突然だが働き先の主従百合がとても良い。(作り直しました) 作:杜甫kuresu
というか感じました。平和主義的過激派の方(一行で矛盾)、本当に申し訳ない。笑いながら書いてます。
もう少し身辺を描写したら真面目に百合します。今の所オチ要因でしかない。
出来るだけ3000文字後半~6000文字までで仕上げていきたいです。ただの願望。
おはよう、今朝は絡まれた過激派と長い話し合いをして「偶にはヘルxアスだよなあ」と二人で唸っていたら別の過激派に凄い目で見られました、CP無固定穏健派の百合厨です。
しかし俺の前にいるのはCPでも何でも無く人間で、ふたりとも人となりを一定知ってる身としてはイキるヘルメス君とよわよわアストラ君はただの興味本位で見たいと言いますか(ry。
殺される前に黙ります。
「げほっ! げほっ!」
「おいおい、水飲みなさい水」
ほうけた顔でコップをひったくるなり、ぐいと一気飲みしてしまった。目も胡乱で熱は上がってきてるらしい。
すごく簡潔に言うとヘルメスが熱で唸りっぱなしだ。あんまり簡単に泣き言を言う性格でもないから、多分結構な高熱。
という訳で俺とレノンの二人がかりの看病体勢。過激派に心臓を握られたデスマーチに我々の冷や汗は地に流れ落ちる一方であった。
軽く額に手を当てるとえげつない温度。
「うおーやばいな、レノン。タオル頼むよ」
「了解です、走りましょうかオレ!?」
「病人の前で騒ぐな、静かに行ってきなさい」
「はーい」
兄貴って呼ぶのを放置してたらマジモンの舎弟オーラを発揮しだしたぞアイツ、俺はどうしてこう妙なものに囲まれがちなんだ…………?
ヘルメスがうーうー言いながらベッドから身体を起こす。
「おいおい寝とけって」
「手、つないで」
「はいはい。繋げばいいのね」
行動範囲が瞬間的にヘルメスの片腕分しか無くなった。今気軽に了承したのかなりミスだわどーしよ。
あたり前のことにしても、ヘルメスの手は小さくて細い。そんな昔と変わったんだろうか。
背負うものばっかり大きくなって何だかかわいそうには思う。俺にはどうにも出来ないけどね。
ありがちな手に抱きついてくるなんて展開もなく、呆れるような甘ったるい声ももう聞こえず。漠然と、人一人分挟んだような距離で手を繋ぐだけ。
もう甘え方分かんないんだろうな。
「アストラも居てやればいいのに…………」
「確かにそうですよね、らしくないというか」
いきなり顔のすぐ横からレノンが出てきて飛び退く。
「うわキモチワル!?」
「酷くないですか兄貴!? オレ言われたとおり静かに帰ってきたのに!?」
「あ、うん。そうだな、ごめん」
確かにそれも一理あるわ。
アストラは「当主不在の分回すことはいっぱいあるよ」と言うなり今日はずーっと働き詰めだ。何だか俺から見てると逃げてるようで複雑なものがある。
俺の手元に気づいたレノンがほーと唸って俺に肩を組んでくる。
「ずいぶん信頼されてますよね~。あのヘルメス嬢が肉体接触をしたがるなんて、過激派に刺され――――ヒイッ!?」
言った側からアイツの首の皮一枚をブレッドナイフが通り過ぎました。過激派こわ~。
完璧にビビってしまったのか俺に縋り付いてくる。うっとうし!?
「邪魔だよ気持ち悪い」
「オレはちょっと「ヘルメスさんが甘えたがるなんて信頼されてますね」って内容を言っただけなのに!?」
「まあ、そうだな」
俺が見捨てる気マンマンなのをようやく理解したらしく、隣に丸椅子を置いて物憂いげに座り込む。
「そこまであのヘルメスさんに信頼される兄貴も凄いし、ヘルメスさんも強いというか――――――」
「違う。俺達がそうなるように強要したんだろ、勘違いすんじゃねえ」
おっと。つい強く言い過ぎてしまった。
だがこんなガキが強いなんて幻想は早めに捨てて欲しいところはある、ヘルメスはそうあれかしと叫ばれればそうあろうとする人種だ。
よーやくレノンにはちょっとだけフランクになってきたのに、ちょろっとそんな事言ってまた一から振り出しじゃ困るというか。
「…………すみません。そりゃそうか、まあ、そういう事なんですよね」
あからさまにシュンとしてしまうので俺も参った。
柄にもなく頭なんか撫でてしまう。
「俺も悪かった。何か、そこら辺は短気なんだよ…………ただ、まあ出来ればこいつは「唯の女の子」と思ってやってくれ。頼むな」
「はい、分かりました」
こう素直なやつってのは凄えなあ、俺は今のではい分かりましたなんて言えねえわ。正しいとかそういう問題ではなく。そういうのない? 意地って張りゃいいもんじゃないとは分かるんだけどな。
暫くぼうっとした顔のヘルメスを眺めていたら、俺の中でとてつもなく変態チックな趣味嗜好が顔をのぞかせていた。
心臓をバカみたいに鳴らしながら指を口元に近づける。
「兄貴!? それは危険です、というか犯罪臭いですよ!?」
「ちょ、ちょっとだけだよ…………ほら? 俺だって時々ご褒美の一つぐらい」
「血迷わないでください兄貴!」
ちゅ。
唇の柔らかい感触、吸い付きも程よく有って、途端に我に返る。やばい罪悪感だ、やっぱ俺にこの手のことは無理です殺される前に俺が死んでしまいます。
すぐさまを手を放り投げてレノンの両肩を持った。一瞬指に凄い吸い付かれる感触の記憶が残っていたが急いでデリート、俺の神経が爆発する。
「良いか、よく聞けレノン。今のこいつを正常に看病できるのはお前だけだ、俺が明日変死体になるとしてもこいつの看病をしろ。良いな?」
「あ、兄貴…………」
さーてクラウチングスタイル!
