次第に辺りの景色は変わっていき、綺麗な湖畔や沢山の緑を生やした木々…その上には変わらないはずなのだがいつもより一段と美しく見える青く澄み渡った空。
小さな雲や大きな雲、綿菓子の様な白くふわふわとした様々な形の雲が浮かび、照りつける太陽が更に他のものを栄えさせる。
そんな中、ぽつんと一つ、でも堂々と青い大きな富士山が視界いっぱいに広がった。
ビルや一軒家がある中心部の方では見られない余りの絶景に選手達は言葉を無くしたのか話を止め、窓の外を恍惚とした様子でじっと見つめている。
暫くして停車したバスの扉が開き、順番にゆっくりと選手達は降りてゆく。
流石、山の麓という所か…
空気が澄んだように綺麗で、息をするのでさえ楽しくなってしまいそうな程だ。
腕を大きくめいっぱいに広げて気持ちよさそうに息をする者がチラホラと伺える。少々冷たい空気が腹の底へ染み渡るのを感じているのだろう。
「わぁ、綺麗…晴れてて天気がいいから富士山も見えやすいし、空気も美味しい。
河口湖スポーツセンターか、良いところだなぁ!あっ、今の内に写真撮っておこ!」
バスを降りた優衣は瞬時に顔色を変え、楽しげな様子でハッとすると、ポケットを探りイヤホンの刺されたスマホを両手に写真を撮る。
パシャッ、パシャッと何回かシャッター音が響く中で一人、上がったテンションを必死に抑えつつ辺りを見回し目に付いた場所を片っ端から撮っていく。それでも画面に映る取られた写真はとても綺麗で、写真コンテストなどに出されても違和感がないくらいだ。
ふと、その画面に一星に話しかける如何にも純粋そうな黒髪の少年が映り優衣はスマホを持っていた手を下ろし、スっと目を細めると二人その様子をじっと見つめた。
会話は聞こえてはいないが、馴れ合いをしているのはすぐに分かる。
話していた一星は勿論、もう一人の少年やその後ろにいる少年達も穏やかな顔で笑っているからだ。
「以外…結構演技上手なんだ。あ、でもやっぱりちょっと不自然」
視線の先で穏やかに笑う彼を見つめポツリと漏れ出た声…
途端、バチッと優衣と一星の目線が交わり話しかけていた少年、
ハッとした様子でぴくっと小さく気付かれない程度に肩を揺らした優衣は慌ててペコッと小さく頭を下げる。
そして、何事も無かったかの様に辺りを見回すとスマホを掲げ、すぐに写真を撮ることに熱中し始めた。
「色々めんどくさいしあんま関わられないようにしよ…」
未だにこちらへ目を向ける彼らの視線を背中に感じつつ優衣は無表情のまま、ぽつりと呟いた。
(………)
(どうしたんだ、一星?えっと、確かあの子は…)
(いえ、何もありません!
ただ…彼女も外国から来たらしいので僕と同じだなって興味があるんです!)
(そうなんだな、俺も興味ある!後で一緒に話しかけてみないか?)
(いいんですか?ぜひ!)