(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~   作:アルカンシェル

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 今回の話で体験版は終了となります。
 以降の連載については未定となります。

 改めて、これまでお付き合いいただきありがとうございました。

 また日刊一位、ありがとうございます。





2話 オリエンテーリング

 

 

「クッ……何が起こったんだ……?」

 

「いきなり床が傾いて……」

 

 マキアスと眼鏡の女子が身を起こす。

 

「やれやれ、不覚を取ってしまったな」

 

「ここは先程の建物の地下か……」

 

「フン……下らん真似を」

 

 ラウラと長身の男子、そしてユーシスが立ち上がり、広い空間を見回す。

 

「はああ~っ……心臓が飛び出るかと思った」

 

 赤毛の男子、エリオットは胸を押さえて半身を起こす。

 そこに滑り台となった壁面からフィーとクリスが危なげなく着地した。

 

「……ふぅ」

 

「大丈夫ですかリィンさん……」

 

 追い付いたクリスは派手に落ちたリィン達の身を案じるが、そこには仰向けになったリィンに上から顔に胸を押し付けるように覆い被さるアリサの姿があった。

 

「こ、これは……やっぱりあの記事は本当だったのか!」

 

 そんな二人の姿を見てマキアスが憤る。

 

「ううん……何なのよ、まったく……」

 

 転がり落ちたものの怪我らしい怪我はなく目を回しただけのアリサはようやく顔を上げ今の自分の態勢に気が付く。

 

「なっ――」

 

 慌ててアリサが飛び退くとリィンは立ち上がる。

 

「今回は俺のせいじゃないと思うんだけど――」

 

「~~~~~~~~っ~~~~~~~~」

 

 一応の弁明をするが、顔を羞恥で真っ赤に染めたアリサはその衝動を抑え切れる様子ではなかった。

 ルーファスの教えを思い出しアリサに向き直る。

 

「いや弁解はしない。一発、張り飛ばしてくれて構わない」

 

「っ――」

 

 リィンの許可が出てしまったこともあり、アリサは我慢しようとしていた右腕を振りかぶって、リィンの頬をいつかの夜の時のように叩くのだった。

 

 

 

 

「災難でしたね、リィンさん」

 

「俺もまだまだ未熟だったということだろ。ルーファスさんならきっとあの状況でも完璧な対応ができただろうしな」

 

「っ――」

 

 慰めるクリスの言葉にリィンはとりあえず自分の未熟のせいにしてその場を治める。

 ルーファスの名前に反応している男子がいたが、リィン達は気付かずに爆発の気配を感じて彼の方を振り返る。

 

「アルゼイド!? 確か子爵家の名前じゃないか!?」

 

 リィンの言葉はマキアスの叫びに掻き消される。

 

「私の父がその子爵家の当主だが、何か問題でもあるのか?

 自己紹介をしようというから名乗ったまでだが」

 

「い、いや……」

 

 毅然としたラウラの態度にマキアスは狼狽える。

 

「エマといいます。エマ・ミルスティン。辺境出身で奨学金を頼りに入学しました」

 

「ガイウス・ウォーゼルだ……帝国に来て日が浅いから宜しくしてくれると助かる」

 

 眼鏡の女子と、長身の男子がそれぞれ名乗り、赤毛の男子もそれに続く。

 

「僕はエリオット・クレイグだよ」

 

「どうした? そなたらも自己紹介くらいした方が良いのではないか?」

 

 ラウラ達はまだ名乗っていない者たちを促す。

 

「俺はリィン・シュバルツァーだ。顔見知りが何人かいるけど、改めてよろしく」

 

「僕はクリス・レンハイムと言います。これからよろしくお願いします」

 

「アリサ・R……ルーレ市からやって来たわ」

 

「フィー・クラウゼル……フィーでいいよ」

 

 そして一同の目は未だに名乗っていないユーシスに向く。

 

「ユーシス・アルバレア……《貴族風情》の名前ごとき覚えてもらわなくても構わんが」

 

「し、《四大名門》!?」

 

「アルバレア公爵家……大貴族中の大貴族ね」

 

「っ――だからどうした!? その大層な家名に誰もが怯むと思ったら大間違いだぞ!」

 

 ユーシスの挑発を含んだ名乗りにマキアスは過剰に反応して騒ぎ出す。

 

「また同じことを言っている」

 

 その姿にクリスは顔をしかめる。

 

「気にするな。敵に話が分かる相手もいれば、必ずしも味方が全員仲良くなれるわけじゃない……

 彼はああいう人間だという事だ」

 

 リィンは冷静にマキアスの人柄を分析して受け入れて彼の理不尽な罵倒を聞き流す。

 平民と貴族で立場は違うが、リィンの目にはマキアスが父を誹謗中傷して貶めた貴族と同じように映る。

 

「リィンさんって……意外とドライですね」

 

「そうか? 少なくとも友好的じゃない相手とはあまりお近づきになりたくないのは普通のことだと思うけどな」

 

 現にリィンだけではなく、平民であるエリオットやエマもマキアスの暴言に顔をしかめている。

 一見すれば、ユーシスの不遜な態度がマキアスの暴言を助長させているが、それを差し引いてもマキアスの態度は目に余る。

 

「これも《呪い》……いや、それは穿ち過ぎか」

 

 リィンの呟きを他所にマキアスはさらにヒートアップする。

 

「ぐっ――何様のつもりだ!? その傲岸不遜な態度は!?

