(完結)閃の軌跡Ⅰ ~鋼の意志 空の翼~   作:アルカンシェル

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アンケートの御協力ありがとうございます。
途中経過になりますが、現在は以下の通りになっています。
とりあえず今週いっぱいまでは投票できるようにしておこうかと思っています。



(303) リィン・シュバルツァー暗殺計画
(349) なーちゃんの貧乏脱出計画
(117) 非参加




99話 第六回実技テスト

 

 

 

「そう……私が推すのはずばり! Ⅶ組女子によるアイドルユニット計画だ!?」

 

 そんな戯言があったものの、先輩達のアドバイスによりⅦ組の出し物は講堂を使ってのミニコンサートに決まった。

 細かな衣装や演出、楽器などの手配はアンゼリカとジョルジュの二人が協力してくれることとなり、Ⅶ組はようやく学院祭へのスタートを切ることができた。

 そして改めてⅦ組一同は目前に迫った九月の実技テストと特別実習に気を引き締めるのだった。

 

 

 

 

「今日は父上が来ないのですか?」

 

「ええ、何でも急用ができてしまって時間が取れなかったと連絡があったわ……

 まあ元々レグラムの領主として多忙な御方なんだからそういう日もあるわよ」

 

 9月22日水曜日。

 第六回目となる実技テストに武術指南役のヴィクターは現れなかった。

 別段それは不自然なことではなく、いなければいないで実技テストは行われることとなった。

 

「…………誰も乱入してこなかった」

 

「……ああ」

 

 ぽつりと呟いたエリオットの言葉にユーシスは静かに頷く。

 

「いや、まだ警戒を解くには早い」

 

「そうだね。まだ授業が終わったわけじゃないから油断しない方が良い」

 

 ガイウスとフィーは気を抜かずに周囲の警戒に務める。

 

「ふむ、私は密かな楽しみにしていたのだが……」

 

「だよねー。残念」

 

「残念って……君が言うか」

 

 エリオット達とは対照的に落胆を露わにするラウラとシャーリィにマキアスは呆れる。

 

「えっと……四月の“鋼の聖女”から始まって、“剣帝”に“赤い星座”」

 

「その次はオーレリア将軍とユーシスのお兄さんが来たわね。そして先月は“鉄血宰相”と“皇帝陛下”たち……」

 

「でも今日は今日で、リィンさんにお客様が訪ねて来るんでしたよね?」

 

 ミリアムとアリサの確認に続き、漏らしたクリスの言葉にⅦ組に緊張が走る。

 

「落ち着いてくれ、ちゃんと約束を交わしているから授業に乱入して来ることはないさ」

 

「ま、そこは学院にも正式な手続きで面会を求められているから安心して良いわよ」

 

 鋭い視線を向けられてリィンは困ったと頬を掻き、サラが補足する。

 

「とりあえず、ガレリア要塞での戦いのことを引き摺ってないようで安心したわ」

 

 話を戻し、戦術殻との戦いから今回のテストを評価してサラは褒める。

 過剰な攻撃や、慢心による油断、恐怖を思い出して体を竦ませる。

 訓練なら平気でも実戦で出てくるPTSDといった心理障害の傾向がなかったことに安堵する。

 

「これで心置きなく実習地を発表できるわね」

 

 もはや恒例となった実習地の発表の瞬間に緊張が走る。

 

「さ、受け取りなさい」

 

 差し出されたプリントにはこう記載されていた。

 

【9月特別実習】

 A班:クリス、アリサ、フィー、マキアス、エリオット、シャーリィ。実習地:鋼都ルーレ。

 B班:リィン、エマ、ラウラ、ユーシス、ガイウス、ミリアム。実習地:海都オルディス。

 

「これは……」

 

 二つの有名な都市にリィンは目を丸くする。

 

「ルーレにオルディス……それぞれ帝国の五大都市か」

 

「そうなんだけど……」

 

 ガイウスの呟きにエリオットが頷き、マキアスは顔をしかめる。

 

「ル、ルーレもそうだがオルディスといえば……」

 

「人口40万を誇る帝国第二の巨大海港都市……貴族派のリーダー的存在、『カイエン公』の本拠地だな」

 

 ラウラが説明を入れると、次の瞬間ユーシスが激昂した。

 

「じょ、冗談は止めてもらおう! この状況で、貴族派最大の都にこのガキを連れて行けと言うのか!?」

 

 ユーシスはミリアムに視線を送り、アリサとフィーが頷く。

 

「た、確かに……」

 

「下手したら火あぶりかも」

 

「んー、大丈夫だと思うけど。オルディスなら何度も潜入しているし、みんなも一緒にいることだし♪」

 

「くっ……何を呑気な!」

 

 緊張感のないミリアムの態度にユーシスは大きくため息を吐く。

 

「でもB班も心配だけど……」

 

