突然だが働き先の主従百合がとても良い。(作り直しました)   作:杜甫kuresu

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思いつきで書きました。確実に失踪します。出来るところまで走る持久走式執筆法です。
最初の10行ぐらいで全て察せるはずなので過激派の人はそっとブラウザバック。


第1話

 突然だが、働き先の主従百合がとても良い。

 ああ待て。待ち給えよ諸君。今この世の何処かで「お前もそんな事を言いながらどうせ百合の間にちょいちょい入ってくる阿呆男なんやろ騙されへんぞ」という過激派の血の叫びが聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その通りだ。何なら両者から俺は気に入られている、そこは踏まえてもらおう。

 

「いつまでそこでニヤニヤとしている、掃除はどうした?」

「あ、すんません」

 

 すんませんと言ったことで俺はいきなり一回り年下の美少女に5分ほど怒られた。礼儀がなってないのはマジなので俺は頭が上がらない。す”い”ませんね、はい。ごめんなさーい。

 名前をヘルメス。下の名前はウンタラカンタラーと長いのだが、ブロンドの美少女百合っ子が大体彼女の全て。

 つい五年前くらいに両親が死んでしまっているので、びっくりすることに俺より小さいのに家主。しっかりしてて頭も回る、中世近世辺りの身分高い系女子にありがちな謎会食とかパーティーでも評判がいいらしいと同僚の掃除ガチ勢からは聞き及んでいる。俺も鼻が高い。

 

 対して俺。屋敷の清掃員。小間使いとかというよりは清掃員、つまり掃除ガチ勢として彼女の屋敷に住み込みで働かせてもらっている。給料は高いが仕事の誇りは高いどころか一ミリもない。お金を老後に向けて貯めるだけのしょうもない男だ。

 

「仕事に不満はないが、そうニヤニヤされると気持ちが悪い。少し気をつけてくれ」

「はい…………」

 

 見ての通り、ヘルメスの俺への当たりはそこそこキツイ。いや全く礼儀もなってなければヲタ笑いを浮かべる俺に原因は有るけれど、彼女はその生い立ち柄とてもキリッとしてしまった。

 

 してしまった。五年前のあの日までは天真爛漫だったような気もするし、俺にも凄くなついていた。いや俺の好感度に関しては素行の悪さがバレただけなんだけど。

 お察しの通り受け。攻めるわけがない。

 

「そう言えばヘルメス様、お言葉ですが俗世のちょっとアレな本はもう少ししっかり隠しましょう。俺は全く気にしてないんですけど、アストラさんに見つかると凄くメンドクサイと思います」

「――――!? 見たのか!」

 

 見ました。噛み砕くと百合のエロ本でしたね、文章系のねっとりした奴だったから「あ、ふーん」って素で言ってしまったレベル。

 翡翠の瞳が驚愕でぐにゃぐにゃと光を反射する。次に取ったのは俺のなさけない首元をたぐり寄せて矢継ぎ早にまくし立てること。あら哀れ。

 

「い、言うなよ! アストラには絶対言うな!」

「言いませんよ~。あぁでも面白そうかも…………」

 

 冗談半分で言ったら更に焦った彼女の真っ赤な顔が視界いっぱいに繰り広げられる。首痛い。

 

「駄目ったら駄目だ! 何をされるか分かったものではないじゃないか!」

「冗談ですよ冗談。ヘルメス()()()はほんと昔から心配性ですね」

 

 うっ、と唸る。

 昔は木登りをして猫を助けてあげたりよくしたものだ。めそめそして俺の所に泣きつくもんだから流石にかわいそうなだけだったんだが、あの時の涙混じりのありがとうとキラキラした笑顔は加賀百万石を優に超える報酬にござった。

 

 あの頃のヘルメスは俺にも可愛かった。今は夜のお相手の前のほうが余程可愛いのではないか? まあ良いんだけど。

 

「後は、”そういう事”するのは良いんですけど声抑えてください。隣の部屋で寝かせてくれる温情有難きこと限りなしでは有りますが、やはり俺も男なので」

「は、はぁ!?」

 

 聞こえてないと思ってたのアレ。プレイの詳細まで筒抜けですよヘルメス=サン、言葉責め割と気に入ってるらしいね。

 別に俺は旧世代的な「女同士がそんな事をふじこふじこ」なんて言う男じゃない。寝れないこともないというか最近慣れてしまうという驚愕の適応をしたのでオッケーなのだが、何かの拍子でこの事実を彼女が知ったら恥ずか死するだろう。

 

 今のうちにワクチンのつもりで教えておいてやろう。という俺の親切心だ。だったのに。

 

 

 

 

 

 

 

「何故反省文を書かされてるんだ俺…………?」

 

 めっちゃ怒られて涙目の現当主殿から反省文を仰せつかって早三十分。俺は今何をしているのか自問自答が激しくなって思考に論理バグが発生しそうだった。

 

