(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~   作:アルカンシェル

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135話 開戦

 

 

「ルフィナさん。留守はよろしくお願いします」

 

 学院祭が終わった翌日、早朝の学生寮でリィンは見送るルフィナを振り返る。

 

「ええ、こちらのことは気にせず自分のことに集中してちょうだい」

 

 ナユタを抱えてルフィナは心配ないと応える。

 しかし、彼女とは対照的にローゼリアとイオは不安そうに応じる。

 

「ううむ、やはり妾かイオのどちらかでも同行した方が良いのではないだろうかのぅ?」

 

「相手は“幻の至宝”を基にした“人工至宝”なんでしょ? いくら改修したからってヴァリマールだけで戦えるの?」

 

「お気持ちはありがたいですが、二人が出て来た場合“神狼”が出てくる可能性もありますから……

 互いに人工の“至宝”。ぶつかり合って“大崩壊”の再来の危険性がある戦場で聖獣同士の戦いまで始まったらどうなってしまうか」

 

 ローゼリアとイオの提案をリィンは改めて拒否する。

 

「しかしだな……」

 

 リィンの意見に一理を感じるが、それでもオルディスで力を貸すことができなかったローゼリアは負い目を感じて渋る。

 

「確かに“至宝”が関わっている事件ですが、これは人の業が生み出した戦いです……

 《聖獣》に頼ってしまっていい場面じゃありません……って言っても前回のクロスベルで手伝ってもらったから説得力はないかな?」

 

「いや、言いたいことは分かるのだが」

 

「そもそもあの時のヴァリマールはリィンだけだと動かせなかったからねー」

 

「ええ、ですがとりあえずクロスベル侵攻作戦まで一週間の猶予がもらえましたから、その間に修復と改修はできる計算です」

 

 リィンがヴァリマールの修復を盾にオズボーン宰相から与えられた時間。

 それは言葉通り、リィンが戦う準備のための時間ではあるが、同時にクロスベル側に対しての援護でもある。

 ルフィナと話し合って詰めたクロスベルの現状は独立に成功してもしなくても詰んでいる、

 全ての戦争を否定し、自由な経済活動を保障するクロスベルを盟主とした『ゼムリア大陸諸国連合』なるものを提唱しているが、それは“至宝”の力を背景にした脅迫行為でしかない。

 それに賛同する小国や自治州は多いが、肝心の帝国や共和国。それに法国に遊撃士協会さえも敵に回す政策でしかない。

 

「クロスベルが生きる道は内部の人間がディーター大統領の不正を正し、独立宣言を無効化させることだけでしょうね」

 

「きっとロイドさん達やクルトも今の状況を分かっているはずです」

 

 真っ直ぐな眼差しの青年を思い出しリィンは彼の働きに期待する。

 

「レンとレオンハルトさんが一足先にクロスベルに潜入してくれるみたいですから、二人が特務支援課とうまく協力してくれれば“神機”との戦いも回避できるかもしれません……

 だから、きっと大丈夫ですよ」

 

「随分と信頼しておるのだな?」

 

「…………ええ」

 

 正直に言えば、通商会議の後や《赤い星座》の襲撃の後に会った彼らを思い出すととてもではないが信頼することはできない。

 むしろディーター大統領に同調して国防軍になっている可能性の方が高いかもしれない。

 だが欺瞞であってもリィンにできるのは彼らを信じることだけだった。

 

「それじゃあ、そろそろ行きます。列車が来るまでにヴァリマールをトレーラーに載せておかないといけませんから」

 

「うむ、危険と感じたらすぐに《ARCUS》で知らせるといい」

 

「いつでも呼んでくれて良いからね」

 

「ありがとうございます――ん?」

 

「あーうー」

 

 何も追及せずに引き下がってくれたローゼリアとイオにリィンが頭を下げていると、ルフィナに抱えられたナユタが行かないでと言わんばかりに彼の服を掴む。

 

「ごめんな。でも俺が行かないと、たくさんの命が失われてしまうんだ」

 

 ナユタの手を取り、諭すように語り掛ける。

 帝国は総力戦でクロスベルを制圧する気でいる。

 そこで多くの血が流れ、流されることは容易に想像できる。

 

