閃乱カグラ~SHINOVI CHRONICLE~ 少女達の絆 作:XW
「え~と、あれ? どこ行ったかなぁ?」
その頃飛鳥はと言うと、自宅の自室である物を探していた。
どうやらかなり昔の物を探しているらしく、押し入れから何個も段ボール箱を取り出しては中身を確認し、それの繰り返しである。
「かなり奥に置いちゃったのかな? それにしても……」
《陽花って名前の忍、覚えてる?》
「……まさかね。」
飛鳥は三日前に漆月から聞かれた言葉を思い出し、頭に手を添えながら呟いた後、再び押し入れの中を探し続けた。
「………あっ!!」
そうして押し入れの中からある物を見つけ声を上げる飛鳥。
見つけたのは、大きめのお菓子を入れてたようなデザインをした缶詰だった。
――――
「あった!! これだこれ。」
同時刻、焔は焔紅蓮隊の基地で飛鳥同様ある物を探しており、それをようやく見つけた。
それは飛鳥のと同じようにお菓子などを入れていたデザインをしている缶詰で、少し焼けたせいか溶けていた。
「鈴音先生が私の、蛇女に居た時の部屋にあったって言ってたこれ。あんな火事の中でこの程度で済むとはな。」
そう呟きながら缶詰の蓋を開ける焔。
中には焔の子ども時代、幼稚園時代に集めていた物が詰まっていた。
――――
「懐かしいなぁ……思い出ってやっぱり捨てられないものなのかなぁ。」
飛鳥が見つけた缶詰に入ってたのも、焔同様幼稚園時代の物だった。
中に入っていたのは幼稚園の時に作った折り紙や絵、もう萎れた花に小さい玩具などが詰まっていた。
「………あ、これって、」
そんな昔の思い出が詰まった缶詰…箱の中を探している内に、飛鳥はある物を見つける。 それは一枚の写真だった。
「…………やっぱり、そうだったんだ。でも……」
その写真を手にし見つめた飛鳥は、何かに確信した顔を浮かべた。
――――
「……………」
焔もまた、箱の中にあった一枚の写真を見つけ、そして何かに気付いた表情を浮かべた。
「んだよ……それ。そんなのってありかよ。」
そして身体がフラつきながら立ち上がり、思わず頭を抱えながら呟いた。
飛鳥と焔が見つけた写真、それは二人共同じいや、漆月が持っていた物と同じ写真だった。
そしてそれを手にした飛鳥と焔は思い出す。 この写真を貰った時の記憶と、出会った姉妹の事を。
――――
「キャアアアア!!」
「がぁああ!!」
その日の夜、とある廃工場で漆月は二人の忍、妖魔と人間の間に生まれた不雪帰の元に付く月光と閃光と対峙していた。
「どうしたのさぁ~お二人さん。そんなんじゃ、私は何時まで経っても捕まえられないよぉ?」
戦況は二対一にも関わらず漆月の優勢で、漆月は月光と閃光を煽るように挑発する。
どうやら月光と閃光は不雪帰の命で漆月を倒すのではなく、捕える形で漆月に近付いたのだが、今の状態では捕まえる処か倒す事すら不可能に近かった。
「くぅ……予想はしてたが、やはり手ごわいな。」
「あら? 閃光がそんな寝言を言うなんてね。」
「私だって寝言を言いたい時だってある。それより月光、まだ行けるか?」
「えぇ……もちろん!!」
そう話しながら閃光はマスクで目線を覆い隠してアサシンモードになり、月光も傀儡のジュジュと三面鏡を展開する。
「秘伝忍法!! リフレクトミラー!!」
その直後、月光は月明りを利用して秘伝忍法「リフレクトミラー」を放ち、漆月に向けて光線を放つのだが……
「よっと。」
「っ!? ジュジュ、」
「遅いよ。」
漆月はそれを軽々と避け月光に近付き、驚いた月光はジュジュを使って防ごうとしたが、漆月は妖魔化した右腕でジュジュごと月光を殴り飛ばす。
「がぁあ!!?」
「月光ぉ!? くぅう!?」
月光の悲鳴が聞こえ、思わず声を上げた閃光は漆月が居るであろう場所に身体を向けながら力を溜め、それを一気放った。
「秘伝忍法!! 黒葬・乱鬼龍!!」
閃光は秘伝忍法「黒葬・乱鬼龍」を発動、素早い動きで敵をかく乱させながら拳を漆月にぶつけようとした。
「なかなか良い秘伝忍法だけど……こりゃ相手が悪かったかな。」
