(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~   作:アルカンシェル

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69話 塩の大地Ⅱ

 

「双剣魔法フレア・テンペストッ!」

 

 右手に剣、左手に杖を構えクリスはそれらを触媒にして二つの導力魔法を同時起動する。

 炎が立ち昇り、周囲の魔獣は風の竜巻に体を斬り刻まれながら吸い込まれるように炎へとくべられる。

 そして風によって膨れ上がった炎は爆発を起こして魔獣たちに止めを刺す。

 一方――

 

「セット――」

 

 二つの銃が上空に弾丸をばら撒く。

 導力の弾丸はその中空で不自然に停止し、フィーが引き金を引く度にその数を増やしていく。

 

「リリース――シルフィード・レインッ!」

 

 百の弾丸がフィーの合図によって一斉に上空から発射される。

 一発一発は小さくても雨のように降り注ぐ弾丸は容赦なく魔獣の群れを蹂躙し、硬い甲殻を持つ魔獣さえも圧倒的な数の暴力には諍えなかった。

 一方――

 

「僕の演奏、聴かせてあげる」

 

 導力杖をバイオリンに変形させ、演奏を触媒にしてエリオットはオリジナルのアーツを展開する。

 

「セブンラプソディッ!!」

 

 七つのエネルギー球を作り、同時に撃ち出した七撃で魔獣を倒す。

 

「ぐぬぬ……」

 

 新兵器のお披露目して上機嫌だったアリサだが、続く三人の先駆けに悔しさを顔を歪ませる。

 三人が三人共、今まで見せたことのない新技を披露したことで自分の新武装のインパクトが減ってしまったことに頬を膨らませる。

 

「みんなやり過ぎだ」

 

 アリサの事を含め、普段は出来ない派手な技をここぞとばかりに試し打ちする彼らにリィンは肩を竦める。

 

「ちぇ……私だけだと思っていたのに」

 

「三人共、帝都の地下で“暗黒竜”を直接目にしているからな……それぞれ思う所があったんだろう」

 

 二人の明らかに巨大な敵を意識した新しい必殺技にリィンは感心する。

 《ARCUS》と銀耀石の魔導杖から使う導力魔法と風剣《リヴァルト》の剣魔法を同時に起動した全く新しい複合魔法は彼に武具を与えたリィンも予想していたなかったものだった。

 フィーに関しても弾道を操作できる銃の特性を利用して物量攻撃と、新しい導力銃の性能に合わせた技を編み出したようだった。

 威力や効果範囲という面ではエリオットも魔導杖を楽器に変形させるように改造してあり、彼なりの努力が良く分かる。

 

「アリサ、さっきの君の新しい武器だけど」

 

「何よ。そりゃあみんなのと違って私のは地味だけど文句ある?」

 

 不貞腐れた口振りでアリサは卑下する。

 

「いや、十分派手だったと思うけどな……

 それよりその戦術殻は誰から貰ったんだ? さっきオジ様って言っていたけどどこの誰なんだ?」

 

 アリサの背後に無言で浮いている戦術殻。

 学院の授業でも使っているモデルでありクリスも利用しているため、アリサが持っているのは決して不自然じゃない。

 

「そんなの貴方には関係ないでしょ。それとも私の行動を貴方にいちいち報告しないといけないのかしら?」

 

「そういうわけじゃないけど……」

 

 棘を含んだ返答にリィンは怯む。

 

「じゃあ何だって言うのよ?」

 

 威嚇するように睨んで来るアリサにリィンは困ったように頬を掻く。

 ノルドで拒絶されてから不安定になっていたが、帝都での実習以来落ち着きを取り戻したことにはひとまず安堵していた。

 こういう風に強気な彼女に安心しながら、それでも尋ねる。

 

「これだけは教えて欲しい。オジ様っていうのはちゃんとオジ様なんだよな?

 どっかの博士たちが自分の犯行だって誤魔化すためにアリサにそう呼ばせているんじゃないよな?」

 

「はあ? 何それ?」

 

 リィンの質問にアリサは訳が分からないと訝しむ。

 

「いや、そうじゃないなら良いんだ。その可能性は俺も低いとは思っているから」

 

 仮にあの博士たちの誰かの作品だったとしても、彼らが我が身可愛さでそれを隠すとは思えない。

 そもそもトールズ士官学院の導力器はラインフォルト社から支給されているものが多い。

 戦術殻もその範疇に入り、その令嬢であるアリサが社員の誰かと密かに交流をしていたとしてもリィンにそれを咎める権利はない。

 

