Fate/Grand Orger in 仮面ライダーゴースト~英霊の力を纏いし、雪花の少女~   作:風人Ⅱ

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幕間の物語/英雄の魂を繋ぐ者

 

―???―

 

 

「───ぅ…………っ…………あ、れ…………?」

 

 

辺り一面、白い輝きに包まれた謎の空間。

 

 

何処を見渡しても何もなく、果ても見えぬそんな白い空間の中心にて、何故か力無く地面に倒れ気を失っていた一人の少女……彩人と共にカルデアスの光りに呑み込まれた筈のマシュが重い瞼を開き、目を覚ます姿があった。

 

 

「…………?ここ、は…………え?何処ですか、此処っ…………?」

 

 

意識が覚醒したばかりの為にボーッとしていたマシュだが、次第に頭が冴えてきた共に目の前に広がる見知らぬ謎の空間を目の当たりにして唖然となり、混乱が収まらないまま周囲を忙しなく見渡していく。

 

 

「ど、どうして私、こんな所に……?確か、さっきまでカルデアにいて、「特異点F」へのレイシフトの実験を開始しようと、して―――」

 

 

何故自分がこんな場所にいるのか。此処に至るまでのその経緯を思い出そうとし、今までの記憶を掘り起こしていく内に、マシュの顔色が変化していく。

 

 

 

──レイシフトを開始しようとした直後に起こった、謎の爆発。

 

 

炎に包まれ、燃え盛るカルデアと、一点の曇りもなく赤色に染まったカルデアス。

 

 

崩落した瓦礫に潰された自分の下半身と、そんな自分を見捨てようともせず駆け付けて一緒に閉じ込められ、炎の中、優しく手を握り、傍にいてくれた一人の少年の───。

 

 

「──そう、だ……わたし……私……!先輩……!何処ですか、先輩っ!」

 

 

自分の身に起きた出来事を全て思い出し、マシュは慌てて立ち上がりながら周囲に向けて、大声で自分の傍にいてくれた筈の少年を探していく。

 

 

しかし、その思い出した記憶が確かなら少女は立ち上がれず、そもそもからして生きていられる身体ではない筈なのだが、そんな疑問を抱くよりも先によほど彼の安否の方が大事なのか、マシュは少年の姿を探して今にもその場から走り出そうとした、その時……

 

 

「───マシュ、キリエライトさん……だよね?」

 

 

「……?!えっ……?」

 

 

不意に、背後から自分の名を呼ぶ謎の声に呼び止められた。

 

 

その声を耳にしたマシュは思わず足を止め、反射的に振り返ると、其処には一人の人物……まだ幼さが残る顔立ちに茶色い髪、ピンク色の花柄が特に目立つ服装が特徴の少年が佇む姿があり、マシュは突然現れたその少年を前に驚き思わず後退りしてしまう。

 

 

「あ、貴方はっ……?」

 

 

「あっ、怪しい者じゃないんだ、驚かせてごめんっ……俺は天空寺タケル。仮面ライダーゴーストとして、カルデアに召喚されたサーヴァントの一人なんだ」

 

 

「え……サーヴァント、なんですか……?貴方が……?」

 

 

茶髪の少年……タケルと名乗った彼の姿を見て意外そうに目を見開くマシュだが、その反応も当然だった。

 

 

何せ目の前の少年はとてもマシュが知る英雄像とは程遠い出で立ちをしており、何より、「天空寺タケル」とも、「仮面ライダーゴースト」などという英雄の名にも心当たりはない。

 

 

それ故にマシュは半信半疑に目の前のタケルの姿を頭から爪先まで眺め、タケルの方もそんなマシュの反応から彼女が疑っている事を悟ったのか、困ったように頭を掻きながら苦笑いを浮かべた。

 

 

「ま、まぁ、信じられないのも無理はないよね……。俺も正直、最初はムサシさん達みたいに英雄として呼ばれるのは違和感があったけど、でも、人理焼却の事を知って、俺にも何か出来る事があるんじゃないかと思って、このカルデアで戦う事を決めたんだけど……まさか、呼ばれて早々、いきなりあんな事になるだなんて……」

 

 

「あんな…………ッ!あ、あの、タケルさんはカルデアがどうなったか、何かご存知ですか?!他の皆さんやスタッフ、先輩は……!」

 

 

「……ごめん。俺もあの爆発に巻き込まれて、瀕死の重傷を負ってしまったんだ……。君だけはカルデアスのレイシフトに呑み込まれた瞬間、最後の力を振り絞ってどうにか手を掴めたけど、それからの事は良く分からない……ただ、最後に見た光景から察するに、多分……あの状況じゃ他に生存者は……」

 

 

「そ、そんな……」

 

 

沈痛な表情で俯き、辛そうに語るタケルから他に生存者がいる可能性は限りなく少ないかもしれないと聞かされ、脳裏に過ぎった少年の顔を思い起こし膝から崩れ落ちるマシュ。

 

 

タケルの方もそんなマシュの姿を複雑げに見つめるも、やがてその表情が真剣なものに変わり、力強さを秘めた声音で口を開く。

 

 

「でも、もしかしたらまだ、希望はあるかもしれない。……この人が、最後に遺した言葉が本当なら」

 

 

「……へ?」

 

 