「なぁ!?」
だが漆月はその拳を難なく避わし、マスクの下から見えた漆月の余裕過ぎる表情に驚きを隠せずにいた。
そんな閃光に対し漆月は、左腕も妖魔化させるとその左腕から刀を出し、刃に黒い瘴気を纏わせる。
「お返し……だよ!!」
「がぁあああああああああああああああああああ?!!」
その瘴気を纏った斬撃を閃光に向けて放ち、それを食らってしまった閃光は月光同様に吹き飛び、そのまま倒れてしまった。
「あらら、もう終わりましたの?」
「…闇。まぁ楽勝だったかな。」
倒れてそのまま気を失った閃光と月光を見下ろしていると、漆月の背後から闇が遅れてやって来、闇の質問に漆月は手を振りながら答える。
「とりあえずこの二人も縛っちゃって。転界も後で来るらしいから。」
「承知いたしましたわ。」
漆月の命に頷いた闇は、慣れた手つきで閃光と月光を展開した茨で縛り、次いでに怪しく光る茨も二人に巻き付けた。
「ついでにあっちの方も済ませておきま……漆月?」
自分の仕事を終えた闇が漆月を呼ぶと、漆月は月明りに照らされる廃工場を見つめていた。
「漆月? どうかいたしました?」
「いやねぇ……ちょっと闇と初めて会った時の事を思い出しちゃって。」
闇の質問に対して答える漆月の脳裏に浮かんだのは答えた通り、隣に居る闇との出会いの事だった。
~~~~
「はぁ……はぁ……はぁ………はぁ………」
雨がどしゃ降りに降っていたあの日、廃工場まで逃げ込んだ闇は息を荒しくしながら座り込んでいた。 その頃の闇は、追っての忍から逃げていた。
恐らく闇自身の能力が原因ではあるのだろうが、闇は今まで居た場所が嫌になり、こうして逃げていた。
だがとうとう追い詰められたのか、体力もロクに回復していない闇の前に追っての忍が現れ、闇の元までじりじりと近付いた。
(くぅ……ここまでの、ようですわね。)
茨を展開して応戦しようにもダメージのせいかまともに展開出来ず、諦めて目を瞑ったその瞬間だった。
「な!? 何者だ貴様がぁ!?」
「く!? くせもごぉおおおおおお!!」
「がぁああああ!?」
「ぐはぁああ!?」
闇の耳に聞こえたのは、追っての忍達の悲鳴だった。 誰かにやられたか、悲鳴共に聞こえる血しぶきの音の多さから察するに、全員殺されたかと闇は思った。
「ねぇそこの君?」
「…………」
その原因とも思われる者に聞かれ、闇は恐る恐る目を開いてみると……
「大丈夫……なわけないっぽいね。」
そこに立っていたのは、忍達の血しぶきを浴びて真っ赤になりかけているにも関わらず、笑顔で闇に声を掛けた漆月だった。
――――
「なるほどねぇ~、それでそこから逃げて来たと?」
「私だって、好きでこんな力手にしたわけではありませんわ。なのにあいつらは……私の事を道具として扱って、危険と分かれば即座に殺しにかかりますし、……あんな場所、壊れてしまえばいいのに。」
近くの屋根があった場所で雨宿りしながら、漆月は闇の話を聞いていた。
話してた時の闇の顔は、今にでも泣きそうだった。 それほど闇にとって苦しく、そして辛い事ばかりの日々が続いたのだろう。
「……だったら、私と一緒に壊さない?」
「え?」
そんな闇に対してそう口にした漆月に闇が少し驚いていると、漆月は闇に優しく手を差し伸べた。
「私と一緒にその場所も、そしてそんな場所を許しているこんな忍社会をぶっ壊さない?」
「…………」
そんな漆月を見た闇の瞳からは、ふと一粒の涙が落ちた。
今の自分を化け物でも、道具としても見てくれない。一人の忍として、一人の人間として見てくれるようだった。
漆月のその何かに引かれた闇は、その向けられた手を握りしめるのだった。
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「あらあら、随分懐かしい感じですわね。っで、どうして今その日の事を思い出していたのですの?」
「……別に、単なる私のきまぐれって奴かな?」
そう理由を聞こうとした闇に対して漆月は頭を掻きながら答え、月明りに照らされる廃工場を見つめ続けていた。