 そんなユーシスの嘆きを他所にアリサはもう一度プリントに視線を落として、そこに並んでいる名前を確認する。

 

「あのサラ教官、エリオットさんとフィーちゃんを組ませて大丈夫なんですか?」

 

 同じことを考えたエマが挙手して質問する。

 

「って言ってるけど、二人はどう?」

 

「ん……別に問題ない」

 

「……僕も問題ありません」

 

 フィーはともかく、返答への間があったエリオットに一同は不安を感じる。

 

「本人たちが大丈夫って言ってるんだから好きにさせれば良いじゃない……

 っていうかさ。シャーリィとリィンとクリス、この三人でまとめないの? 一応、シャーリィがトールズに来たのは二人の避雷針のためだったはずだけど」

 

「リィンにあんたの護衛はいらないでしょ……

 それにB班に関しては半分、向こうから推薦されたのよ」

 

「推薦?」

 

 聞き返すシャーリィの言葉にサラは頷く。

 

「ちょっと前倒してB班の《必須依頼》をここで発表するけど……

 特別実習期間に行われる武術大会にリィン、ラウラ、ユーシス、この三名の出場をカイエン公からお願いされたってわけ……

 あとこれは余談なんだけど、今度こそリィンと同じ班にしてくれて委員長に泣きつかれちゃったのよね」

 

「サ、サラ教官! そのことは内密にってお願いしたのに!?」

 

 サラの暴露にエマは狼狽する。

 

「ま、そういう細かいことがあって今回の編成になったって言う事よ」

 

「理由は分かりましたが、この時期に“武術大会”ですか?」

 

 懐かしい響きの言葉にリィンは首を傾げる。

 

「確かにテロリストが暗躍している今の時期に大規模な行事を行うのは不自然ではあるが……」

 

「大方、集めた戦力の格付けと言った所か? テロリスト対策として幾つもの『猟兵団』を領邦軍が雇ったという噂もあるしな」

 

 ラウラとユーシスは自分たちなりにイベントを開催する理由を考える。

 

「確かカイエン公は――」

 

 リィンはそこで言葉を呑み込んで、フィーをオルディスに行かせない理由を察する。

 

「B班はそういう感じだけど、ルーレの方も安念とできる状況じゃないわよ」

 

「っ――」

 

 サラの言葉にアリサが過剰な反応を見せる。

 

「ルーレと言えばRFグループ……だけど都市を管理するのは《四大名門》のログナー侯爵ですね」

 

 その反応を横目にクリスが簡単にルーレの情報をまとめる。

 

「アンゼリカ先輩の父君で、《四大名門》の中でも強硬派路線と聞いています」

 

「……ええ」

 

 アリサは肩を竦めて説明を引き継ぐ。

 

「だけどルーレ周辺には帝国正規軍の軍需工場なんかもあるわ……

 RFグループは中立だけど微妙な状況になっていると思う」

 

「けっこうキナ臭そう」

 

「父さん達もこの時期にどうしてそんな実習先を……」

 

「ふふ……こんな時期だからこそ、じゃないのかな?」

 

「む……それはどういう意味だ?」

 

「さあね」

 

 水を差すようなシャーリィの言葉にマキアスは聞き返すが、はぐらかした言葉だけが返って来る。

 食い下がろうとするマキアスだったが、サラが手を叩いた音で注目を集め、その場を締める。

 

「さっきも言ったけどそのあたりは一応考えているわ……

 来月は学院祭で、特別実習は無し。その意味で今回の実習もこれまでの“統括”とも言えるわね……

 備えるべきは備えて、そして胸を張って臨みなさい。ただし――」

 

 サラは言葉を切って気合いを入れ直し、告げる。

 

「リィンみたいな無茶はくれぐれもしないように」

 

『はいっ!』

 

「…………解せない」

 

「あははははっ!」

 

 こうして特別実習の発表は終わり、その日の実技テストは終了――したはずだった。

 

「《ARCUS》駆動」

 

 部活動が終わった夕陽に染まる広大なグラウンドに大きな円を描いたエマが導力魔法を起動する。

 線を簡易の結界の境界にして魔力を流し、五芒に分かれた者達の力を束ねる。

 

「《ARCUS》駆動」

 

 エマの駆動に合わせて仏頂面のラウラが、生真面目な顔のマキアスが、眠たげなフィーが、そして苦笑いを浮かべているリィンが次々に導力魔法を駆動していく。

 

「…………サラ教官、準備できました」

 

 結界の中、五人でそれぞれが駆動した“地”の導力魔法の結果を維持しながらエマはサラに報告する。

 

「ん、ありがとう。で、効果は30分くらい持つのよね?」

 

「はい、皆さんの《ARCUS》の導力を戦術リンクで統一させているので、誰かの導力切れではなく私たちの導力切れが効果の停止になります」

 

「なるほどね……」

 

