(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~   作:アルカンシェル

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閃の軌跡で思ったこと。
クロウのⅦ組の参加ってどうなんでしょうかね?
八月だから学期が変わったタイミングなのは良いですが、二年生の単位の方は大丈夫なのかと疑問が多いんですよね。





60話 リベールⅠ

 

 リベール王国。

 エレボニア帝国の南に位置する小国。

 首都ヘイムダルからの国際船には旅行客に混じってトールズ士官学院Ⅶ組と、先輩四人、そして引率者という形でサラが乗っていた。

 

「何やってんだよお前ら……」

 

 広く造られた船内には長時間の空の旅に備えた様々な施設が造られている。

 子供のための遊具広場。

 大衆向けの娯楽小説を揃えた図書施設。

 日を跨ぐことから食堂も当然完備されており、街の宿以上に充実した施設の数々が旅行客をもてなしていた。

 そんな中でクロウは一同を見回して顔を引きつらせた。

 

「お前ら……せっかくの旅行なのに何してんだよ!?」

 

 その施設の一室。

 多目的ホールに備え付けられたテーブルや椅子を並べて勉強会を始めようとしている一同にクロウは抗議の声を上げる。

 

「それでもお前らは年頃の男女なのか! もっとあんだろこう……青春みたいなことがっ!?」

 

 よりによって俺に何言わせるんだと考えながらクロウは叫ぶ。

 

「ご、ごめんね、クロウ君。アンちゃんやっぱりみんなを付き合わせちゃうなんて悪いよ」

 

「ふ、トワ。そんな気遣いはあのバカを付け上がらせるだけだ」

 

 クロウの指摘にトワが申し訳なさそうな顔をするが、アンゼリカがその必要はないと言い切る。

 

「元々リィン君のおこぼれに預かってのリベール旅行。その彼がこの間にも勉学に励むというなら私たちもそれに倣うのが筋というものだろ?」

 

「そんな無理に付き合わなくてもいいんですけど、勉強の内容も授業のものとは違いますし」

 

「いや、アンの言う通りだよ……

 それに学院の授業と全く無関係だとは言えないし、それに何も一日中勉強しようと言っているわけじゃないんだから」

 

 恐縮するリィンにジョルジュは気にしなくて良いと返す。

 

「くそっ、味方がいねえ……後輩たち、お前達もせっかくの楽しい旅行なのに勉強なんて嫌だよな!?」

 

「いえ、将来父の跡を継ぐ身として通商会議を通して見る世界の知識を深めることは当然のことです」

 

 偽名クリスなセドリック皇子は当然とばかりに今の状況を受け入れていた。

 

「右に同じだ。将来クロイツェン州を治める者として通商会議の議題は無視できない」

 

「私もそうだな」

 

 クリスに同調するのはユーシスとラウラの貴族組。

 

「僕も似たような理由で勉強会は歓迎だな」

 

「私も貴族だからとは違うけど、ラインフォルトとして気になるわ」

 

 そしてマキアスとアリサもそれに頷く。

 

「元々、俺は世界が知りたくて故郷を飛び出してきた身。それを学べるのなら異論はない」

 

「そうですね。巡り巡って私たちの生活に影響を及ぼすものですから知っていて損はないと思います」

 

 義務ではなくても真面目な性格からガイウスとエマは反対することはなかった。

 

「真面目過ぎるだろ。お前達はここまで来て勉強なんて嫌だよな?」

 

 一縷の望みを抱いてクロウはバイオリンを持ち込んでいるエリオットと、Ⅶ組の中で最もものぐさなフィーの二人を見る。

 

「えっと僕は……」

 

「わたしは別に構わないかな?

 数学とかなら遠慮したけど、社会情勢とかは重要だし猟兵に関する議題もあるらしいから」

 

「ちっ……よしエリオット。ちょっと付き合え」

 

「え……僕?」

 

 このメンバーの中で唯一明確な理由を示さず、流されて勉強会に参加しようとしていたエリオットの肩にクロウは腕を回す。

 

「娯楽室にはビリヤードとかあったからな。それに俺は今ブレードっていうカードに嵌ってるから付き合えって」

 

「え、え……ええっ!?」

 

 拒絶する間も、周りが止める間も与えずクロウはエリオットを連れて出て行った。

 

「クロウ君ったら、もう……」

 

「止めなくてよかったんですかサラ教官?」

 

「別に授業の一環ってわけじゃないんだから私が口を挟む事じゃないでしょ?

