突然だが働き先の主従百合がとても良い。(作り直しました)   作:杜甫kuresu

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地雷原に今回もお越しいただき、感謝感激過激派の銃弾雨あられです。夜道に気をつけてます。
付随する話としては、「男を挟むな!」と叫びを凝縮してオブラートに包んだものが知り合いから届いて……えー。

痛いほど分かります、なんですかこの男は。
エロい神の見えざる手で半分ぐらいの展開では消したい…………10行で分かるようにしたことだけは褒めて。


第2話

 今日も今日とて過激派の凶刃に震える愚かな被害妄想家、掃除ガチ勢です。

 多分マジでは殺されない、メイドの過激派連中は視線だけで殺そうとしてくる。俺が悪いので弁明なし。

 アイツラは俺がいきなり変死体になってもアスxヘルに亀裂が走ると知っているのだ、その努力にジョセフ並みの反り返る敬礼を禁じ得ぬ気持ちをいつも抑えてます。ちゃらけてるけど本当に。

 

 

 

 さて。こう卑屈になってても仕方ない、俺は精々空気に務めるだけ。

 じゃあヘルメスのお屋敷、ルチアーノ家のお掃除事情の話。

 

「兄貴! 数時間怒られましたよオレ!?」

「マジか」

 

 例のデカイテーブル。ヘルメスはというか代々この家は使用人の余暇は大事にするらしく、何ならヘルメスと同じ席で食事も許される。今回もそうだ。

 

 運が良いと言うか、俺はいつもどおりヘルメスとは当然、逆位置ィッ!なので横で騒ぐ男の話は過激派に届いてない。お前、ぶっちゃけ生きてるだけ奇跡よ?

 

「レノン、何というか悪い」

 

 レノン。俺の後輩の男の使用人。ちなみにメイドの男性系はボーイ、メイドがメイデンから来てるから。

 こいつは異性への意識が薄く、あのカップルにも一定の距離感を気づこうとしてる。俺が気配を消して、喋りかけられても耳が悪いふりをして首根っこ掴まれてようやく話に応じようという中、容赦なく会話を試みてる。

 

 しっかしうちの男連中では実は俺が最年長なのだが、誰も彼も百合過激派メイドに怯えるか、大人しく見守るパパ連中か、大体そんな所でヘルメスは女と以外喋らない。

 こいつは無謀ながらヘルメスにとっては憎らかぬ男(好きとはちょっと違う、興味本位か)で、まあ俺も放置はしている。

 

 今回はヘルメス了承のもと、掃除をさせる――――――予定だった。だったけどダメだったんですねこれが。

 

「兄貴は本当に五分プンプンされるだけのご褒美お叱りで済んだんですか!?」

「バッカお前! 俺が刺される!?」

 

 ほらヘルメスが俺に気づいた―! はい詰みー! 過激派見ないで俺は何もしてないホントだ。

 思わずレノンを怒鳴りつける。

 

「お前な! ご褒美って俺が言ったみてえじゃねえか! 嫌だよ、普通に怒られたら給料も下がるしな!」

「す、すみません!」

 

 でも「すみません」が言えるだけ俺よりはえらい男だ。もう何も言うまい、強く生きろよパリピボーイ。お前は良いやつだ、良いやつだと皆にしっかり気づいてもらえ。

 

 ヘルメスがちょいちょい、と手招き。雇われは逆らえない、また過激派が俺を見てるよ違う! 俺は無実だ!

 

「な、なんですかねヘルメス様」

「隣。避けられてるようで気分が悪い、座ってくれ」

 

 かなり驚きつつ、保険にもう一つ保険をかけて静かに二つぐらい間を置いた。

 

「話は聞いていたか?」

「聞いてました、俺は自己保身の方が大事なので。レノンにしてください」

 

 アイツが死んでも俺は死なないから。

 途端にぶすっと俺を睨むヘルメスパイセン、おいこらアストラ把握してるだろ助けやがれ畜生め! あー薄目が開いてる! バッドエンドじゃ~ん☆

 

 踊るしかなーいっ。いや違うわ座るしか無い? いやダメだ命がけ過ぎる。

 

「いいから。私がそうしろと言っている」

「そうだよ? 主に逆らうのかな?」

 

 アースートーラー! 夜の美少女一人で飽き足らず俺ですら弄ぶかぁッ!

 冷や汗を流してレノンにレスキューサイン。アイツは「やっぱ兄貴仲いいんすね☆」って顔して青ざめながら逃げた。後で覚えてろクソ後輩…………っ!

