1つ目の鐘を鳴らし終えた先輩達は次の鐘は何処にあるのかを聞くために、火継ぎの祭祀場へと戻ってきていた。
根暗「まさかホントに鐘を鳴らす事ができたとはな」
KMR「ま、まあ道中で色々トラブルがありましたけど…」
根暗「?」
ヘルカイトや虐待黒騎士の出来事、ガーゴイルの無残な殺され方等を思い出すと何故自分達が鐘を鳴らすことが出来たのか今だに理解できていなかったKMRはそっと目を反らしながら答えた。
MUR「そんな事よりアナスタシアさんはどこゾ?あの人に次の鐘は何処にあるのか聞きたいゾ〜」
根暗「ああ、それなら元の場所に戻っているぞ」
亡者「え?何で戻ってるんや?」
根暗「本人曰く、静かでミステリアスな淑女な私は此処にいなければならないとか訳分からない事言ってたぞ」
亡者「えぇ…」
一度その怪力で鉄格子を壊し、野獣先輩をグロテクスに仕立て上げヘルカイトをフルボッコにした火防女が今更
何を言っているのかと声を出して言いたかったのだが、声を出して言えば下手をすれば野獣先輩みたいな目に合う可能性が考えられたので、何も言わずそのままアナスタシアの元に向かった。
道中、ロートレクを見かけたがまだ失神していたのだった。どれだけビビっているのか…
アナスタシア「1つ目の鐘を鳴らし終えた事、おめでとうございます」
壊れた鉄格子は復元され、隅の方にチョコンと座っていたアナスタシアは先輩達が目の前に来るとニコッと笑ってそう言った。その姿に妙な安心感を覚えた先輩達だったが、野獣先輩だけはMUR先輩の後ろに隠れて生まれたての小鹿のようにプルプル震えていた。
アナスタシア「此処に来たと言うことは次の鐘の場所を聞きにきたのでしょう。お教えします」
野獣先輩の反応にあまり気にすることなくアナスタシアは言葉を続けた。
アナスタシア「次の鐘の場所は病み村と言う場所に居座っているイザリスの魔女の1人、クラークがいる場所の先に鐘はあります。ですが、病み村に行くにはまず最下層まで行ってもらいその先に病み村があるので頑張ってきてください」
話を終えるとMUR先輩は顔を渋らせ
MUR「病み村ゾ…なんだか病気になりそうな村の名前ゾ」
と言った。その事に関しては誰もが同意していた。そもそも村の名前に「病」なんて文字を入れる事自体、不吉な感じがして少し不安感を覚えた先輩達。
アナスタシア「あの村は元々普通の村だったのでしたが色んな病いを抱えた人達をその村に住居させたと言う事でいつしかその名がつけられました。不吉感がある、という事には私も賛成しますが…」
だが、そんな事も言ってられない。この世界の異常を直すにはどうしても鐘を鳴らしてアノール・ロンドに向かわなければならない。先輩達は気持ちを切り替え、新たに歩みを進め始めたのだった。
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KMR「取り敢えず下層という場所には来ましたけど…」
アナスタシアによるとヘルカイトのいた場所の塔から下層、最下層に行けると聞いていたのだがその塔の扉には鍵がかけられていたのでパンチラッシュ先輩が扉を粉々に粉砕した後梯子を降りた。降りたのはいいが……
亡者「人面犬と山賊がキャンプファイアーしてるで」
いかにも不幸にも黒塗りの高級車に追突しそうな顔をしている人面犬と大人数の山賊が大きな火を囲ってマイムマイムを踊っていた。
山賊は顔が隠れて表情が分からないが躍りにキレが入ってる為、とても楽しそうな様子だ。人面犬の方は顔が出ているのにも関わらず無表情だが「ワン、ワン、ワン、ワン」
とまるで下手くそな犬の鳴き声を真似をしてるかのような声を上げていた。
KMR「今回も無視した方がいいですね」
亡者「ばれないようにゆっくり進んで行こうか」
そろりそろりと進んで行くとマイムマイムを踊っていた人面犬がピタッと止まりぐるりと首が180度回転した。人面犬の目はしっかりと先輩達を捕らえ1つ大きな雄叫びを上げると周りの山賊達も一斉に振り返り先輩達を見た。
MUR「あっ、そっかぁ」
野獣「んにゃぴ…んまそう…まずいですねぇ!」
山賊「「「きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
山賊達の発狂と共に一斉に動きだし、襲いかかってきた。山賊達は比較的軽装な装備をしてる為早いスピードで先輩達に近づいてきた。
野獣「ヌッ!」
野獣先輩は鐘のガーゴイルの時に奪い取ったガーゴイルの盾を投げると、山賊に当たったと同時に跳ね返り複数の山賊に命中させていった。流石に一撃では仕留めきれなかったが、KMRが持つ飛竜の剣でのけ反っていた山賊達に止めを刺した。
亡者「ほな行くでー!」
どこから取り出したのか亡者が手の中に握っていた火炎壺を放り投げ、山賊達を一網打尽にする。火炎壺から吐き出された火炎が山賊達を苦しませ絶叫させた。火炎壺に当たらなかった山賊はMUR先輩がガーゴイルの斧槍で真っ二つに切り裂きソウルへと変えていく。
そうした連撃を繰り返して行く内に遂には人面犬一匹だけになっていたのだ。
野獣「ぬわわわわわぁぁぁぁん疲れたもぉぉん…」
KMR「かなりの数がいましたからね」
亡者「せやけど残りはこの人面犬一匹のみやで」
先輩達が人面犬に目を向けると人面犬は飛び跳ねるとくるくる回って自分の腹を出し、クゥーンと鳴いて舌を出していた。
MUR「降参のポーズかゾ?」
KMR「人面犬にも降参のポーズあるんですね…」
情けない姿を見た先輩達は闘争心をなくしたのかそれ以上は攻撃をする事もしなくなり腹をポンポン叩いて先へと進んで行った。