 エリオットはエリオットでもう少し自己主張することを覚えた方が良いしね」

 

 頬を膨らませるトワの横で、ジョルジュがサラに尋ね興味なさそうな言葉が返って来る。

 

「だから旅行中は教官なんて呼ばなくて良いわよ」

 

 そう言ってサラは一同に背を向ける。

 

「クロウじゃないけど勉強も程々にしておきなさい。っていうか私もこんなところまで来て授業をするのは遠慮させてもらうわ」

 

 真面目な生徒達だということは良いことなのだが、リィンを含めて真面目過ぎないかとサラは思う。

 全員に言えることだが少しくらいクロウの遊び心を見習って欲しいとも思える。

 

「とりあえずクロウとエリオットは私が見ておくから――」

 

「とか言って、ラウンジのビールが目的じゃないんですか?」

 

 大人の体裁を取り繕って出て行こうとしたサラの背に、リィンの一言が突き刺さる。

 

「リィン、いくらサラ教官――サラさんがお酒好きでもこんな朝から飲むわけないだろ……ないですよね?」

 

「しかし最初の特別実習の時は昼前からケルディックの地ビールを堪能していたな」

 

 マキアスの不安に頷く様にラウラは過去のことを思い出して呟く。

 一同の猜疑に溢れた眼差しを背に受けてサラは――

 

「じゃ、そういうことで」

 

 リィンの指摘も、マキアスの確認も、ラウラの非難の全てをスルーしてサラは出て行くのだった。

 

「逃げたな」

 

 リィンの呟きを否定する者は誰もいなかった。

 

 

 

 

 《西ゼムリア通商会議》

 八月末日にクロスベルで開かれる初の国際会議。

 経済だけではなく、安全保障を含めた総合的な議論が交わされるその会議。

 リィンはそれに出席する帝国政府代表のオズボーン宰相の護衛官として参加することになったが、その仕事はただ漠然と彼の身を護れば良いというものではない。

 会議に参加するわけではないが、会食などの場で他国の要人から話しかけられる場合もあるだろう。

 そこで無知を晒せばそれはそのまま帝国の恥となる。

 リィンだけではなく、随行団の手伝いとして帝国政府に誘われたトワもまた恥をかかないための知識を学ぶ必要があった。

 そして無関係ではあるが、世界の情勢ということもありⅦ組とその先輩たちは彼らの勉学に参加することに抵抗はなかった。

 その勉強も一段落して、それぞれが改めて飛行船の船旅を満喫しようと雑談が始まるのだが、リィンは険しい顔をして目の前のファイルの一文を凝視していた。

 

 ――百日戦役の直前から数ヶ月に渡り行方をくらまし、その後皇帝陛下に拝謁し、百日戦役の全権を任される……

 

 普通の人なら不信に感じる出来事だけの空白の期間だが、その空白期間はリィンにとって特別な日を含んでいた。

 

 ――オズボーン宰相は既婚者……

 

 ページをめくったリィンは既に何度も繰り返して読んだ一文を読む。

 

 ――百日戦役の直前に自宅を猟兵に襲撃されて妻子は死亡……

 

 クレアが用意してくれた資料にはその妻子の名前はなかったが、それでも点と点を結び合わせることは《識の目》を使わなくても容易だった。

 あと二年と忠告し、《黒》との繋がりを示唆したオズボーン宰相。

 《鬼の力》の正体である《鋼》の――《黒》の呪い。

 オズボーン宰相が行方をくらました時期とリィンがテオに拾われた時期の一致すること。

 加えてリィンの過去を知っているオーラフ・クレイグの上官だったこと。

 それらに明確な証拠があるわけではないが、その可能性をリィンは確信してしまう。

 

「――ィン君……リィン君?」

 

「え……?」

 

 自分の名前を呼ぶ声にリィンは我に返って顔を上げた。

 

「どうかしたのリィン君?」

 

「トワ会長……」

 

「もしかして疲れちゃった? ごめんね、私の勉強に付き合わせちゃって」

 

「いえ……」

 

 リィンは首を振って、それまでの思考を呑み込む。

 

「オズボーン宰相の護衛官を引き受けて通商会議に参加するのは俺も同じです……

 むしろ俺の方こそ、付き合わせてしまってすみません。聞けばトワ会長も夏季休暇は自習するつもりだったそうですね」

 

