Fate/Grand Orger in 仮面ライダーゴースト~英霊の力を纏いし、雪花の少女~   作:風人Ⅱ

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プロローグ③

 

―カルデア・中央管制室―

 

 

レフとマシュに案内され、新人マスター達へのデモストレーション(説明会)が開かれると言う中央管制室に足を踏み入れた彩人(実際は半ば強引に背中を押されて、だが)。

 

 

室内は想像していたより広く、中央には既にそれぞれに設けられた席に座って並ぶ彩人以外の47人のマスター達が揃っており、その壮観な光景に彩人も「おぉっ……」と思わず声を零して圧倒される中、彩人とレフの後に続くように管制室に入ったマシュが彩人の前に出て口を開く。

 

 

「ここが管制室です。先輩の番号は……一行台、最前列ですね。所長の真正面とは、素晴らしい悪運です」

 

 

「この場合、それは褒め言葉にはならないんじゃないかな……」

 

 

何せ自分はつい先程その所長さんに嫌われるタイプだと彼女の口から申告されたばかりだし、しかもそれがよりによって真正面から顔を突き合わせることになるとは気まずさしかない。

 

 

しかしそんな彩人の心境など他所にレフとマシュは自分達の定位置にそそくさと向かっていき、そんな二人の背中を僅かに恨めしそうに見送りながらも「仕方ないか……」と観念し、マシュに教えられた列の最前列に向かっていく。

 

 

(えぇっと、空いてる所、空いてる所……アレ、何か見つかんないな……?途中で見落としたか……?)

 

 

「―――君、もしかして最後のマスターさん?」

 

 

「……え?」

 

 

室内の照明が低いせいか、思いのほか空いた席が見つからず少しばかり焦りを覚え始めてた所を背後から誰かに声を掛けられ、振り返る。

 

 

すると其処には、見た目的に彩人と同年くらいだろうか。まだ幼さが残る顔立ちに茶色い髪、ピンク色の花柄が特に目立つ服装が特徴の少年が立つ姿があり、もしやあまりにグズグズしているものだから他のマスターが見兼ねて声を掛けてきたのだろうかと思い、彩人は申し訳なさそうに頭を掻きながら頭を下げた。

 

 

「えと、すみません、何か迷っちゃったみたいでっ。番号だと最前列らしいんですけど、どの辺かまでは暗くてちょっと分からなくて……」

 

 

「あ、いや、気にしないで。もし良かったら案内するからさ、番号教えてもらえる?」

 

 

「え、あ……はい」

 

 

少年の予想外の親切に少し驚きつつも、若干戸惑い気味に先程マシュから教えてもらった番号を告げると、「あぁ、そこか」と知ってる素振りで彩人を手招きして歩き出し、彼の後を付いていくと、証明の当たり具合によって僅かに見え辛くなっていた空いた席を少年が指差した。

 

 

「あった!多分あそこだと思うよ?」

 

 

「ああ、良かった……。ありがとうございます。すみません、わざわざっ」

 

 

「いいよお礼なんて。ほら、困った時はお互い様って言うし。俺も喚ばれて最初の頃はここの勝手が分からなくて散々迷ったことあったから、気持ちは分かるしさ」

 

 

そう言って人当たりの良さそうな笑みを浮かべる少年。そんな彼の笑みに釣られて彩人も思わず笑いをこぼすと、まだ彼に名乗ってなかった事に気付いて顔を上げる。

 

 

「そう言えばまだ名乗ってなかったですよね。俺、遠坂彩人って言います。あなたは……」

 

 

「ああ、俺はタケル。天空寺タケルって言うんだ。よろしく、彩人君」

 

 

「いえ、こちらこそ。……その、タケルさんもマスター候補として、カルデアに?」

 

 

「あ……いや、俺はマスターじゃなくて―――って、これ以上は長話は出来ないな……。もう説明会の時間だし……それに……」

 

 

「…………」

 

 

チラッと、茶髪の少年……"天空寺タケル"が恐る恐る横目で見る方には、管制室の隅で両腕を組み、苛立ちを露わに人差し指をトントントンと忙しなく動かしながら険しい顔で彩人達を睨む白に近い銀髪の女性の姿があり、そんな彼女の様子を目にしたタケルは額から冷や汗を流しつつ、申し訳なさそうに彩人に両手を合わせた。