「大丈夫だ。ちゃんと帰って来るから」

 

「う~~」

 

 ナユタの頭を優しく撫でて言い聞かせる。

 

「大丈夫、リィンの事はわたしとリンが護るから」

 

「はい、当然です」

 

 さらにノイとリンが人形の姿でナユタの前に浮き上がり言い聞かせる。

 それでようやく納得したのか、ナユタは愚図りながらもリィンの服から手を放す。

 

「それじゃあ、行ってきます」

 

 そうしてリィンは第三学生寮を後にした。

 

 

 

 

 学院祭が終わった翌日。

 トリスタは祭りの後だと言うのに校門の前には多くの人が溢れていた。

 

「凄い人だかりだな」

 

「もしかしたら学院祭の時よりも多いのではないだろうか」

 

 屋上からその光景を見下ろしたマキアスとガイウスはその人の多さに驚く。

 

「昨日の今日だと言うのに、随分と集まったものだ」

 

 ため息を吐いてその呟きにユーシスは頷く。

 

「それだけみんな不安だってことだよね」

 

 広げた帝国時報を読み返し、クリスは集まった市民の気持ちを察する。 

 ガレリア要塞が巨大な球状にくり抜かれた報道写真。

 それは大半の帝国人を戦慄させるほどの衝撃だった。

 それとほぼ同時にクロスベルが提唱した、クロスベルを盟主とした『ゼムリア大陸諸国連合』の設立。

 

「周辺の小国や自治州はクロスベルを支持する流れになっているんだけどね……」

 

「ありえない……

 全ての戦争を否定し、自由な経済活動を保障すると言っているが、クロスベルが行ったのは資産凍結の人質と暴力による脅迫に過ぎない……

 とてもではないが賛同者の気が知れないな」

 

「クロスベルの独裁を聞こえの良いものにしたに過ぎないな。フン……自治州風情が随分と調子に乗ったものだ」

 

 ミリアムの呟きにマキアスとユーシスは吐き捨てるようにクロスベルを非難する。

 

「そのせいで皇族主催の誕生会の話も流れてしまいましたからね」

 

 残念そうにクリスが嘆く。

 

「しかし信じられないな。あの巨大なガレリア要塞が“消滅”してしまったとは」

 

 記憶にある巨大な要塞が報道写真の様になっていることを受け入れられないガイウスは唸り、フィーも頷く。

 

「あのでっかい《列車砲》も消えてなくなったんだ……ちょっと信じられないかも」

 

「しかし一体どんな兵器で……いやリィンならできるのか?」

 

 ふとラウラがこぼした疑問に一同は沈黙する。

 

「できそうなのは共和国が開発した《フェンリル》っていう導力爆弾がそれだけのスペックを持っているって話ね」

 

「人の科学がここまでの力を発揮する。恐ろしい話ですね」

 

 目を伏せて可能性を上げるアリサにエマは複雑な胸中を吐露する。

 

「少なくても共和国と共謀し、侵攻して来ると考えるには十分な理由だと思う」

 

「っていうかこのまま戦争になったらわたし達も兵士として召集されるのかな?」

 

 クリスの考えに続いたフィーの呟きにシャーリィが哄笑を上げる。

 

「良いじゃん。帝国と共和国の戦争! あはは、どれだけ派手になるのか今から楽しみだな!」

 

「シャーリィ、思うのは勝手だが自重しろ」

 

「何言ってるの? ここは士官学院なんでしょ? そういうことをするのを教わっているのに温いこと言わないでよ」

 

「それでもだ」

 

 笑って喜ぶシャーリィをユーシスが咎める。

 屋上にいるのはⅦ組だけではなく、他の生徒達もいる。

 それだけにシャーリィの物騒な物言いに、身体を震わせるものは決して少なくない。

 

「だがシャーリィの言葉にも一理あるだろう……現にリィンが召集されたのだから」

 

 ラウラの考えにⅦ組の間に再び沈黙が訪れる。

 

「共和国の兵器にしろ、クロスベルの兵器にしろ、人智を超えた力に対抗できるのは帝国ではリィンだけなのよね」

 

 これまで特別実習の中で起きた数々の異変を思い出してアリサが呟く。

 