 君たち貴族はみんな同じじゃないか! 特にアルバレア公爵家といえば、帝国で一、二を争う大貴族……

 さぞ僕たち平民のことを見下しながら生きているんだろう!?」

 

 勝手なマキアスの言葉にユーシスは肩を竦める。

 

「そんなことをお前に言われる筋合いはないな。レーグニッツ帝都知事の息子……

 帝都ヘイムダルを管理する初の平民出身の行政長官。ただの平民と言うには少しばかり大物過ぎるようだな?」

 

「だったらどうした!?

 父さんが帝都知事だろうとウチが平民なのは変わらない! 君たちのような特権階級と一緒にしないでもらおうか!?」

 

「別に一緒にはしていない。だが、レーグニッツ知事といえば、かの《鉄血宰相》の盟友でもある“革新派”の有力人物だ」

 

「っ……」

 

「そして宰相率いる“革新派”と四大名門を筆頭とする“貴族派”は事あるごとに対立している。ならば――」

 

「そこまでだ」

 

 見兼ねてリィンは二人の間に割って入る。

 

「それ以上は言い過ぎだ。それにレーグニッツもいい加減頭を冷やせ」

 

「なっ……何で君にそんなこと言われなくちゃいけないんだっ! 君には関係ないだろっ!」

 

「さっきまで人を罵っておいて関係ないはないだろ。二人がいつまでもそうしているとオリエンテーリングが始まらないだろ」

 

「っオリエンテーリングなんて……僕は《Ⅶ組》なんて認めないぞ!」

 

「文句があるならサラ教官に直接言うんだな。ここで俺達に八つ当たりをしても何も始まらないぞ」

 

「偉そうに……たまたま貴族に拾われて、たまたま皇族の方の目に留まっただけで特別な人間になったつもりか!?」

 

「レーグニッツ……いい加減にしないと怒るぞ」

 

「ふん、図星か……聞けばシュバルツァー家は皇族から特別扱いをされている男爵家みたいじゃないか……

 それに君の妹はアルフィン殿下と懇意にしている。一家揃って権力に取り入るのが得意みたいだな」

 

「あ……アリサさん、こっちに!」

 

「え……何……?」

 

「ん、緊急避難」

 

 これ以上ない危険を感じてクリスはアリサの手を引いてとにかく少しでもその場から離れ、フィーがそれに同調する。

 そしてリィンは大きな息を吐くと、マキアスを睨み付けた。

 

「レーグニッツ……何様のつもりだ。その傲岸不遜な態度は?」

 

 彼がユーシスに言った言葉をそのままマキアスに返す。

 

「ぎっが――か……からだが……」

 

「ぐっ……」

 

「これは――空間ごと束縛する魔眼の戦技!?」

 

 リィンに睨まれ金縛りでマキアスは体の自由を縛られる。

 そして避難が遅れた者たちは直接睨まれた彼ほどではないが、そのとばっちりを受ける。

 

「なあ? どうして今日初めて会ったばかりの君に俺やユーシスはそんな暴言を浴びせられなくちゃいけないんだ?

 まあ、俺は別にどんなことを言われても良いが、親兄妹のことを話題に出すなんて余り品が良いとは言えないぞ」

 

「あ……あ……」

 

 声を荒げて怒鳴り返されたわけではない。

 あくまで穏やかにリィンはマキアスに話しかけるが、蛇に睨まれた蛙のようにマキアスは竦み上がる。

 金縛りに動きを縛られてなければ、もしかしたらその場にへたり込んでいたかもしれない。

 

「君がどうしてそこまで貴族を嫌悪して見下しているのかは知らないが、誰もが君の暴言に寛容だなんて思うなよ……

 君が否定しようが関係ない。君のその傲慢な態度は《鉄血宰相》や君のお父さんの権威を笠に借りたものでしかない」

 

「ふ、ふざけるな……そんなわけ――」

 

「君への評価を決めるのは君じゃない。周りの人間だ」

 

 マキアスの反論をリィンは切って捨てる。

 

「君はもう十七歳なんだろ?