 

 

「ごめんっ、俺もそろそろ引っ込まないと……!また後で話そう!じゃ!」

 

 

「え、あ、はい……あ、ホントにありがとうございます!助かりました!」

 

 

何処か怯えた様子で慌てて走り去っていくタケルにもう一度お礼を叫ぶと、タケルの方も走りながら振り返って手を振って応え、そのまま説明会に参列した他のカルデア局員達が並ぶ列に並んでいく。

 

 

(タケルさんもカルデアの人だったのか……俺と大して歳も変わらなそうなのに、凄いなあ……)

 

 

そんな尊敬の念を密かに内心抱きつつ、彩人もタケルに教えてもらった席に腰掛ける。

 

 

それを確認したのか、彩人達を睨んでいた女性は険しくしていた眼光を僅かに緩め、気合いを入れ直すかのように一度咳払いした後、カツカツッとヒールの音を鳴らしながら48人のマスター達の前に立ち、腰に手を当てて声を張り上げた。

 

 

「……時間通りとはいきませんでしたが、全員揃ったようですね。特務機関カルデアにようこそ。所長のオルガマリー・アムニスフィアです」

 

 

(あの人が所長か……想像していたよりずっと若いんだな……)

 

 

外見的に二十代前後ぐらいだろうか。

 

 

雰囲気的に一見高飛車でキツそうな印象だが、長く艶っぽい白っぽい銀のロングヘアーに、佇まいからして育ちの良さが伺える気品ある佇まい。

 

 

彩人の想像ではもっと高齢の規律に厳しい厳格な男性の顔を思い浮かべていたが、そんな稚拙な想像に反して現れた女性……カルデアの局長である"オルガマリー・アムニスフィア"は、目の前のマスター候補生達の顔を見渡しながら毅然とした口調で語り続ける。

 

 

「あなたたちは、各国から選抜、発見された『マスター適性』という特別な才能を持つ人間です。―――とは言え、あなたたち自身はまだ未熟な新人だと理解なさい。ここカルデアは、私の管轄です。外界での家柄、功績は重要視しません。まず覚える事は、私の指示は絶対だと言う事。私とあなたでは、立場も視座も違います。意見、反論は認めません。あなたたちは、類史を守るためだけの、道具に過ぎない事を自覚するように」

 

 

(……は?ど、道具……?)

 

 

―ザワザワザワザワッ……―

 

 

淡々とした声で説明を続けるオルガマリー。

 

 

しかしその内容は耳を疑うかのような暴力的なモノであり、話を聞いていた彩人も思わず呆気に取られて空いた口が塞がらぬ中、会場全体からもどよめぎが広がり、誰もがその顔に困惑の色を浮かべている。

 

 

だが、オルガマリーはそんな反応などお構いなしに叫ぶ。

 

 

「静粛にっ!私語を控えなさいっ!……いいですか?今日というこの日、我々カルデアは人類史において偉大な功績を残します。学問の成り立ち。主教という発明。航海技術の獲得。情報伝達技術の着目。宇宙開発の着手。そんな数多くある、『星の開拓』に退けを取らない―――いえ、すべての偉業を上回る偉業。霊長類である人の理――――即ち、"人理"を継続させ、保障すること。それが私達カルデアの、そしてあなたたちの唯一にして絶対の目的です」

 

 

(人理を継続、保障……だから"人理継続保障機関"、なのか……)

 

 

此処に来るまでその名称の意味が良く理解出来なかったが、オルガマリーの説明を聞いて漸くその意味に納得し頷く彩人。そんな彩人を他所に、オルガマリーの演説はまだまだ続いていく。

 

 

「カルデアはこれまでこの工房で、多くの成果を出してきました」

 

 

 過去を観測する"電子脳魔ラプラス"の開発。

 

 

 "地球環境モデル カルデアス"の投影。

 

 

 "近未来観測レンズ シバ"の完成。

 

 

 "英霊召喚システム フェイト"の構築。

 

 

 "電子演算機 トリスメギストス"の起動

 

 

「―――これらの技術を下に、カルデアは百年先までの人類史を観測してきました。頭上を見なさい……コレがカルデアが誇る最大の功績―――高度の魔術理論によって作られた地球環境モデル、わ・た・しの、カルデアスです」