「だからこそ、民衆はリィンが動いてくれると聞いて、見送るために集まったのだろう」

 

 改めて屋上から校門の人だかりを見下ろしてユーシスは拳を握り締める。

 

「そうだね。民衆が“英雄”を求める気持ちは僕も理解できるけど……

 それはそうと、あれからリィンさんの様子が少しおかしく感じませんでした?」

 

 リィンならクロスベルの暴挙もどうにかしてくれるという期待を感じながら、クリスは昨夜のオズボーン宰相から要請を受けた後からのリィンの様子を思い出して仲間たちに尋ねる。

 

「おかしいって何がよ?」

 

「今朝も普通だったと僕は思うが……」

 

 クリスの質問にアリサとマキアスは首を傾げる。

 答えは他も同じなのか、クリスの違和感に賛同する者はいない。

 

「僕の気のせいかな?」

 

「そう言っている内に来たよ」

 

 考え込むクリスにミリアムが旧校舎からやってきたトレーラーを指差す。

 あえてコンテナ部分を剥き出しにして運び出されているのは、膝を着いた《灰の騎神》。

 

「ああ……《七の騎神》をあんな風に見せびらかすなんて」

 

「今更じゃない?」

 

 嘆くエマにフィーは冷静な突っ込みをする。

 

「しかしまだ改修は完了していなかったはずだが、どうするつもりなのだ?」

 

「双龍橋で組み立てるってシュミット博士が同行することになったらしいよ」

 

 マキアスの疑問にアリサが答える。

 

「ラッセル博士たちとヨルグ博士たちが悔しがっているだろうね」

 

「流石に他の博士たちを軍事基地に招くわけにはいかないだろう」

 

 彼らの顔が容易に想像できるとミリアムは笑い、ユーシスは肩を竦める。

 

「せめて“ティルフィング”が完成していればわたし達も一緒に行けたのに」

 

 悔しそうにラウラが唇を噛み、シャーリィが同調する。

 

「だよねー、坊ちゃんの護衛がなかったらシャーリィも行きたかったなぁ」

 

 そうこうしている間に遊歩道を低速で走行するトレーラーは校門に辿り着く。

 《灰の騎神》がその姿を見せた瞬間、民衆達は歓声を上げる。

 過激な言葉があるものの“英雄”の出立に民衆は沸き立つ。

 屋上でリィンを見送るⅦ組にはそのトレーラーの助手席に座っている彼がどんな顔をしているのか確認することはできなかった。

 

 

 

 

 10月30日土曜日、正午。

 リィンの期待は空しく、クロスベルの内部では何の動きがないままに時間は過ぎ、ドライケルス広場においてオズボーン宰相の演説が始まった。

 

『帝都市民並びに帝国の全国民の皆さん――ご機嫌よう……

 エレボニア帝国政府代表、ギリアス・オズボーンである』

 

 その演説をリィンはガレリア要塞にほど近い線路の上でラジオ越しに聞いていた。

 

『――諸君も、ここ数日の信じ難い凶報はご存知かと思う……

 歴とした帝国の属州であるクロスベルが独立などという愚にも付かない宣言を行い、あろうことか帝国が預けていた資産を凍結したのである!』

 

 それは帝国や共和国だけに限らない多くの国や自治州を巻き込んだ暴挙とも行為でしかない。

 大統領と名乗りを上げたディーター・クロイスは本来なら切り離すべきIBC総裁という地位を政治に利用して悪用した。

 それは社会からの“信用”を裏切る行為であり、それまで好意的だったリベールやレミフェリア、アルテリアにさえも唾を吐きかける行為に他ならない。

 預けた資産を勝手に凍結する銀行。

 それを人質に独立を迫り、更にはクロスベルを盟主に据えた『ゼムリア大陸諸国連合』の提唱がそれに拍車をかける。

 

『当然我々はそれを正すために行動した。それは侵略ではない。宗主国としての権利であり、義務ですらあると言えよう』

 

 再三に渡る資産凍結の解除は話し合いの場を設けることさえなかった。

 そうなれば帝国は自ずと国家の自国民の生命と生活を守るために武力による制裁は当然の帰結だった。

 

