
「第2.5世代アンドロイド、と言ってもI.O.Pのアンドロイドを改造したやつだから本当に2.5世代と言えるかは分からんがな」
「で、状態は?」
「見るに堪えん…一応ハードディスクは取り出しておいたが、本当に大丈夫かは分からんな」
「そうか…」
シデンもエリカのことは知ってたし、なんならエリカと名付けたのはシデンの方であった。
「…なぁタワシ」
「ん?」
「懐かしくないか、2人での任務って」
「そうだな、元々はお前と俺で仕事をしてたしな」
「でエリカの世話したり、鉄血の奴らとドンパチしたりと大変だったな。」
「まぁ、今も変わんねぇけどな」
そう言うとタワシは、牛の時雨煮を頬張った。
飯を食い終わった2人は引き続き調査を続け、気が付けば夕暮れだったので帰還することにした。
尚、帰りはエリカ行進曲を歌いながら流して帰ったらしい
因みに----
G41には泣かれたのだが必死なタワシの説得+慰めで嫁に許されたタワシ。エリカをIOPに送り修復などをする事になりました。
が・・・愉悦部員の一人パンジャンが画策し、なぜか第2婦人になる運びとあいなりました。(パンジャンがG41に吹き込んだ)