 十七歳ということはその気になれば遊撃士にもなれるし、それより前からプロの現場で働いている女の子だっている……

 まだ学生なんだから、子供だから大目に見てもらえるなんて思っているなら大間違いだ」

 

「い、言わせておけばぺらぺらと勝手なことを……貴族風情に言われる筋合いはない!」

 

 せめてもの抵抗にマキアスは口だけで反抗するが、最初の時ほどの勢いはもうそこにはない。

 そんなマキアスにリィンはもはや呆れるしかない。

 

「貴族風情か……君はあれだな。自分の価値観だけが全てで絶対的に正しいと思っている。まるで《貴族》みたいだ」

 

「ぼ……僕が……貴族……だと?」

 

 まるで突然水を掛けられたかのようにマキアスはオウム返しに繰り返す。

 

「まあ、そこら辺はどうでも良いんだけど……マキアス・レーグニッツ」

 

「っ……」

 

 それまで穏やかに威圧していた気の質が変質する。

 

「父さんやエリゼが何だって? 権力に取り入るのがうまい? はは、面白いことを言うじゃないか」

 

 リィンが浮かべた笑みにマキアスは震え上がる。

 ようやく自分が虎の尾を踏んでしまったことを悟るがもう遅い。

 助けを求めるように視線を周りの者に向けるが、たまたま視線が合ったエマやエリオットは関わり合いたくないと言わんばかりに目を逸らす。

 

「なあ、マキアス……もう一度言ってくれないか?」

 

「ぼ、僕は…………僕は……」

 

 いつもなら相手の威圧など気にも止めずに捲し立てるのに言葉が出て来ない。

 

「はいはい、そこまで」

 

 しかし、そこに救いの女神が現れた。

 

「サラさん、どうしてここに?」

 

「どうしても何も、いつまでも貴方達がおしゃべりしていて話が進まないから降りて来たのよ。ほら、とりあえずその魔眼をやめなさい」

 

 滑り台で降りて来たサラはリィンが放つ威圧感に物怖じせずに場を取り仕切る。

 リィンは肩を竦め、息を吐いて魔眼を閉じ、エリオット達に頭を下げる。

 

「巻き込んですまなかった」

 

 やれやれと肩を竦めて、サラは一同を見回す。

 

「説明は後でまとめてするつもりだったけど、このオリエンテーリングは貴方達が《Ⅶ組》に参加する最終テストでもあるのよ……

 その上で、貴方達の意志で参加するかを決めさせるわ。これは強制ではないから安心しなさい」

 

 サラはちゃんと話を聞いているかを確認して続ける。

 

「オリエンテーリングの内容は至って簡単、各自この先のダンジョン区画を抜けて旧校舎一階に戻ること……

 この部屋には貴方達から預かっていた武具と特別なクォーツを用意してあるから、それで戦術オーブメントを起動しなさい……はい、駆け足」

 

 時間が押していると言わんばかりにサラは一同を急かす。

 リィンは迷うことなく歩き出し、自分の太刀を回収し二本の太刀を装備して、クォーツをポケットにしまう。

 リィンに遅れ、クリス達もそれに続いて身支度を整えていく。

 

「ダンジョンには魔獣が徘徊しているから気を付けなさいよ……

 それからリィンとフィー、貴方達二人はハンデとしてここで三十分待機してから二人で出発しなさい」

 

「分かりました」

 

「はぁ……メンドクサイ」

 

 即座に頷くリィンに対してフィーは欠伸交じりに了承する。

 

「それでは、これより士官学院・特化クラス《Ⅶ組》の特別オリエンテーリングを開始するわよ」

 

 サラの音頭で身分に関係なく集められた彼らの最初の戦いが始まった。

 

 

 

 

「待ってください! いきなりどこへ……まさか一人で勝手に行くつもりですか!?」

 

 サラの言葉少ない説明に困惑の空気が流れている中、台座が一番ダンジョン区画への唯一の出入り口に近かったユーシスが我先にと動き出し、クリスが呼び止めた。

 

「馴れ合うつもりはない。俺は一人で十分だ」

 

「何を言っているんですか、魔獣が徘徊しているって言われたばかりなのに」

 

「フン……魔獣が恐いのであれば同行を認めなくもないがな……

 武を尊ぶ帝国貴族としてそれなりに剣は使えるつもりだ。お前はどうやら貴族のようだが、力のない者に手を差し伸べてやらんでもないぞ」

 

「なっ――」

 

 上から目線の不遜な態度にクリスは絶句する。

 完全な上から目線の物言いに全く経験がないわけではないのだが、《聖女》や《黄金の羅刹》《赤の戦鬼》のような圧倒的なカリスマを持つ者たちと違って侮辱としか取れない言葉にクリスは言葉を失う。

 

「フン……」

 

