演奏者が指揮官になる話   作:猫茶屋

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漸く艦船を出せた。オリキャラで話が長くなる俺の悪い癖。


友達

 あれから更に三年が経ち、俺は幼稚園の年長に、姉は小学三年生になった。俺と姉ちゃんは母と父の手伝いをして少ないながらもお小遣いをもらい日々を過ごした。うん、またキングクリムゾンなんだ。すまんな。だけどさっき話した通り、そんな代わり映えのしない日常だったぜ?もちろん空から鮭が降って頭に乗っかったりとかはしていない。

 

 そうそう話は変わるが、実を言うと三年前に俺が待望した妹が誕生したよ!いやー長かった。正直いつ両親の夜中のプロレス(意味深)を見るか気が気でなかった。

 

 当時はまだ俺が三歳とお子ちゃまだったから両親と一緒の部屋で寝ていたんだ。姉は既に一人で寝ていた、姉が一人部屋貰っていて悔しかったのを覚えてる。まさか俺が寝てる隣でおっぱじめるのかと思ったが、両親は部屋を変えてプロレスしてましたまる

 

 隣でおっぱじめなくて良かったけど、声がね・・・幽かにマッマの嬌声が聞こえるんだよね。お子ちゃまで性欲が芽生えてなかったからか、俺を産んだ母さんだからか分からんがピクリとも来なかった。流石にねぇ・・・実の母にはねぇ・・・しないよ・・うん。

 

 思い出したら気持ち悪くなってきたので、兎に角俺が言いたいことはただ一つ。妹がマジ可愛い。

 

 考えてみてくれ、妹が赤ん坊の頃俺がほぼ毎日付きっ切りで面倒見て可愛がったんだ。更に妹が気持ちよく寝れるために、アコギでリラックスできる曲をアルペジオで弾いたんだ。初めはキャッキャと喜んでた妹が直ぐに寝落ちする姿は何回見ても可愛すぎて俺が溶ける。というか四歳になってやっとコード抑えれる手の大きさになったわ!長かった。ピアノもいいけどやっぱりギターはっきりわかんだね。

 

 そんなこんなして妹を溺愛していると、赤ん坊の妹が俺に向かって小さな両腕を俺に突き出してあ~あ~と何か言いたそうにしてんの。何だべ?と思って耳を傾けたら俺の名前言ってんの!思わず喋ったぁぁぁぁああああああ!って叫んで皆に怒られたわ。父さんも父さんで、妹に最初にパパと呼ばれなくて悔しがってたから目の前でNDKしたらヘッドバット食らった、くそ痛かった。

 

 まあ妹を愛では、幼稚園に行っては、両親の手伝いをしていた三年間だった。家族にも妹の誕生といった変化があるように、世間も当然の如く変化が起こった。

 

 それはセイレーンの活動が活発になり、海運の妨害が多発していることだ。ようするに通商破壊だ。そのせいで重桜を始め、ロイヤル、ユニオン、鉄血のアズールレーンを主要参加国がセイレーンのせいで物資が入手しづらくなっている。物資の中は主に、穀物等の食糧、木材、油そして・・・鋼材だ。

 

 父さんは町工場を営んでいる。三年前はまだセイレーンも大人しかったのか、鋼材は順調に手に入った。しかし、ここ最近は酷い。週末に鋼材が運送会社から送られてくるのだが、めっきり鋼材の量が目に見えて減ってしまった。鋼材が減ったせいで商売道具である鋼材が無いために、受注したくても出来ないため仕事が減るといった悪循環のスパイラルに陥ってしまった。母さんはその穴を埋めるために毎日ピアノ教室を開いている。

 

 父さんもこんな状況で大変だろうに、辛い表情をおくびにも出さずいつもと変わらない様子で俺たち家族と過ごしている。・・・とても強い人だ、俺の父親という事を抜きにしても尊敬する。本当は笑っている場合ではないのに、それどころではないのに。

 

 ・・・まぁ当然のことながらこの問題は我が家に限った話ではなく、家らみたいな町工場や自動車や、飛行機、ロボット産業等の鋼材を大量に必要とする企業は鋼材が入手しづらくなり、商品を生産できなくなり経営は火の車だ。

 

 経営が苦しくなるとどうするか、自社から金が流出しないようにすればいい。では一番の金食い虫は何か?それは労働者だ。会社は早速金食い虫である労働者の数を減らす——リストラを行った。

 

 突如リストラを言い渡された労働者たちは当然の如く激怒した。最初は当然ながら自身を不当に解雇した会社に対し、集会デモを行い再雇用の訴えを行ったが成果は上がらずに終わる。

 

 不当に解雇された労働者たちのフラストレーションは溜まりに溜まっていく一方だった。そして各々が考え出した。そもそもの原因は何なのだろうか?そして辿り着いた。鋼材が入手しづらくなった原因、セイレーン。

 

 そのセイレーンとやりあっているアズールレーン。そのアズールレーンが使役している人の形容をした艦船。あいつらが情けないばかりにこんな目に遭っているのではないか。その考えに辿り着いた人たちが艦船に強い不満感や不信感を抱くようになった。

 

