俺の千冬姉がこんなに可愛いはずが……あった   作:pluet

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試験的にセシリアの一人称部分を
【私(わたくし)】、2回目以降 【私】 → 【わたくし】 に統一してみました。
見易さ、読みやすさなど、ご意見をいただければありがたいです。


第5話

 放課後の第二アリーナ。

 ISの練習に精を出す生徒がちらほら見える中、俺は練習に入る事もできず、ただ事の推移を見守っている。

 

「だからっ、一夏は私が鍛えると言っている!」

「あら、IS適正がCランクの篠ノ之さんに教わるよりもAのわたくしに教わった方がいいのは自明でしょう?」

「ら、ランクは関係ないッ! それに、もとより一夏と約束していたのは私の方が先だろう!!」

 

 ……なんでこんなことになってるんだ?

 目の前で箒とセシリアが言い争ってる姿を見ながらそんな事を思う。

 

 いつもならこの二人が争うと千冬姉の出席簿スマッシュが飛んでくるんだけど、今はその千冬姉がいない。

 なんでも今日は職員会議なんだそうな。たぶん、今度のクラス対抗戦の事についてなんだろう。

 そして今のこの状況はそのクラス対抗戦が関わってるんだよな、これが。

 

 クラス代表っていうのは、全員がセシリアや俺みたいな専用機持ちって訳じゃないけど、千冬姉が言うにはその実力は確かな物とのこと。

 まだセシリアとの試合があったばかりだから、今日は休めって千冬姉に言われてたんだけど、クラス代表になったからには俺も相応の努力を重ねないとって事でここに来たんだが、途中で会った箒とアリーナで何故か待ってたセシリアが鉢合わせて、今に至ると。

 それにしても、なんでこいつ等はもめてるんだろうか。別に一緒に教えてくれればいいじゃないか。

 ぼんやりとそんな事を考えていると、いきなり二人の矛先がこちらに向いた。

 

「一夏! お前からも何とか言ってやれ!!」

「一夏さん、わたくしの教え方の方がよっぽどためになりますわ!」

「いや、一緒にやればいいだろ。せっかく箒も打鉄の使用許可取ったんだし……」

 

 なんて至極真っ当な事を言ってみるんだけど、「それじゃあ、意味がない!」と二人して詰め寄ってくる。

 何が気に食わないんだよ……。

 皆でやった方が楽しいじゃんか。

 

「はぁ、じゃあお前ら二人が戦って勝った方に教えてもらうって事で」

「なっ!?」

「! さすが一夏さんッ! 分かっていらっしゃいますわねっ!!」

 

 俺が妥協案を出すと二人は対照的な表情を浮かべる。

 というか、箒は完全にこっちを射殺すかのような目付きで睨んできている。

 いや、そんなに睨まなくても分かってるっての。

 

「あぁ、でもさすがにこのままだとフェアじゃないからな。セシリアはあのビットを使用禁止な」

「一夏さん、ビットではなくブルー・ティアーズですわ。ですが、このわたくしを相手にするんですもの、それぐらいのハンデは必要ですわね。でも、一夏さんに教えようとする方が一夏さんが貰わなかったハンデを貰うなんて、やはりわたくしの方が相応しいのではなくて?」

 

 そう言いながら、ブルー・ティアーズを身に纏い空へと優雅に舞い上がるセシリア。

 一方の箒はというと、挑発されて怒ってるかと思いきや、逆に不敵に笑って挑発し返していた。

 

「ふっ、今から負けたときの言い訳の仕込とは準備といいことだな」

「なな、なんですって!?」

「だがな、ハンデなどいらん、全力でかかって来い!」

 

 そう啖呵を切るとセシリアを追いかけるように急上昇をする箒。

 そして二人の試合が始まった。

 箒に全力で来いと言われつつも、何だかんだでセシリアはライフルしか使ってない。

 それに対する箒もライフルをかわしながら吶喊している。

 

 ……やっぱ、箒も操縦がうまいなぁ。俺より回避に無駄がないような気がする。

 千冬姉が言ってた通り、ISの適正ランクってあんま当てにならないのな。ちなみに俺の適正はB、箒の1つ上。

 

 なんて事を考えながら、二人の試合を見ていると後ろから声をかけられた。

 

「ふっ、お前もあいつ等のあしらい方がうまくなったな。偉いぞ」

「あれ、千冬姉? 職員会議があったんじゃないのか?」

「嫌な予感がしてな、山田先生に押し付けてきた」

 

