(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~   作:アルカンシェル

23 / 156
23話 第二回実技テスト

 放課後。

 エリオット・クレイグは一心不乱にバイオリンを弾く。

 

「――っ」

 

 少しでも思考に空白を作ると思い出してしまいそうになる赤を振り払うため、ただひたすらに無心で音楽に没頭する。

 しかしどれだけ音楽に集中しても、雑念がエリオットを蝕む。

 

『趣味程度ならともかく帝国男児が音楽で生計を立てるなど認められん!』

 

 音楽院への進学を認めなかった父の言葉。

 

『あれこそが誇り高き帝国男児。お前もリィン・シュバルツァーのような立派な男になるんだぞエリオット』

 

 さらに年が明けてからよく口にされるようになった言葉を思い出す。

 その度にエリオットは心を軋ませる。

 彼と同じ時を過ごせば過ごすほど、自分の至らなさを実感してしまう。

 だがそれは彼だけではない。

 Ⅶ組に集められた者たちはみんな特別なものを有している。おそらく今期の学生の中でもトップクラスの能力を持っているだろう。

 そして何よりも彼らは明確な目的があってトールズ士官学院に入学した。

 

 ――それに比べて僕は……

 

 エリオットの第一希望は帝都の音楽院に進学することだった。

 しかしそれに父が猛反発して、押し切られる形でトールズ士官学院に入学することになった。

 そして流されるままに行きついたのがⅦ組だった。

 

 ――僕だけがみんなとは違う……

 

 戦闘力においても学力においてもエリオットは凡人でしかない。

 父オーラフに幼い頃から軍人になるべく英才教育を受けていたわけでもなければ、頭が特別良いわけではない。

 《ARCUS》の適正だけが自分がⅦ組であると思い知らされる程に、他のⅦ組のメンバーは優秀だった。

 

 ――軍人になる。それが父さんの考えだけど……

 

 その意味をエリオットはこれまでちゃんと向き合っていなかった。

 音楽院に進学できなかったことで、言われるがままに思考を止めていた。

 特別実習はそんなエリオットの《欺瞞》を暴くには十分な程に衝撃を与えた。

 軍人になるということは突き詰めてしまえば人を殺すこと。

 フィーのように息をするように人を殺せるようになってしまうのか。

 ラウラのように死んだ人を悼むより、自分が殺せなかったことを悔やむようになるのか。

 クリスやガイウスのように人の死を割り切れるようになるのか。

 ただ音楽が好きなエリオットには難しい問題だった。

 

「――エリオット……エリオットッ!」

 

「っ――あ、はいっ!」

 

 何度も呼ぶ声にエリオットは我に返って演奏を中断して振り返り――音楽室の入り口に立っているリィンにエリオットは思わず身構える。

 

「もうすぐ下校時間だぞ」

 

「あ…………ごめん……すぐに片づけるよ」

 

 リィンに言われて見れば、窓から差し込む光は紅く染まり、時計は下校時間の十分前を指していた。

 今日は部活動があったわけではない。

 ただ気晴らしに音楽室を借りていただけ。

 

「慌てなくて良いぞ」

 

 落ち着いた態度でリィンはエリオットを待つ姿勢を見せる。

 それは何もリィンだけのことではない。

 あの《特別実習》からそれとなく周りのみんなから気に掛けられていることはエリオットも分かっている。

 エリオットも何度もカウンセリングを受けているし、日に日に荒々しくなっているラウラを見れば教官たちの懸念も分かる。

 ラウラのように煩わしいと文句を言うこともなく、エリオットはそんな周りの気遣いに密かに安堵していた。

 

「リィンは補習?」

 

 音楽室の後片付けを終えて、エリオットは鍵を返すために職員室へと向かいながらリィンに尋ねる。

 

「ああ、早く遅れを取り戻さないといけないからな」

 

 真面目な答えにエリオットは苦笑いを浮かべる。

 クロスベルの事後処理から帰って来たばかりだというのに精力的に勉学に励み、それでいていろいろと忙しなく駆け回った挙句に過労で倒れてしまったというのにすっかり回復している様子にエリオットはもはや呆れてしまう。

 

「それにしてもさっきエリオットが弾いていた曲は《星の在り処》だよな?」

 

「うん。よく知っているねリィン……あれは古い歌なのに」

 