「私はぜんぜん構わないよ。むしろ一人でやるよりも捗っているくらいだから」

 

「それは俺も同じです」

 

 トワの主張にリィンは苦笑しながら同意する。

 

「それでやっぱりリィン君は向こうでは一緒に行動できないのかな?」

 

「そうですね。予定は立ててみましたが挨拶回りに各地方を巡るとどうしても時間が足りないですから」

 

「せっかくだからやっぱりみんなで遊びたいんだけど」

 

「その気持ちは嬉しいですが、リンにリベールの今の姿をじっくりと見せて上げたいんです」

 

「みんなと一緒じゃダメなの?」

 

「ええ、挨拶回りの他にもやることはあるので、すみません……

 そういえばラウラ、今朝アネラスさんから手紙が来ていたけど手合わせの件は受け入れてくれるって」

 

 トワに申し訳ないと謝罪してリィンはラウラを呼ぶ。

 

「そうか。感謝するリィン」

 

 その報告を聞いてラウラは嬉しそうに頷く。

 

「その話だけど、わたしも一緒に行っていい?」

 

「フィー?」

 

「前にトリスタに来た時にはあまり話さなかったけど、リィンの姉弟子にはちょっと興味ある。それから……」

 

「それから?」

 

 言い淀んだフィーにリィンは首を傾げて続きを促す。

 

「できたらで構わないけど、遊撃士の仕事を体験してみたい」

 

「フィー……」

 

「別にサラに義理立てするわけじゃない。ただわたしたちが特別実習でしてきたことはあくまでも“遊撃士の真似”だから本職の動きを見てみたいだけ……

 それにこっちの都合で手合わせしてもらうんだから、対価は体で支払う」

 

 何も言っていないのに言い訳をするように言葉を並べるフィーにリィンは苦笑する。

 何に対してもあまり興味を示さなかったフィーの主張に、彼女の成長を感じずにはいられない。

 

「ふむ、遊撃士の仕事か……言われてみれば確かに私たちはちゃんとそれを知っているわけではないな……

 フィー、もしアネラス殿の承諾が得られたら私も一緒にやらせてもらっても構わないか?」

 

「それは良いけど」

 

「二人とも、それなら俺も一緒に行かせてもらっても良いだろうか?」

 

「ガイウスも?」

 

 意外な人物が名乗りを上げたことにフィーは首を傾げる。

 

「ああ、ノルドでの特別実習の時に遊撃士と会って少し興味があったんだ」

 

「それなら――」

 

「えっと……あまり大人数で押し掛けるのは……」

 

 ガイウスに便乗してさらに誰かが声を上げるのをリィンは止める。

 

「とりあえずリベールに着いたら連絡してみる。日程は三日目以降で構わないか?」

 

「いやできることなら二日目からが良いが」

 

「そだね。二日目から四日目までリベールの遊撃士は凄腕ばかりって聞くからじっくりと見ておきたい」

 

「俺はどちらでも構わないが――」

 

「異議ありっ!」

 

 意気込むラウラとフィー、そしてガイウスの意見にアンゼリカが異を唱える。

 

「二日目はみんなで海水浴に行く予定だったじゃないか!? そんな急がなくても――」

 

「え、ええ。海での遠泳には興味はあるのですが……」

 

「何か身の危険を感じるからやっぱり遠慮しておく」

 

 言い淀むラウラに対してフィーは歯に衣着せずにはっきりと言った。

 次の瞬間、アンゼリカは膝から崩れ落ちた。

 

「フィー君にサンオイルを塗りたくる私の野望が……」

 

 口から漏れた欲望にフィーはアンゼリカから距離を取る。

 

「えっと元気を出してください。僕達は海水浴に参加しますから」

 

「男たちはどうでも良い」

 

 フォローしようとしたクリスにアンゼリカはきっぱりと言い切った。

 

「そういえばみんなは三日目以降はどうするつもりなんだ?」

 

 二日目の海水浴はアンゼリカの発案と強硬な姿勢で無理矢理決定したのだが、他の日程についてリィンは改めて尋ねる。

 

「三日目からはちょうどその日に開催されるらしいジェニス王立学園の学園祭に行こうかと考えている」

 

「十月にはトールズでも学院祭があるからな。せいぜい参考にさせてもらうとしよう」

 

