人は有史以来 平等で有った事は1度もない、これは姉の親友が言っていた言葉だ
確かに平等ではないのだろう、俺の物心つく前に両親は亡くなり唯一の肉親は姉だけだった
だから俺は両親の顔を写真でしか知らないし、両親の事は姉と俺達 姉弟の里親をしてくれた人からしか聞いた事しかない
まだ俺は、俺達は恵まれている方なのだろう、と思う
だから、どんな困難も乗り越える事が出来る筈だ
例え、朝起きたら自分の性別が変わっていたとしても・・・
「・・・夢であって欲しい」
そう思いつつ自分の頬をつねってみると、痛みを感じる
つまり俺が女になっているのは、信じたくないが夢ではなく現実という事だ
寝起きで頭が回らなかったのと衝撃的過ぎて思考が停止していたが、徐々に現実を受け入れる事を決め頭を抱える
「なんでだ?昨日の夜・・・寝る前までは男だったのに」
明らかに昨夜から一晩で伸びた黒髪、そして存在しない筈の胸と消失してしまった相棒
一晩の内に全てが変わった訳だ
普通ならあり得ない事が起こっている、訳が分からない
混乱しながら、ふとデジタル時計を見ると時刻は午前9時を示していた
不幸中の幸いというのか、今は春休み中で相談するには非常識では無い時間だ
「よし、とりあえず相談だ、そうしよう」
何度も言うが、俺は今混乱していてマトモに考えられる状態に無い、なら頼れる大人を頼るしかない
と、考えて自室から頼れる大人が居るであろうリビングへ向かおうとした瞬間、我が家では聞いた事のない声が聞こえ乱暴にドアが開く音が聞こえてドタドタて階段を降りていく音が聞こえた
「千冬姉ではないな、間違いなく千冬姉じゃない。自分の姉の声ぐらい分かる」
自分でも不思議だが、さっきの声を聞いて逆に冷静になった気がしたのでズリ下がる寝巻きのズボンを掴んで落ちない様にしながら自室を出て階段を下りリビングに入る
そこには青みがかった髪をした美少女が立っていてキッチンには俺達の育ての親、
「どどどどうしよう父さん、女になってる。どうしよう」
青髮の娘は焦っている様子で獅郎さんに尋ねていて、獅郎さんは自分の頬をパシンと軽く叩き気合いを入れ
「大丈夫だ
そう言い、青髪の娘 改め涼の頭を撫でて、俺の頭のも撫でる
「え?一夏?うわっっ一夏も女になってる・・・千冬さんに似てるな」
獅郎さんの言葉に涼が振り返って俺を見て感想を言う
「そうか?えーっと・・・それで、何で俺って分かったの?獅郎さん」
涼には悪いが気になったので獅郎さんに尋ねると
「ははっ当たり前だろ、お前達は俺の家族だ。姿形が変わっても分かるさ、それが親って奴だ」
そう言い獅郎さんはニッとカッコ良く笑う
その言葉が胸を打ち無意識に涙が溢れてきてしまった、自覚していなかっただけで不安だったのだろうと思う
だが獅郎さんの言葉で少し心が軽くなった気がした
「大丈夫だ一夏、俺も同じだし、何より俺達は家族だ。辛い事も悲しい事も楽しい事も全て分け合ってきただろ?だからこれからもそうだ」
そう言って涼は俺を抱き締めて落ち着かせてくれた、が・・・こう言っては何だが涼は自分が美少女になっている事を自覚するべきだと思う
中身は涼と分かっていても、見た目は美少女だから何から変な感じがして落ち着かない
とりあえず数分で涼が離れてくれたので獅郎さんを見ると
「落ち着いたな?さぁ腹が減っては戦も出来ないって訳で朝飯作るから顔を洗ってきたらどうだ?ついでに鏡で確認してくるといい」
獅郎さんの言葉に頷き2人で洗面所へ向かって割と広いので並んで歯を磨きながら鏡で確認する
鏡に映る自分の姿は、姉妹と言って差し支えが無い程に姉にソックリだった
違いは目の色と髪の長さ、姉より大分控えめな胸、と言った所か?
まぁアルバムの中でしか知らない実母の方に近いとも思える
「俺、母さん似だって良く父さんが言うけど今なら分かるわ」
そう涼は口をゆすいでから呟く
確かに涼は母親似だったが、今は余計に母親の面影を感じる
「でも
「確かに母さん、髪は腰ぐらいまであったな」
そう言い涼は肩に掛かるぐらいの自分の髪を摘む様に弄り懐かしむ様に笑む
その表情があまりに綺麗で思わずドキッとしてしまったが、直ぐに思い直す
目の前の美少女は美少女の皮を被った涼、義兄弟であり親友であり悪友の幼馴染、藤村 涼だ
だから変な気を起こしたらダメだ、男に戻れるかも分からない状況だから特に気をつけないといけない
感想等、お待ちしています
私自身、初めての試みで手探りなので