 屋敷は言葉通り屋敷で結構広いのだが、でっかいテーブルで一人紙とにらめっこする絵面は大層アホっぽいだろう。というのもヘルメスが「今すぐ書いて!」と紙とペンをしっかり握らせて怒鳴ってきたのだ。ちゃんと持ってきてくれる辺り、やっぱり何か嫌いにはなれない。

 まあ付き合うのも務めなので付き合うが…………。

 

「でも文字苦手やわ~! マジで!」

「また反省文?」

 

 ひょこっと、頭をかきながら天を見上げた俺の視界に女の顔。思わず紙まで体を揺り戻す。

 

「うおっ!? あ、アストラさんか。びっくりした」

「さんは要らないよ、年下だし」

 

 んなこと言ったらヘルメスに俺が敬語使う筋合い無いから。

 アストラ。アストラ・ファンタール、この屋敷で長いことをハウスキーパーと侍女を兼任してるメイドの家系。

 

 ファンタールという家系は跡継ぎの女の子が恵まれないと引き取ってくるらしいが、彼女はそちらの方。鋼のようながら淡い輝きを放つ銀のポニーテールと、いつも何を考えているのかわからない薄目がトレードマーク。

 

 俺より後から入ってきた、と言っても差し支えはないが仕事能力はアストラの方が圧倒的。というかファンタールの家系は多分どの代もすごい、先代も凄くお仕事の速いおばさまだった。俺の師匠だ、掃除しか出来ぬ無能に育ってごめんなさい。

 

「まあハウスキーパーに侍女って字面が力強いから。俺は長いものに巻かれるというか巻かれに体を回す人種なので」

「そう? 敬語は酷いけどね」

 

 先代の当主さんにも結構ネタにされてた。あの人は俺の言動より「お前やたら掃除できるな~!」と言って可愛がってくれるタイプだったが。抱かれても良い上司一位。

 

「敬語とか気にしない辺り、結構ヘルメスちゃんも先代と似てるんだよな。良い気質だと思うよアレは」

「あ~…………」

 

 やっぱり敬語とかマナーで人を測るっていうのも一定の限界が有って、いやまあ俺が該当するとは思わないがそういう事にとらわれ過ぎないっていうのは統率者に有って良い能力だと思う。

 と考えていると、気づけばアストラの笑顔が曇っていた。何か言いにくそうと言うか、苦笑いと言うかそんなものが混じった乾いた声。

 

「いや、そうじゃないですかね? こんな敬語も背筋もフザけてる男、寛容な家じゃなきゃ雇ってくれませんよ。多分」

 

 他のお家知らないけど。偶に会った時に知り合いの掃除ガチ勢とかから聞きかじる程度だけど。

 アストラがやれやれ、と言った感じでようやく喋りだす。

 

「ヘルメス様はそういうの厳しいと思うよ? あなたが特別」

「ん?????????? いや、ああ????????」

 

 違うと言おうと思ったが心当たり超あるわ参ったな。

 

「言われてみればさっきも敬語関連で怒られたわ」

「そう。だからそれでも側に置きたいだけじゃないかな――――――」

 

 ところで。

 そう言った彼女の赤い瞳が僅かに開く。ヤバイ、なにか俺は要らないことを言ってしまった予感だ。

 

 アストラが目を開いた時は大抵最後に俺が追加で怒られるバッドエンドシナリオに直行するお約束キャンペーンが存在する。

 逃げようと思ったが手を掴まれた。おかしいよ全く体が動かない。

 

「さっきは何の話してたの? 自分から絶対にヘルメス様に話しかけないよね?」

「アッイヤベツニィ!? ちょ~っと怒られただけですよ!」

 

 無事全部吐きました。凄い圧力だよ毎度ながら、くらげレベルでフヨフヨしている俺には約束を守り通す強さはない。

 その日の夜は俺との関係性について言葉責めされてた。声おっきかったね、ふたりとも。

 

 今日も今日とて無事、俺は”エロい神の見えざる手”で百合のシチュづくりに貢献させられた。ちなみに後日すっごい涙目で怒られた、ゴメンよ。




【主人公】
転生者の”掃除ガチ勢”。屋敷には結構昔から居て、ヘルメスには「お兄ちゃん」と呼ばれていた。軽くてややウザイが基本善人の百合厨。本当は掃除ガチ勢じゃなくてSPみたいな分類。
給料が友達。アスxヘル穏健派。すぐ要らないことを言うが一応事なかれ主義。

【ヘルメス】
受けの当主系お嬢様。普段から想像のつかない叩けば響くような反応でよく遊ばれる。性欲が強いのでがっつりとしたエロ小説を好む。
しっかり者でありたい性分柄、主人公には反抗期気味。

【アストラ】
攻めのゆるふわ系メイド。主人公よりは若いが仕事ができる女で、いつも時間を見つけてはヘルメスをからかっている。
主人公が居ると面白い話や出来事が多いのでお気に入り。
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