俺は持ち味の瞬発力で開いたドアから見えた刃物を避けながら廊下に躍り出る。
「兄貴ィィィィィィィッ!!!」
後ろからソードブレイカーとか飛んできてガチ焦りした、しかもアイツラ足速い!?
「う”っ、お”え”ぇ…………! は、走り、すぎた…………」
いや今回は完璧俺が悪いんだけど、にしてもアイツラ執念深すぎる…………逆になぜ普段は生かしておいてもらってるのかについて5000文字くらいの論文にして俺に提出して欲しいレベル。
喉もカラカラ心も疲弊気味、かなり死にかけの状態でフラフラと廊下を歩く。
「凄い顔色ね。大丈夫?」
「ア、アストラさん、かね…………?」
思わず倒れ込みかけた所でさっきの出来事を思い出して五歩ほど距離を取る。
浮気相手が本妻頼っちゃダメでしょ!!!!! いや何かヘルメスが浮気してるみたいで今の凄い失礼だな、まあ良いか。
「……? 別に倒れ込んでくればいいのに、潰れたりしないけど?」
「ちゃうねん…………ちゃうねんな…………ごめんな…………」
事情は言えずじまいでした。僕はあまりに軟弱者だ、きっと未来永劫この日を悔やんで居もしない神様相手に教会で頭を垂れようとするのだろう。
くだらないモノローグ口調はさておき。
「そうだそうだ、アストラさんに話があったんだよ」
「ん? 何かな」
「ヘルメスの看病してやってくれないか」
単純におっかしーな―と思っていた。
侍女ってのはつまりお付き、お世話役、小間使い。考えればすぐ分かる、この類のワードの連想に違わず基本仕える側とはべったりだ。
じゃあ意図的に距離を取って俺に任せたってことになる。
ヘンだろ? 常に正位置なアルカナぐらいおかしい。今だってあからさまに固まった、わっかりやすいな~も~。
「ああ、でも私忙しいし。あなたはまあ、ヒマじゃない?」
「ひっど!? 過激派に神経をすり減らし怒鳴るヘルメスに鼓膜を破られ嘲るお前に網膜が灼ききれそうな俺にそこまで言っちゃうの!?」
「何というかずいぶんな積年の恨みを感じる…………」
そうさ積年の恨みだよ。自覚してください。
というかちゃっかり逃げやがった。
「それはそうと何で嫌がんのよ」
「えぇ~? だって私管理職だから忙しいし、そこまで全力で付きっきりにはなれないし。中途半端に置いていっちゃうのも酷いしね」
「嘘つけアンタが仕事を処理できない訳あるか」
やる気になりゃどうとでもするタイプのくせに。
そろそろ逃げ道がなくなったと見たのか、アストラの表情が電源でも落としたみたいにぱったり消える。
元々こいつの薄ら笑いはただの芝居だからな。ここに来てすぐは仏頂面でなーんも言わないから苦労した、困ったら笑っとけば良いんじゃね――――なんて無責任なことを言ったのは俺だったっけ。
「…………うーん。じゃあ、昔から大事に持ってるものってある?」
「大事に持ってるもの? 何だおもむろに」
「良いから良いから」
喋り方だけいつもどおりなもんだからちょっとだけ歪。
しかし俺が昔から大事にしてるもの…………大事にしてるものぉ? えー、あー、あっ。
あえて言うならむっかし買ってもらったデュエルディスク。ここに来るまでずーっと押し入れに入ってたのは覚えてる。
「あるにはある」
「今も壊れてない?」
「そりゃそうだ。大事にしたんだから」
じゃあ分からないか、と少しだけうつむく。
「私ね、昔にもらったおもちゃがあって。すっごくお気に入りだったんだけど」
「ふん」
「触りすぎて壊しちゃったんだよね。もうぼろぼろ、母様もどうしようもないってさじを投げたくらい」
あの人がさじを投げるって言うと相当だ。もうグッチャグチャだったんだろうな、俺もよく服とか縫い直してもらったもんだ、もうガキじゃねえって言ってるのにアップリケとか付けちゃってさ。
――ここまで来て、話に何となく察しはついた。
とはいえ喋りたいのだろうから水は刺さない。ゆっくり、アストラは喉に支えたものでも吐き出すように、結構な時間を置いてから続けた。
「人も一緒で。なんて言えば良いんだろう…………モノ扱い? で大事には出来るんだけど、何というかそれ以外のやり方ってよく分からなくて」