 答えてくれたユーシスとマキアスの言葉にリィンは目を細める。

 

「…………そういえばそんな時期か」

 

 偶然に重なった日程にリィンは思わず当時のことを思い出す。

 

「もう二年か……」

 

「リィン? どうかしたのか?」

 

「いや、何でもない」

 

 マキアスの呼びかけにリィンは笑顔を取り繕って応える。

 

「そういうリィンさんは本当にあのスケジュールでリベールを巡るんですか?」

 

「ああ、市長たちは今月の通商会議や来月の女王生誕祭に向けて多忙らしいから、それに市長の他にも顔を見せにいかないといけない人が多いから」

 

 各都市の市長の他の例を思い浮かべれば遊撃士協会の受付の人達が思い浮かぶ。

 

「ですが本当に古竜に会うつもりなんですか?」

 

「帝国時報でも載っていたわね。《異変》の直前に現れてボース地方で暴れ回った暗黒時代の魔獣って」

 

 恐る恐る確認するエマに聞きかじった情報をアリサが呟く。

 

「実際のところ、彼は結社に操られていただけで魔獣じゃなくて女神が遣わした“聖獣”なんだけどな」

 

「“聖獣”……至宝と共に語り継がれる聖なる守護獣のことか……

 いや“暗黒竜”が存在していたのなら実在していてもおかしくはないのか」

 

 リィンの答えにマキアスは考え込む。

 すでに別の聖獣と会っていることをリィンはあえて指摘しなかった。

 

「とは言っても、今レグナートが何処で何をしているか分からないから会えるかは分からないけどな」

 

「しかし、伝説にうたわれた聖なる竜か……一度見てみたいものだな」

 

 そんな呟きをユーシスが漏らすと、不意に飛行船が揺れた。

 

「何だ?」

 

『ご、御搭乗の皆さんに連絡します……

 緊急事態のため、本飛行船は最大船速でこの空域を離脱します……

 お客様は係員の指示に従い、体を座席に固定してください』

 

 緊張をはらんだアナウンスが船内に響き渡る。

 

「緊急事態って、まさか墜落するのか!?」

 

「いや、エンジントラブルなら最大速度を出すはずがない。だとしたら積乱雲にでも遭遇したのか……

 それとも空賊でも出たのかもしれない」

 

「空賊か……ふふ、この飛行船を狙う賊は随分と運はないな」

 

 ジョルジュはいち早く可能性を模索し始め、アンゼリカは落ち着いた様子で笑う。

 

「…………まさか……」

 

 騒然とする一同の中でリィンは近付いてくる気配に顔を引きつらせる。

 

「どうかしたのリィン君?」

 

 そんなリィンにトワが首を傾げる。

 

「いや……もしかしたら――」

 

「大変だよみんなっ!」

 

 何と説明しようかと考えながらの言葉は部屋に飛び込んで来たエリオットの叫びに遮られた。

 

「エリオット、どうしたんだそんなに慌てて」

 

「外……窓の外っ! 魔獣がこの飛行船を追い駆けて来ているんだよっ!」

 

「馬鹿なっ! いくら魔獣でもこの高度を活動圏にしている種は存在しないはず」

 

 エリオットの言葉を否定しながらもユーシスは雲海を望める窓へと近付き、それを見た。

 

「なっ!?」

 

 絶句するユーシスと同時に窓が遮られて部屋が暗くなる。

 

「ひっ――」

 

 窓を覆い隠したそれは大きな目で船内を覗き込んでくる。

 

「ああ……やっぱり……」

 

 リィンは予想が当たったと肩を竦め、固まってしまった一同を他所に窓に近付く。

 

「初めまして、俺の名前はリィン・シュバルツァー。貴方のことはエステルさん達から聞いています」

 

 窓に触れ、ガラス越しにリィンは語り掛ける。

 

「貴方が来た理由は想像できます……

 ですが、ここで話をするのは多くの人に迷惑がかかるので、二日後貴方が二年前に遊撃士と戦わされた場所で話をしませんか?」

 

『……いいだろう』

 

 リィンの呼びかけに厳かな人の言葉が返って来ると、その存在は飛行船から離れていずこかへ飛び去って行くのだった。

 

「リ……リィン……い、今のは……」

 

 腰を抜かしたアリサが声を震わせて説明を求める。

 

「ああ……うん、彼がさっき話していた“聖獣”のレグナートだ」

 

