閃乱カグラ~SHINOVI CHRONICLE~ 少女達の絆 作:XW
「どうしたの飛鳥ちゃん? 皆を集めて。」
「焔も……何かあったの?」
その頃、飛鳥と焔の呼びかけで飛鳥の実家に集まった半蔵、月閃、蛇女、紅蓮隊の面々。
皆を集めた飛鳥と焔の真剣な顔を見て、よほどの事だと思った雲雀と未来が聞いた。
「………皆に、見せたいものがあって。」
「? 飛鳥ちゃん、その写真って?」
皆が雲雀と未来の様に気になっていると、飛鳥が一枚の写真、今日見つけた幼稚園時代に撮った写真を見せ、それを見て雲雀が聞くと…
「やっぱり飛鳥も、まだそれ持ってたか?」
そう言って焔が懐から取り出したのは、同じように見つけた幼稚園時代に撮った、飛鳥と同じ写真だった。
「っ!? 焔ちゃん……じゃあやっぱり!?」
「あぁ……ったく、こんなの普通ありかっての。」
「ちょ!? ちょちょちょちょっと!? 何二人で話し進めてんのよ!?」
「と言うか、何で二人共同じ写真を持っとるんじゃ?」
焔が同じ写真を持ってるのを見て飛鳥が驚き、焔が呆れているのを見て両備がツッコみ、その隣で夜桜が飛鳥と焔が同じ写真を持ってる事について質問した。
「あぁそれはね、この写真、」
「昔幼稚園ぐらいだった時に、」
『一緒に撮ったから。』
『…………へ?』
その質問に答えた飛鳥と焔の答えを聞いて、思わず口をポカンと開けた両備と夜桜達。
「えっと……何て言ったら良いのかなぁ。私達実は、幼稚園だった時に会ってたんだよねぇ~。だからその、」
「最強の友達ってより、最強の幼馴染みだったって分けだ。」
『………………』
付け足す様に話した飛鳥と焔の話に、もう何も言わずにポカンとなる面々。そんな中、両備は飛鳥に近付くと、
「まぁその……それもあるけど本題はって!? あ痛たたたたたたたたたた!? 両備ちゃん痛いって!? 目蓋引っ張らないで!?」
「あんたら……そんな事教える為に私らを集めたっての? この現在進行形で非常事態って時にぃ!?」
飛鳥と焔の言動に呆れ怒ったのか、両備は飛鳥の目蓋を引っ張りながらツッコンだ。
「痛い痛い痛い痛い痛い!! 分かった、分かった両備ちゃん止めて!? 目蓋じゃなくなるから!? ベロンベロンになっちゃうから!?」
「だいだいあんたもその事に関しては一番危惧的状況だと思ってたあんたは………馬鹿と冗談発言はそのデカ乳だけにしなさいよこのバカ飛鳥!?」
「痛くて言い返せないぃいいい!?」
そう言って今だに目蓋を引っ張る両備を止めさせようとすると、飛鳥の手元から写真が落してしまう。
「んぅ?………んぅ!? お、おい飛鳥に焔これ!?」
「どうしたんだ葛城、そんなに驚いて?」
その写真を拾った葛城は写真に写ったのを見て驚き、飛鳥と焔に聞こうとする葛城を見て柳生が聞くと、葛城は飛鳥の写真を全員に良く見せた。
「この写真、特に真ん中に居る奴の顔よく見ろ!?」
葛城の発言に少し驚きながらも夜桜達は写真の、幼い頃の飛鳥と焔の間に居る少女をよく見ると、その少女は何処か、しかもごく最近見てる顔だった。
「……っ!? ちょ、ちょっと飛鳥さんに焔さん!? この真ん中に居るっ子って、もしかして?!」
「あぁ……お前らのお察し通りだ。そいつは……」
「漆月だ、幼い頃の。」
夜桜の質問に対し、今だ目蓋を引っ張られている飛鳥に変って焔が答え、それを聞いた夜桜と両備達はしばらく沈黙した次の瞬間………
「……え?」
「え?」
「え?」
「え?………」
『えぇえええええええええええええええええええええええええ!?』
両備と夜桜と風魔と葛城達は、焔の衝撃発言に思わず声を挙げて驚いた。
「ちょ、ちょっと待って!? えっどういう事!? あんたと焔が実は幼馴染みだったって事はどうでも良いけど、アンタ達と漆月が実は知り合いって!? もぉう話しが突拍子し過ぎて分け分かんないだけどぉお!?」
「痛たたたたたたたたたたたた!! 話す!? 話すから両備ちゃん目蓋から手放して!? 本当にビヨンビヨンになるから!?」
その話を聞いた両備は飛鳥の目蓋を引っ張りながら動揺していたのを見て飛鳥は答え、両備はそれを聞いて目蓋を離した。
「痛たたたたたた……っで何処から話せば良いかな?」
「ハァ……とりあえず全部で。」
「分かった。」
引っ張られて痛む目蓋を抑えながら聞いた飛鳥に両備は答え、それに頷いて座った飛鳥は話始めた。
「……私が生まれたのは、東京の浅草付近にある産婦人科だったんだ。生まれてすぐ泣き叫ぶほど元気な赤ちゃんで………」