 胸を張って言う事じゃないだろ、千冬姉。

 今頃涙目になってるんだろうな、山田先生……。

 千冬姉に振り回される苦労は俺が一番よく知ってます。ご愁傷様です。

 つか、嫌な予感ってなんだよ。

 

「そうしたら案の定だ。一夏、お前は私の言った事を忘れたのか? 今日は休めと言ったはずだぞ」

「い、いや、そういうわけじゃないよ。ほら、俺ってクラス代表になっただろ? そんな俺が対抗戦で情けない結果に終わったら譲ってくれたセシリアやクラスの皆に申し訳ないしな。それに……」

「それに、なんだ?」

「うっ、い、言わなくても分かるだろ?」

「当たり前だ、何年お前の姉をやってると思っている」

 

 それなら言わなくても、という言葉は千冬姉に遮られてしまい最後まで言う事ができなかった。

 

「――それでも、私はお前の口から、聞きたい」

 

 真っ直ぐ俺の目を見つめながら、そんなことを言われる。

 ……その言い方は卑怯だろ。

 

「……その、千冬姉にさ、いい所を見せたいって思って」

「ふふっ、期待しているぞ」

 

 そう言って嬉しそうに俺の頭をぐしゃぐしゃとなでる千冬姉。

 あーもうっ、恥ずかしいっ! 何だよこれ、新手の羞恥プレイか!!

 なんて悶えてる俺の心情を知ってか知らずか……って、確実に知った上でやってるんだろうけど、千冬姉は俺の腕を引っ掴み、アリーナの出口の方に進んで行く。

 

「今日は気分がいい。一夏、帰るぞ」

「え、いや、俺、箒達と一緒に練習を……」

「そんな事はどうだっていい、重要なことじゃない。今日はいい酒が飲めそうなんだ、お前には美味いつまみを作ってもらわなければな。購買に食材を調達しに行くぞ」

「え、あ、うん……いいのか……?」

 

 箒達が熱戦を繰り広げているのを見ながら、ずるずると千冬姉に引きずられるままアリーナを退場する俺。

 ……後が怖いんだが。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「そこッ!」

 

 篠ノ之さんが繰り出す斬撃がわずかに大振りになった所を見計らい、素早く旋廻、後ろを取る。

 

「貰いましたわ!!」

「ぐっ、しまった!?」

 

 わたくしのスターライトmkⅢの一撃が篠ノ之さんの打鉄のシールドエネルギーは削りきった。

 わたくしの勝ち、ですわね! これで一夏さんと二人っきりの訓練はいただきですわ!!

 

 一夏さんもわたくしの華麗なる勇姿を見て、その、ほ、惚れ直してくださってるはずです、し……?

 あ、あら? 一夏さんはどこに……? って、いらっしゃらないっ!?

 

「し、篠ノ之さんッ! 一夏さんはどこに行きましたの!?」

「は? 一夏ならそこに……い、いない、だと!?」

 

 慌てて篠ノ之さんに訊いてみるものの、どうやら彼女も知らないらしい。

 すぐに目配せをして、二人で同じアリーナを使っていた人達に訊いて回る。

 

 するとすぐに原因が判明する。

 

「お、織斑先生ですの……?」

「くっ、職員会議だからと油断し過ぎたか……!」

 

 こういうのをこちらでは“鳶に油揚げ”と言うんでしょうね。

 それにしても一夏さんも一夏さんですわっ!

 わたくしの試合を見ないだけでなく、ほ、他の女性と一緒にいなくなるなんて……ッ!

 

「うぅ、せっかく勝ちましたのに……ひどすぎますわ!」

「こうしてはおれんっ! オルコット、一夏を探しに行くぞッ!!」

「言われなくともっ!」

 

 急いで更衣室へ向かう篠ノ之さんの後を追う。

 ……やはり目下 最大の敵は織斑先生と言うわけですわね。

 ですが、負けまられせんわ。それに相手が強ければ強いほど燃えるというもの。

 

 しかし、一人では到底太刀打ちできそうもありませんわね……となると。

 

「篠ノ之さん」

「なんだ?」

「ここは共同戦線といきません?」

「共同戦線だと?」

「ええ、わたくし達の敵は同じです。それも残念ながら一人では太刀打ちできないほどの」

 

 こうやってわたくし達が争っていても、互いのためになりません。

 