 リィンから振ってきた意外な話題にエリオットは食いつく。

 ラウラのように剣一筋の人間離れした雲の上の存在であり近寄りがたいと思っていても、そこに音楽が絡めば関係ないのがエリオットである。

 それに先日のアネラスの来訪で、世話を焼かれて甘やかされるリィンの意外な姿に親近感が芽生えていたこともそれを後押ししていた。

 

「《星の在り処》はちょっといろいろ思い入れがある曲なんだ……

 それに俺もリュートを父さんから教わったことがあって、旧校舎で一日一回は触るようにしているんだ。《空を見上げて》っていう曲なんだけど知っているか?」

 

「うん、もちろん。今後聞かせてよ」

 

 それまであった抵抗が何だったかのようにエリオットは自然にリィンの言葉に応える。

 

「あれ……?」

 

 そのまま他愛のない話をしながら昇降口から外に出ると彼女がいた。

 

「急がなくちゃ……急がなくちゃ」

 

「ティータ? 何をしているんだ?」

 

 出て行くリィン達とは逆に脚立を抱えて校舎に入ろうとしていたのはティータだった。

 

「あ、リィンさん」

 

「ダンさんやエリカ博士は一緒じゃないのか?」

 

 大きめの脚立に工具鞄。

 女の子が一人で運ぶには大き過ぎる荷物にも関わらず、彼女を溺愛している両親の姿はない。

 

「えっと……実はさっきサラ教官から技術棟に職員室の導力灯が故障してしまったので修理して欲しいって連絡があったんです……

 でもお祖父ちゃん達もシュミット博士はそれどころじゃないって、ジョルジュさん達もお祖父ちゃんたちに捕まっちゃって行けなくて、代わりにわたしがやることにしたんです」

 

「あの人達は……」

 

 優先順位をブレさせないマッドサイエンティスト達にリィンは顔をしかめる。

 特にシュミット博士など、来たその日に授業をサボってセプチウムの武具を造れと言ってくるほどの我が道を行く研究者だった。

 

「でも意外だな。ティータが博士たちの実験に同伴しないなんて」

 

「大丈夫です。早く終わらせて起動実験までには戻りますから」

 

「そ、そうか……」

 

 あまりにラッセルらしい返答にリィンは苦笑する。

 

「なら手伝うよ。エリオット、そういうことだから夕食は先に食べていて良いって、みんなに伝えてくれ」

 

「うん、分かった」

 

 ラウラのイヌミミ事件、そして特別実習を経て第三学生寮には新たなルールができていた。

 各々、無理のない範囲で食事は揃って摂るようにすること。

 それまで頑なにリィンと距離を取ろうとしていたマキアスとラウラが自炊を始めたことで他のアリサとエマ、ユーシスもそれに加わった。

 その機会にエリオットも自炊を始めることにしたのだった。

 

「…………ティータちゃんか」

 

 校舎に入って行くリィンとティータの背中を見送りながらエリオットは、クラスメイトではなくティータにその意識が向けれていた。

 ティータ・ラッセル。

 リベールから技術交流としてやってきたアルバート・ラッセルに付き添ってきた孫娘。

 時折見掛ける彼女はいつも楽しそうにオーブメントを弄っている。

 

「…………羨ましいな」

 

 家族に理解され、好きなことに何不自由なく打ち込めるティータにエリオットは暗い呟きをもらした。

 

 

 

 

 

「それじゃあ良いのかラウラ?」

 

「ああ、私が壊したものを弁償できていないのに《魔剣》を賭けた勝負をする資格などないからな」

 

 テーブルの上に置かれた赤いセピスの刀身の大剣を前にラウラは潔く身を引いて見せるが、大剣を見つめる目は興味津々な様子だった。

 しかし、ラウラは誘惑を跳ね除けて《火の魔剣》を対面のクリスに向けて押す。

 

「むう」

 

 しかし、当のクリスは差し出された大剣に不服な顔をする。

 

「本当なら勝って手に入れるつもりだったのに」

 

「安心しろ。おそらくその日の私だったらクリスに負けていただろう。だから例え不戦勝だったとしてもこれはそなたが使うに相応しい」

 

 ラウラの言い分はクリスも分かる。

 力を求めるあまり暴走して、リィンに返し切れない負債を背負ったラウラがこの期に及んで《魔剣》を使わせてほしいなど口が裂けても言えないだろう。

 しかしリィンに頼られ、ラウラとの決闘に向けて気合いを入れていただけにその結果はクリスにとって不完全燃焼となっていた。

 