 たじろぐクリスにユーシスは興味を失い、踵を返して進もうと歩き出す。

 

「待ってくださいっ!」

 

「何だ……?」

 

 虫の居所が悪いと言わんばかりの表情で振り返るユーシスにクリスは思わず怯む。

 

「フン……」

 

 そんなクリスを一瞥するだけでユーシスは今度こそ、先に進んでしまった。

 

「私も先に行かせてもらおう」

 

 そしてユーシスに続いて動き出したのは大剣を腰に佩いたラウラだった。

 

「ラウラさんまで!?」

 

「この程度のダンジョン、私も一人で十分だ」

 

 ラウラは後ろで待機するリィンとフィーの二人を一瞥してから歩き出した。

 

「あ……」

 

 背中から発せられる邪魔をするなという気迫にクリスは呼び止めることができずにその背を見送ってしまう。

 そしてそれはクリス達だけではなく、他の者たちも同じだった。

 

「…………えっと……」

 

「ど、どうしましょう……?」

 

 魔導杖を抱えたエリオットとエマが途方に暮れた言葉を漏らす。

 

「ふむ……」

 

 ガイウスは特に何も語らず、様子を見ている。

 そして、先程までの激しさが嘘のように静まり返ったマキアスは俯いて何も言わず、アリサも特に動こうとはしなかった。

 

「っ――」

 

 クリスはどうして良いか分からず、リィンに顔を向ける。

 しかし、返って来たのは首を横に振る否定。

 フィーとサラも完全に傍観に徹していて宛にできそうにない。

 

「と、とにかく僕達も動きましょう。えっと……えっと……」

 

 改めて行動しようとするが、いざそうなると何から始めれば良いのか迷う。

 

「クリス」

 

 リィンの名を呼ぶ声が耳に響く。

 続く言葉はなく、振り返ってもリィンはそれ以上動こうとはしない。

 が、それでもクリスは我に返って深呼吸をする。

 

「まずは皆さんの武器を確認させてください」

 

 まずは冷静に自分たちの状況を把握する。

 

「僕は見ての通り剣を扱います」

 

「俺の得物はこの十字槍だ」

 

 クリスの行動にガイウスが倣う。それを皮切りにエリオット、エマ、アリサと続く。

 

「僕のは新しい技術を使った武器で《魔導杖》って言うんだって、入学時に適性があるって言われたから使用武具として選択したんだけど……」

 

「私もエリオットさんと同じです。でも形状が少し違いますね」

 

「あたしは導力仕掛けの弓を使うわ」

 

 そして、一同の視線は残ったマキアスに集まる。

 

「ぼ、僕の武器はこのショットガンだ」

 

 六人の武器を確認したクリスは改めて思考を巡らせて――

 

「すまないが、身分を聞いても構わないか?」

 

「は?」

 

 先程のやり取りの後だというのに臆面もなくそんなことを言い出したマキアスにクリスは耳を疑った。

 

「いや……その含むところがあるわけじゃないんだ……相手が貴族かどうか念のため知っておきたくてね」

 

 一応の恥を感じているようだが、全くのフォローになっていない言葉にクリスは言葉を失う。

 

「えっと……ウチは平民出身だけど」

 

「同じく……そもそも故郷に身分の違いなど存在しないからな」

 

「なるほどそういえば留学生だったか……君の方は?」

 

 応えてくれたエリオットとガイウスに気を良くしたのか、マキアスは不躾な眼差しをクリスに向ける。

 その目が、尊敬するリィンと兄を誹謗中傷したと思うとクリスは我慢をすることができなかった。

 

「レンハイム家は男爵家だけど、皇族にシュバルツァー家よりも縁が深い家柄だ。これで満足か」

 

「っ……やっぱり貴族か」

 

 含むところはないと言ったはずなのに、その一言は兄から借りた《家名》を侮蔑されたようでクリスはマキアスを睨み付ける。

 

「それの何が悪い! 何が含むところはないだ! 

 そんな反応しておいて、そもそも聞くこと自体に含みがあるって言っているようなものじゃないか!」

 

「勝手に決めつけるな! 僕はそんなつもりはないっと言ったはずだ!」

 

「本気でそれが通用すると思っているのか!?」

 

 マキアスが怒鳴る声に合わせてクリスも声を荒げる。

 

「はい、そこまでだ」

 

「ぐ……リィン・シュバルツァー……」

 

 音もなく二人の間に立ったリィンにマキアスは狼狽して後退るが、リィンはそれを無視して強引に話を進める。

 

「埒が明かないから、班を二手に分けよう……

 クリスとエマとエリオットで組むといい。クリスの実力は保証するし、クリスは魔導杖を使う知り合いがいるから、色々とアドバイスが聞けるはずだ……

 アリサは悪いがガイウスとレーグニッツで組んでくれ。ガイウスには身内の恥を押し付けるようで悪いんだけどこの中で前衛を務められるのは――」

 

