(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~ 作:アルカンシェル
こちらのIFルートは現段階で終盤の一部シーンの抜擢になります。
重大なネタバレを伴いますので、それが嫌な方はここで戻って下さい。
既に限定内で投稿してみたものですが、否定的な意見はなく、この未来が待っているなら今後の酷い展開も耐えられるという意見を頂いたので通常投稿してみようかと考えました。
閃Ⅰ開始時点から考えていた展開で、そこに辿り着くまでにあとどれ程掛かるか分からない。
煮詰め過ぎている思考をブラッシュアップしてこれを更に超えるネタを出すためにあえて投稿させてもらったものになります。
重ねて言いますが、ネタバレが絶対に嫌だと言う人はここで戻って下さい。
一つ言える事は、やはり彼は超帝国人でした。
「女神よ。どうか俺に人を信じさせてください……
ノイ、リン、ナユタ……そしてキーア……見ていてくれ。これが“人間”だ」
*
『外部からの干渉により《デウス・エクセリオン》の機能が停止。
封印機構の喪失により、異空間へと封じた《鋼》は《七の騎神》を起点に現世へと復帰します』
黄昏が始まるその日、世界が忘れた破滅が目覚める。
「ここは……?」
気付けばオズボーンは何処までも広がる空と海の狭間に立っていた。
「私は確か……戦っていたはず……何故こんなところに?」
何故こんな場所にいるのか理解できずオズボーンは困惑する。
「ドライケルス?」
その困惑の中、同じような戸惑いを声に宿した女の声にオズボーンは振り返る。
「リアンヌ……?」
「これはいったいどういう事でしょう? 私たちは“相克”を始めたはずなのに」
「分からん。いや、これが“相克”の末路なのかもしれない」
戦いの結果がどちらが勝ったのかは覚えていないというのは別に珍しいことではない。
それだけ激しい戦闘だったのだと、彼女との“相克”ならばと理解できる。
「つまりこれは“相克”における最後の逢瀬と言うことでしょうか……しかし……」
どこか納得がいかずにリアンヌは言葉を濁す。
それもまたオズボーンも同じだった。
「…………だがしかし、結局何も変えられなかったか」
困惑を脇に置き、澄み渡った蒼穹の空を見上げてオズボーンは愚痴を漏らす。
息子の命を繋ぐため、《黒》に膝を屈しながらも未来の若者たちが自分を乗り越えてくれるとはずだとそう願っていた。
前世の系譜のであるセドリックも《緋》を乗りこなし、仇敵だったエンド・オブ・ヴァーミリオンを使いこなすに至った事実は感慨深い。
今世で父と慕ってくれるようになったルーファスも、あまりある才覚から孤立していた彼も絆を繋ぎ、人としての器を広げ、最高の格である《金》に恥じないだけの成長を見せてくれた。
《蒼》も《紫》も、そして《灰》もかつてよりも遥かに強くなった。
「ですが、それでもまだ足りませんでしたね」
無念と言わんばかりにリアンヌは目を伏せる。
あらゆる手を尽くしたはずなのに、結局《黒の史書》の預言を覆すことはできなかった。
記憶は定かではないが、本能的にリアンヌは負けたのだと無力感に苛まれ、落ち込む。
オズボーンもまた胸に空虚を感じて――違和感に気付く。
「これは……」
「ドライケルス?」
そんなオズボーンにリアンヌは首を傾げ――
「大丈夫」
二人はその声に振り返る。
「なっ!?」
「貴女は……」
絶句する二人にその女性は微笑み、無造作に歩み寄る。
それは武人ものではない。
ただの街娘に過ぎない歩み寄り。
にも関わらず、歴戦の戦士であるオズボーンとリアンヌは反応できず、女性は手を伸ばし二人を子供にするようにまとめて抱き締める。
「大丈夫、あの子を信じて上げて」
「カ……カーシャ……」
オズボーンは嗚咽を漏らすようにその名前を呟く。
これは夢だと言い聞かせる。
《黒》が自分の全てを掌握するための汚い罠だと言い聞かせるが、彼女の温もりは鋼にしていた彼の心に亀裂を走らせる。
「人を繋ぐのはオーブメントでも、貝殻でも、呪いでもない。貴方達はそれを知っているはずよ」
「カーシャ殿……何を?」
「この人のことをよろしくね」
戸惑うリアンヌに女は微笑みを向ける。
二人はその抱擁にただ立ち尽くし――幸福に満ちた《福音の夢》から覚める。
「どうか空を見上げて、想って上げて。あの子が世界に撒いた言葉を――」
*
「っ――ここは!?」
目を覚ますとそこは《黒》の中だった。
「今のは……夢か……? くっ――」
最後の戦いの中、いくら感慨深くても、いくら現実逃避をしたくても亡き妻の白昼夢を見たことにオズボーンは恥じる。
「…………ドライケルス?」
戸惑いの声が近くから聞こえる。
《黒》の顔を上げればすぐ目の前に《銀》がいた。
「っ――」
