(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~ 作:アルカンシェル
10月16日土曜日。
来週に迫った士官学院祭に向け生徒達は自由行動日にも関わらず学院に登校して準備を進める中、普段は職員が使う会議室に異質な一団が集まっていた。
「…………」
「…………」
「えっと……」
「ふふ、私達のことは気にしないでちょうだい」
「そうだな。別にここであんたらとやり合うつもりはねえからな」
まるでリィンの味方だと言う風に装って煽るヴィータとマクバーンにリィンは頭痛を感じる。
いっそう強くなった相手の視線にリィンはため息を吐く。
「話には聞いていたがどうやら《結社》に身を委ねたというのは本当のようだな」
「ちょ、爺さん」
棘を含んだ巨漢の老人の言葉に彼の隣に座るケビンが慌てる。
「人聞きの悪いことを言わないで下さい。《結社》とは利害が一致している部分があるのは認めますが、敵同士なのは変わりません……
ただ貴方達、《七耀教会》が俺の味方なのかは分かりませんが」
「ふむ……」
「リィン君……」
「ケビンさん、呼び出しておいて申し訳ありませんが貴方達を手放しで信用することはできません」
顔をしかめるケビンをリィンは容赦なく突き放す。
「随分と嫌われたものだな」
「嫌われたと言うよりも、俺は貴方達《封聖省》の存在をワイスマンの知識でしか知りません……
その点《結社》の人間とはこれまで何度も剣を交えて来たので、その人となりや組織の方針は理解できています……
少なくても今回の儀式において、俺の邪魔はもちろん、あるがままを観察するためにも余計なことはしないでしょう」
「我々が余計なことをするとでも?」
「何もしないという言葉を信じられる程に、俺は貴方達のことを知りません」
一度はワイスマンの《聖痕》を理由に外法認定され暗殺されそうになったこともあるだけに警戒する。
《雲の至宝》という今になってはオリジナルを超えた《聖痕》となったリィンの“力”を《七耀教会》が外法と認定する可能性は決して小さくない。
もちろん個人としてケビンは信頼できることは知っているが、《七耀教会》についてはトマスも特に語ることはなく信頼構築はそれこそ《結社》以下なのである。
「貴方達はそのつもりはなかったとしても、その考えは上層部と同じとは限らない……
未だに、ノーザンブリアやクロスベルの事件から俺の力を《外法》と認定するかでまた揉め出しているんですよね?」
「まあ否定はせんよ。“雲の至宝”などと名乗ってくれたおかげで上は烏滸がましいと目くじらを立てておる者も多い……
これ以上何かが起きる前に“外法”と認定して狩るべきだと主張するくらいにな」
「やはりそうですか」
帝都の実習からヴァリマールを使って派手にやり過ぎたのだとリィンは改めて振り返る。
「ですが、全てが終わってから駆け付ける《七耀教会》に咎められる筋合いはありません……
それに帝国解放戦線の《S》、スカーレットは元は七耀教会の従騎士だったそうですね?」
「ああ……」
「オルディスで捕らえられた彼女を法国は司法取引を行ってまで引き渡しを要求している……
これでは法国がテロリスト達を支援していたとも疑われても仕方がないと思いませんか?」
「ううむ……」
痛い所を突かれてバルクホルンは唸る。
秘密主義の守護騎士。
テロリストに身を投じた従騎士。
それを有耶無耶にしようとする法国の動き。
それに手打ちにしてもらったとは言え、一度は暗殺を強行したこと。
あらゆる要素がリィンの教会への不信感に繋がってしまっている。
「あーリィン君、一応フォローしておくとやな……
オレのあの時の、次の任務は《S》を狩ることやったんや」
「そうだったんですか?」
ケビンが言うあの時と言うのは《影の国》の事件の事。
「ああ、後任を決めずにオレが“外法狩り”をやめたせいで汚れ役がいなくなって優先度の低い奴は見逃されておったんや」
「《降魔の笛》に《騎神》……
何より臆面もなく“法剣”を使っていること。最悪、帝国と法国の戦争になりかねない火種なのに優先度が低いんですか?」
「それは……」
言い淀むケビンにリィンはため息を吐く。
「とりあえず一つ、答えて下さい……スカーレットは《聖痕保持者》ですか?」