『しかし彼らは余りにも信じ難い暴挙に出た……

 《ガレリア要塞》――帝国を守る鉄壁の守りを謎の大量破壊兵器を持って攻撃……これを“消滅”せしめたのである!』

 

 一層熱が籠った声でオズボーン宰相は続ける。

 

『諸君、果たしてそのような“悪意”を許していいのか!?  偉大なる帝国の誇りと栄光を傷つけさせたままでいいのか!? 』

 

 目を伏せれば熱弁を奮う彼の姿が容易に想像できる。

 

『否――断じて否!!  鉄と血を贖ってでも正義は執行されなければならない!』

 

「やっぱりこうなるのか……」

 

 愚痴る様にリィンはため息を吐く。

 結局、この一週間クロスベルの内側の動きは何もなかった。

 アリオスとキーアがそうであったように、ロイドやクルトはこの状況に対して何もせずに傍観を決めているのか、それとも国防軍になっているのか。

 リィンには遠い地の出来事を見通す目はない。

 

「くそ……」

 

 思わず毒づく。

 オズボーン宰相の演説が終われば、自分が先陣を切ってクロスベルへ侵攻しなければならない。

 自分の役目は“神機”への対応だけだが、双龍橋で迎えられた領邦軍とガレリア要塞の生き残りから向けられた期待の熱はそれだけは済まなかった。

 何より“神機”との戦いの後に起こるだろう人間同士の戦いを想像するだけでも心が痛くなる。

 例え帝国側の主張に筋が通っていたものだとしても、侵略の尖兵になることに抵抗を感じてしまう。

 

『クロスベルの超兵器に不安になる者も多いだろう。だが安心すると良い。帝国には《リィン・シュバルツァー》がいる!』

 

 ラジオ越しにドライケルス広場の歓声という熱狂が聞こえて来る。

 

『皆も知っているだろう?

 帝国に降り掛かった“災厄”の数々、それを見事に振り払い帝都をノーザンブリアを、そしてオルディスを救った《英雄》を!』

 

 自分を持ち上げる演説にリィンは陰鬱な気持ちになる。

 

「アークルージュやロストゼウムもこんな風に戦わされたんだろうな」

 

 当時の至宝にそこまでの意志があったかは分からないが、ラジオ越しに聞こえて来る熱狂にそう思わずにはいられない。

 

『さらに言わせてもらえば、リィン・シュバルツァーはこれまで《教団事件》や《通商会議》においても身を挺してクロスベルを守った……

 だが、彼らはあろうことその恩を仇で返した! こんなことが許されて良いのだろうか!?』

 

 何故か、その言葉にリィンは先程以上の熱を感じた。

 

『リィン・シュバルツァーの存在はこの《激動の時代》に“女神”が遣わせた祝福と言えよう!』

 

 それに同調するように自分の名前を連呼する声が聞こえて来る。

 今すぐにでもラジオを消したい衝動にリィンは駆られるが、我慢する。

 

『既にリィン・シュバルツァーはガレリア要塞の跡地でクロスベルの兵器に牽制してくれている』

 

 その言葉に多くの民が安堵する。

 

『本来ならまだ学生である彼を召集することはあってはならない。だがこれはそれほどの“国難”である!』

 

 熱狂が最高潮に至る。

 

『そして“国難”の前に、あらゆる対立は乗り越えられるべきものであろう!

 『革新派』に『貴族派』――俗に言われるそうした名前の何と空々しいことか! 既に皇帝陛下からも、心強いお言葉を頂いている』

 

 オズボーン宰相は言葉を切ってタメを作って声高らかに告げる。

 

『このギリアス・オズボーン、帝国政府を代表し、陛下の許しを得て、今ここに宣言させていただこう!』

 

 この言葉が終わればいよいよ覚悟を決めなければいけないのだとリィンは気持ちを切り替える。

 

『正規軍、領邦軍を問わず、帝国全ての“力”を結集し、クロスベルの“悪”を正し、東からの脅威に備えんことを――』

 

「っ――ヴァリマールッ!」

 

 オズボーン宰相の言葉を遮る様にリィンが叫ぶ。

 次の瞬間、オズボーン宰相の宣戦布告を待っていたかのようなタイミングでリィンに――ヴァリマールに光子の雨が降り注ぐ。

 衝撃と爆炎に包まれながらもリィンはヴァリマールを動かして飛び出す。

 

