先輩達は逃げ回った。ヘルカイトのいた道、地下不死街、果ては火継ぎの祭祀場などあらゆる場所に逃げ回った。その間引き殺されていった亡者は数知れずだが根暗のおやっさん、アナスタシアは既に隠れていたので問題はなかった。
が、ロートレクは気絶したままだったので猪に引かれていたのに何故か死ぬことはなかったがそれは先輩達の知る由ではなかった。
そうして逃げている内に何故か教会に辿り着いたのだが虐待黒騎士も付いてきてるので問題解決には至らなかった。
KMR「あ、あれだけ走ってまだ着いてくるんですか!?」
4人全員が体力を消耗し、息継ぎが荒くなっているなかもうすぐそこまで来ていた虐待黒騎士と猪に対して驚愕の顔を露にしたKMRだったがそんな事を気にする余裕も体力も既になくなっていた。
虐待黒騎士「死んで我が友人に詫びるがいい!」
虐待黒騎士が猪のケツを大きな鞭で叩き、それに怒った猪が更にスピードを上げて突進してきた。そしてその突進が先輩達に当たる刹那――――
野獣「ヌッ!」
野獣の眼光が光り、猪の突進を見切り突進が当たるスレスレの所でジャンプして避ける。それだけでは終わらず虐待黒騎士の顔に向けて蹴りを入れ、吹き飛ばす事で猪から引きずり落とす事に成功したのだ。まあ、残り3人は突進によって普通に死亡したのだが。
吹き飛ばされた虐待黒騎士は回転しながら落ちていき、猪はそのまま突進した事で壁に頭をめり込ませてしまった。スムーズに着地した先輩はそのままコロンビアのポーズを取り
野獣「fo↑!気持ちいい〜」
と喜んでいた。だが決して油断する事はなく倒れている虐待黒騎士を見ていたが、なんと巨大な剣を支えにしてフラフラと立ち上がったのだ。だが野獣先輩の攻撃が効いているのか立ち上がった所で体が揺れていて頭の兜もかなり凹んでいた。
虐待黒騎士「貴様…我が顔に蹴りを…」
顔を押さえながら弱々しい声で呟いたがそんな事を意にも
介さず野獣先輩は木版の盾をフリスビーの要領で投げるが、虐待黒騎士がとっさに盾で防いだ事によって弾き飛ばされた。が……
野獣「行きますよぉ…行きますよぉ行く行く」
野獣先輩が高く飛び跳ねると弾き飛ばされた盾を掴んで腕に装着し、回転しながらタイミング良く虐待黒騎士の顔に拳を叩き込んだ。流石にその行動を読めなかったのか虐待黒騎士は防ぐ事すら叶わず野獣先輩の攻撃を受けてしまった。
虐待黒騎士は数歩後ろによろめきこの隙を逃さんとばかりか野獣先輩はドロップキックを繰り出したがその攻撃が通る事はなかった。何故ならその攻撃は手で掴んで防がれたのだから。
野獣「や、やりますねぇ…」
虐待黒騎士「そう何度も食らうと思うなよ…!」
かなりのダメージを喰らっているのにも関わらず傷を負っているとは思えない程大きな力で野獣先輩を放り投げ、先程の戦闘で落としていた自身の大剣を掴み取った。
虐待黒騎士「覚悟しろ。貴様をすぐに殺し―――」
虐待黒騎士が台詞を言い切る前にその姿が消えてしまった。それもその筈である。なにせ―――
「ブモォォォォォォォ!!!」
銀色の猪によって吹き飛ばされてしまい、そのダメージによって死んでしまったのだから。手懐けたからといって猪にはこれっぽっちも忠誠心がなかったのでめり込んでいた猪は虐待黒騎士に突進していったのだ。
満足したのか随分と鼻息が荒くなり次は野獣先輩の方に狙いを定めた。
一瞬状況が分からなくなってしまい虚無のような顔をしていた野獣先輩だが、猪と視線が合った事で我に返った。
野獣「いいよ!来いよ!胸にかけて胸に!」
ホイホイと猪に対して手招きしながら煽る先輩に切れたのか雄叫びを上げると共に突進してきた。してきたのだが…
グサッ
「ブモォォォォォォォォォォォォ!!!???」
猪の進行方向に先程吹き飛ばされた虐待黒騎士の大剣がタイミング良く猪の頭に落ちてきて、その切っ先が猪の頭に刺さったどころか貫通してしまい馬鹿五月蝿い声を上げた。
野獣「え、何これは…」
流石に状況が状況なので野獣先輩も困惑せざるを得なかった。猪は暫く鳴き叫んだら後、ケツから糞と尿を大量にばらまきソウルとなって絶命したのだった。
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KMR「早く先輩の所へ行かないと!」
MUR「そうだよ(肯定)」
猪に引き殺された3人は火継ぎの祭祀場から教会に向かって全力疾走していた。復活してからも野獣先輩だけは戻らなかった為3人は急いで向かったのだが向かった先にいたのは野獣先輩が猪の頭の形をした兜と虐待黒騎士の大剣が置いてある目の前で考える人と化していた。
MUR「野獣!大丈夫かゾ!?」
亡者「野獣はん!?大丈夫か!?」
野獣「あ、みんな」
ゆっくりと顔を上げた野獣先輩はかなり困惑した顔で立ち上がった。
亡者「あれ?黒騎士と猪はどうないしたんや?」
野獣「んにゃぴ…んまそう…良く分かんないです」
亡者「?」
かなり困惑した顔でそう言った野獣先輩だが起きたこと全て話したところで?マークだらけになるから特に話すことはしなかった。
野獣「まあ、いいじゃないっすかそんなこと。それよりこの教会の上に行かなきゃな」
MUR「あっ、そうだ。忘れてたゾ〜」
先輩達は教会の階段を登ると何やら奥から騒がしい音がするのが分かった。恐る恐る見ると少なくとも10人はいるであろう亡者達が1人の人物によって群がっていた。
YTR☆伝導師「オッハ―――!!!」
訂正、群がっていたのではなくLiveを開いていたみたいだ。杖を持ちながらとんでもないハイテンションと歌で亡者達を心滾らせて………はいなかった。どっちかというとあまりのハイテンションぶりに注目してるように見える。
実際、歌っている曲を亡者達に振ると沈黙と冷静な眼差しで返されて尚も挫けず歌っているその姿勢はとてもつもないメンタルを持っているように思えた。
先輩達はそのLiveに紛れて教会の天井を目指すのだった。