 

 

そう言いながら頭上を指さし、何処か勝ち誇るようなドヤ顔を見せるオルガマリーの指先を追い、マスター達の視線が一斉に上に向けられていく。其処には……

 

 

 

 

 

―ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ…………―

 

 

 

 

 

「……なんだ……アレ……」

 

 

 

 

 

呼吸を忘れ、呆然とした声が思わず口からこぼれ出る。

 

 

だが、その反応も無理もない。

 

 

彩人が目にしたのは、複数の巨大なリング状のパーツに囲まれ、その中央に収められる形で浮かぶ巨大な『天体』らしき物体……。

 

 

一見直径6メートルぐらいの大きな地球儀にも見えるが、それにしては見た目がリアル過ぎる。

 

 

よく出来た立体ビジョンにしては星の輝きが作り物臭くなく、まるで呼吸をしているかのように脈を打っている感覚がこちらにまで伝わってくる。

 

 

一言で表せば、生々しいのだ。

 

 

まるで本物の地球が小型化され、すぐ目前にあると錯覚してしまいそうなほどリアルなソレを見て一同が言葉を失う中、そんな彩人達の反応に気を良くしたオルガマリーが得意げに再び口を開く。

 

 

「コレは惑星に魂があると定義し、その魂を複写して作られた、"極小の地球"です。我々とは異なる位相にある為、人間の知覚・知識では細かな状況は読み取れません。ですが表層にあるもの……大陸に見られる都市の光だけは専用の観測レンズ、シバによって読み取れます。このカルデアスは、『未来の地球と同義』なのです」

 

 

(!それじゃ今俺が見ているアレは、未来の地球の姿……って事になるのか……?)

 

 

それが本当なら、確かに所長の言う通り、これは今までの人類史に在ったどの偉業をも超える世紀の発明と言っても過言じゃないだろう。

 

 

何せこれにより、人類が長年夢見た「未来を視る」という幻想を形にして実現したことになる。

 

 

そんなフィクションの中でしか見たことのない夢の装置を実際に目の当たりにし、感動の念すら覚えてカルデアスを見上げる彩人だが、今まで得意げにカルデアスについて話していたオルガマリーの表情に、不意に曇りが差した。

 

 

「カルデアスに文明の光が灯っている限り、人類史は百年先の未来まで約束されています。だって光がある限り、都市には人間が暮らし、文明が継続されている事を証明しているのですから。ですが―――レフ、レンズの偏光角度を正常に戻して」

 

 

管制室内にある機器の前に待機していたレフにオルガマリーがそう指示すると、レフはオルガマリーの指示通りに黙々と機器を操作する。

 

 

次の瞬間、今まで美しい青の輝きを放っていたカルデアスから徐々に光が消え失せていき、やがて光が一切失われた黒い星へと変色してしまった。

 

 

「―――現状は見ての通りです。半年前からカルデアスは変色し、未来の観測は困難になりました。今まで観測の寄る辺になっていた文明の明かり、その大部分が不可視状態になってしまったのです……観測の結果、地球に人類の明かりが確認出来るのは、今から一年後まで。つまり人類はあと一年を持って、絶滅する事が観測――――いえ……"証明"されてしまったのよ」

 

 

(な……)

 

 

重々しい口調と共にオルガマリーの口から告げられたのは、あまりに衝撃的で、突拍子もない話。

 

 

人類が、残りあと一年で絶滅する未来が訪れる……。

 

 

突然宣告されたそんなあまりにスケールの大き過ぎる話に、彩人はいよいよ思考の容量がパンク気味になる程の衝撃を受けて愕然とするも、そんな素人の彩人と違って専門の知識を有する周りの候補生達が再びざわめきながらも聞き慣れない単語で意見を交わす会話が耳に届くが、それらを黙らせるかのように、オルガマリーが声の声量を強めて話を続けていく。

 

 

「言うまでもなく、ある日突然人類史が途絶えるなんて有り得ません。私たちはこの半年間、この異常現象……未来消失の原因を究明しました。現在に理由がないのなら、その理由は過去にある。我々はラプラスとトリスメギストスを用い、過去2000年まで情報を洗い出し、今までの歴史になかったもの、今までの地球に存在しなかった異物を発見する試みです。その結果、遂に我々は新たな異変を観測しました……それがここ―――」

 

 

オルガマリーの説明と共に、黒く変色したカルデアスの偏光が修正されて先程の青い姿へと戻り、日本のある地方の座標が表示されていく。

 

 

だが、その場所は……

 

 

「空間特異点F。西暦2004年、日本のある地方都市です」

 

 

(……アレ……ちょっと待てよ……此処ってもしかしなくても、冬木市……じゃないか……?)