「あれが《パテル=マテル》の後継機“アイオーン”」

 

 大空を舞う紫紺の巨大な人型兵器は《灰の騎神》を睥睨し、その翼から無数の光弾を撃ち出す。

 

「っ――何!?」

 

 それを回避した先の空間が歪み、巨大な杭を振り上げた《青の神機》が顕現すると同時にパイルバンカーの一撃を《灰》に叩き込む。

 

「くっ――」

 

 太刀を盾に受け止め、更に全力で背後に飛んで衝撃を半減させ、《灰》は体勢を立て直す。

 

「二機の“神機”か……いや――」

 

 《灰》は大空を旋回する《紫の神機》から視線を外して、天頂を見上げる。

 太陽を背にした《白の神機》はその周囲に小さな黒い球体を作り出し――解き放つ。

 ガレリア要塞を消滅させた“力”が容赦なく《灰》に降り注ぎ、エレボニアの《灰》とクロスベルの《神機》の戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 






囚われの二人

ノエル少尉
「特務支援課の他のメンバーは別の場所で保護しています……
 貴方達二人をこんな場所に拘留するのは申し訳ありませんが……」

ロイド
「俺の事は良いさ。でも“保護”っていうのは流石におかしい言い方だな? いったい何から保護してくれるって言うんだ?」

ノエル少尉
「………………今、市街では市民たちが在住していた帝国人と共和国人に暴行する事件が起きています。だからクルト君は……」

クルト
「ハハ……僕が帝国人だからか……」

ロイド
「クルト……」

クルト
「確かに帝国のクロスベルに対する圧力があったかもしれない……
 属州国だからって無法を働く同胞には僕だって憤りを感じていた。だけど帝国人は何もあんな人達ばかりじゃない」

ノエル少尉
「っ…………」

クルト
「それを知って欲しくて、少しでもクロスベルと帝国が歩み寄れるように特務支援課で頑張ったはずだけど……結果はこれか……
 何が自由な経済政策だ! キーアの力を背景に脅しているだけの恐怖政治じゃないか!」

ロイド
「ノエル、君だってもうとっくに気付いているはずだ……
 《赤い星座》にクロスベル市を襲撃させた真の黒幕の事も、フランを――君の妹を誰が傷付けて誰が救ってくれたのかも」

ノエル
「それでも!
 それでも私は警備隊のメンバーですから! それが《国防軍》に名前を変えた以上、軍人として責務を果たすだけです!
 そうしないとクロスベルは……クロスベルは帝国と共和国に本当に滅ぼされてしまう!」

クルト
「っ――ふざ――」

ロイド
「やめろクルトッ! ノエルもそれ以上はやめてくれ」

 


結社の三人

アリアンロード
「…………始まりましたね」

カンパネルラ
「ふふ、クロスベルの《零》とリィン・シュバルツァーの《雲》。どっちが勝つか見物だね」

ノバルティス
「《雲》はその力を《鋼》と同じように七分割していることを考えれば、圧倒的に《零》の方が有利だろう……
 現段階で《零の至宝》の力は消えた《幻の至宝》に匹敵している。更にはオリジナルが持っていなかった潜在能力まで垣間見せつつあるからね」

アリアンロード
「聞き捨てなりませんね……
 リィンにはノーザンブリアで得た《幻》と《塩》の力も宿っています……
 更には《零の御子》とは違って潜り抜けてきた場数が違います。例え《雲》が不完全だったとしても遅れを取る道理はありません」

ノバルティス
「ほう……聖女殿はいつになく饒舌ですなぁ」

カンパネルラ
「何って言っても聖女様は“超帝国人”のファンだもんね」

アリアンロード
「別にそういうわけではありませんが……」

ノバルティス
「ふふ、果たしてどちらの至宝が更なる進化を遂げるか……
 人と神を繋ぐ究極のインターフェイスたり得るのか、見定めさせてもらおう」

カンパネルラ
「ウフフ……博士、ノリノリだね」

ノバルティス
「そういう君もガレリア要塞に導力カメラを配置していたそうではないか?」

カンパネルラ
「それはもちろんこれも《幻焔計画》を正確に見届ける必要があるからね」




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