「ただちょっと破壊力が高過ぎる武器じゃないかって思っただけだ」

 

「それを貴方が言う? クリスに持たせた七耀の武具も、フィーの新しい導力銃もどっちも貴方が用意したくせに」

 

「それは……」

 

 痛い所を突かれてリィンは言葉を詰まらせる。

 

「ま、リィンが言いたいことも分かるけどね。私だってこの子を借りるだけで終わるつもりはないわよ」

 

 アリサは背後のダインスレイヴを撫でながら続ける。

 

「オジ様が教えてくれたの。母様が私を見てくれないのは私が何も成してないから……

 だから母様に目を向けてもらうにはそれなりの実績を作らなくちゃダメだった」

 

 何処か陶酔したような眼差しでアリサは語る。

 

「ダインスレイヴは戦術殻の特殊な導力機構が合って初めて使える武具なの……

 だから私はダインスレイヴの機能をオーブメントに造り直して、ラインフォルトの商品に提供する……

 それをして初めて私は母様と話し合う資格ができるんだって」

 

「あれを量産化する?」

 

 先程の光景を思い出してリィンは顔をしかめる。

 威力は大型の導力砲を大きく超えていて戦車の大砲に勝るとも劣らない、いやそれ以上の破壊力だったかもしれない。

 年々近代兵器はその利便性や携行性、そして殺傷能力を高めている。

 その観点から見れば武器の性能向上を求めるその姿勢は何も間違っていない。

 ラッセル博士たちが《パテル=マテル》に対抗するように《オーバルギア》や《トロイメライ》を開発したのもそういう思想があってこそなのだから非難する筋合いはない。

 

「アリサはあれを造ることの意味を分かっているのか?」

 

「誰に言っているのよ? 私はこれでもラインフォルトの娘よ。武器を造ることの意味くらいちゃんと分かっているわよ」

 

 胸を張って堂々と言い切るアリサにリィンはそれ以上の追及をすることはできなかった。

 

 

 

 

 

 

「それにしても驚いたね」

 

 市長邸への帰路を歩きながらクリスが直前の課題についての感想をもらす。

 

「うん……少年兵って言うから僕達と同じくらいの歳だと思っていたけど」

 

「ええ、まさか本当に子供が出てくるとは思わなかったわ」

 

 相手として出て来たのは十歳程の子供達。

 ナイフと拳銃で武装した子供たちの練度は決して高いものではないが、トールズで軍事訓練を受けている同級生たちよりも遥かに勇ましく攻めて来た。

 

「二人とも気にし過ぎ」

 

 そんな少年少女に尻込みし、消極的な戦いで試合を長引かせたアリサとエリオットにフィーがダメ出しをする。

 

「武器を向けて来たからには年齢は関係ない。本当の戦場なら二人とも死んでいたよ」

 

「そうは言われても……」

 

「どうしてそんな風にフィーは割り切れるのさ?」

 

「わたしだってあれくらいの頃からナイフと銃の使い方を教わってたから」

 

 首を傾げて答えるフィーの言葉に、エリオットは彼女が元猟兵だったことを改めて思い出し、誤魔化す様に視線をクリスとリィンに向ける。

 

「俺は以前にも経験があるし、事前にある程度予想はできていたから」

 

「僕は不思議と動揺しなかったな。シグムントさんの薫陶のおかげかな?」

 

 物怖じせずに小さな子供を難なく捌いた二人にエリオットはもう何度目になるか分からない劣等感に苛まれる。

 いや、二人以上に幼子たちが真剣な顔をして戦う術を覚えようとしている様を見て、嫌々ながらトールズに進学したことに恥ずかしくなる。

 それこそ生きていくのに必死なあの子たちの顔を思い出すと、音楽を学んでいる余裕があることさえも贅沢に感じてしまう。

 

「エリオット、あまり気にしない方が良い。その悩みはキリがないから」

 

「うん……分かってるけど……」

 

 クリスの慰めの言葉にエリオットは頷くが、その表情は晴れない。

 代わりに話題を逸らす様にアリサがホームルームでリィンが言っていた話題を上げる。

 

「ねえリィンは本当にこの状況を変えられるの?」

 

「アリサ。あまりその話を往来でするのはやめてくれ」

 

 アリサからの質問にリィンは周囲の目を気にしながら窘める。

 

「ごめん……でもできることがあるならやって上げた方が良いんじゃないかしら? だってリィンにはそれができるんだから」

 

「言い分は分かるけどな……」

 