「誰もあんたの生い立ちなんか興味ないっての!?」
何故か生い立ちから話し始めた飛鳥に対し、両備はツッコミながら飛鳥の頭を叩いた。
「痛たたたたたたた、緊張ほぐそうと思っただけなのに……」
「ほぐすにも他になんかあったでしょうが!?」
「あぁもう!! とにかく、飛鳥さん達が何時漆月に会ったのかだけでも教えてくれませんか?」
頭を抑えながら話す飛鳥に言い返す両備を落ち着かせようと割って入った夜桜の質問に対し、飛鳥と焔はとりあえず、初めて漆月と会った時の事を話した。
~~数分後~~
「とまぁなんだ、それから私らはちょくちょく会ってその公園で遊んだりして、まぁ楽しい思い出ではあったかな?」
「そうそう!! しょっちゅう焔ちゃんが転んで泥だらけになってたよね?!」
「余計な事思い出してんじゃねぇよ!? それを言うならお前だって何もない所で転んで泣きじゃくってだろうが!?」
「んぅなぁ!? そ、そう言う焔ちゃんだって!?」
漆月と初めて会った話からいつの間にか昔の思い出話になっており、昔の事を暴露し合う焔と飛鳥を見て……
「……そんな事何で最初に言わないのよってか、何時まで昔話に熱中してんのよ!?」
「痛ぁ!?」
「痛ぇ!?」
両備は二人だけ盛り上がってた事も合わせてツッコみ、いつの間にか持ってたハリセンで頭を叩かれてしまう飛鳥と焔だった。
「だ、だってしょうがないでしょ!? 幼稚園の時の記憶だったし!? 何年も経ったら忘れる事だってあるでしょ!?」
「それに幼馴染みっつても小学生になったら会う機会も無くなって、次第に合わなくなったんだからしょうがないだろう!? 忘れてても!?」
「分かった!! 分かったから、ちょっと黙ってて!?」
頭を抑えながら答えた飛鳥と焔に対してツッコみながら黙らせる両備の隣で、夜桜は飛鳥と焔が持ってた写真、特に幼い飛鳥と焔と漆月の後ろに居る女性を見ていた。
「あのぉ飛鳥さんに焔さん、それでそのさっきの話にも出てた……この漆月のお姉さんって、一体どんな人なんですか?」
「え? あぁ陽花さんの事?」
『陽花?』
夜桜の質問に飛鳥が答え、その際に出た「陽花」と言う名を聞いて夜桜達が声を合わせている中、両備は首を傾げて考えだした。
「あれ?……その名前どっかで聞いた事あるような……」
「う~ん……あぁ思い出した!?」
どうやら「陽花」と言う名前に聞き覚えがあるらしく思い出そうとしていると、何かを思い出したのか両奈が両手を挙げながら叫んだ。
「ほら!? 両姫お姉ちゃんが忍の話する時、時々出て来た強い忍!!」
「……あぁああああ!! 思い出した!! 強いだけじゃなくすっごく優しいってよく笑顔で話してたあの!!」
どうやら「陽花」と言う名は両備と両奈の姉であった両姫から聞いたらしく、それを思い出して驚きながら両奈と両備が話していると、
「あはははは、両姫さんとも知り合いだったんだ。陽花さん。」
「まぁそりゃしょうがないよな。なんせ未来の……」
「カグラ候補だもんな。」
そんな両備と両奈を見て飛鳥が微笑みながら話した後、焔の二回目ぐらいの衝撃発言を聞いて他の皆は……
『……え? えぇえええええええええええええええええええええ!?』
本日二回目の驚きの声を挙げた。それもそのはず、カグラと言えば忍にとって最高位に等しい存在だからだ。
「か、カグラってあのカグラか!?」
「そんな凄い忍の候補だったなんて……どんな人だったんですか?」
そんな凄い話を聞いて総司も唖然となる中、神裂は陽花について聞いた。
「陽花さんはな、そりゃもう本当に凄い忍なんだ!! よく修業場を見せて貰ったんだが、百体以上の傀儡をぶっ壊したり、何十人の忍も倒した事もある、まさに最強って言っても良い忍なんだ!!」
「おまけにすっごく優しいんだ!! 私が手裏剣触って怪我しちゃった時も優しく手当してくれたり、自分より年下の忍にも、色々アドバイスしてくれたりしてたんだ!!」
「あいつも……漆月もよく自慢してたな、世界一最高で最強なお姉ちゃんだって。」
陽花について知ってる事を自分の姉の様に話す焔と飛鳥の顔は、これまでない以上に笑顔だった。
特に飛鳥は、ついこの間まで落ち込むような顔ばかりしていたので、こうして心からの笑顔を見せたのは久方ぶりだった。
「……飛鳥はともかく、焔があんな顔で話すなんて。」
「それだけ……二人にとっても凄い忍なんだね。その陽花さんって。」
そんな二人を見て驚きながら呟く未来と雲雀。そんな中、ある疑問を抱いた者が居た。