慌てて距離を取ろうとしたが、霊力が尽きていたのか反応は鈍く、騎神はその反射に動かない。
もっともそれは目の前の《銀》も同じなのか、無防備な《黒》に攻撃を仕掛ける様子はない。
「今の夢はいったい……?」
「夢……? まさか……」
リアンヌの呟きにオズボーンは直前に見た白昼夢を思い出す。
「……そうだ。“相克”を始めようとした瞬間、黒い光が――っ!?」
「何ですか……あれは?」
振り返るとそこには太陽と見間違う巨大な光があった。
起動者だからこそ本能的に分かる。
あれは人の手に負えられるものではない。あれこそが《鋼》だと。
そしてそれだけでは終わらない。
大地から七耀の光の帯が溢れ、折り重なり“大樹”となって《鋼》へと繋がる。
「っ――」
「これは――」
それを合図に《鋼》が膨張する。
世界大戦のために用意されたオーブメントの導力を――
“闘争”と“夢”からなる人の想念を――
騎神や機神の霊力さえも――
福音の光を持って一つの《黒き大樹》として《鋼》へと注ぎ込む。
手に負えないと思っていた“力”がさらに増すのを感じる。
「それがお前の答えなのか……?」
「世界を焼き尽くす……《黒》に支配された世界になるくらいなら……しかし……」
《鋼》の中の《焔》が《空》をふいごにしてさらに燃え上がり、際限なく“熱”を上げて行く。
見間違うのではなく、もはや地上に現れた太陽と言って差し支えない程に大きく膨れ上がった《鋼》の絶望に二人は立ち尽くし――その音が響く。
「これは……」
「鐘の音……?」
それはまるで鉄を叩くような《槌》の《鐘》の音。
一つ、音が響くと膨張を続けていた《鋼》が止まる。
二つ、音が響くと《鋼》はその姿を変える。
「まさか……クロスベルの鐘……?」
リアンヌは膨張とは逆に、鐘の――槌の音が響くと共に収縮して行く《鋼》に目を剥く。
世界に響く幻の《鐘》が響く度に、《鋼》はその姿を変え、《鋼》の内から澱みが消えていく。
「まさか至宝の錬成を大陸規模で行うと言うのですか!?」
「では先程の黒い光は《ゴスペル》か!?」
リアンヌの呟きにオズボーンは驚愕の声を上げる。
二人の驚愕を他所に錬成は進む。
《幻》の鐘が《大地》の槌に代わって鉄を打つ。
《空》が集めた力は《焔》にくべられる鉄を燃やす。
それはまさしく《幻焔計画》と呼ぶに相応しい儀式。
ただ二人は間の抜けた顔を晒して、空を見上げ――
オズボーンは――
リアンヌは――
世界中の人々は――夢の言葉をその口にもらす。
世界の人々を繋ぐ、彼が撒いた言葉……
「この地に平和を――」
「――そして慈しみを……」
《空》から《幻》へ――
《幻》から《鋼》へ――
《大いなる黄昏》を経て《鋼》は錬成され、ここに預言は成就する。
そして《鋼》は終わった預言の先に踏み出し――《雲》が夢を繋いで人の願いを繋ぐ。
《巨いなる一》と《形なき虚無の零》が合わさり、ゼムリアの全ての人々の“願い”の中から生まれる。
閃の至宝――世界を呑み込む竜にして白の騎神《ラグナロク》。
その頃のオルフェウス計画さん
旧幻焔計画さん(代理う゛ぃーた・くろちるだ)
「あああああああああああああああああああああああああっ!」
進行中幻焔計画さん(代理マリアベル・クロイス)
「こひゅー……こひゅー……こひゅー」
世界の可能性を期待されている永劫回帰さん(代理カンパネルラ)
「こんなのあり? っていうかこれ以上を求められるの?」
元ファン一号で記憶喪失だった紳士さん
「くぁwせdrftgyふじこlp」
盟主さま
「これが人の可能性……」
ワイスマン
「その顔が見たかった!」
ちょっと解説
これが自分の中にある騎神のマークアレス化、ザルヴァートル化です。
現時点での自分が考えるグランドルートへの彼の幻焔計画。
中心に配置した材料はティルフィングSと《零の騎神》。
世界大戦を開始と同時にゴスペルでキャンセル。
開始5秒で無理矢理停止させ、世界の導力、人の想念、騎神と機神の霊力全てをゴスペルで徴収し、《空》を《焔》にくべています。
続けて《大地の槌》を《幻の鐘》が代行し、試行と鍛錬を繰り返し、《鋼》の不純物を取り除いています。
これにて《真なる鋼》は完成し、史書の預言は成就されました。
が、ここからさらに《真なる鋼》は《雲》を――つまりは《水》と《風》を仲介して人々の夢――願いと繋げて《閃の至宝》として完成しました。
前書きでも書きましたが黎を始め、今後出るだろう軌跡シリーズの設定によっては更なるブラッシュアップを望むつもりです。
「人を繋ぐのはオーブメントでも、貝殻でも、呪いでもない」
「この地に平和と慈しみを――」
知っている人も多いヒューマノイドタイフーンの一幕。
ある意味、閃Ⅳのラストシーンに全力で喧嘩を売る言葉でもありますね。