「だから仕切り直せば良いと思うんだけどな」

 

「いや、すでに二回も流れてしまったのだ。私には縁がなかったということだろう」

 

 ラウラの決意は固く折れそうにない。

 

「そういうことだけど、どうするクリス?」

 

「そうですね……」

 

「不服だって言うなら今度の自由行動日の旧校舎探索を戦術殻の同行はなしでクリス単独で攻略できたらっていうのを条件にしてみるのはどうだ?」

 

「え……良いんですか?」

 

 リィンの提案にクリスは耳を疑う。

 立場上、最低限の安全はどうしても備えておく必要があると弁えていただけに、リィンの提案は信じられないものだった。

 

「クリスもだいぶ立ち回りが良くなったからな。一人で戦うことを経験するのも良いだろう。どうする、やってみるか?」

 

「はい。お願いします」

 

 クリスは拳を握り締めて頷く。

 どんな形であっても一人で戦って良いと許可を得たことはある意味それだけ認められたということ。

 ラウラへの不満など忘れ、クリスは改めて次の自由行動日に向けて気合いを入れ直す。

 もっとも彼には知らせずにステルスモードの戦術殻を同行させようとリィンは考えていたりするのだが、それは言わぬが花だろう。

 

「やれやれ……」

 

 純粋に喜んでいるクリスを前にリィンは彼のためとはいえ騙していることに少しの罪悪感を覚える。

 自然と使う様になった駆け引きの話術。

 悪いことをしているわけではないのに、リィンは居心地の悪さを感じずにはいられなかった。

 

「そうだ。ラウラが良ければこれからクリスに大剣の手解きをしてくれないか」

 

 その居心地の悪さを紛らわせるようにリィンはラウラに提案する。

 

「ふむ……それは構わないが、クリスは本気なのか?」

 

 “一”を極める武芸者としては“多”を使い分ける戦い方など邪道。猟兵に近いイメージが感じてしまうが、ラウラはそれを呑み込む。

 

「はい。僕にはラウラさん達のように極める才能はありませんから、そういう方向で強くなろうと考えているんです」

 

「才能がない……か」

 

 羨むクリスの言葉にラウラは今までどれだけ物事を見ていなかったのか自覚して自嘲する。

 

 ――レーグニッツのことは笑えないな……

 

 クリスは今、ラウラに才能があると言ったが果たしてどうだろうかと自問する。

 未だ頂の父や姉弟子の存在は遠く、少し前までは何の疑問も感じずにただ邁進していた。

 今は果たして偉大な先達に本当に追い付けるのか不安を感じているが、その不安に焦りは感じない。

 

「嫌なら断ってくれて構わないぞ。こんなことで負債を引き合いに出すつもりはないから」

 

「いや、むしろこちらから頼む」

 

 気遣ってくるリィンにラウラは首を振って了承する。

 まだまだ未熟である自分がクリスに教えられることはそこまで多くはないが、そこは共に切磋琢磨すれば良い。

 それに何よりもクリスの瞳の奥底に感じるものに共感を感じる。

 

「これからよろしく頼むクリス。リィンに勝つためにも」

 

「こちらこそよろしくお願いしますラウラさん。ええ、リィンさんに勝つために一緒に頑張りましょう」

 

 二人は頷き合って固い握手を交わすのだった。

 

「解せない」

 

 言葉少なく友情を確かめ合う二人にリィンはぽつりと呟いた。

 

 

 

 最初の特別実習から一ヶ月。

 クロスベルの事件。

 そしてラウラのイヌミミ事件。

 幸いなことに後者に関しては一度一般人にまで見える程に症状は進んでしまったものの、エマの処方した薬でひとまず元に戻り事なきを得た。

 そして問題とされたフィーが犯した殺人のことも他の生徒達には遠巻きに陰口を囁かれているようだが、本格的なトラブルに発展する気配はない。

 過労で倒れたリィンも復帰し、久方ぶりにⅦ組は全員が揃うことになる。

 リィンの補習のことも見直され、ひとまず授業について行けているということで免除された。

 しかし、それでリィンの放課後が暇になったというわけではない。

 シュミット博士とラッセル博士の二大博士により、毎日のように新たな実験と立案が試行されて呼び出される毎日。

 セプチウムを使った新素材の開発。

 ゴスペルと戦術リンクを利用した拡大導力魔法。

 《ARCUS》のスロット数を増やす改造計画。

 なまじリィンと言う最高のテスターがいることに二人と一人の博士の暴走は留まることを知らなかった。

 それ以外ではリンがトワ生徒会長と知り合い、彼女の仕事の一部を手伝う事になり、クロスベルでの願いの対価としてリィンもそれに付き合う事になった。

 自由行動日ではクリスが単独で第三層を見事に突破して《ブリランテ》を見事手に入れて見せ、また《聖女の槍》について皇宮へ呼び出され帝都へ行くことになったりと忙しさではそれまでと大して変わらない日々をリィンは過ごしていた。