法国が司法取引をしてまで引き戻そうとする人材としてリィンは疑問をぶつける。
もしもそうなら、まだテロリストの脅威が本当に拭えていないことを考えると相応の覚悟をしておく必要はあるだろう。
しかしリィンの懸念を晴らすようにバルクホルンは首を横に振った。
「いいや、スカーレットは《聖痕保持者》ではない……
だが、《聖痕》の受け皿になれる稀少な人材でもある」
「聖痕の受け皿?」
聞きなれない言葉にリィンは首を傾げる。
「《聖痕》は本来ならいくら霊能力が高い人間でも現出するものではない」
「爺さん、その話は――」
「良い、話さねば彼が向けてくれた信用に不誠実だ」
止めようとするケビンを制して、バルクホルンは続ける。
「《聖痕保持者》は死ねばその《聖痕》は空席となり、次の候補はゼムリア大陸のいずこかに無垢の《聖痕》として現れることになる……
だがスカーレットの様な体質の者は消えるはずの《聖痕》を継承することができる……
法国が司法取引をしてでも取り戻しておきたい人材と言うのはそういうことだ」
「それはもしかして……」
「察しが良いな……
君が考えている通り、彼女が七耀教会に留まっていれば第八位を受け継ぐことになっていた……
そうなる前に彼女が出奔したことは幸運と見るか、不幸と考えるかは悩ましいものだがな」
嘆くバルクホルンのため息は年相応の疲れた老人の嘆きに見えた。
「とりあえずスカーレットにはそれだけの潜在能力があるとだけ認識しておきます」
「ああ、それは間違っておらん」
リィンの答えにバルクホルンは頷く。
「話を戻そう。単刀直入に聞こせてもらおう……リィン君、君が《七耀教会》に求めるものは何かな?」
「特に何もありません」
バルクホルンの質問にリィンは即答した。
「おいおいリィン君、ここまで引っ張っといてそれはないやろ?」
「そうは言っても……
組織の全容を把握できないのは《結社》と《教会》も同じで何処まで信用して良いか」
「ふむ、儀式には相応の術者が必要ではなかったのかね?」
「結社から二人、ヴィータさん達とは別に三人の術者を用意しています……
それだけいれば儀式そのものは滞りなく完了できます……
これまで何もしてくれていない、むしろテロリストの側だと疑われてもおかしくない貴方達をその場に立ち会わせる……
それだけでも十分に譲歩して、《教会》の顔を立てていると思いますが?」
誠意は見せた。
そう言わんばかりのリィンにバルクホルンとケビンは《七耀教会》と名乗れば無条件の信頼が得られるというのが甘い考えだったと思い知らされる。
「大事よね。日々の積み重ねの信用って」
「違いねえ」
そんな二人を煽る様にヴィータとマクバーンが笑う。
「ならば“雲”の力の一端を《七耀教会》に預けると言う話はどうするつもりだね?」
「まあっ! 何も役に立ってないのに見返りをせびるなんて!?」
「《塩の杭》やリィンの暗殺の前科があるってのによくもまあそんなことを要求できるな? 感心するぜ」
バルクホルンの質問に野次で応えたのはわざとらしく驚いたヴィータとマクバーンだった。
「…………」
「あら、ごめんなさい……
でも《結社》は見返り無しでリィン君に手を貸して上げているのに、まさか《七耀教会》が……」
「そう言ってやるな。こいつらは結局教会の狗、むしろハイエナに過ぎねえんだから」
ヴィータの言葉にマクバーンも乗っかりさらに煽る。
「ヴィータさん……マクバーン……」
きつくなったバルクホルンとケビンの視線にリィンは注意する。
「でもさっきから聞いていればリィン君の質問をはぐらかしてばかりなのに自分達の利益だけは通そうだなんてあまりに見苦しくって……
そんなだから典礼省に嫌われるのではなくて?」
「まあこいつらは文字通り教会の狗――いやハイエナだから仕方ねえだろ」
しかしリィンの注意を無視して二人はさらに煽る。
その嘲笑に教会側の二人の空気が一気に張り詰める。
「二人ともいい加減にしてください」
「あら出過ぎた真似をしちゃったわね、ごめんなさい」
ヴィータは素直に謝り、マクバーンは大きく肩を竦めて口を噤む。
「置物が失礼しました……
それで“雲”の欠片についてですが――」
「いや、そちらの要求は全て呑もう」
「え……?」
「君に差し出した七耀石はあくまでも口止め料だった……