 この三年であっという間に艦船のイメージが悪くなってしまった。俺からしたらそれは誤断だと断言する。そもそも彼女らが居なかったら物流のダメージで済んでいるというのに。艦船を憎む人たちも彼女らを憎むのもお門違いだと頭では分っているのだろう。いや、分かっていると信じたい。だけど感情が何かに当たらないと気が済まない不安定な状態に陥っているんだろう。

 

 テレビのニュースでは艦船の話で持ち切りだ。毎日街頭インタビューで艦船のヘイトの感想がテレビ越しに聞かされる。鬱陶しいことこの上ない。艦船を憎むのは筋違いだ。憎むべき相手は艦船では無く、そもそもの原因であるセイレーンを憎むのが筋だろうに。あんな可愛い子たちが毎回傷を負いながら出撃しているというのに、感謝をするどころか罵倒を浴びせる始末。・・・・胸糞わりい。幸いというか、当然というか我が家は艦船を憎んでなど居らず、むしろ感謝していた。

 

 今も昼食に流れているテレビのニュースから艦船のヘイトを聞き思わず舌打ちをしてしまう。

 

「こーら、灯。食事中になんて下品なことをするの、やめなさい。育江が怖がるでしょ」

 

 う・・・ごめん母さん。愛しのマイラブリー妹。育江を見る。

 

「う~?」

 

 育江ちゃんがこっちを見て首を傾げて俺を見ているぅ!!可愛すぎんべよウチの妹。

 

「・・・灯ちゃんが妹に手を出さないか不安でしょうがないわ」

 

 ちっちっち。姉さんは分かっていない。微塵も分かっていない。妹は愛でるべき存在であると!俺は育江の頭を撫でたり、おんぶしたりギターの弾き聞かせをするだけで幸せなのだよ。姉さんいや、小鳥よ!!

 

「はいはい、要するに末期のシスコンね。・・・シスコンってことは私はどうなるの灯ちゃん、ねえねえ」

 

 え、なんでこの人急にテンション上がるの?女の子の日なの?怖いんですけど。育江ちゃんは全然可愛いけどー。

 

「ん?けど?」

 

 ちょっといきなり顔を近づけんなよびっくりするでしょうが!やっぱり姉という生き物を妹と同じ様に愛でるのとは違いまんな。弟は姉に逆らえない生き物なんだようん。

 

「つまり?」

 

 姉さんは姉さんのままで居てください。

 

「えへへ、わかったよ灯ちゃん」

 

 結局質問に答えなかった事に気付かない姉さん。頭の出来はこのやり取りで察してください。…ちょろすぎんべよ姉さん。

 

 

 

 閑話休憩

 

 

 

 

 

 

 

 という訳で、今日は土曜で幼稚園はお休み&ピアノ教室はお休みなので現在俺は散歩しております。田舎だから道を歩いてるのが爺さんと婆さんしかいねえ。あ、こんにちは佐藤さん。え、飴玉ですか?え、こんなに?わざわざビニール袋に入れて頂いてありがとうございますー。はーい、姉さんたちと頂きまーす。

 

 おやつを頂いてしまった。懐かしいなーペロペロキャンディーに黒糖飴。前世で小さかったころ黒糖飴で舌を切って口の中血だらけになったのはいい思い出。うん。

 

 気付いたら海っぺりにでてたわ。いや、前世の思い出に耽ってたら随分と歩きましたなー。あー久しぶりの海風が気持ちいいー。お、堤防あんじゃん。上って座るぅ!このじゃりじゃり感が堪らない!あ”-やっぱり海を見るとおちつくわー。なんだ俺の帰巣本能が海に反応してんのか?ということは俺の前々世はワカメ!君に決めた!・・・・あほくさ、座ったばかりだけどぼちぼち帰るかー。

 

 こっから国道出て帰ると遠回りなんだよなーそれは面倒臭いな。どれ近道でもしますかー。・・・ん?堤防に上がって遊んでる子供二人。珍しい、幼稚園以外で子供なんて久しぶりに見たわ。

 

 あ、ついでに沢山あるこの飴ちゃんあの子たちにあげるか。流石に袋にパンパンになるまでは食べきれないわ。ごめんね佐藤さん。

 

 こんにちはー。遊んでるところごめんね、何してんの?子供もとい幼女二人に挨拶。挨拶めっちゃ大事。一人はへそ出しセーラー服を着た角が生えた白髪の幼女が一人。白い服に緑色の髪をした猫耳幼女。ん?角?猫耳?そんなこと考えてたら猫耳が角の幼女の後ろに引っ込んだ。角の幼女が猫耳幼女を庇いながら俺を睨みつける。あれ、俺やったくさくない?

 

「ここになにをしに来たです・・・人間!!」

 

 俺か!?俺は適当に散歩してたらここに来ていたんだが。後ろの子は大丈夫か?震えてるぞ?

 

「明石に触るなです!」

 

 手を伸ばした俺の手を角の幼女が叩き落とした。少し痛いが心はもっと痛い。え、なんで俺こんなに嫌われてるん?凹むんだが。なぁ、俺君たちに何かしたか?