 そして五月二十六日水曜日。

 

「今日は実技テストか」

 

 グラウンドでサラ教官が来るのを待つ中でユーシスが呟いた。

 

「前回は散々な結果になってしまったが特別実習を経て戦術リンクを安定させた今の僕達ならリィンとだって互角に戦えるんじゃないか」

 

「マキアスさん、それはちょっと気が早いのではないでしょうか?」

 

「そうかしら? あたしたちは何と言っても本物の修羅場を体験したんだから、今度は良い戦いができると思うわよ」

 

 この一ヶ月、それまでの遅れを取り戻す勢いで戦術リンクを安定させ、その精密さを向上させて実力と共に確かに強くなっていると自覚しているマキアス。

 そんなマキアスに同調するアリサにエマは苦笑いを浮かべるが、強く否定はしなかった。

 バリアハートの地下水道での戦いは実習の一環だった安全な戦いだったかもしれないが、例えやらせだったとしても彼らにとっては死線を潜り抜けたことには変わりない。

 その自負が気を大きくさせているが、彼らがそれを切っ掛けに実力を伸ばしているのは事実だった。

 

「確かにあの一戦は醜態を晒し過ぎたからな。できることなら挽回の機会が欲しいものだ」

 

 ユーシスもまたマキアスの言葉に頷く。

 リィンとの再戦に向けて元B班だったユーシス達は前向きに考えているが、対する元A班は顔をしかめる。

 

「リィンとの再戦か……私はまだその時ではないと思うのだが」

 

「僕もラウラさんに賛成です。まだリィンさんに再戦を挑むのは早過ぎます」

 

「右に同じ……っていうか確実に勝機がないのに手の内は見せたくないし」

 

「俺もまだその時ではないと思うが、エリオットはどう思う?」

 

「…………」

 

 ガイウスはラウラ達の意見に頷き、エリオットに呼び掛ける。

 が、エリオットは一同の話を聞いていた様子もなく、ぼうっと空を見上げていた。

 

「エリオット」

 

「え……あ、何ガイウス?」

 

「大丈夫か? 気分が優れないようなら見学していた方が良いのではないか」

 

「あ……うん……大丈夫。大丈夫だよ」

 

 ガイウスの気遣いにエリオットは愛想笑いを浮かべて答える。

 明らかに無理をしているように見えるが、その虚勢にガイウスはそれ以上の追及はできなかった。

 そしてガイウスの意識の矛先は胸を抑えるリィンに向いた。

 

「リィンも調子が悪いのか?」

 

 先週に過労で倒れただけにガイウスはいつもと違うリィンの様子に訝しむ。

 

「いや……そうじゃなくて、嫌な予感がする」

 

「嫌な予感……?」

 

 言われてガイウスは周囲を見回し、風を意識する。

 

「特に変わった様子はないが――む、サラ教官が来た……が、あれは誰だ?」

 

「げっ……」

 

 校舎の方から歩いて来るサラは一人ではなかった。

 アッシュブロンドの髪の青年の姿を見て、あからさまにリィンは顔をしかめた。

 そんなリィンの動揺を無視してサラはリィン達の前に立つ。

 

「さあ、先月に続いて《実技テスト》の時間よ」

 

「あの……サラ教官、そちらの人はいったい?」

 

 何事もなく実技テストを始めようとするサラに対して、マキアスが彼女の後ろに付き従う青年のことを指摘する。

 

「今回の貴方達の相手よ……

 今日は戦術殻じゃなくて、この人と戦ってもらうわ」

 

「ちょ!? サラ教官正気ですか!? っていうかどうして貴方がここにいるんですか!?」

 

 思わずリィンは叫び、二人に食って掛かる。

 

「えっとね……校門の前で怪しい奴がいたからちょっと声を掛けたのよ……

 そしたらこいつで、リィンに用があるって放課後まで待っているつもりだったらしいのよ……

 で、実力は折り紙付きでしょう? だから《実技テスト》に使えるんじゃないかって思ったのよ」

 