 リィンもこうして知識だけでしかしらなかったノーザンブリアの現状を見せつけられると、決めた決意が揺らぎそうになる。

 だが、同時にかつてルフィナに言われた言葉も思い出す。

 

『諦めなさい。それとも誰彼かまわず背負い込んで一番気に掛けているあの子の手を掴めなくなっても良いの?』

 

 すでにノイやリンの存在を抱え、他にもいろいろなことに手を伸ばしている。

 ただでさえ一杯一杯な状況なのにノーザンブリアの問題にも手を出せば、いつかのように過労で倒れてしまうだろう。

 

「少なくても今は無理だ。それに――」

 

 言葉を切ってリィンは振り返る。

 

「リィン?」

 

「いや……何でもない」

 

 訝しむアリサにリィンは背後から周囲へと視線を移しながら答える。

 

「何でもないってことはないでしょ? 何があったのよ?」

 

「…………今、誰かに見られていた気がしたんだ」

 

「誰かって……誰よ?」

 

 リィンに倣ってアリサ達は周囲を見回すが、不審な人物は特に見当たらない。

 

「それは俺も分からないけど……何だか妙な違和感が……」

 

 視線に感じた悪意。

 ハリアスクの街の人通りは決して多くないというのにリィンが特定することはできなかった。

 

 ――ヨシュアさんレベルの隠形……でもいったい誰が?

 

 考えられるのは“北の猟兵”だが、それにしては違和感がある。

 

「確かに場所は分からないけど、何かおかしな視線があるね」

 

「リィンとフィーに気付かれないって余程の手練れということだよね? もしかしてまた《結社》とか?」

 

 フィーがリィンに同調し、信憑性が出て来た何者かの存在にエリオットが身震いする。

 

「その可能性は高いかもしれないね。市長邸に戻ってサラ教官に報告した方が良いかもしれないね」

 

「そうね。少し急ぎましょう」

 

 アリサがそう促して、一同は市長邸への帰路を急ぐのだった。

 

 

 

 

「ただいま戻り――」

 

「あんたたちっ! 特別実習は中止! 今すぐノーザンブリアから脱出っ――」

 

 滞在先の市長邸に戻ると、聞こえて来たのはサラの途切れた大声だった。

 

「今のは……」

 

「サラ教官の声だった」

 

 途切れ方からして殴られて無理矢理黙らされたのか、続く言葉は耳を澄ましても聞こえない。

 

「サラ教官はああ言っていたが、どうする?」

 

 理由は分からないが、突然の特別実習の中止の宣言と、脱出の指示。

 声の質からも切羽詰まった状況だけは感じ取れた。

 

「これって……バリアハートの時みたいなやらせじゃないのよね?」

 

「それって確か最初の《特別実習》でアリサ達がルーファスさんが用意した特別課題のことだよね?」

 

「もしそうなら……」

 

 別の班だったエリオットとクリス、そしてフィーはアリサから順にリィンへと視線を集中する。

 

「ああ、俺が別の課題をさせられていたから知らないけど、ルーファスさんが何かを仕掛けていたらしいな」

 

「知らないって……剣――」

 

「あの時のことも、今回の事も俺は何も知らないぞ」

 

 フィーの言葉を遮ってリィンは釘を刺す。

 

「それよりもどうする?」

 

 話を逸らす様にリィンは今どうするべきか、周囲の気配を読みながら尋ねる。

 

「状況は不明、これが僕達を試す突発的な《特別課題》の可能性もありますが……

 まずはサラ教官と合流しましょう。逃げるにしても教官と一緒です」

 

「そうだね……」

 

「異議なし」

 

「サラの事だから放っておいても大丈夫だと思うけど……了解」

 

「俺もそれで構わない」

 

 クリスの案に一同は頷き、異様に静まり返った市長邸を歩き出す。

 

「声は二階から聞こえて来たよね?」

 

「ああ、もっと正確に言えば、俺達が最初に案内された市長室からだな」

 

「良く分かるわね」

 

 エリオットの呟きに淀みなく答えたリィンにアリサは呆れる。

 途中にあったリィン達に割り当てられた部屋を覗いてみればそこは無残に荒らされていた。

 

「ひどい……」

 

「物取りの類かな?」

 

「何を取られたのか調べている暇はない。とにかく急ごう」

 

 絶句するアリサと冷静に部屋を見聞するフィー。

 二人を促してクリス達は進む。

 

「結局、誰ともすれ違わなかったわね?」

 