「なるほど、織斑先生を打ち破るまでは利害は一致している、ということだな」

「はい、どうです?」

「いいだろう。だが、私は一夏を渡すつもりはない。織斑先生にも、無論お前にもだ」

「ええ、構いませんわ。わたくしだって負けるつもりなど毛頭ありませんもの。では、よろしくお願いしますね、“箒さん”」

「! ……あぁ、よろしく頼む、セシリア」

 

 ふふっ、織斑先生……一夏さんは絶対に渡しませんわ。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 明けて翌日、案の定 昨日の事について二人にねちねちと嫌味を言われ続ける羽目になった。

 

 文句は千冬姉に言って欲しいんだが、なんて言い訳が通じるはずもなく機嫌を取るのに苦労した。

 そんな俺なんだが夕飯を食べないで、時間になったら学食に来て欲しいと言われてやってきたんだが―――

 

『『織斑君おめでとーー!!』』

 

 到着と同時に、ぱんぱんっとクラッカーの音が鳴り響き、少し遅れて色鮮やかな紙テープが俺の頭に降り注ぐ。

 どうやら、今日はクラスの皆が俺の代表決定を祝うパーティーを開いてくれたようだ。

 クラス代表が決定したのって先週の始めなんだが、今更やるんだなって突っ込みはやめておこう。

 何だかんだで嬉しいしな。

 

『おりむークラス代表決定おめでとぉパーティー』

 

 学食の壁には誰が書いたのか一発で分かる紙が張ってある。

 なぜ文体までのほほんとしているんだろうか、のほほんさんは。

 

「どうぞ、一夏さん」

「セシリア! 抜け駆けは許さんぞッ!! 同盟はどうなった!」

「あら、箒さん。あれは織斑先生にしか言及していません。つまり、織斑先生がいない今 わたくしが何をしようと問題ないですわ」

「貴様、最初からそのつもりで……!」

「……俺を挟んで喧嘩するなよ」

 

 いつの間にか名前で呼び合ってる二人は、何故か知らんが言い争っている。

 なるほど、これが喧嘩するほど仲がいいと言う奴か。

 などと若干関係ない事を考えてる俺を他所にヒートアップしていく二人。

 

 誰か止めてくれないか? 他のクラスメイトに水を向けてみるも

 

「あははー、無理ですねー」

「馬に蹴られる趣味とかないし」

「むしろ織斑君が蹴られるべきじゃない?」

 

 なんでさ。

 俺だって馬に蹴られる趣味はないぞ。っていうか、馬に蹴られるのが趣味ってどんな奴だよ。

 ま、せっかくのパーティーなのにこんな事で台無しになってもしょうがない。さっさと止めようと思っていたら、その前に止めてくれた人がいた。

 

「はいはーい、喧嘩はその辺にして頂戴。これからみんな大好き新聞部の取材が始まるわよー」

「そ、そう言う事だから、篠ノ之さんもオルコットさんも喧嘩はやめよ? ね?」

「む……」

「そういうことでしたら……」

 

 二人の喧嘩を止めたのは新聞部 副部長 (まゆずみ)薫子(かおるこ)先輩とのほほんさんの友達のかなりんだった。

 ちなみに、なんで俺が上級生である黛先輩を知ってるのかと言うと、入学当初から俺の事を突撃取材でーす! なんて言いながら度々取材に来ていたからだ。

 まぁ、取材に来た時には大抵千冬姉がいたから門前払いだったんだけど。

 というか、かなりんも新聞部だったんだな、知らなかった。

 

「あら、かなちゃんはウチの部の一年のエースなんだから、知っておいて貰わなきゃ困るわ、織斑君」

「あの、先輩、エースっていうか、私以外に誰も入ってもらえなかっただけ……ひゃんっ?!」

「すとーっぷ! ジャーナリストは余計な事を口走っちゃ、やっていけないのよ?」

「は、はぁい……ぁぅ、お尻触られたよぉ……」

「よしよし、かなりんはがんばったよー」

 

 ぽふぽふとのほほんさんに頭を撫でられて慰められている。

 そうだぞ、上司のセクハラにも負けずに頑張るんだ、かなりん!