「だからって……どうしてそれを了承するんだ?」

 

 半眼でリィンは青年を睨み文句を言う。

 

「単に時間を持て余していただけだ。それに個人的にはお前のクラスメイトとやらにも少し興味があったのも事実……もっとも期待外れだったがな」

 

 青年のいきなりな失望の言葉にⅦ組はむっと顔しかめる。

 いきなり出て来て、リィンと親し気に言葉を交わしていたと思ったら期待外れ呼ばわり。

 特別実習や二ヶ月に及ぶ教練で着実に実力を伸ばして自信を取り戻していた彼らに青年の不遜な態度は勘に障るものだった。

 

「サラ教官、誰がこの男と最初に戦えば良いんですか?」

 

「そうね……じゃあまずは――」

 

「選ぶ必要などない。全員で掛かって来い」

 

 青年はサラの言葉を遮ってⅦ組を睥睨して言い切る。

 

「お前達に世界を教えてやる」

 

 青年、《剣帝》レオンハルトは金の魔剣を抜いて、Ⅶ組に突きつけた。

 《特別実習》や教練を経て、戦術リンクを使いこなし始めて自信を持ち始めてⅦ組一同はこの日、リィンの時以上の圧倒的な敗北を経験することになるのだった。

 

 

 

 




 戦技「リィン・シュバルツァーなら――」

レーヴェ
「受けてみよ。《剣帝》の一撃を……」

Ⅶ組一同(リィン除く)
「うわあああああああああー!」

レーヴェ
「どうしたその程度か? それでリィン・シュバルツァーと肩を並べるなど片腹痛い」

マキアス
「くっ……まだまだっ!」

ユーシス
「舐めるな。今のは準備運動だ」

レーヴェ
「そうか――冥皇剣っ!」

Ⅶ組一同(リィン除く)
「うわああああああああー!」

レーヴェ
「もう終わりか? リィン・シュバルツァーならこの程度の一撃容易に捌くぞ」

ラウラ
「くっ……この程度で終わってなるものか!」

エマ
「一対一で戦ってはいけません! ここは数で――」

レーヴェ
「――分け身」

Ⅶ組一同(リィン除く)
「うわあああああああー!」

レーヴェ
「その程度か? これくらいリィン・シュバルツァーなら同じことができるぞ」

アリサ
「実体のある分身!? っていうか最初の攻撃といいどうして《剣鬼》と同じ技を!?」

フィー
「リィンが同じことができるってことは、あの時手加減していたんだ……ふーん」

エリオット
「こうなったら距離を取ってアーツで――」

レーヴェ
「遅い――零ストーム」

Ⅶ組一同(リィン除く)
「うわああああああー!」

クリス
「こ、こうなったら全員の必殺技を繰り出すしかないっ!」

ガイウス
「ああ、B班が特別実習で実現した戦術リンクのオーバーロードを利用した《オーバーライズ》ならば――」

レーヴェ
「冥皇鬼炎斬っ!」

Ⅶ組一同(リィン除く)
「………………」

レーヴェ
「どうしたもう力尽きたのか? リィン・シュバルツァーなら――」

サラ
「…………ねえリィン……」

リィン
「何ですかサラ教官?」

サラ
「なんか彼……武術大会の時より強くなってない?」

リィン
「だからやめた方が良いって止めたのに」




《剣帝》の事情

リィン
「それでどうしてレーヴェさんがトールズに?」

レーヴェ
「説明が必要か? あの男が復活した。その真偽を確かめるために決まっている」

リィン
「ですよね……とりあえず復活したのは事実です……
 今はクロスベル警察の留置場で大人しくしています」

レーヴェ
「奴が……大人しく……留置場に……」

リィン
「信じられないでしょうけど事実です。俺の紹介で面会できると思いますけど、どうしますか?」

レーヴェ
「必要ない。できる事ならすぐにでも叩き斬っておきたいが」

リィン
「グノーシスを媒介にして体を変えられるのでやめた方が良いですよ……
 それよりもストーカー宣言されているので結社で引き取ってもらえませんか?」

レーヴェ
「使徒の会議では多数決で戻ってこなくていいと言われている……なのでお前の好きにしていい」

リィン
「体のいい厄介払いじゃないですよね?」

レーヴェ
「…………さあな」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。