 バツが悪そうにリィンが簡単に紹介する。

 おそらくリンの気配、つまりは“空の至宝”の気配を察知して様子を見に来たのだろう。

 

「とりあえず俺はレグナートが襲ってくることはないってスタッフの人に――」

 

 バンッ! とリィンの言葉は勢いよく開かれた扉の音に掻き消された。

 

「あんたって子はどうしてこう次から次へと厄介事を呼び寄せるのよっ!?」

 

 紫電の速度を持って駆け込んできたサラはリィンの胸倉を掴んで激しく振るのだった。

 

 

 

 

 リベール王国。

 ゼムリア大陸の南西部に位置する伝統ある小国。

 エレボニア帝国と比べれば国土も人口も遥かに劣っており、二つの大国と国境を接しながらも高い導力技術と優れた女王の外交手腕によって、対等の関係を保っている。

 

「ここがリベール……」

 

 飛行船から降り、トランクの中から解放されたリンは周囲を見回して呟く。

 

「ああ……ここが君の眷属たちが地に降りて築いた国だよ」

 

 リンの呟きにリィンは肯定を返す。

 が、リンは周囲を行き交う人々の顔に釘付けになって微動だにしなかった。

 

「リン……」

 

 呼びかけにもリンは応えない。

 彼女が見ている光景は特に珍しいものではない。

 夕暮れに染まった街並み。

 様々な人々がそれぞれの表情で日々を過ごしている穏やかな日常の風景。

 もっともその光景の一部にはとても日常とは言い難い部分もあった。

 多くの人が行き交うはずの空港だが、そこには空白があり、その飛行船を出迎える二人の女性が民衆の注目を浴びていた。

 その内の一人が進み出て、もう一人が付き従う。

 

「ようこそ、トールズ士官学院の皆さん。それに初めまして貴女がリンさんですね」

 

 リベール王国王太女であるクローディアは笑顔を浮かべてリィン達を出迎えた。

 

「お久しぶりです。クローディア殿下、それにユリア准佐も」

 

「こ、この方が……」

 

「リベールの至宝……」

 

 マキアスとラウラが一同の驚愕を代弁する。

 

「ふふ、まさか殿下にお出迎えされるなんてね」

 

「やあ久しぶりだねクローディア姫、それともこの場ではクローゼ君と呼んだ方が良いのかな?」

 

「サラさんとアンゼリカさんもお久しぶりです」

 

 動じずに言葉を掛ける二人にクローディアは微笑む。

 

「初めまして、私はリベール王国王太女クローディア・フォン・アウスレーゼと申します。皆様、どうかお見知りおきを」

 

 

 

 




リベール王太女

エリオット
「話には聞いていたけど、リィンって本当にリベールの王太女様とも親しいんだね」

マキアス
「帝国時報ではいろいろ書かれていたが、こうしてみるとどうやら根も葉もないゴシップだったようだな」

アリサ
「どうかしら王太女様直々に出迎えられるなんて相当気に入れてる証拠じゃない?」

リィン
「いや、俺よりもリンの方がリベールにとっては重要人物なんだけどな」

クローディア
「ふふ、そんなことありませんよ……
 リィン君だってリベールにとって掛け替えのない恩人です……
 《異変》のこともそうですが、失われた王家の指輪を取り戻したことも含めて、アルセイユでこちらから出迎えるべきだった程に……
 《通商会議》がまじかに迫ったこの時期と言うことで自重しましたが、やはりアルセイユで迎えに行くべきでしたね」

リィン
「えっと……レグナートのことを言っているならすみません。だけどあれは俺のせいじゃないですよ」

クローディア
「ええ、分かっています……
 ところでリィン君、お祖母様に会ってもらう前にちょっとお話したいことがあるんですけど良いですね?」

リィン
「ク、クローゼさん……ユリア准佐、どうして俺の首根っこを掴むんですか? こういう事はオリビエさんの役回りのはずなのに――」

クローディア
「それではみなさん、王城へ御案内させていただきます」

エマ
「…………えっとリィンさん……何ですよね?」

フィー
「学院にいる時と何かイメージが違う」

クロウ
「くっ……これがヒエラルキーなのか!?」

トワ
「クロウ君、突然何を言っているの?」

サラ
「うーん、まあ貴方達には見慣れないかもしれないけどリベールでのリィンはだいたいあんな感じだったわよ」




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