「恥とは何だ!? だいたい何で君が勝手に――」

 

「うるさい」

 

「っ――」

 

「ここは安全な街の中じゃない。魔獣が徘徊している危険なダンジョンだ……

 君の勝手な行動は自分だけじゃなく仲間を危険に晒すんだ。それも分からないのか?」

 

「っ……ぐ……ぐぐ……そうやってお前達はいつも平民を見下して――」

 

「そんなことは聞いていない……分かっているのか、分かってないのか、どっちなんだ?」

 

「くそっ……勝手にしろ!」

 

 睨まれたマキアスは逃げるように踵を返して駆け出した。

 

「あ、ちょっと!」

 

「ふむ……とにかく俺達も行くか」

 

「すまない二人とも、もしも手に負えないようだったら声を上げて呼んでくれ。すぐにフォローに行くから」

 

「え、ええ……分かったわ」

 

 リィンに話しかけられてアリサは身構えながら頷く。

 そしてガイウスは特に気を悪くした素振りもなく鷹揚に頷いた。

 

「気遣い感謝する。それにしても帝国では身分はかなり重要らしいな」

 

「古い国だからな、それでもあそこまで敵愾心を持っているのは珍しいと思うけど……

 ダンジョンの構造はそれ程複雑じゃないし、徘徊している魔獣もそこまで強くはない。それでも油断だけはしないでくれ」

 

「重ね重ね感謝する……それにしてもどうしてダンジョンの構造が?」

 

「風の流れや音の反響で大まかに判断しているだけだ。それに滑り落ちている時間も然程長くはなかったからな」

 

「そうか……風か……」

 

 リィンの言葉にガイウスは考え込む。

 

「ガイウス……どうかしたか?」

 

「いや、何でもない。リィンとはもう少し語り合いたいが急がないと彼に追い付けなくなってしまうな」

 

「はは、オリエンテーリングが終わったら話をする時間なんていくらでもあるさ」

 

「確かにそうだな……ではすまないが、行かせてもらう」

 

 ガイウスは残った一同にそう言うと先に駆け出したマキアス達を追い駆けるために走り出した。

 

「…………風と音で……分かる?」

 

「い、いえ……全然分かりません」

 

 残されたエリオットとエマはどちらともなくシンパシーを感じるのだった。

 

 

 

 

 

「はあ……先が思いやられるわね」

 

「そう思うなら少しくらいフォローしたらどうですか?」

 

 ようやく出発したクリス達を見送ってサラは疲れたため息を吐いた。

 

「調書には確かに貴族への偏見ありってあったけど、あそこまで誰彼かまわずに噛みつくのは予想外よ」

 

 直前までのマキアスの態度を思い出してサラはげんなりと肩を落とす。

 

「ユーシスの方は相手を立てることをちゃんと知っているみたいだから、そっちは思っていたよりもマシだけど」

 

「え……あれで立ててるの?」

 

「あの程度の皮肉なんて貴族の世界じゃ挨拶みたいなものじゃないの?」

 

 意外そうな反応をするフィーにサラは適当なことを言う。

 

「それはそうと、改めて久しぶりねリィン。生きてまた会えて嬉しいわ」

 

「はは、その節は御心配をおかけしてすいませんでした」

 

「全くよ……おかげで後々の祝賀会は今一つ盛り上がらなかったんだから」

 

「それはみんなに言われました」

 

「それで、どうやって浮遊都市から生き延びたのよ。それに今まで何をしていたのかしら?」

 

「話してもいいですけど、良いんですか?」

 

「別に構わないわよ。この程度のダンジョン、あたしが本気を出せば一分で走破できるんだから」

 

「勝った……わたしなら50秒で駆け抜けられる」

 

「へえ……言うじゃないフィー」

 

「二人とも喧嘩しないで下さいよ」

 

 とはいえ、ただ三十分を待つのは暇なのでリィンはサラにこれまでのことを話す。

 そして――

 

「ふ~ん……あの殲滅天使と一緒にクロスベルに行ってたんだ。この《ロリコン》」

 

「はは、いきなり人をロリコン呼ばわりしないでください。《ファザコン》のサラおばさん」

 

 笑い合う二人の間の空気が帯電し、段々と熱を帯び始めると、その様子に危険を察知したフィーはこそこそと壁際まで退避する。

 

「……………」

 

 サラは無言でブレードと銃を取り出す。

 

「……………」

 

 リィンは無言でゼムリアストーンの太刀を抜く。

 

「私はまだ二十五よっ! ノーザンイクシードッ!」

 

「誰がロリコンだっ! 終の太刀――暁っ!」

 

 次の瞬間ダンジョンが激震した。

 

 

 