 ノーザンブリアの行政を担う施設に関わらず、ここまで誰ともすれ違わなかった異常な状態にうすら寒いものを感じてアリサは身を震わせる。

 

「鍵が閉まっている部屋の中に気配はあったから、拘束されているのかもしれないな」

 

 リィンの言葉も気休めにしかならない。

 

「尋常ではない事態なのは確かみたいだね。サラ教官、無事だと良いけど」

 

 市長室の大きな扉を前にクリスは声をすぼめて振り返る。

 

「エリオット。僕の合図で扉をアーツで破壊して、フィーは僕と一緒に中に突入して銃で威嚇、場合によっては鎮圧。リィンさんはサラ教官の確保、アリサは後詰をお願い」

 

 魔導銃を抜きながらクリスは流れるように役割を決め、一同は頷く。

 

「3……2……1……ゼロッ!」

 

 合図と共にエリオットの放ったアーツによって扉が吹き飛び、同時にクリスとフィーが突入する。

 何故かそこには市長や、この施設で働いていた従業員たちが導力銃で武装していたが二人は構わず銃口を彼らに向け――

 

「っ――動くな! こっちには人質が――げふっ」

 

 市長が素早く身を翻し、椅子に縛り付けられて猿轡を噛まされたサラを盾にするが、そうしている間にもリィンが距離を詰め椅子ごとサラを確保する。

 

「教官を確保。フィーッ!」

 

「ヤー」

 

 短い言葉にフィーが答え、スモークグレネードを落として市長室の中央へと蹴り飛ばす。

 瞬く間に市長室に煙が立ち込め、リィンはその中からサラを抱えて戻ってくる。

 

「よしこのまま外に――」

 

 もうそこに用はないと一同は振り返り――

 

「ご、ごめん……みんな……」

 

 後詰で最後尾にいたアリサが謝った。

 その背後には廊下を塞ぐ程に密集した事務員たちが横隊を作って導力ライフルの銃口を彼女の背中越しに突きつけていた。

 

「鍵を掛けた部屋にいた人達?」

 

「市長の部屋にいてサラ教官を拘束していたのも市長たちだった……」

 

「ど、どういうことなの!?」

 

 冷静に状況を見極めようとするフィーとクリス。

 そして何が起きているのか分からずに狼狽えるエリオット。

 

「ああ……そういうことか」

 

 ここに至ってリィンはようやく街中で感じていた視線が誰のものだったのか気付く。

 

 ――誰かじゃない。全員だったのか……

 

 リィンは抱えていたサラを下ろし、猿轡を解く。

 

「リィン、ごめん。ごめんなさい」

 

 口の拘束を解かれたサラは開口一番、憔悴した様子でリィンに謝る。

 

「これはどういうことなのか説明してもらえますか。ハリアスク市長」

 

 背後を振り返り、煙を掻き分けて廊下に出て来た市長にリィンが尋ねる。

 

「ふん……よくもやってくれたな。リィン・シュバルツァー」

 

 最初に挨拶した時にはにこやかな態度で歓迎してくれた市長は忌々しいと言わんばかりにサラの導力銃を突きつけてくる。

 

「俺を名指しか……俺は貴方達に恨まれる心当たりはないんですけど」

 

 その一言で市長を始め、廊下を塞いでいる従業員たちが怒声を上げた。

 

「ふざけるなっ!」

 

「お前のせいで何人死んだと思ってやがる!?」

 

「この悪魔がっ!」

 

 口汚く罵って来る彼らに一同は思わず気後れする。

 

「サラ教官……?」

 

 リィンも何故そこまでノーザンブリアの人達に恨まれているのか分からず、事情を知っているサラに説明を求める。

 が、彼女が答えるよりも先に市長がその疑問に答える。

 

「忘れたとは言わせないぞ。お前は二年前、我らの“英雄”の邪魔をした」

 

「は……?」

 

 市長の憎悪を含んだ言葉にリィンは間の抜けた言葉を返していた。

 二年前と言えばリベールにいた頃。

 確かにリィンは彼らが“英雄”と呼ぶ“北の猟兵”と戦った。

 

「貴様が“英雄”の邪魔をしたせいで何人の餓死者が出たか知っているか? 全部お前が殺したようなものだ!」

 

「…………何だ……それは……?」

 