 

 スイッチの入ってしまったヘルメスさん。完璧に俺の方を向いて怒り出す。

 

「いつもそうだ。部屋に入る時はノックをしろというのに、それすら守れない。どうしてだ? そんなすぐに同じ過ちを繰り返す筈がない、お父様が雇った男だというのに」

 

 お前ら俺の目の前でおっぱじめるじゃん。

 

 俺知ってるよ? 変な声出すもんね、誤魔化し方下手過ぎて笑えば良いのか冷や汗流せば良いのかも分かんないよ?

 

 羞恥プレイは結構さ、好きにしてくれ。ただ目の前でするな。

 だからノックする前にうすーく開けて確認する。お忙しそうだったらすぐ走って逃げるためだ、過激派もこればかりは俺の整ったフォームの全力疾走に頷いてくれるから大正解だぞ。

 

 アストラは隠れてるからバレてないと思ってるのか、俺も含めて遊んでるのか。さっぱり分からんが碌なもんじゃない、せめてメイドの前でやれ。過激派なら扉を締めて出ていった後に鼻血を出して倒れてくれるぜ多分な。

 

 ちなみにレノンが怒られたのはこのうすーく開ける動作。なってないと俺も怒られる、だが命は惜しい。

 もう一個別の理由もあるがそこは割愛。

 

「私が嫌いなのか…………」

 

 うわ涙目になるな、俺が他のメイドから睨まれてる。普通に俺自身も申し訳ないわ。

 

「ええーいやー、そうじゃなくて……ええっと…………」

 

 さっさと食事を済ませるとヘルメスに引っ張り出された。もちろん俺は睨まれていたよ過激派に、アストラ君は笑ってないで俺の命がある内に助けろ。美味しそうに野菜を頬張るな。

 

 

 

 

 

 

 

「手短にお願いします。ただでさえヘルメス様に色目を使う不埒な男、なんて風評被害が出回ってるので」

「言わせておけ。気など無いくせに」

 

 無い。俺は不倫の趣味はない、百合とか関係なく。

 

 ただ何となく分かったかもしれないが、俺は大した身分の男でもないし、ここに代々仕えてた家系とかでもない。金持ちでもない以上、ヘルメスとの接触を拒まないのは「逆玉の輿狙いでは」という見方が出ても仕方ないと思う。

 

 似たようなやつが周りに居たら、俺だって脳裏をよぎる展開だ。ヘルメスは若いし、心配だからな。若気の至りで禁断に身を乗じたりされても困るよね~、いや別の禁断には片足突っ込んでんだけど。

 

「どうして私を避けるんだ。何かしたか?」

「いいえ? 俺はあくまで雇われ、一歩下がるのも仕事なので」

 

 そう言うとヘルメスの表情が目に見えて力を失う。

 

「…………私が嫌いなのではなく?」

「――――!? どうして?」

 

 いきなり素っ頓狂なことを言うので頭痛がした。

 弱々しい声に罪悪感がひしひしと。俺だって人間だし、小さい頃から面倒を見てた女の子相手なのでそりゃあ辛い。

 

 年の差はあれど、まあ兄貴代わりをしていた時期もあったからなあ。

 

「五年前からずっと避けられているような気がする…………」

「ああ。まあそうだ」

 

 アストラが来たのもそれくらいだ、俺は邪魔にならないように徹底的に逃げた。

 タメ語もある程度直した。肉体接触は極力控えた。お互いの部屋には簡単に入れなくした。そもそも出来るだけ喋らないようにした。

 

 何故だって? 俺は彼女持ちを寝取る趣味なんか毛頭ない。

 百合だの同性愛だの語る以前に、恋愛の水を刺したくない。

 

「私が冷たくなったからか」

「違うよ」

「じゃあアストラに場所を取られたからか」

「全然違う」

「何で」

「俺は雇われだ」

 

 同様に。

 

「お前の邪魔をするために働いてるんじゃない」

 

 泣きそうな顔をされたが、懸命にこらえた。甘やかすもんじゃない。

 今でこそアストラも笑ってくれているが、いつか俺が邪魔に思う日も来る。責める気もない、好きな相手を独り占めしたくなるのは当然だ。

 

 百合は難しい。時代観が近世のここではまだアブノーマル、相方がふらふらしないか不安なものじゃなかろうか。

 俺は小さい頃からの知り合いで、馴れ馴れしくて、近い。いやー、これは近づいたらアストラですら誤解しますぜ?