ノーザンブリアでの《塩の杭》の後始末、オルディスでのスカーレットの暴走も本来なら私達が然るべき対処をすべき問題だった……
業腹だが結社の者達の言葉は正しい……
リィン・シュバルツァー。教会を代表し謝罪と感謝を言わせてくれ」
潔く認め、バルクホルンは頭を下げる。
「オレからも改めて謝らせてもらうわ」
それにケビンも続く。
「…………どうするつもりですか?」
会話の主導権を取るだけのつもりだったが、それを完全放棄してしまった教会組にリィンは非難するようにヴィータ達を睨む。
「あらら……」
「はっ……」
二人は笑って誤魔化す。
「はあ……」
リィンは思わずため息を吐く。
博士たちはこの際だから、教会の飛行艇の設計図をかっぱいで来いと言っていたが、そんなことをすればそれこそ法国に正面から喧嘩を売る様なものだろう。
どうやって路線を戻そうかとリィンが考え込んだところで――会議室のドアがノックされる。
「失礼します」
「え……?」
聞き覚えのある声にケビンは驚き顔を上げる。
「遅くなりました……ってケビン、何をしているの?」
「リース……何でお前ここに?」
クロスベルの教会に潜入しているはずの己の従騎士の登場にケビンは目を丸くする。
「リィン君にとある理由で呼ばれていました……
それから大司教から許可は得ています……まずはリィン君。これを返させてもらいます」
ケビンへの説明を省き、リースはリィンに小箱に入れたクォーツをリィンに差し出した。
「このクォーツのおかげで多くの負傷者達が救われました、ありがとうございます」
「わざわざ持ってこなくても良かったのに」
リィンはクロスベルに行った時、レンにリースへ渡すように頼んでおいたクォーツを受け取る。
効果は“大地の霊薬”を導力魔法に落とし込んだもの。
効力は劣るが、患者の体力に依存せず使用者の精神力と導力が続く限り人体を修復できる。
「そういうわけにはいきません。それとこれを――ミシュラム名物のみっしぃチョコです。クラスメイトの子たちと一緒にどうぞ」
そしてついでとばかりに大きな旅行鞄から包装に包まれた手土産を差し出すのだった。
「それで……グラハム卿、バルクホルン卿。これはいったいどういう状況でしょうか?」
リィンへの挨拶が終わったリースは頭を下げていた二人に状況の説明を求め――
「――とりあえず菓子折りの一つも持って来ていないのはどうかと思います」
古株の守護騎士と、上司の守護騎士に対して容赦のないダメ出しをリースは指摘し、ヴィータは声を忍ばせて、マクバーンは声を上げて笑うのだった。
*
旧校舎・地下。
本来は起動者を選定する試練の場はローゼリアの手によって“始まりの地”を模した空間になっていた。
円形の空間の周にはフレームを剥き出しにした巨大な機械人形が五つ、同じくフレームが剥き出しにされているヴァリマールが並び、博士たちはこれから始まる儀式の準備に余念はなかった。
他にも見学者として学院長や理事長などもその場に立ち会っている。
その博士たちの手伝いをしていたⅦ組はリィンが連れて来た協力者たちに目を向ける。
「あ、あれってまさか――ヴィータ・クロチルダッ!?」
「バルクホルン神父? どうしてここに?」
「っ――あの男は……」
「シスター・リース……いったい何故……」
「へえ……あれが教会の守護騎士か、歯応えありそうじゃない」
それぞれが驚きなどの感想を抱く中、リィンは中央で待っていたローゼリアに声を掛ける。
「お待たせしました」
「うむ、その様子だと交渉はうまくいったようだのう」
「えっと……うまくいったかはどうかはともかく納得してもらいました」
曖昧な答えを返してリィンはローゼリアの側で待っていたイオとダーナ、アプリリス。そしてルフィナを紹介し、続けて結社と教会の四人を紹介する。
それが終わるとローゼリアは一同を見回して宣言する。
「では、これよりリィン・シュバルツァーの“雲の至宝”の聖痕の分割作業を始める……
具体的には妾がリィンから“力”を取り出し、それを分割する……
汝らには分割した“力”を捕まえて用意しておいた“核”に押し込んでもらう、作業としてはこの程度だのう。何か質問はあるか?」
「そうね。なら婆様。“機神”と“騎神”は全部で六つ。残りの一つの“核”がないみたいだけどそれはどういうことかしら?」
ヴィータの質問にローゼリアはルフィナに視線を送る。