 俺とのほほんさんは応援しているぞ。

 そのセクハラ上司はというと、涙目になってるかなりんの事など全く気にした様子もなく、ずずいっと俺にボイスレコーダーを近づけてきた。それでいいのか、副部長殿。

 

「ま、それはともかく今度こそ取材を受けてもらえるかしら?」

「はぁ、手短にお願いします」

「よろしい。ではではぶっちゃけクラス代表になったお気持ちをどうぞ!」

「あー、みんなの期待を裏切らないように頑張ります?」

「なぜ疑問系なのだ」

 

 横から箒のツッコミが飛んでくる。

 うっさい、別にいいだろ。いきなり言われても、ぱっと思いつかなかったんだよ。

 

「えぇ~、普通すぎてつまんなーい。

もっとこう『オラ、つえー奴と戦えるなんてわくわくすっぞ!』とか『This way...』とかないの~?」

「先輩は俺をどういう奴にしたいんですか……」

 

 ただのイタイ奴じゃねーか。

 

「ま、いっか。適当に捏造しとけば」

「よくないですよ! メディアの腐敗をここに見た!!」

「まぁ、なんて言い草なのかしら! 伝統ある私達の新聞部のモットーは清く正しい捏造よ」

「最後の言葉で前半の言葉が塗りつぶされた!」

 

 つ、疲れる……なんで俺はこんなにツッコミをしてるんだ。

 散々俺に突っ込ませておいて、黛先輩はセシリアの方にインタビューしている。切り替えが早いな、おい。

 何か向こうでもセシリア怒らせてるし。本当に自由だな、あの先輩。

 

「―――ですから! わたくしは別にッ!」

「はいはい、ちょろいちょろい。ちゃんとその事は新聞に書いてあげるから」

「だから、書かないでくださいッ!?」

「あ、そうだよねー。そーゆーことはちゃんと自分で言いたいもんねー。ま、それはともかくちょっとそこに織斑君と並んでよ、一緒に写真とるから。織斑君の写真はイイ値段で売れるんだよねー」

 

 おい、何勝手に売ってるんだこの人! というか、いつ撮られた!?

 なんて思ってると、いつの間にか立ち直っていたかなりんが数枚の写真を取り出した。

 

「あ、ちなみにコレがその写真だよ」

「……完全に盗撮じゃんッ!」

「あ、やっぱりそうなんだ……」

 

 全部カメラに目がいってないし! どうやってこんな角度から撮ったんだよ、これぇぇぇッ!?

 かなりんの話によるとこれらは定期的に売り出されているらしい。

 IS学園がある種の治外法権だからって肖像権まで無視されるのか!?

 絶対、販売会の場所と時刻を千冬姉にリークしてやる。

 

「ったく、とんでもない先輩だな、あの人は。とりあえずその写真は返して……」

「……(すっ)」

 

 制服の内側にしまわれた!

 えへへ、とか笑って誤魔化さないっ!

 

「ほらほら、織斑君も早く並んで並んで」

「くっ、分かりましたよ」

「な、何でそんなに不満そうな顔をしてますのッ!? そ、そんなにわたくしと一緒に写るのがお嫌ですか……?」

「あ、いや、そんな事はないぞ」

「で、でしたら、もっとこっちに寄ってくださいっ」

「あ、おいっ! ちょ、ちょっと近すぎないか?」

「こ、これくらい祖国では普通ですわっ!」

 

 セシリアとの距離はゼロに等しい。つーか、腕を組んでる。

 さっき、黛先輩は握手してる方がいいって言ってたろうが。

 

「あ、そっちでもいいや。捏造のし甲斐がありそうな、一枚になりそうだし」

「聞き捨てならないセリフが聞こえたんですけど!」

「そんな事言ってももう遅ーい。はい、1+1はー?」

 

 『『『2ぃ!!』』』

 

 ―――ぱしゃり。

 “みんな”が声を揃えてピースサインをする。

 俺とセシリアのやり取りの合間にみんな後ろに回って、一緒に写っていた。

 

「あ、あなた達ぃ!!」

「抜け駆けは許さん」

「ふふふ、セシリアだけにいい思いはさせないわよー」

「いいじゃない、みんなの思い出になって。思い出はプライスレスなのよ」

 

 セシリアの抗議の声も、箒を筆頭としたクラスメイト達によって丸め込まれてしまう。

 おおぅ、苦虫を噛み潰したような顔になってるぞ、セシリア。

 

「で、でしたら、先輩もう一枚っ、今度こそ一夏さんとのツーショットで!」

「させるか馬鹿者」

 

 パーンッ!!