 

 ダンジョンの終点、日の光が差し込んだ扉が階段の先に見える広い空間では今まさに激しい戦いが繰り広げられていた。

 

「くっ――」

 

 石造りの怪物――ガーゴイル。

 その外皮はラウラが振り回す大剣でも毛ほどの傷しか付かず、その傷も瞬く間に修復されていく。

 

「なんて硬さだ!」

 

「ちっ――ARCUS駆動……喰らえエア・ストライク」

 

 共闘していたユーシスは風の導力魔法を繰り出すが、風の弾丸を物ともせずにガーゴイルは二本の角を突き出して突進した。

 

「――くっ!」

 

 大剣を盾に受け止めるが、突進の勢いを止め切れずラウラは弾き飛ばされる。

 壁に叩きつけられたラウラをガーゴイルは追い駆け、大きな顎を開いて噛みつく。

 

「させるかっ!」

 

 ユーシスはまだ動けないラウラを横から蹴り飛ばして、眼前に迫った顎に剣を噛ませる。

 

「――なんて力だっ!」

 

 人間を遥かに超える膂力は少しでも力を緩めれば手から剣をもぎ取られてしまう。

 しかも、大きな体躯がユーシスに覆い被さり石造りの体の重量にユーシスの腕に圧し掛かる。

 

「はあっ!」

 

 押し切られるその寸前、ガーゴイルは横から槍の一撃を受け、ユーシスの痺れ始めた腕から剣をもぎ取りながらわずかによろめく。

 

「下がりなさいっ!」

 

 声と共に矢が飛来してガーゴイルに迫る。が、石の翼が巻き起こした突風が真っ直ぐ飛んで来た矢を吹き飛ばす。

 

「導力銃のリミットを解除――喰らえ――《ブレイクショット》!」

 

「ARCUS駆動――当たってアクアブリード!」

 

 マキアスのショットガンとエリオットの水の導力魔法が重なってガーゴイルを突き飛ばす。

 

「はあああっ!」

 

 そこにすかさずクリスが剣を叩き込み、さらに突き飛ばしてユーシスとラウラからガーゴイルを放す。

 

「二人とも大丈夫ですか!?」

 

 悔しそうに顔をしかめて膝を着いたユーシスと大剣を杖にして立ち上がったラウラにエマが駆け寄って治癒術を掛ける。

 

「問題ない……」

 

「く……石の守護者……暗黒時代の魔導の産物がまさかこれ程とは」

 

 呼吸を整えユーシスとラウラはエマの治癒術を拒むように立ち上がる。

 ユーシスはガーゴイルが捨てた剣を拾いに向かい、ラウラは気合いの篭った雄叫びを上げ、クリスとガイウスが並ぶ前線へと突撃する。

 

「最初の番人……侵入者迎撃用のガーゴイルがどうしてこんなに強化されているの? まさか力のリミッターが故障している?」

 

 そんな彼らを所在なさげに見送ったエマは七人の数の暴力を物ともしない石の守護者に訝しむ。

 この旧校舎には特別な存在が封印されている。

 そのガーゴイルはそれを持つ者を選別する最初の試練であり、相応しくないものを撃退する存在。

 とはいえ、製作者も無用な殺傷は望まず、さりとて最初だからこそ簡単な試練ではいけないと、ある工夫をした。

 それは簡単に言えば、侵入者の力量に合わせて、ガーゴイルの力量も変化するシステム。

 

「おばあちゃんは入った人達といい勝負ができるくらいに設定してあるって言ってたけど……」

 

 ほとんど一方的に暴れているガーゴイルにエマはとてもそうとは思えなかった。

 

「このままじゃジリ貧だよ!」

 

 たどたどしい手付きでARCUSの導力を充填させるアイテムを使ったエリオットの泣き言が響く。

 

「こうなったら各々、全力の一撃を奴に喰らわせるしかないか」

 

「待て! 何で君が仕切るっ!」

 

 ユーシスが提案にすかさずマキアスが反発する。

 

「言ってる場合ですかっ! 僕が奴を止めます! 皆さんは準備をっ!」

 

 クリスはマキアスに罵倒を返しながら、ガーゴイルに肉薄しギアを上げる。

 焔を纏った連続突きと共に銃を抜き、《凍結》の弾丸をセットしている魔導銃を零距離から弾切れになるまで叩き込む。

 その瞬間、クリスは淡い光に包まれ繋がる感覚を得る。

 

「今です!」

 

 射線を開けるようにクリスは横に跳びながら叫ぶ。

 

「燃え尽きなさい!ファイア!」

 

 まるでクリスがそうすると分かっていたようにアリサは炎を纏った矢を弓に番えて射る。

 それを皮切りに残った六人が一斉に動き出す。

 今日初めて会ったもの同士。

 とても連携などできるわけがない。

 できてそれぞれの一撃を無秩序に重ねるだけの攻撃になるはずだった。

 しかし、何故かそうならなかった。

 

