「…私も嫌だったのよ、ライデンがどれだけ必死に働いていたのかも知ってたし、私に心配させないように隠したいたのも知ってた。
けど…鉄血のニュースを聞く度に怖くなったの…」
「…」
車内のバーで、あの時の本心を打ち明けたルミ。
それをタワシは何を言わずにただ聞いていた。
どうしてこうなったか、時は少し遡る…
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「…」
タワシはあまり乗り気ではなかった。
任務の最中に酒を嗜むなんて以ての外だったからだ。
「やっぱり…ダメだよね。」
「…すまないが、クライアントの護衛が最優先事項だ。飲酒はできない」
「じゃあ命令したら?」
「…仰せのままに」
「じゃあライデン、毒味をしなさい。命令よ」
「……了解」
こうしてタワシはルミの毒味という面木で、ルミの飲みの付き合いをすることになった。
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二人は酒を交わし、様々なことを話し合った。
話し合ったと言うよりかは、ルミの話に相槌を打つようにタワシが話してたので、そうとは言いきれないが…
「でもライデンが結婚するなんてね、相手は戦術人形?」
「あぁ、でもいい娘に出会えたよ。」
「私よりも?」
「…ノーコメントで」
「ねぇ…まだあの時のこと悔やんでる?」
「………」
「もちろんライデン君が私のためを思って同棲しようとしたのも分かったし、わざわざPMCにまで入ったのも分かってた。
だけど…一緒に暮らしていくうちに怖くなっちゃって…
いつ死ぬかもわからないし、いつ私と会えなくなるかもわからない
なのにライデンは帰ってくる時はいつも笑顔だったし、気を使って辛そうな姿を見せようとしなかったのも気づいてた」
「…」
「でもね、怖かったの…ライデンが死ぬのが…」
ルミの打ち明けられた本心を、ただただ黙って聞いているタワシ。
彼もあの時、彼女の本心に薄々気づいていた。
どれだけ辛い思いさせたのかも、気づいた時には遅かったが…
「…ルミ」
「?」
「…俺だって薄々気づいてたさ。けど、お前の夢のためにもああするしかなかったんだ。
当時は兵が不足していて、大量の志願者を募っていたし、他の職も俺の学歴では到底不可能に近い職だった。
だからこそ、ああするしか道がなかったんだ。
戦争に身を置き、お前のために戦うことしか出来なかったんだ…」
「ライデン君…」
ルミの本心に応えるように打ち明けたタワシ、訣別をしたとはいえど、やはりわだかまりは心に残っていたようだった。
「けど確信した時には全て遅かった…
後方勤務に移そうと必死に準備し、上と掛け合った。そしていざ移す時には全て遅かった…」
千切れた糸がまた紡ぎ合わさるかのように、2人が交差したあの時が、今1つになろうとしていた。
「もう紡ぎ直すこともできねぇ、けどこれだけは言わせてくれ
…お前がいたから、俺は恐れることなく、辛いと感じることなく戦えた。」
守るべきものがある、それがどれだけ大切なことか。
それを知れたのは、間違いなくルミと過ごした短くも儚くも楽しい日々であった。
「ライデン…」
タワシの本心を聞き、ルミの顔を一筋の涙が流れる
「おいおい、酒でも回ったか?
…そんな顔すんなって、綺麗な顔が台無しだぜ」
タワシはブーメラン発言の気がする一言を放ちながら、彼女の涙を指でふいた。
それが因果したのか、ルミはタワシの胸で泣いた。
「(難儀なものだな、人生とは…)」
タワシはそれを包み込むように受け止めた。
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「うーん」
「どうした、G41?」
タワシがルミを受け止めていた時、G41は少しソワソワしていた。
「ご主人様がまたなんかやらかしてそうな気がしてならなくて…」
「気のせいじゃない?」
「そうよ、少しは落ち着きなさい 」
「はーい(後で直接聞いてみよっ、多分気のせいだけど)」
どうやらタワシの嫁であるG41には感づかれたようで、この後タワシが戻ってきた時にはG41にバレて泣きつかれたとか(まぁ仕方ないね☆)
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タワシが自身の過去の裏側を知った翌日、特に問題もなく列車は目的地へと着き、護衛任務も終わりを告げようとしていた。
「短い間でしたが、皆さん大変お疲れ様でした。」
「こちらこそお役に立てて光栄であります」
まるで昨晩のことが無かったように話す2人
「では契約に則り、我々はここで失礼させていただきます。」
その一言で撤収しようとする501部隊、そんな中ルミはタワシを呼び止めた
「ねぇライデン君」
「…なんだ」
「また…会えるかな?」
「………依頼ならばまた来るでしょう」
「そう…なら…」
「そろそろ時間だ。
…………元気でな」
そう言ってタワシもメガネ達に続き迎えのヘリに乗り込む。
だが、タワシの姿は妙に清々しく、一回り変わったかのようにいた。