 毎度おなじみの音が学食に響く。

 我等が千冬姉の登場だ。いつもながら唐突に現れるなぁ。

 そして、その千冬姉の登場にあんなに奔放に振舞っていた黛先輩がびしりと固まった。

 

「お、織斑先生……あははー、どうもー」

「ほう、やはりここにいたか、黛。今の時間は20時過ぎ……ここにいる一年は許可を取った上でここに居るからいいが、お前は取ってないな? 喜べ、2年の寮長から直々に御話があるそうだ」

「うぐっ……分かりました」

 

 おおー、あの黛先輩がたじたじだぜ。さすが千冬姉。

 というか、なんともいいタイミングで来たな。出待ちか?

 

「あ、私が呼びに言って来た」

「うむ、相川はいい仕事をしてくれた。これからもこのような事がある場合はすぐに私を呼ぶように」

「はい、わかりました!」

「うぅ、相川さんも敵ですわ……」

 

 何故かセシリアが落ち込んでいる。そんなに写真に写りたかったのか?

 別に言ってくれればいつでも撮ってやるのにな。

 

「じゃあ、私はこれで失礼しますね……とほほ、あの先生説教長いのよねぇ……」

「あぁ、黛 少し待て」

「はい? なんですか?」

 

 帰ろうとしていた黛先輩を呼び止め、千冬姉が俺の隣までやって来た。

 そして―――

 

「一枚撮ってから帰れ。写真ができたら、ネガごと渡すように」

『なぁっ!?』

「了解ですッ! はい、チーズ!!」

 

 ぱしゃりとな。

 そんなこんなで千冬姉との写真が撮られた。

 そういえば、千冬姉との写真なんていつ振りだろうな……ここ数年は千冬姉が忙しくて一緒に撮ってないし、千冬姉の成人式の時に撮ったのが最後か?

 そもそも、アルバムの類がそんなにないからなぁ。その代わり、束さん辺りはたくさん持ってそうだけど。

 ま、この3年は近くにいるんだし、また二人で定期的に写真でも撮るか。

 今度は箒やセシリア達も一緒に。

 

「さて、用が済んだから私は帰るが、あまり羽目を外しすぎるなよ。場の雰囲気に当てられて、などと言って一夏に手を出そうものなら……覚悟するんだな」

『わ、わかりましたー……』

 

 皆が返事をするのを確認してから、千冬姉は去っていった。

 そんな心配しなくても、俺になんかするような子はいないだろ。

 

「ふふふ、前から怪しいと思ってたけど、私の取材を妨害してたのはこういうことだったのね……。ネガを取られちゃうのは痛いけど、このネタがあればまだ戦える! こうしちゃいられないわ、それじゃあ、みんなは続きを楽しんでね!」

「あの、先輩、私はどうしたら……?」

「ん? あぁ、かなちゃんも参加しちゃっていいよ。でも、明日はこの事について裏づけの取材するから放課後すぐに部室に集合ね!」

 

 黛先輩もそう言い残して、走り去っていく。

 ホントに嵐のような人だったな、場を掻き回すだけ掻き回していなくなるとか。

 他の皆もポカンとしてるないじゃないか。

 

 

 

 

 その後は、普通にパーティーを再開して21時過ぎにお開きとなった。

 ちなみにずっと落ち込んでいたセシリアだが、今度一緒に写真撮るかと言ったら一気に機嫌が治った。

 若干情緒不安定なんじゃないだろうか、コイツ。ちゃんと気遣うようにしてやろう。

 

 そんな事を考えてたら、今度は箒が不機嫌そうに横から脇腹を抓ってきた。

 ……お前もか。

 

 なんで俺が箒達の心のケアまで考えなきゃならんのだと頭を抱えていた頃に、1年寮でセカンド幼馴染が叫んでいたことを知るのは次の日の事だった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「なんで千冬さんと一夏が一緒の部屋なのよッ! おかしいでしょ!?」

「えっ、なんでってそう言う関係(姉弟)だからでしょ?」

「ふっざけんじゃないわよーッ! あたしとの約束はどうしたのよ!!」

「知らないわよ……あ、私は窓側のベッド使ってるから隣のベッド使ってちょうだい」

「フフフ、やっぱラスボスは千冬さんだったってわけね……!」

 

 

 

 

 




読了感謝です。
鈴合流までの幕間のお話でした。
サブタイトル:千冬姉は羞恥プレイがお好き……というのが頭に浮かんだ。もうダメかもわからんね。
最後の部分が蛇足な気がしなくもないですが、とりあえずこのままで。

前書きでも書きましたが、ご意見や誤字脱字などありましたらお願いします。
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