「我が渾身の一撃、食らうがよい! 奥義・洸刃乱舞っ!」

 

 アリサの炎の矢に怯んだガーゴイルにラウラの闘気を漲らせた大剣の剣舞がガーゴイルの身体を削る。

 それを耐え切ったガーゴイルはすかさず目の前のラウラに攻撃を仕掛けようとするが、ガイウスの槍とユーシスの剣が計ったように同時に捉える。

 

「もう一度喰らえ――《ブレイクショット》!」

 

 怯んだガーゴイルにマキアスが散弾を当て、さらにエリオットとエマが駆動を終わらせた導力魔法を放つ。

 

「これで――」

 

 彼らの息を吐かせない猛攻の合間に、態勢を立て直したクリスは剣に焔を全力で込める。

 

「――終わりだっ!」

 

 断末魔めいた咆哮を上げるガーゴイルの横からその太い首を狙ってクリスは全力の一撃を叩き込む。

 

「やったぁ!」

 

 一足早く勝利を確信したエリオットが歓声を上げる。

 しかし、ガーゴイルの首を捉えたクリスの剣は驚くほどに軽い衝撃を手に伝え――その刃が折れ飛んだ。

 

「え…………?」

 

 何が起きたのか理解できず、クリスは思考停止して剣を振り切った姿勢のまま固まる。

 それは他の七人も同じだった。

 勝利を確信した誰かの思考に釣られてしまったのか、残心を怠った一同は致命的な隙をさらす。

 

「あ……」

 

 呆然とクリスは目の前で振り上げられた石の腕、その先の鋭い爪を見入ってしまう。

 そして凶刃は怪物の咆哮と共に振り下ろされ――

 

「まだまだだな」

 

 前触れもなく現れたリィンが片手でその腕を掴むように受け止めた。

 

「リ、リィンさん!?」

 

「剣が折れたくらいで動揺し過ぎだ。敵はそんなことお構いなしに襲ってくるぞ」

 

「す、すみません」

 

 辛辣な言葉にクリスは思わず恥じる。

 互いに剣が折れた時、そこから立ち直る早さが勝敗を分けるとは知っていたが、知識で知っていただけだったことをクリスは実感する。

 

「って、そんなことを言っている場合じゃ――」

 

 クリスが声を上げると、ガーゴイルはもう一方の腕を振り上げ――何処からともなく小さな二本ナイフが飛来してガーゴイルの目に突き立つ。

 

「点火」

 

 次の瞬間、ナイフが爆ぜてガーゴイルの頭を吹き飛ばした。

 

「え……」

 

 振り返ったクリスに釣られて、アリサ達も振り返る。

 

「ブイッ」

 

 眠たげな眼差しのフィーがそれでも誇らしげに胸を張る。

 

「いや、それはまだ早い」

 

 そんなフィーにリィンは苦笑して、頭を失ったガーゴイルを見据える。

 

「ん? 浅かった?」

 

 フィーはその指摘に特に動揺もなく聞き返す。

 そしてリィンの言葉の通り、ガーゴイルは頭を吹き飛ばされたにも関わらず、その傷はそれまでのものと同じように修復されていく。

 

「そんなっ!」

 

「頭が吹き飛んだのに……不死身なのか!?」

 

 エリオットとマキアスが悲鳴を上げる。

 一度勝利を確信し、気持ちを緩めてしまっただけに、彼らだけではなく他の者たちも直ぐには態勢を立て直すことができないでいた。

 

「いや大丈夫だ。任せてくれ」

 

 が、慄く彼らに対して背中を向けたままリィンは、無造作にガーゴイルの前に立つ。

 

「っ――」

 

「ちっ――」

 

 その後ろ姿を前にラウラとユーシスは悔しそうに顔を歪めるが、御前試合とは違う、戦いの場でのリィンの太刀を見極めるべく集中する。

 

「まさか斬るつもりか? ラウラ君の大剣でも少ししか削れなかったのにそんな細い剣で!?」

 

「そんな無茶なっ!」

 

 リィンの無謀にマキアスとエリオットが狼狽する。

 

「あの剣……」

 

「何だ……風が……」

 

 エマは刀が鞘に納められているにも拘らず感じられる異様な気配に警戒し、ガイウスは彼独特の感覚で感じ取った空気の変化を前に悪寒で体を震わせた。

 

「お手並み拝見」

 

 何の心配もしていないと言わんばかりにフィーはその背中を見送る。

 

「ちょっとリィン……いくら貴方でも――」

 

 アリサの制止の言葉は修復を終えたガーゴイルの咆哮に掻き消される。

 衝撃波を伴った咆哮を間近で受けたにも関わらず、リィンは余裕の表情を崩さない。

 

