嘘偽りの月に刻んだ刻印を   作:菫の花

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002.巡り会う星と月

パーカーとしショートパンツ、そして白の帽子。何ともシンプルで動きやすい格好をした少女はピンクブラウンの髪をなびかせ足早にプレイヤーズゲートへと向かう。

 

取り出したライセンスを機会に押し当て、開いた改札口を通り

 

ずんずんと迷いも無い足取りで真っ直ぐに進んで行くと、辺りには歓声が響き出す。

 

 

光が微かに通る通路を抜けた先にはそこら中が熱気に包まれうるさいほどの声が耳を通して頭の奥へとじんじん響く。

 

 

 

「まに、合った…」

 

 

小さく息を吐き、額に薄らと浮かんだ汗を拭った少女は目の前のフィールド一瞥すると

 

ゆっくりとした足取りで小さな階段を降りていきすぐにぴたっと足を止めた。

 

 

 

「隣、よろしいですか?」

 

 

 

にっこりと、先程までとは違った柔く誰が見ても安心するだろう笑みを浮かべた少女。

 

 

その蜂蜜色の瞳に映っているのは綺麗な青髪を持つ少年だった。

 

丁度、少年の隣は空いている為に座ってもいいか確認を取っているのだろう。

 

 

だが、しかし…そうなると不思議と疑問が浮かんでくる。

 

 

少年の元まで来る前にも空いている席はいくつもあった。その筈なのに少女は少年を目に映すと一直線に彼の元へと寄って行ったのだ。

つらなった椅子に座る少年は少し驚いた様子で彼女を見上げ、そして何かに気づいたのか小さく反応を見せると、周りには気付かれない程度だが、何処か怪しげに笑った。

 

 

 

「構いませんよ、どうぞ」

「ありがとうございます!」

 

 

少女はそんな少年の笑みに気付かないふりをして、パァっと輝かしい笑顔を見せると失礼しますね、と一言伝え彼の隣へ腰を下ろす。

 

 

同時に先日、発表されたばかりのイナズマジャパンで監督を務める趙金雲(ちょうきんうん)

 

背中の後ろで腕を組み呑気に中央の舞台へと歩いて行くと、中央に設置された赤いボタンに手を伸ばし、ポチッと自身で効果音を発しながら押す。

 

 

何も撮されていなかった大きなモニターに、次々と黒いシルエットが映し出され、FWから順に日本代表が発表さへていく。

 

 

 

『MF 一星(いちほし)(みつる)

 

『DF 月詠(つきよみ)優衣(ゆい)

 

 

 

そして、その中には二人の姿も映し出されていた。

 

 

結果を見て少女は安心した様に胸を撫で下ろし、隣の少年は嬉しそうに目を見開いて笑う。

 

が、それも一瞬のうち…少年、一星充と少女、月詠優衣は互いに鋭い目付きを合わせる。

 

 

「ひとまず安心って所ね。良かったね、一星」

「そっちこそ。これで目的が果たせる…裏切るなよ」

「はっ、私が裏切ると?そんなわけ、あんたこそ裏切らないでよ?」

 

 

ニヤッと不気味な笑みを浮かべ暫く目線を合わせた二人。

 

何処か不穏な空気が漂い始めるが、すぐに元の表情に戻ると椅子から立ち上がり、その場を後にした…

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