 

「何か?何かです!?・・・お前がそれを言うのか人間!」

 

 あかんめっちゃお怒りだ。それにしても人間て。いやまあ、生物学所は人間だけどね。だけどそんな言い方だとまるで自分たちは違うかのよう・・だ・・・。あれ?普通の人間には角とか猫耳とか生えねえよな。・・・もしかして君たちは艦船なのか?

 

「っつ!!」

 

「にゃ~・・・」

 

 どうやら図星だったみたいで角の子が苦虫を潰した表情になり、後ろの明石と呼ばれたこは更に体を角の子に寄せた。そうかこの子たちが艦船か、テレビでしか見たこと無かったけどこんなに小さい子も居るのか。取り敢えず俺は艦船に逢えたら言わなきゃならない台詞を言わねば!

 

 なぁ、お二人さんは艦船なんだよな?

 

「・・・・それがどうしたです、人間」

 

「・・・・・・・」

 

 そうか、君たち艦船に言いたいことがあるんだ。毎日海を警護してくれてありがとう。貴方たちがいるからこの程度の被害で落ち着いているんだ。テレビに出てる奴らはあんな酷い事を言ってるが、俺はそんなことは筋違いだと思ってるんだ。・・・兎に角ありがとう、貴方たちのお蔭で苦しいけど生活できているよ。

 

 これが艦船に逢ったら言いたかった言葉だ。悪口なんて気にするな。その気持ちは痛いほど分かるよなんて口が裂けても言えない。その悪口を受けて傷ついた感情は計り知れないし、その痛みは傷ついたその艦船だけの物だ。だから、おれは是が非でも艦船たちに感謝をしたかった。

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 む、反応がない。俺を見て二人ともぼうっとしてる。な、なんだよ俺そんなに変な事言ったか?

 

「・・・・・・そうです、人間はとても変な事をいったのです」

 

 ひでえ。恥ずかしかったけど頭下げてお礼言ったのに。この言葉の暴力。

 

「・・・だけど嬉しかったです。お前は他の人間とは違うです」

 

 そっか。喜んでくれたんならお礼言った甲斐があったわ、良かった良かった。

 

「明石、この人間は大丈夫です。」

 

 あぁ、いいよ。明石ちゃん?でいいのか?その子俺がっつーか人間が怖いんだろ?なら無理させない方がいいんじゃない?

 

「・・・にゃ。に、人間お前みたいなのは初めて・・・にゃ。変な奴だけどう、嬉しかったにゃ。あ、ありがとうにゃ」

 

 あっ。この子育江ちゃんに通ずる妹力を持ってる。あかん、そんな両手でもじもじして上目遣いとかやめて、可愛すぎて俺が死んじゃうから。

 

「にゃ!?明石がかかかかか可愛い!!」

 

「明石、この人間やっぱり変な奴です。」

 

 お黙り!ところで角の子。君は何て言うの?

 

「私は綾波と言うです。変な人間は?」

 

 おっけい。今名乗るからその変な人間を止めろ。俺に効く。俺の名前は綾瀬灯だ。灯台の灯な。適当に灯でも灯ちゃんとでも呼んでくれ。これからよろしくな二人とも。今日から君たちは俺の友達だ。しぇーくはんどだ。おーけー?

 

「・・・変な人間の割にいい名前持ってるです。灯。これでいいです?改めてよろしくです」

 

「にゃ、もう友達になったのにゃ?人間の友達なんてはじめてにゃ。私は明石にゃ。灯ちゃんよろしくにゃ」

 

 ん。よろしくな二人とも。そうだ、お近づきの印に飴ちゃん食べる?

 

「頂くです!」

 

「頂くにゃ!」

 

 綾波は黒糖飴で明石はペロペロキャンディーか。俺らは堤防に上がり三人で飴を舐めてる。

 

「そうだ、灯。」

 

 んーどったの綾波。

 

「私たちは未だ幼いから出撃してないですよ?」

 

 そうなの!?てっきりもう出撃してるのかと思ってた。

 

「まだ訓練も済んでないのに出撃は出来ないです」

 

 そんなもんかー。

 

「そんなもんです」

 

 そのままぼけーっと飴ちゃんを舌で転がしていた。

 

「あ、灯ちゃん」

 

 今度は明石かどったの?

 

「もう夕暮れ近いけど灯ちゃんはだいじょうぶかにゃ?」

 

 おー?・・・空が赤いですね。お二人さん。

 

「赤いです」

 

「赤いにゃ」

 

 これは俺マッマに怒られるパティーンですわ。あかんですわ。

 

「どんまいです?」

 

「がんばるにゃ灯ちゃん」

 

 ちょっと俺もう帰るわ!明日また遊ぼうな!絶対だぞ!!じゃーなー!!

 

「分かったです。だから気を付けて帰るです」

 

「じゃーにゃー灯ちゃん!」

 

 二人が手を振るのを背に俺は急いで帰路に向かう。結局家に着いたのは日が沈む直前。頑張ったぞ俺!よく間に合ったな「灯・・・今何時だと思ってるの」間に合いませんでした。/(^o^)\

 

 まぁ、そんなこんなで綾波と明石と友達になった。

 

 

 

 




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