 

「俺よりもっと大事なものが有るだろ? なっ?」

 

 ついでに言うと、ノックしないのは別に理由がある。

 

「後な、ノックは理由があるのよ」

「…………どうして?」

 

 寂しそうに潤む瞳。俺は目を合わせながら心の目を逸らす。直視が辛い、弱々しい喋り方をされてももちろん弱い。

 

 穏健派百合厨はのたまい続けるがそれ以前に人間なので。

 

「お前よく勉強してるだろ? 空いた時間とかも机にかじりついて」

 

 気づいたのは机の不自然な痕。生まれた頃に仕入れた机のはずなのに、ヘルメスの部屋の机は細かい傷がたくさんある。

 多分、勉強しているのだろう。政治学? 社交界のマナー? いや分からん、でも何か一生懸命じゃないかな。手が疲れるまで筆圧は強くならない子だ、机は昔から大事にしていた。

 

 夜もよく灯りがついている。見られたくないんだろうと思う。

 

「それは…………」

「そしてお前が一番気になってるのは、うちの雇われの態度」

 

 皆、妹とか娘みたいな扱いをしてるフシが有る。

 ()()()()。人を招いた時に舐められる、まだガキだな――――なんて皮肉もきっと何度言われてる。

 

 だから努力は見せてはならない。突然大人になって、当主と認めさせる必要がある。懸命さは人の心を打つだろうけど、当主としての品格とは見てくれないかもしれない。

 そういう経緯だと思うが、絶対に見せないように気を払っている。それが要因で部屋の掃除は俺だけが担当するんだろう、どうせ俺は知ってるから。

 

 メイド達の前でも、彼女は「ヘルメス」ではなく「ヘルメス・ルチアーノ」であるべきだ。徹底している、凄い努力だ。

 正直俺を今日呼んだ時は焦った。相当なことだと分かったというか。だから即座に止めなかったアストラを内心とがめてたと言いますか。

 

「でもお前、俺にも努力とか見せるのだいっきらいだろ? だから様子伺ってんのよ、間が悪くならないように」

 

 とはいえ、20も通り過ぎてないただの子供だ。俺がいくら知っているとしても、見られるとバツが悪い。

 ちょっとぐらい強がりに付き合っても過激派も俺を責めまい。そういう理由もあった。

 

「別に構わないが」

「あれぇ????????」

「どうせ何を見ても私の扱いも、見方も、何一つ変えない。それが貴方という人間だ」

 

 一本取られたわ。当たり。したり顔が憎たらしい。

 

 子供って成長すんだなあ、こんな自慢げな顔してるのに。子供の頃に虫を取ってきて俺に振りかざしたあの時の顔とそっくりなんだが、随分凛々しくなったように錯覚してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、失礼しますよ」

 

 ノック。ああ言われては仕方ない、俺も出来る男ではなくとも分かる男だ。妙に不審感を覚えさせたのは素直に悪く思ったので、反省してノックはすることにした。

 

――が、がたんと何か人の塊が暴れる音。

 いやまさかな。言ったそばからな? 俺信じてるぜヘルメス・ルチアーノ殿?

 

「あっ、ちょ、待って――――」

 

 息、荒くない? ねえ、何か呼吸二つ聞こえるような? 扉越しだから断言はしませんけどね?

 いや落ち着け掃除ガチ勢。疑いすぎだ。アイツ自身が心配するなと言ってのけたんだろう、当主の信頼と自信も受け止めずして何がガチ勢だ。

 

 そう俺はいつだって掃除だけはガチな男、ちゃちゃっと仕事を済ませよう。

 

「入りますよ…………」

 

 がちゃん。

 服のはだけ気味なヘルメスを見て俺はぶわりと涙を流す。

 

「ああ、待ってくれ。これは少しだな、暑いというk――――――」

「あ、悪い。用事思い出した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけるな! ふざけるな! バカヤローッ!」

 

 即座にダッシュした後に自室の枕に向かって五分ほど男泣きをして叫んだ。

 信用するんじゃなかった…………。過激派の凶刃に怯える日々はエスカレートの一途をたどるんだろうか、もう俺退職しようかな。




素面になりましたが恋愛じゃないからちょっと仲良くても気にならないですね(手のひら返し)。
頼むぞ掃除ガチ勢、君に描写の9.5割が懸かっている。男の夢とか叶えなくていいからね。流石にころす。でも喋りかけないように務めているのでギリギリ許せる。

ただ百合を書くにも二人だけの閉じた世界で、そういった退廃的ないし秘め事感の強い百合は私は書けない。というのが有ります。
言い直すと、書きたくない。破滅的に過ぎる。だから”意図的に”男を混ぜました。男女比率の偏りが苦手なので。



ちなみに名前の由来は
ヘルメス…よく聞く名前。男の子だったり錬金術師らしいです。
アストラ…DARK SOULSのアストラ。アストラの上級騎士を思い出してました。
ファンタール…ファントム+ファンタ+カマタマーレ讃岐。
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