「八葉一刀流――」

 

 その一瞬、彼に感じていた対抗心を忘れてラウラとユーシスは唾を呑む。

 そんな彼らの期待や不安を背負いリィンは――

 

「八の型――破甲拳っ!」

 

 そんな彼らの期待と不安を裏切ってリィンは太刀に手を掛けることもなく――固めた拳でガーゴイルの胸を打ち貫いた。

 

「…………え……?」

 

 誰かが間の抜けた声をもらす。

 

「お……? 思っていたよりも脆かったな」

 

 そんな言葉をリィンが漏らすと、胸を貫かれたガーゴイルはそこを中心にして全身に亀裂を走らせ――砕け散った。

 

「剣が折れたなら殴ればいい。そのために格闘術を教えたはずだろ?」

 

 そうして振り返ったリィンはクリスに向かって事も無げに言うのだった。

 

「流石ですリィンさん」

 

 音を立てて崩れたガーゴイルの末路に愕然とする一同を他所に、クリスは両手に拳を握って熱の篭った声でリィンの言葉に応えた。

 そして、数秒の間を置いて――

 

「「「「「「「「えええええっ!?」」」」」」」」

 

 一同の驚愕の声がダンジョンに響き渡るのだった。

 

 




 おまけその1

アリサ
「ど、どうなってるのよ! 二年前はペングーにやられそうになってたのに!?」

フィー
「ま、あの程度の魔獣ならわたしも楽勝だったし」

ユーシス
「……あの重い一撃を片手で……ギリッ」

ラウラ
「脆かっただと……ッ」

マキアス
「くっ……わざわざ素手で嫌味のつもりか。くそっ!」

ガイウス
「ふむ……帝国人というのはすごいのだな」

エリオット
「お願いだからガイウスまであの人を帝国人の基準にしないで」

エマ
「っ……おそらくこれで彼は起動者候補に選ばれたはず……私が見極めないと」





ヴァンダイク
「ほほう、あれほどのガーゴイルを素手で砕くとは」

ヴィクター
「私は剣を交えただけだったが、拳も中々良いものを持っているようだな」

ルーファス
「いえいえ、学院長、アルゼイド子爵閣下……あの程度の魔獣で彼の実力を試そうなど、力不足も良い所です」

オリヴァルト
「まったくその通りだね。いやーそれにしてもみんな良い反応するねえ。うんうん、初々しくて何よりだ」

シャロン
「ええ、まったくその通りですわ」(パシャパシャ)

ルーファス
「ところでメイド殿、ユーシスの写真は後ほどアルバレアに送ってくれたまえ。一枚につき100ミラ出そう」

ヴィクター
「レグラムのアルゼイドにも同じ値段で頼む。できれば一枚につき三枚ほど焼き増ししてもらえるかな? 爺や他の者にも配りたいのでな」

シャロン
「いえいえ、代金なんてとんでもない。もちろん皆様の御家族の写真は後ほど贈らせていただきます……
 ですがもしよろしければ、これからもラインフォルト社のカメラを御贔屓にしてください」




 おまけその2

クリス
「はぁ……今年新調したばかりの剣なのに、粗悪品をだったのかな?」

リィン
「こらこら、滅多なことを言うんじゃない。これまでの戦歴を考えてみろ」

クリス
「戦歴って言われても……」

リィン
「訓練とはいえ、オーレリア将軍にシグムントさん、シャーリィ、それ以外にも赤い星座の人達……
 それから向こうは木剣だったとはいえ、アリアンロードさんの《ナインライブス》を受けた剣だぞ?
 むしろここまで良く持った方じゃないのか?」

クリス
「あ……」

リィン
「それにしても良いタイミングとでも言えばいいのかな……
 なあ、クリス。この剣を使ってみるつもりはないか?
 ヨルグさんのところで実験的に作った《聖痕》を刻んだ剣なんだけど」

クリス
「翠い……翠耀石の剣?」

 タタタタ、タタタタ、タタターターン

 クリスは《風剣リヴァルト》擬きを手に入れた。


 クリス&テスタ=ロッサ予定強化案:聖痕の武具
 リィンがワイスマンの《聖痕》を作る技術を封印するのではなく、彼への意趣返しとして人様に役に立てるように利用できないか実験して生まれた武具。
 他の候補
 《炎剣ブリランテ》《雷剣エリクシル》《水双剣イクルシアン》《地槌グラティカ》《光銃ルミナス》他。

 そして唐突で、脈絡もない話ですが自分はタチコマが好きです。
 ええ、何の関係のない話です。トールズには量産型戦術殻がありますけど関係ありません。

 追伸:これだとクリスはクリスティンになってしまいますね。


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