afterglowの不思議ちゃん
作者の初の星三で
人気が高いぜモカちゃんは
青葉モカを端的に説明しようとすると、謎多き食欲魔人だ。
どこか掴みどころが無く、おっとりしている。そして何よりも大食いキャラなのである。食に対する一種の執念を感じるレベルである。つまり何が言いたいのかと言うと、
「ふっふっふ~。今日はステーキの気分~。モカちゃん楽しみ~。」
気に入った飲食店を見つけ次第
モカが向こう側が見えないドアを押すと、入口のベルが心地よい音色を奏でる。次に足音が一定のリズムを踏み、止まる。モカの前に姿を表した青年はニッコリと微笑み、
「いらっしゃいませ、モカさん。」
いつも通りの挨拶を聞き満足したのか彼女はにへらと顔を変え、
「やっほ~、店長さん。今日も相変わらずガラガラですな~。」
「モカさん、ガラガラなのはこの時間帯にやってくるお客さんが殆ど居ないからですよ...」
そう言って彼は親指で彼の後ろにある壁に設置されている鳩時計を指差した。針は5時を少し回ったぐらいだ。お互いのルーティーンとなっている会話をしながら、モカはカウンター席の角に腰掛け、店長は向かい側の調理場へ移動した。
「さて、本日のメニューはどうしますか?」
モカは顎に手を当て考える仕草を一瞬し、
「モカちゃん今日はね~ステーキを沢山食べるって決めてるんだ~。熟成サーロインステーキ2ポンドで~。」
「かしこまりました。焼き加減はどうします?」
「う~ん、店長さんにおまかせで~。」
「かしこまりました。」
店長は事前に冷蔵庫から取り出しておいた牛肉の塊をまな板に乗せ、ミートテンダーという剣山みたいなもので牛肉にブスブス刺していく。肉が充分柔らかくなったら全体に軽くペッパーミルでガリガリガリ。牛脂を溶かしたフライパンに肉を乗せ火をかける。
「今日はAfterglowの皆さんは個別行動してるんですか?」
「そ~なんだよね。蘭は家で華道でしょ~、ともちんはあこちんと一緒にお散歩で~、つぐはツグってて~、ひーちゃんは...う~ん、何してるかわかんないや~」
「あらら、天下の大将軍モカさんに分からないことがあるなんて珍しいじゃないですか。今日は雪でも降るんですか?」
「え~モカちゃんは神さまじゃないので分からないことばっかりですよ~」
「でもひまりさんは...ホントに何してるのかさっぱりわからないですね...よしっと。お待たせしました、2ポンドサーロインステーキです。」
彼女の前に巨大な肉の塊がフライパンの上に乗せられたまま出される。
「待ってました~。」
彼女がステーキにナイフを入れると、肉の塊の中に留まり続けていた旨味の汁が出口を見つけ、まるで滝のように溢れ出した。
「やっぱり迫力あるね~。それじゃ早速~...ッ!」
一口サイズに切られた肉は輝き、口の中に入れると肉本来の旨みとシンプルながら生きる塩胡椒との調和。噛めば噛むほど先程溢れ出した筈の肉汁がさらに溢れ出し、無意識の内にステーキを切って口の中に入れる動作が止まらなくなる。いつもはどこか掴めない表情を浮かべるモカでさえも、このステーキの前では味に全神経を集中させるため、表情が固まりただ無言で食べ続けるのだ。そして突然手が止まった。フライパンは空になっていたのだ。
「店長さん...この超絶美少女モカちゃんに永久就職するつもりあったりする~?即採用案件だよ~?」
「ブラックな胃袋に対してタダ働きは真っ平御免です。これからもちゃんとお客さんとして来てください...」
掴みどころがない少女は胃袋を掴め。
この店、店長さんしか働いておりません。店長曰くうまい飯を作るには人材費削減がうんたらかんたらだそうで...過労で倒れて看病イベントできそうですね。結構思いつきって大切。