 呻く様にリィンは市長の言葉に困惑し、呆然とするリィンに市長は続ける。

 当時の《リベールの異変》は《塩の杭》の再来ではないかとゼムリア大陸中に緊張が走ることとなった。

 そのため、周辺各国は貿易を一時的に止め、その結果物価は上昇。

 《異変》が解決した後もリベール復興の煽りを受ける形で上昇した物価はそのまま続き、まだ雪が深いノーザンブリアにとっては死活問題だった。

 それでもミラがあれば終わりが近かった冬を越せたかもしれない。

 しかし《異変》の直前にリィン・シュバルツァーに仕事を邪魔され報酬を得られなかったことでノーザンブリアでは多くの餓死者が出る結果となった。

 

「何それ……言い掛かりじゃん」

 

「本気で言っているのか?」

 

 市長の言い分にフィーとクリスは呆れる。

 

「ふん……こいつのせいで百人の罪のない市民が飢えて死んだのは紛れもない事実……

 その謝罪もなしに新しい“減塩計画”のための対価を差し出せだと? ふざけるのも大概にしろっ!」

 

 サラからどう聞いたのか、リィンの善意は歪んだ形で彼らに受け止められていた。

 リィンはエレボニア帝国やリベール王国では“英雄”かもしれない。。

 しかし“北の猟兵”を“英雄”と崇めるノーザンブリアにとって、リィンはその邪魔をした“悪魔”でしかなかった。

 もっともそれを差し引いたとしても、ノーザンブリアはこれまで他国から黙認してもらっていた“北の猟兵”に関する一線を踏み越えてしまったのだった。

 

 

 

 





 暴走したのは解放戦線でも、北の猟兵でもなく、ノーザンブリアの市民でした。
 彼らの扱いは北の猟兵が間に入ってヘイトを稼いでいたので今一つ良く分からない部分でしたのでこんな話にしてみました。
 さあ《北方戦役》の前倒しの始まりです。

 警告:次の話からはあり得そうなノーザンブリアでの黒い話を題材にするつもりです。
 今回のことからすでにアウトの人もいるかもしれませんが、決して自分はノーザンブリアの人達を一方的に貶めるつもりはありません。

 まあ閃Ⅲでのことはともかく、閃Ⅱでのケルディック焼き討ちの責任問題は半分言い掛かりなので同情はできるんですけどね。原因は命令したアルバレアパパですから。




鉄機隊からの挑戦状

『トールズ士官学院Ⅶ組に告げる……
 今宵、鐘が鳴る偉大なる古城へ来られた。偉大ならあの御方への謁見を望むのなら我らを超えてみよ』

デュバリィ
「よく来ましたわねトールズ士官学院Ⅶ組っ!」

アイネス
「ここから先を通りたければ、我ら“鉄機隊”を退けていくことだ」

エンネア
「果たして貴方達にマスターの下に辿り着く資格があるのか、見せてもらおうかしら」

エマ
「これが“鉄機隊”……」

デュバリィ
「ここであったが百年目っ!
 リィン・シュバルツァー。あの時の雪辱を今――って、シュバルツァーはどこですの?」

ユーシス
「……リィンなら別の班でノーザンブリアに行っているが」

エンネア
「あらあら……ちゃんと情報の裏付けをしたの我らが筆頭?」

アイネス
「ふむ……どうやら久方ぶりの逢瀬だと浮かれて早とちりをしたようだな。我らが筆頭」

デュバリィ
「う、うるさいですわよ! そもそも貴女達だってあいつが来るって思い込んでいたでしょうがっ!」

エマ
「これが“鉄機隊”……」

ラウラ
「だがせっかくの機会だ。結社最強の“鉄騎隊”とやら、我らの腕試しとなってもらおう」

ガイウス
「ああ、将来リィンの敵となる組織……俺達の力がどこまで通じるのか」

ユーシス
「半年前、見向きもされなかった屈辱。ここで返させてもらうとしようか」

エマ
「ああ、もう……どうしてこんなことに……」

マキアス
「しっかりするんだエマ君。とりあえずリィンのせいだと思って、今は正気でいてくれ!」

ミリアム
「アハハ、何だか面白いことになってきたね」

デュバリィ
「ぐぬぬ……アルゼイド風情が生意気な……
 ですがシュバルツァーを欠いた貴方達がマスターの下に辿り着いて何をすると? 私たちに挑むなら“将”を用意してくることですわね」

ヴィクター
「ならばその“将”、私が務めさせてもらおうか」

デュバリィ
「げっ!?」

ラウラ
「子爵閣下!?」

聖女の声
『ふふ……良いでしょう。貴方達がリィン・シュバルツァーの仲間足りえるのか、ここで試させてもらうとしましょう』








ヴィクター
「子爵閣下か…………」



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