 

 

そう。カルデアスに表示されたの見間違う筈もない、彩人も見覚えのある地方地図……。

 

 

両親の故郷であり、桜や大河が住む自分にとっても慣れ親しんだ町……紛れもない、冬木市の座標だったのだ。

 

 

そんな町に、一年後に地球上の人類が滅亡するきっかけとなる存在がある。

 

 

一体どういうことか……と、最早困惑が極まる彩人が目を剥いてカルデアスに映し出される地図を見つめる中、オルガマリーは冬木市の地図を指して説明を続ける。

 

 

「ここに、2015年までの歴史に存在しなかった観測出来ない領域が発見されたのです。カルデアはこれを、人類絶滅の原因と仮定し、霊子転移……レイシフト実験を国連に提案、承認されました」

 

 

(……レイシフト?)

 

 

「レイシフトとは、人間を霊子化させて過去に送り込み、事象に介入する行為です。……端的に言えば過去への時間旅行ですが、これは誰にでも出来ることではありません。優れた魔術回路を持ち、マスター適性のある人間にしか出来ない旅路です」

 

 

(……魔術回路……)

 

 

その単語は確か、一週間前にスタッフや、先程レフからも聞かされた言葉だ。

 

 

それが何かは未だ分からないが、確かレフの話では、自分はその魔術回路とやらを持たないという話を聞かされてるのだが……

 

 

(……それが実験に必要なのだとしたら、何であの人は回路を持たないっていう俺をそんな重要そうな実験に……?可能性があるからって話だったけど、本当にそれだけで……?)

 

 

「これより一時間後、初のレイシフト実験を行います。第一段階として、成績上位者8名をAチームとし、特異点Fに送り込みます。Bチーム以下は、彼等の状況をモニターし、第二実験以降の出番に備えなさい」

 

 

―ザワザワザワザワッ……―

 

 

此処に来て、魔術回路を持たない自分を招いた本人であるレフへの疑問を抱き始める彩人を他所に、オルガマリーがミッションの内容を伝えつつ準備を促す。

 

 

……だが、他の候補生達は今までのオルガマリーの話に対して未だ動揺、或いは彼女の高慢的な態度から疑いを露わにざわめき、オルガマリーも何時までも動き出そうとしない彼らに痺れを切らして手を叩き、声を荒げた。

 

 

「ちょっとっ、何をしているのっ!?やるべき事は説明したでしょっ?!それとも、まだ質問でもあるのっ?ほら、其処のキミ――」

 

 

「…………えっ?あ、俺……ですか?」

 

 

「キミよ、遅刻したキミ!……特別に質問を許してあげます。首を傾げているけど、何が不満なのっ?」

 

 

「あ、いや、そのっ……」

 

 

マズい。まさか他に考え事をしていて話を聞いてなかったなどと知られれば、何を言われるか。

 

 

傍から見てもいつ癇癪を起こしても不思議ではないイライラオーラを露わにする目の前のオルガマリーに対し、彩人はだらだらと冷や汗を流しながらも取りあえず席から立つと、一先ず先程の話と自分が有するSF的な疑問を織り交ぜて疑問を投げ掛ける。

 

 

「ええっと……そもそも、タイムスリップなんて可能なんですか……?それに過去を改変したりして、問題は―――?」

 

 

急場しのぎの質問だが、わりと自分にとっても大事な疑問を含めた質問だ。

 

 

所詮は作り物の話ではあるも、過去を改変した際に起こるタイムパラドックス的な話は良く耳にするし、特に今回の場合は過去の冬木市に介入するとあって、自分にとっても他人事で済ませられる話じゃない。

 

 

