重力使いのヒーローアカデミア   作:はじ

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USJ その1

雄英高校正面玄関。そこに学校所属のヒーローが集合していた。

 

「ただのマスコミがこんなこと出来る?」

 

校長である根津が他の皆に問う。答えは、「出来るわけが無い」。ヒーロー科の教員全員がそう思う。理由はここが日本で最高峰のヒーローを育てる学舎で、勿論セキュリティシステムだって現代科学の最先端の技術を利用していることだ。マスコミに破られる程度のセキュリティでは(ヴィラン)と相対する事すら出来ない。

 

この隔離壁だってそうだ。剛性・柔軟性・耐熱・耐震・耐水・耐電等々、ありとあらゆる機能テストに耐える最高水準で仕上げた特殊合金製である。

 

これを突破出来るというのはつまりそう言う事なのだろう。

 

「そそのかした者がいるね…」

 

根津校長は崩壊した壁を見つめながらそう呟く。口調は軽いが視線は真剣そのもの、眉をひそめ瓦礫の残骸を注視している。

 

「邪な者が入り込んだか」

 

そこには何かがある。その点だけは明確だ。

 

「もしくは宣戦布告の腹づもりか…」

 

敵の正体は見えてこない。しかし、今回の騒動は「事を起こす」予兆以外の何物でも無い。

 

・・・・・・悪ならば迎え撃つ。

 

決意を固め一同はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロヒーローミッドナイト。本名香山睡。彼女にとって、八神凛とは弟のような者だ。

 

初めて凛に会ったのは彼が赤ちゃんの時、職場体験先である。凛の父親であるマグネティはまだ事務所を開いたばかりだったが、若手のホープと言われ事務所を持つ前からヒーロービルボードチャートにランクインする実力者だった。そんなヒーローから指名を受け教えを受けた。

 

彼女自身の個性『眠り香』でヒーローコスチュームの改造で悩んでいた時もマグネティのコネを使い色々と活動していたら、『コスチュームの露出における規定法案』が通り彼女自身、多大な恩と尊敬をマグネティに持っていた。

 

プロとして活動を始めしばらくたった時に起きた事件『ヒーローの悪夢』。尊敬するマグネティの無実を祈り彼女自身行動したが、その結果は最悪だった。職場体験以降、インターンやチームアップ等プロになってからもマグネティと関わり、その息子である凛と交流してきた彼女が知ったのは彼らの家が、思い出が焼かれ、それを良しとする世論だった。彼女は憤り、心に傷を負った。そんな彼女に手を差し伸べたのは雄英高校であり根津だった。

 

教師として未来のヒーロー達に指導しながら日々を過ごしていた彼女は一つの資料を見た時に心から歓喜した。元No.2ヒーローマグネティの名誉回復運動。師匠がこれで浮かばれる。そんな思いだった。そして、根津からもたらされた凛の情報。驚愕とも言うべき事実。そして、実技試験における凛の力と表情。モニター越しに見た凛と離れていた六年という時間を感じた。

 

「久しぶり睡姉ちゃん?その格好(ヒーローコスチューム)はちょっとどうかと思うんだけど・・・・・・」

 

そんなぐちゃぐちゃした感情の中、再開した時どんな言葉をかけようか悩んでいた彼女は凛によるこのセリフで拳骨を落とした事に後悔していない。そして、この後凛の義娘のフランに凛の小さい頃の恥ずかしい話をした事も反省していない。ただ気になったのは凛の表情がほとんど変わらない事。どうにかしてやりたいと悩みとりあえずノリの良いプレゼントマイク(馬鹿)を巻き込み馬鹿騒ぎを敢行する事にした。そして昨日セメントスから驚愕の報告に歯噛みした。凛が笑った。それも年相応に・・・・・・ズルイ。そんな感情が沸き上がるが、ホッと肩の荷が降りるようにも感じた。

 

しかし、凛の心の闇は中々深いようだ。

 

昨日起きた雄英マスコミ襲撃事件。これにより漸く届いた凛のヒーローコスチュームを渡す事が出来ず、今日になってしまった。午前中はいつも通り、雄英教師についてのヒーロー活動をしていた凛に連絡し、午後の授業の前に渡す約束をしていた彼女は凛に会ってそう感じた。(ヴィラン)ハンター。言葉にすればそれだけだが、それは確かにヒーローとは違う職業。合法的な(ヴィラン)と呼ぶ者も確かにいる。それでも、と悩み、六年前から苦しんでいる凛の心の闇。

 

「俺はこれ(ヒーローコスチューム)を着る資格はあるのかな・・・・・・」

 

そう呟く凛に彼女は教師として姉としてそして一人のヒーローとして答える事にした。

 

「確かにあんたは(ヴィラン)ハンターとしてヒーローとは違う事をしてきたのかもしれない。だけどね、あんたがやったことで救われた人もたくさんいるはずだよ。フランちゃんだってその中の一人。それにあんたはヒーローを助けるヒーローになるのが夢だったはずだよ」

 

それは凛が小さい頃彼女に語った夢。幼馴染みがヒーローになるならそれを助けるヒーローになる。凛自身が目指した幼い頃の夢。

 

「・・・・・・そうだった。ありがとう睡姉ちゃん」

 

それは思い出の中に消えていた凛の柔らかい笑顔。

 

思わず凛を抱きしめてしまった事は反省しないが、うっかりヒーローコスチュームが破れて凛が寝てしまった事はさすがに反省した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一かたまりになって動くな」

 

相澤は叫ぶ。

 

「あれは」

 

(ヴィラン)だ!」

 

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