「だから腫れ物みたいに扱っちゃうか、執拗に触れ合って結局お互い傷つけ合うか。一か十しか無い」
たまにいるな、そういう奴。
人っていうのはもうただただメンドクサイもんだ。まあ仔細は省くけどとりあえず、結構難しい。そういう事もある。
珍しく、心の底から寂しそうに笑う。
「だからさ、こういう時は。うん、距離を置かないとダメだと思う」
「触りすぎてまた壊しちゃうもん」
割り切ったような言い方のくせに、妙に言葉は躊躇いがある。
そんな事もなくないか、と言おうとしたがその前に言葉がまた飛んでくる。意図的だ、こいつは頭がいい。こういう時は間違いなく意図的に俺の言葉を潰してる。
「それと看病って適切な処置もだけど、やっぱり気持ち? とかそういうの、大事なんでしょ?」
なんでしょ。この言い方が引っかかった。
要するにこの女、感情の機微が分からないのだ。
ヘルメスには割とたしなめるような事も言うし、仕事もできるし頭も回る。だから大半のやつが誤解しているが、この屋敷でぶっちぎりで精神年齢が低いのは誰かと言えば。
こいつだ。今だって困ったように手を後ろに組んで、何だか泣きそうな子供みたいな面しやがる。
「私そういうの下手だし…………でもあなた! あなたはそういうの得意でしょ! だからヘルメスも懐いてると思うし。だから適任だと思う」
ふーん。
「いや、お前が診てやれよ」
「今のじゃ納得できない?」
「違うね、理屈は正論だ」
あんまり多く語って知った風を装うつもりはないが。
今回に関しては違うと思う。
「不器用でもちゃんと触ってやれば良いんじゃないの。傷つけあえ、喧嘩しろ、酷いことでも言っちまえ、不器用でも好きにしちまえ」
「最後に謝れば良いんだよ。あいつはそれで納得できるやつだし、お前はそうしないと一生苦しいんじゃね」
これ以上しゃべることが思いつかん。
変に喋って大人の面したくはない。皆どっかガキだ、俺もそうだし、まあ今回は俺が単純明快な解決法らしきものを知ってただけだし。
呆然とするアストラの横を通って飯を食うことにした。バカじゃないし、俺がストライキ起こすのも予定内だろ。
「最適解で恋はできねえぞ、ねーちゃんよ」
「ああああああああああああ! 何カッコつけてんだ俺!? ほんと死ね!? いやむしろ殺して!? おい過激派何やってんの!? 今こそ出番だろうが愚図の役立たず共め!」
「おー、兄貴が一段と荒れてますね」
これが荒れずにいられるか!? ノリに乗って恥ずかしいSEKKYO垂れてんじゃねえよバカなのか!?
あーヤバイ、過干渉ダメ絶対の誓いを思いっきり破ってしまった。しかもなんか上からだしぃ!? やべえ、あっちが気にして無くても俺は今日からもう気になって仕方ない人生しか送りようがない!
やけっぱちでビールを胃に流し込む。爽快感もない、ただただ吐き気がしてきた。
「でも兄貴兄貴、なんかアストラさんが看病やるって言ってオレ追い出しましたよ? 兄貴の苦悩はもう! さっぱり! わかんないですけど! 結果は上々なんじゃないですか?」
「知るか!? 死にたい!!!!!!!!!!」
今日ばかりは挨拶代わりに飛んできたブレッドナイフのノーコンさを呪った。
百合に男挟まれるとだめな人は「百合の皮を被ったハーレムモノ」でトラウマを植え付けられた人だと思うのです。
アレは酷い、詐欺だ。やるのは勝手だが序盤で分かるようにして、こっちは百合読みに来てんだぞ舐めてんのか。
なのでもう出来る限り「主人公自体に奪おうという気配が無い」を徹底しました。これが無理なら私の作品が嫌いか、拒否反応か、ただの男嫌いだと冗談抜きで思います。
難しい話をすると実は男を主人公にしたのは「男に女が書けるわけがない」という圧倒的な事実と折り合いをつけつつ部外者の視点で百合を書ける点が大事だったり他にも百合の閉鎖的な感覚を潰すにはある程度異物を入れないと換気ができなくて私には空気の悪過ぎる粗筋が出来るとか私が実は三人称だと読むのが疲れるとまで言われてショックから克服を兼ねて一人称を何とか作ったとか。
色々ありますが、「これも百合の為、卑怯とは言うまいな…………」という感じです。
いや私情ダダ漏れでしたけど(突然の素面)、何言ってんだこの人。