 サラは様変わりしたグラウンドの様子を見てこんな導力魔法の使い方があったのかと感心する。

 土塊が無作為に隆起して障害物だらけとなったグラウンド。

 本来ならすぐに霧散消滅する導力魔法の効果を結界で維持して固定するというのはプログラムされた魔法しか使ったことがないサラにとって初めて見る技術だった。

 

「じゃあ準備も整ったことだし、もうすぐ日も落ちるからさっさと始めるわよ……ほらクリス。いつまでそうしているつもり?」

 

 準備が整うまでの間、今月のゲストの一人を睨み、挑発の言葉をぶつけているクリスをサラは窘める。

 

「言っておくけど、今回の勝負は君と僕とのじゃないからノーカウントだよ……

 まあもっとも僕はこの半年で凄い修羅場を何度もくぐり抜けてきたわけだから、君なんて敵じゃないけどね」

 

 品行方正なクリスから出て来たとは思えない口汚い挑発の言葉。

 しかしその罵倒をぶつけられた少年は怯むこと言い返す。

 

「その言葉、そっくり返させてもらうよ……

 もっとも僕は君と違って成果をひけらかすつもりはない。だいたいその修羅場というのはリィンさんの後ろをついて回っただけじゃないのか?」

 

「言ってくれるじゃないか……」

 

 煽り勝負は少年に軍配が上がる。

 涼しい顔をしてクリスの挑発を受け流した少年の反撃にクリスは眦を上げる。

 

「落ち着けクリス。らしくないぞ」

 

「お前もだ、まあ気持ちは分からなくもないが」

 

 額をぶつけ合うのではないかと思うくらいに睨み合う二人を、クリスをガイウスが、少年を赤毛の青年がそれぞれ力任せに引きはがす。

 

「がるるるっ」

 

「ぐるるるっ」

 

 それでもなお睨み合うことをやめない二人に傍らのユーシスがため息を吐く。

 

「そのまま取り押さえておいてくれ。ガイウス」

 

 どうやら顔見知りのようだが、おそらく少年はクリスの正体を知らないのだろう。

 知っていればあんな暴言を吐くとは考えられない。

 パトリックがクリスに絡む時以上の憐憫を感じ、ユーシスは制御不能となっているクリスにもう一度ため息を吐く。

 

「はいはい、いつまでもそうしていると制限時間も短くなっちゃうわよ」

 

 ぱんぱんと手を叩き、サラが急かす。

 

「それじゃあ私が取り仕切らせてもらって良いんですね?」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 サラは隣に立つ赤いコートを纏った長髪長身の男に尋ね、了承を得ると整列するⅦ組の七人と今月のゲストの七人の前に立つ。

 

「ええ……それではこれよりトールズ士官学院Ⅶ組以下七名とクロスベル警察特務支援課七名によるサバイバル戦を行います」

 

 どこか投げ槍にサラはそう宣言するのだった。

 

 

 

 

 

 







束の間の休息・晩餐会
ロイド
「俺達に出張の支援依頼ですか?」

ディーター
「ああ、実は先日帝国からリィン君が目を覚ましたと連絡を受けてね……
 通商会議ではリィン君の活躍でまたクロスベルは救われることとなった。そのことについての感謝状と見舞いの品をオリヴァルト殿下とリィン君にそれぞれ届けて欲しいのだよ」

ロイド
「用件は分かりましたが、どうして俺達が? 正直警察の仕事の枠を超えていると思いますが」

ディーター
「それは君達が非公式ながらもオリヴァルト皇子との面識を作ったこと、そして少なからずリィン・シュバルツァーとの交流があること……
 そして今は特務支援課の一員であるクルト君がいることが理由かな」

ロイド
「ディーター市長……それは――」

ディーター
「安心するといい、遊撃士協会もアリオス君が同様の理由で帝都への出張が決まっている。それに同行できるように頼んであるからね……
 それにロイド君はカルバードで生活していたのだろ? この機会に見聞を広めると思って帝国を見て来るといい」





説明前倒し
オルディスにおける武術大会。
領邦軍や集めた猟兵団の実力の確認、またまだ見ぬ在野の実力者を発掘することを目的とした大会。
帝国解放戦線など恐るるに足りない戦力を保有しているというアピールも目的の一つである。

実力次第では任官として取り上げられることも告知されており、またそれなりの賞金も出る。

余談だが、リィンを推薦したことにとある将軍が絡んでいるとかいないとか。
また賞金目当てと普段から偉ぶっている領邦軍の鼻っ柱を折ることを目的に近隣の都市から不良グループが参加を考えているかも?

というか空の時には帝国は武を尊ぶ設定があったのに、創でそういう武術大会のイベントが今までなかったというのに驚きましたね。

すーちゃんとなーちゃんを閃に出すか?

  • リィン・シュバルツァー暗殺計画
  • なーちゃんの貧乏脱出計画
  • 非参加
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