「最後の一つはそこのルフィナ・アルジェント、そのものだの……
“力”を中心に妹を触媒にして分け身を作り受肉させる。これはイオに担当してもらうことになっておる」
「よろしくね。ルフィナそれにリースも」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」
「ふふ、頼りにさせてもらうわねイオ、リース」
にこやかな挨拶を交わす三人にケビンは会議室で驚かされた教会の取り分に頭を痛める。
それが七耀教会に対してリィンが提示した、“ルフィナ・アルジェント”の受肉による復活。
《影の箱庭》の住人であり、リィンの力に依存して存在を保っているルフィナを完全な形で現実世界に固定する。
元従騎士の復活。
それがリィンが提示した《七耀教会》に貸与する“力”の使い道。
「受肉……そないなこと、本当に可能なのか?」
「理論上は可能だと、第二位のお墨付きも貰っています」
《至宝の力》に《影の箱庭》、リィンがクロスベルで手に入れたホムンクルスについて書かれた“錬金術の書”、そして“大地の聖獣”であるイオがいるからこそ離れ業。
箱庭の管理者としての役割も、外で過ごすことが多くなったノイやナユタのこともあり、あまり必要がなくなってしまった。
だからこそルフィナには現実での独立のために“力”の一枠になってもらうことになった。
「変わらず俺の使い魔に近い存在だと言うことに変わりはありませんが、従騎士の復活のメリット、それも“至宝の世話役”ともなれば教会も静観を選ぶでしょう」
「うん……まあそうやろな」
リィンの説明にケビンは歯切れ悪く頷く。
外法ギリギリのグレーゾーンなのだが、ルフィナの身内であるケビンやリースにとってはありがたい提案であり、教会も認めざる得ないメリットが多い。
「なら数は揃っているようだが、他に担当は決まっているのかね?」
バルクホルンも改めてその条件を受け入れ、ローゼリアに先を促す。
「いや、特に担当はおらん。好きに決めて良いぞ」
「ならレオン。貴方の――」
「じゃあ俺はレーヴェの――」
ヴィータとマクバーンは揃って同じ方向へ踵を返して睨み合う。
「ふむ……では儂は顔見知りがいるところを担当するとしよう」
バルクホルンは翠の“機神”に向き直り、ガイウスに向かって手を挙げる。
「それじゃあ私は地属性の“機神”を担当させてもらおうかな」
「ならば私は“蒼”の機械人形を引き受けよう」
次いで挙手したのはダーナであり、それにアプリリスが続く。
「ちっ――なら俺は火の“機神”に行くか」
ヴィータとの小競り合いに負けたマクバーンがそれを決める。
「ちゅうことはオレが“灰”か……それは……」
先程の会議の手前、リィンの力に直接関わる事にケビンは遠慮してしまう。
「構いませんよ」
その葛藤を見透かしてリィンはケビンに声を掛ける。
「守護騎士ならともかく、ケビン・グラハムという個人はちゃんと信頼しています。ケビン神父ならヴァリマールを任せられます」
「ハハ、そう言ってもらえるなら応えないわけにはいかないなあ」
全幅の信頼を寄せてくれるリィンにケビンは苦笑を浮かべ、その大役を引き受ける。
「ところでリィン君、一つ聞いて良いかしら?」
と、改めて分担が決まり儀式を始めようとしたところでヴィータが声を上げた。
「これから分割した“力”を私達がそれぞれ封印するわけだけど、一つ細工をして良いかしら?」
「細工って……《鋼の至宝》の二の舞をやるつもりですか?」
「別に守護騎士たちを出し抜きたいとかそういうものじゃないわよ。ただ――リンちゃん」
ヴィータは見学に控えていたリンを手招きして呼ぶ。
「何でしょうか?」
「レオンの乗る機体に《空》の至宝の力の一端を混ぜたいんだけど協力してくれないかしら?」
その提案にリンはティルフィングとレーヴェ、共に《空》の力を色濃く持つ存在を観察し、リィンにやる気になった眼差しで振り返る。
「…………まあ、良いですけど」
出来るのは“絶対障壁”か、別の何かができるようになるティルフィングを想像しながらリィンはヴィータの提案を受け入れる。
「へえ……それなら俺も少し気合いを入れるとするか。まあサービスって奴だ」
そしてヴィータの提案に乗ってマクバーンが口角を釣り上げた。
「ふむ……混ぜるか。儂の力がどのような影響を及ぼすかは分からんが、先程の言葉の手前、全力を尽くさせてもらおう」