あの年には自分の両親も冬木にいたと言う話を聞かされていたし、改変した結果、自分の身の周りが何か変わる可能性もあるのでは?という素朴な疑問なのだが、質問を受けたオルガマリーは一瞬ピクッと片眉を揺らし、直後に落胆した様子で溜め息を吐いた。

 

 

「あなたね……"特異点"、と聞いて分からないのっ?」

 

 

「?……すみません、全然分かりません。そもそも、特異点ってなんですか?」

 

 

「……頭が痛いわ……こんな初歩な時空論も知らない人間を寄越すなんて、協会は何を考えてるのかしらっ……キミは何処のチーム?ちょっと、ID見せてっ」

 

 

「……?はい……」

 

 

言われるがまま、ポケットからIDカードを取り出してオルガマリーに手渡す。

 

 

オルガマリーも受け取った彩人のIDカードを流し目で確認していくが、次第にその顔がみるみると険しくなっていく。

 

 

「なにこれ……配属が違うじゃない!一般協力者で、しかも実戦経験も仮想訓練も、魔術回路も無しっ?!レフ!レフ・ライノールっ!!」

 

 

「ここにいますよ所長。どうしました、何か問題でも?」

 

 

「問題だらけよいつもっ!いいからこの新人を1秒でも早く叩き出してっ!最低限の条件さえもクリア出来てないど素人を投入するなんてっ、私のカルデアを馬鹿にしてるにも程があるわっ!」

 

 

「あー……そういうコトですか……ですが所長、彼にもマスター適性は確かに検出されてるんです。魔術回路に関しても、どうやら彼は特異体質なようなだけで素養自体はある。カルデアの医療機器で詳しく調べれば、外部から回路を生成する事も―――」

 

 

「そんな悠長な時間なんてある訳ないでしょっ!何の経験も、しかも最低限の魔術回路さえ持たない素人なんか投入して私のカルデアスに何かあったらどうするのっ!?いいからロマニにでも預けてきて!アイツの治療でもダメなら必要ないっ、さっさとカルデアから放り出しなさいっ!此処は託児所じゃないんだからっ!」

 

 

そう言って一通り捲し立てるように怒鳴り散らしたオルガマリーは最後に彩人を険しい眼光で睨み付けた後、「ふんっ……!」と不機嫌を露わに踵を返し、他のマスター候補生達へのミッションの説明を再開していく。

 

 

「むう……これは完全に嫌われたものだね……仕方ない、取りあえず命令には従うか。マシュ、彩人君を個室に案内してくれ」

 

 

「了解です。お話は聞いていました。先輩を個室までご案内すればいいのですね?」

 

 

「助かるよ。私はレイシフトの準備があって同行出来ないんだ。……すまないね、彩人君」

 

 

「いえ、俺の方こそ、なんか怒らせちゃったみたいでスミマセン……。ありがとうございます」

 

 

「なに、礼には及ばないさ。

 

 

 

―――君は本当に運が良いからね」

 

 

「……え……?」

 

 

申し訳なさそうに頭を掻いて礼を告げる彩人の脇を通り過ぎる際、レフがボソッと口にした意味深な言葉……。

 

 

其処に何か言い知れぬモノを直感で感じ、思わず振り返りレフの姿を目で追うも、レフは何事もなかったかのように他のスタッフとレイシフトの準備の進めながら自分の仕事に戻っていた。

 

 

(……気のせい、か……?いやでも、何だろう……今、妙な寒気が背筋を走ったような―――)

 

 

「―――先輩……先輩?聞こえてますか?」

 

 

「……っ!あ、あぁ、マシュ?ごめん、何っ?」

 

 

「いえ、そろそろ先輩の先輩ルームにご案内しようかと思いまして……どうかしましたか?」

 

 

「あー……や、なんでもないよ。多分気のせいだ」

 

 

恐らく聞き慣れない魔術の話に加えて、立て続けに衝撃的な話を聞かされ続けたものだから変に感覚が麻痺してるのかもしれない。

 

 

我ながら免疫ないなぁ……などとそんな自分に対して苦笑しつつも、取りあえずこれ以上オルガマリーを怒らせないようにマシュの案内に従おうと、オルガマリー達を残し管制室を後にしていくのであった。

 

 

 

 

 


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