拝見、親愛なる皆様お元気でしょうか?KMRです。
なんやかんやあってこの世界に迷い込んだ僕達空手部ですが元気にやっています。この世界に来てからというもの驚かされる事ばかりでした。糞餓鬼ひでの顔をした化け物達、力強過ぎる女性、うんこを吐くドラゴンなどこの世の物とは思えないものばかりでした。
でもそんな感傷に浸ってる場合ではありません。
なんせ今は―――――
「ブモォォォォォォォ!!!」
黒騎士「待てやこの糞野郎共!」
僕達4人は巨大な剣を携え、銀色の猪に股がった黒騎士さんに追いかけ回されてるのですから。
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遡ること数十分前―――
MUR「どうするゾ?」
野獣「どうするって言われましてもねぇ…」
道を進んできた先輩達は壁に隠れながらこっそりと覗いている先輩達。なにせ、鐘を鳴らすために目の前にある大きな教会に辿り着くため、今正に進もうとしている道に遠くから見ても分かるとんでもなく大きい銀色の猪の様子を伺っているのだから。
今のところはおとなしい只の馬鹿デカイ猪だが先輩達はこれまでの経験上、あの猪に見つかると間違いなく死んでしまうと予想していた。なので迂闊に動く事もせずここに滞在しているのだ。
亡者「とりあえず行ってみたらわかるんちゃう?」
野獣「そんな事したらあの猪に殺されるだろ!いい加減にしろ!痛いのは嫌なんだよ!」
いくら不死とはいえ殺される間際の痛みは当然ある。アナスタシアにやられた事で野獣先輩はそれをよく理解していた。変わらない状況に悩んだ先輩は気でも晴らそうかと空を見上げると、あるものを見つけた。
野獣「あれ…黒騎士さんじゃないっすかね?」
その言葉につられて上を他の者が見上げると、確かに前に出会ったことがある虐待黒騎士に似たような人がいる事に気がついた。
MUR「ホントだゾ!黒騎士さんの知り合いかもゾ!」
KMR「もしかしたら助けてくれるかもしれませんね!」
虐待黒騎士の強さを十分に理解していた先輩達は微かな希望を持つ事ができこれならばもしかするとあの猪もどうにかしてもらえるのかもしれないと思った先輩達はすぐに虐待黒騎士がいるであろう場所に向けて階段を上がっていった。
階段は螺旋階段になっておりかなり高層に居るものと分かっていたので階段を上がる度に少しずつ体力を奪われていき階段を上がり切る頃にはかなり体力を消耗していた。
階段を上がりきった先には――――瞬間、大きな剣が先頭にいた野獣先輩に当たることなくの目の前に飛んできた。
野獣「ファッ!?」
突然の事でかなり深々と床に刺さった剣を見て驚きながら剣が投げられてきた方向に向き直るとそこには虐待黒騎士が居たのだ。
MUR「どうしたゾ!?」
野獣「い、いやいきなり剣を投げられてきて…」
虐待黒騎士「貴様ら、よくも我が友人の黒騎士を殺してくれたな…!見ていたぞ!貴様らが我が友人を突き落とした所を!」
鎧で顔が見えないとはいえ声からでも分かる怒りを露にした虐待黒騎士に殺してしまったとはいえ他意はなかったと弁明を言おうとしたが虐待黒騎士は先輩達が発言する前に左手に持っていた盾を投げつけてきた。
野獣「あ、待ってくださいよ!」
虐待黒騎士「貴様らの言葉など不要!今すぐ殺してくれるわ!」
すぐに距離を詰めてきた虐待黒騎士は手始めに野獣先輩の頭部目掛けて拳を叩き込もうとしたがすんでの所で回避されその拳は壁にめり込んだのだ。
野獣「不味いですよ!」
MUR「一体逃げるゾ!」
登ってきた螺旋階段を急いで降っていった先輩達だが虐待黒騎士が追ってくる気配がなかった。
亡者「な、なんとか逃げ切ったんか…?」
KMR「そうだといいんですけど…」
「ブモォォォォォォ!!」
一息の安心をすると今度は後ろの方からあの銀色の猪の声がとてつもない雄叫びを上げ、暴れだしていたのだ。
MUR「こ、今度は何ゾ?」
野獣「先輩!猪の上に黒騎士さんが!」
野獣先輩が指を指すと猪の上には先程出会った虐待黒騎士が猪の上に股がり、まるで手懐けさせようと携えている剣で猪を殴っていた。猪が大人しくなるのに数秒もかからず完全手懐けたのか猪が暴れなくなったのだ。
MUR「嫌な予感がするゾ」
亡者「亡者もそう思います」
MUR先輩と亡者の予感通り、猪は先輩達の方に向き直ってとてつもなく早いスピードで走り出してきたのだ。それを目にした先輩達は既に猛スピードで逃げ出して悲鳴を上げていた。
野獣「あああああああもうやだああああああ!!!!」
虐待黒騎士「待てやこの糞野郎共!」
「ブモォォォォォォォ!!!」
そして現在逃げ回っているわけなのだ。