俺は妹しか愛せない   作:俺がいる最高

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とにかく花園紅蓮は妹しか愛せない

「兄さん朝ですよ。起きて下さい」

 そんな声が聞こえて目を開けると、俺の目の前に愛しの有紗が立っていた。

 有紗というのは今年16になる俺の妹で、さらさらな黒髪のセミロングで前髪の一部分を三つ編みにして後ろでとめ、真っ白な肌が印象的な、文句のつけようのない美少女だ。

それに制服の上にエプロンを着ているのでなんか…うん。興奮するな。

「ん……おはよう有紗」

 頭がぼんやりしたまま俺が挨拶すると、有紗はくすっと笑って、

「おはようございます。まだ眠そうですね、顔を洗ってきて下さい。朝ご飯は出来てますから」

 と優しい口調で話しかけてくる。透き通ったその声は俺の心を温めてくれる。

「分かった。いつもありがとな」

 俺が答え、

「いえいえ、これが私の仕事ですから」

 有紗は優しくて微笑んでから部屋を出て行く。

 あの日から当たり前のようになった光景だけど、永遠に続けばいいと俺は思ってる。

 幸せを噛み締めつつ、一刻も早く妹の作ってくれた朝食を食べるべく部屋を出て、洗面所で顔を洗って食卓へ。

「さ、兄さん、召し上がれ」

 先に食卓に着き待っていた有紗が笑顔で言った。

「おう、いただきまーす」

 俺は有紗の作ってくれたオムレツを食べなから有紗に問いかける。

「今日も父さんは朝早かったのか?」

 突然だが、俺達には母親がいない。なので2人の子供を世話してくれる父さんはお金を稼ぐために朝早くから仕事に行く事が多い。そのため、朝ご飯は妹の有紗が作ることになっている。

「はい。今朝も6時前には家を出ていかれました」

 現在の時刻は7時35分。有紗は父さんの分の朝食も作っているため、それよりも早い時間に起きていることになる。

「そうか。いつも大変だな。眠くないのか?」

「いえ。もう慣れましたから」

「凄いな、有紗は。俺なんてこの時間でもねむいんだから」

「もう、兄さんは少し気が弛みすぎなんです。もうちょっとしっかりして下さい」

 そんなこんなで会話しているとあっという間に食べ終わってしまった。

「ご馳走(ちそう)さま!」

「お粗末(そまつ)さまでした。私はもう準備出来ていますので、兄さんは学校へ行く準備をして下さい。その間に片付けておきますから」

「おう。いつもありがとな」

 俺は部屋に戻り、制服に着替えて髪をセットし鞄(かばん)を持つ。

 再びリビングへ戻ると片付けが終わってエプロンを脱いだ有紗が鞄を持って待っていた。

さっきも言ったが有紗の朝は早い。そのため父親を送ったあと俺を起こすまでの間、時間が出来るのだ。その間に制服に着替え髪をセットしたりしているらしい。

「お待たせ」

「では行きましょう」

 時刻は8時5分。俺達はいつもこの時間帯に家を出る。学校までは自転車だ。

 15分くらいで学校に着き、俺は2年の教室へ、有紗は1年の教室へと別れる。

 学校に着いた俺は友達もいないので、寝た振りをして朝のHRまでの時間を潰す。

「はーい皆、おはよ〜」

 担任教師の星野杏先生が教室に入って来て、HRが始まる。杏先生はいつも明るくて元気で胸も大きく大人の色香があり、それに教え方もよく接しやすいので男女問わず人気者だ。しかし彼女にも欠点があり、アラサーにも関わらず1度も男性と付き合った事がないという残念な人で…。おっと、なんか先生に睨まれたような気がするのでもうこの話は辞めとこう。ていうかあの人俺の考えている事分かんのかよ。エスパーつかえんの!?

