次回から本編です
20XX年世界ではVRMMOが実用化され普及している。様々な分野で利用され、日常生活にも密着している時代となった。子供が勉強のために外出し学校へ行く必要もなくなった。会社業務もVR上で行われるようになった。
もっとも、国が外での運動を推奨しているというのもあって人々が皆引きこもっているわけではないのだが。
数ヶ月前、VRMMOの新作ゲームが古今東西あらゆる戦闘をリアルに体験できるという触れ込みで大々的に発表され、宣伝された。βテストが行われテスターによる評価はかなりいいようだった。
今日は製品版が発売される日で世間は賑わっており事前予約人数は全世界で3000万人近いようだ。サーバーはスーパーコンピューター並の処理能力を有しているらしく1億人が一斉にログインしても理論上は大丈夫らしく予約者が全員接続しても安心だ。
ところで多くの人は面白そうだというだけで深く考えないで購入していて、それがいかに糞ゲーであるかを理解している人は少ない。
βテストのプレイヤーがガチガチの変人ミリオタであること
戦争ものでキャッチコピーが「本物に近い」ことであること
ゲームは第一次世界大戦をモデルに構成されていること
そもそも本物に近いとはどの範囲までなのか
アバターに人種設定項目があること
そんなことを調べて考えるのは少数派だ。
これがどんな悲劇を引き起こすのかまだ誰も知らない。
俺は学校からから帰るとすぐに届いた家に届いたゲームを開封しログインした。友人であるリョウと一緒にやろうと事前に約束していたのだ。
ゲームが開始されると最初にアバターの設定をしなければならない。
身長、体重、チェストといった体格や足のサイズ、顔の造形すべてを設定するのに丸一日費やしその日は終了した。リョウに連絡してみたところあいつも俺と同じ状況らしい。プレーするのは明日にすることにした。
翌朝、休日なので起きてすぐにログインしVRの世界へ入る。
アバターが自分の身体にスウッと入り込むと同時に視界が暗転し気がつくと駅のホーム立っていた。周囲を見渡すと皆一様の服を着た「白人」プレイヤーが俺と同じように周りを見ながら困惑している。
早速問題発生。サーバー選択の際にデフォルト設定のまま北欧にしてしまったようだ。さらにこのゲーム、言語翻訳機能がついていないという糞仕様なのだ。見渡した限り日本人はおろかアジア人がいない。そして北欧に日本語はもちろん英語を話せる人も意外と少ない。サーバーの変更はリセットしなければできない。状況からして詰みである。
ようやく見つけた英語を話せるフィンランド人のヴィルヘルムさんによると北欧は中立国だから戦争が行われるドイツまで列車で移動しなければならないらしいのだ。ということは日本サーバーにいるであろうリョウは青島で戦うか、船でヨーロッパまで来るかどちらかを選ばなければならないということなのだろうか。
非戦闘地域でしか使えない電報を使って聞いてみるとこっちにつくまでに軽く1ヶ月かかるらしい。
糞ゲーだ...
友人と楽しくプレーするはずが、ヴィルヘルムさん(34)独身のぼっちゲーマーと辿々しくコミュニケーションを取りながら環境劣悪の列車の旅をするはめになるとは
なんて面白いんだ!!
人は選ぶが硬派良ゲーの糞ゲーの予感がする!
ステータス画面には体温、血圧、負傷箇所を示すイラストなどしか書いていない。
武装もリアルでボルトアクション式ライフルだし弾薬も50発ほどしか持っておらず、重さもしっかりと感じる。
これからの戦闘が楽しみだ。
次回に期待してくださいね