挑発するようなマクバーンの視線にバルクホルンが対抗する。
「えっと……魔煌兵の技術で応用できそうなものはあったかな?」
そしてダーナもそれに煽られるように自分の中の知識を引き出す。
「やれやれ、そう言う事をされると何も持たない私の肩身が狭くなるから見えないところでやって欲しいものだが――ん?」
嘆息したアプリリスの手――かつて失い再生された手に《幻》の力が宿る。
「えっと……リィン君?」
流れるように一味つけるように方向になった状況に自分もやらなければいけないのかとケビンは顔を引きつらせる。
「もう勝手にして下さい」
リィンは頭を抱えて、投げ槍に答えるのだった。
過去の偉人たち
ダーナ
「…………えっと……ローゼリアちゃんじゃなくて、私が知っているローゼリア様なんですか……
そしてそちらは元暗黒竜で、今は大地の聖獣となったイオ様」
ローゼリア
「うむ……まさかあの時の娘と今となって再会できるとは思っておらなんだぞ」
イオ
「ふふ、様だってそんな畏まらなくて良いよ長様」
ダーナ
「…………御二人には折り入ってお話したいことがあります……
《黄昏》のこと、それに対抗するため私や私達の時代より前に《黒》の暗躍に気付いたアストリウスが残した希望」
ローゼリア
「ふむ……」
イオ
「アストリウス……」
ダーナ
「“黄昏”に不適格だと零れ落とされた“悲嘆”や“祈り”の想念を集めた《ラク――」
ローゼリア
「まあ待て」
ダーナ
「ローゼリア様?」
ローゼリア
「リィンにはこの時代で独りぼっちのヌシに協力してやるように言われておるが、まだ妾達はリィンの味方でいるつもりじゃ……
そこから先を聞くわけにはいくまい」
ダーナ
「…………」
イオ
「ま、焦る気持ちは分かるけど、一度肩の力を抜こうよ……
協力は今すぐ決められないけど昔の人間として仲良くしようよダーナ」
ダーナ
「…………はい」
姉妹の再会
リース
「姉様っ!」
ルフィナ
「ふふ、久しぶりねリース。ちゃんとクロスベルではうまくやれているみたいね」
リース
「それは当然、何て言っても姉様の妹なんだから」
………………
…………
……
マキアス
「妹……? シスター・リースはルフィナさんの妹……? ……………え?」
エリオット
「マキアス!? しっかりしてマキアス!?」
巡回神父とノルドの民
ガイウス
「バルクホルン神父」
アリサ
「え……? ガイウスの知り合いなの?」
ガイウス
「ああ、ノルドに来てくれた巡回神父なのだが……」
バルクホルン
「息災のようだなガイウスよ」
ガイウス
「ええ、バルクホルン神父もお元気そうで何よりです」
バルクホルン
「ふふ、帝都の士官学院に進学したと聞いていたがまさかシュバルツァーのクラスメイトだったとは驚きだ」
ガイウス
「バルクホルン神父はリィンとどのような御関係なのですか?」
バルクホルン
「今日初めて会ったばかりだが、七耀教会ではシュバルツァーはちょっとした有名人でのう……
まあ、彼と友であると言いたいのなら精進することだ」
ガイウス
「…………はいっ」
そしてここではない何処か
カンパネルラ
「ちょっと《博士》、いつまでも拗ねてないで手を動かしてよ。もう納期まで一週間だよ」
ノバルティス
「ええいっ! 何故だ!? 何故私はトールズ士官学院に行ってはならないのだ!?」
アリアンロード
「当然です。リィンが行っている儀式に我々が関与しても邪魔になるだけです……
観察については魔女殿と劫炎に任せておけばよろしいでしょう」
カンパネルラ
「そもそも《博士》ってばリィンと顔を合わせたこともないでしょ? なら行った所で門前払いにされるだけだよ。ヨルグもいるわけだし……
だから大人しく、クロイス家に納品する“神機”を――」
ノバルティス
「ふん! あんなものもう既に造り終えている」
カンパネルラ
「あれ? じゃあ今造っているのは何?」
ノバルティス
「これはアルベリヒから提供された技術を使い更なる進化を遂げたアイオーンじゃよ!
これと比べてしまえばクロイツ家に送る“アイオーン”などもはや旧型機に過ぎん」
アリアンロード
「大した自信ですね……しかしこの図面に組み込まれているのは……」
ノバルティス
「ふふふっ! これぞゴルディアス級最終型に相応しい“蒼の神騎”だ」