 まぁそんなこんなでHRは進んでいった。

 HRが終わり、俺は先生に呼び出された。俺、なんかやらかしたかな…。

「花園君。話があるから放課後、職員室に来てくれない?」

「先生、俺なんかやらかしましたっけ?」

「……はぁ。自覚ないの!?まぁとりあえず放課後ね。よろしく!」

 放課後って…。そんなに話長くなんのかな…。というか帰りのHRの時で良くね!?なんで今言ったし。……はぁ。めんどくせぇー。

 ということで、放課後になったので俺は職員室へと向かった。

「……先生。来ましたよ」

「あぁ、花園君。ちゃんと来てくれたんだね」

「えぇ。他でもない、先生の頼みですから」

「…まぁ!?」

 なんて心にもないことを言ってみたが、先生は本心で喜んでいるようだ。哀れな人だ…。

「で、話ってなんですか?」

「花園君て部活やってないよね?」

「はい」

「友達もいないよね?」

「……はい」

「もちろん彼女もいないよね?」

「いますよ?」

「あなたが言ってるのは妹さんでしょ!

 いい、花園君。たとえ血が繋がってなくて結婚が出来るとはいえ、兄妹なんだから少しは自重しなさい」

「いや、愛さえあれば関係ないよねっ!てきな……」

 俺がそう答えると先生はこめかみに手を当て、深い溜息をついた。

「……はぁぁぁ。あのね!ふざけてる場合じゃないの!こっちは真剣に悩んでるんだから!」

「……はぁ、そうですか。なんかすいません」

「ホントよ!妹しか愛せないあなたが友達も出来ず彼女も出来ずに大人になるのは大分まずいと先生は思うので、花園君には部活に入ってもらいます!」

「……え?ちょっと先生!意味分かんないんすげど」

「だから、あなたのその性質を変えるために部活に入って他の部員達と同じ事をして、そうすることによって自然と友達の良さとか彼女が欲しいとか思えて来るようになるから。もちろん、妹以外だけどね!」

「俺は今のままでも「ダメなのっ!いいっ?これは決定事項なの!」……分かりました。でも妹も一緒でもいいですよね?」

「えぇ。あなた達を引き離したらとんでもないことになるだろうと予想は付いてるから。でもちゃんと他の部員の子とも仲良くなるのよ?」

「……えぇ。で、部活って何部ですか?ていうか途中から入って馴染める自信ないですよ?」

 すると、杏先生はにぃっと笑って、

「大丈夫よ。新しく部活を作るの。その名も特別相談部!他の部員にはもう話をつけているから」

「へぇ、そんなラノベみたいなことできるんですね。で、何をする部なんですか?」

「もちろん、相談を受けるの!誰にも言えない相談から、先生達の頼み事までありとあらゆる悩みや相談にのる部活なの!みんなで同じ案件をクリアして行けば自然と絆が結ばれる!これぞ、青春!これぞ高校生!」

「……そんなもんですかねぇ。えぇやだなぁ」

「花園君は進学希望でしょ?部活としてだけじゃなく特別活動にもなるから通知表はすごく有利になるよ?」

「まぁ、そういうことなら仕方ないですね。妹もいますし」

「……はぁ、結局それかい。大丈夫かなぁ?」

 先生は脱力して机に伏せてしまった。

「よし!そうと決まったら早速部室へ行こう!部室はもう決まってるからね。生徒指導室を使うことにしたから。ほら私、生徒指導もしてるから。どうせ妹ちゃは廊下で待ってるんでしょ?」

「えぇ。」

「……ホントやばいわね、貴方達。ま、とりあえず部室に行きましょう。他の部員はもう行ってるから。ほら、着いてきて」

「はーい」

 俺は職員室のドアを開け、待っていた有紗と一緒に杏先生に着いて行った。

 

 

 

 

「ていうか有紗は知ってんのか?部活のこと?」

「はい。詳しくは知りませんでしたけど、さっき聞こえてましたから。」

「……そうか。周りの先生もジロジロとこっち見てたよ。あの人ホントテンション高いよな。だから彼氏もでき「なんか言った!?」いえ何も」

 こっわ!ビックリしたなぁ。どんだけ地獄耳なんだよ…。

 我が咲乱高校は県立の小さい高校で、校舎も3階建てで教室数も少ないのですぐに生徒指導室に着いた。

「着いたわね」

 先生が生徒指導室というプレートがかけてある場所に止まった。

「入るわよ」

 先生がからりと戸を開け、俺達も後に続く。

 その教室には机と椅子と本棚しかなく、広さは10畳あるかないかぐらいの狭い部屋だった。

 俺はこの教室に入ったのは初めてだ。

 ーーこんな風になってんだな。

 そしてそこには3人の美少女がいたーー。

 




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