タケルのその言葉を耳に、マシュが顔を上げて思わず間の抜けたような声でそう聞き返すと、タケルは懐から、まるで眼球をモチーフにしたかのような謎のアイテム……薄紫色の眼球を取り出し、マシュに差し出した。

 

 

「これは……?」

 

 

「俺と同じように、カルデアに召喚されたサーヴァントの一人……そして俺に、自分の力と宝具を君へ与える手伝いをして欲しいと頼んで消えていった、英雄の力が込められた眼魂だよ」

 

 

「英雄の力が、込められた……眼魂(アイコン)……?」

 

 

眼魂という聞き慣れない名に頭上に疑問符を浮かべるマシュ。タケルはそんな彼女の手を取って立ち上がらせると、マシュの目を見つめて重苦しく語り出す。

 

 

「マシュ……君自身、もう察しが付いてるかもしれないけど……君はあの炎の中で、助からない重傷を負い、死んでしまった……それはもう、自分でも分かってるよね?」

 

 

「……それ、は……」

 

 

タケルの口から薄々気付いていた事実を聞かされ、マシュの表情が暗く沈む。

 

 

やはり自分も助からず、他の皆のように死んでいた。

 

 

だとすれば、あの人も……。

 

 

その重い事実を突き付けられ、酷く落ち込むマシュだが、タケルはそんな彼女の絶望を振り払うかのように首を横に振った。

 

 

「でも、希望はまだ消えてはいなかったみたいなんだ。この眼魂の英雄……彼の話じゃ、どうやらあの炎の中で発生したレイシフトは辛うじて成功して、君と、君と一緒にいた少年はソレに巻き込まれ、本来俺達が跳ぶハズだった「特異点F」に向かってる最中にあるらしいんだ」

 

 

「え……それって……じゃあ先輩は、今も無事って事ですかっ?!」

 

 

「うん。彼の話じゃそうらしいよ」

 

 

「あ……ああっ……良かったっ……本当にっ……!」

 

 

彼が無事でいる。それが聞けただけで心が救われ、胸に手を当てて心の底から安堵するマシュ。

 

 

そしてタケルもそんなマシュの姿を見つめながら微笑しつつ、掌の上の眼魂を見下ろす。

 

 

「そして君の事も、この英霊が消滅の間際に力を与えた事で、蘇生させる事が出来た……つまり今の君は、まだ不完全ではあるけれど、半分サーヴァントとして生き返った事になるらしい」

 

 

「え……サ、サーヴァント?私が……ですか?」

 

 

自分がサーヴァントとして蘇った。とてもにわかには信じられないような衝撃的な事実をいきなり口にされ、戸惑いを露わに自分の手を見下ろすマシュだが、その時、彼女の脳裏にあるワード……人間と英霊の融合体、「デミ・サーヴァント」に関する知識が過ぎった。

 

 

「デミ・サーヴァント……まさか、私が……?」

 

 

「うん……でも今言ったように、君はまだ完全にはサーヴァントにはなっていない。その原因は恐らく、君に力を託した彼が、君を助ける際には消滅間際で不完全な形でしか力を渡せなかったせいだと思う……だから俺は、その後押しをする為に、君にこうして力を託しに来たんだ」

 

 

「……え?それって……」

 

 

一体どういう意味かと、タケルにそう問い掛けようとしたマシュだが、タケルは何も言わぬままマシュから一歩後退り、突然両手を使って印のようなものを結び出したと思えば、宙に巨大な目のような紋章が浮かび、直後、マシュの腰にバックル右部にレバーが備え付けられたベルトのようなツールが出現した。

 

 

「ッ?!わ、わっ……?!な、何ですかコレっ?!」

 

 

「あまり時間はないから、手短に説明するよ?それはゴーストドライバーと言って、この眼魂に残された彼の力の半身……君に力を託した英霊の力を完全に同調させる為のベルトって思ってくれればいい。そしてそのベルトを使えば、彼と俺の力が合わさり、君はデミ・サーヴァントでもあり、仮面ライダーでもある存在……そうだな……あ、ライダー少女として戦う事が出来る筈だ!」

 

 

「……あの……今ライダー少女の部分、思い付きで命名してませんでしたか……?」

 

 

「あ、あはははっ……ま、まぁ細かい事はこの際無しで……!とにかく、これで君はサーヴァントの力を正しく使えるようになれる筈だけど、でも、この先に待ち受けるのは、あの悲惨な現場よりも恐ろしい敵達との戦いだ……マシュ……君は、それでも行く……?」

 

 

「……私は……」

 

 

マシュの覚悟を試す問い。

 

 

確かに、この先に待ち受けるのはきっと、あの炎に包まれた地獄よりも恐ろしい苦難の数々に違いない。

 

 

そんな苦難の中へ、自分はサーヴァントとして戦う事になるかもしれないのだ。

 

 

しかし……しかし……。

 

 

あの炎の中、最期の瞬間に優しく手を握り締めてくれた彼の顔を思い起こすと、何故か不思議と胸の内から力が湧き上がる。

 

 

この気持ちが、一体何なのかは理解出来ない。

 

 

だが、彼がまだ生きて、傍にいてくれるのなら、きっと──。

 

 

「……タケルさん。私は───」

 

 

 

 

 

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