「……あのさ、ちょっと良いかな?」
「んぅ? どうしたの?」
その疑問を抱いた者、四季が飛鳥と焔に対して質問し、それを聞こうとする飛鳥。
「二人の話しを聞く限り、その陽花って忍は善忍なのよね?」
「え? あぁそうだけど?」
「それがどうかしたのか?」
四季のその質問に飛鳥と焔が答えると、四季は疑問の本題を口にした。
「……なんか釈然としないのよねぇ~。その陽花さんって忍の妹が、姉の事をすっごく尊敬してた妹の漆月が、何で破忍なんて始めたのかなぁって?」
四季の質問に飛鳥と焔だけじゃなく全員驚いた。
何せそんなに凄い姉だったら、憧れて善忍として忍の道を極めてるに違いないからだ。
今は悪忍である両備と両奈でさえ、最初は姉の両姫と同じ月閃の忍だったから、恐らくそうなんだろう。
「……言われてみれば、漆月……ちゃんも、あの頃は陽花さん見たいな凄い忍になるんだって言ってたのに……どうして……」
「あぁ……あんなに陽花さんの事を尊敬して、陽花さんと同じ正義の忍になるって言ってたアイツが何で……」
さっきまで笑顔だった飛鳥と焔の顔は曇り出す。思い出したゆえか、長馴染みだった漆月が破忍の行いをしている事に疑問を抱いたからだ。
「……そう言えば、ここ最近陽花さんの話も聞いた事ねぇな。もしかしたら、陽花さんが関係してるのか?」
「そうかも………それについて何か知らない? 奈楽ちゃん?」
焔の呟いた事に頷いた飛鳥が寿司屋の出入り口を見て言い、それにつられてその出入口を皆が見ると、そこにはいつの間にか奈楽が立っていた。
「人を情報屋見たいな扱いするな。まぁ……教えるがな。」
「教えるんだ……」
「ってかいつの間にここに?」
「ずっといたぞ。」
「いたんだ……」
そう頭を掻きながら中に入った奈楽に美野里と芭蕉がツッコんだ後、芭蕉が言った事に答えながら椅子に座る奈楽に今度は土方がツッコんだ。
「……漆月が何で破忍なんてのを作り、忍社会を破壊しようと思ったかは今だ不明だが、今のアイツがあぁなったのは……恐らく宿っていた力も関係してるだろう。」
「力? それって一体、」
「……妖魔だ。」
奈楽の話を聞いて夜桜が聞くと、その質問に奈楽が答えた事を聞き、飛鳥達は耳を疑う程に驚いた。
「よ、妖魔って、それ本当!?」
「で、でもそれなら忌夢さんが話してた話にも合点が行きますよ!?」
「確かにな……両腕に両足が妖魔のような姿になると言う忌夢が見た話も、アイツの身体に本当に妖魔が入ってるって事なら……」
両備が驚いている近くで、芭蕉と柳生は前に忌夢が話していた事を思い出す。
雪泉や雅緋を倒す程の漆月の力、その際に漆月の両手と両足の姿が妖魔の様な姿になっていたと話した忌夢の話も、これで裏付けされたからだ。
「恐らくそうだろうな。アイツは体内に宿った妖魔の力で肉体を変化させて、妖魔の力を行使しているんだろう。」
「そ、その事……陽花さんも知ってたのかなぁ?」
「だろうな。それにその陽花って奴にも、妖魔の力が宿ってたらしいしな。」
「なぁ!? それ本当か!?」
奈楽の話を聞いていた飛鳥に応えるように奈楽が話した事に焔が驚き、飛鳥も驚きの顔を浮かべた。
漆月にだけじゃなく、尊敬していた陽花の身体にも妖魔の力が宿っていた事が二人にとって衝撃的だったのだろう。
「とは言っても、陽花に宿ってたのはお前達が良く知る妖魔とは違ってたらしいがな。神楽が曰く、優しい妖魔らしい。」
「優しいって……妖魔にそんなの本当にいるわけ?」
「ごく僅からしいがな。だが……漆月に宿っているのはそれとは真逆、いやそれ以上に最悪なものだ。」
両備が頭を掻きながら聞いた事に答えながら話す奈楽の顔は、何時も舞にか険しくなっていた。
「漆月に宿った妖魔の力、そいつは今までお前達があって来た妖魔とは桁違い、そしてその妖力も……恐らくどの妖魔よりも強いようだ。」
「そ、そんな……」
「そんなヤバイ妖魔が、漆月の身体に宿ってるって言うの?」
「……それにしても、よくそんな妖魔を体内に宿して、今日ここまで生きていたものですね。」
奈楽の話を聞いて美野里と未来が冷や汗を掻いてる中、千歳が顎に手を添えながら呟いた。
確かに、そんな危険すぎる妖魔を宿しているなら、それを知った忍上層部が黙っていないはずだからだ。
「もちろん、そんな妖魔をほっておくわけにも行かない忍上層部はすぐさま処罰を考えたのだが、それを止める奴が居た。」
「………陽花さん、何だよね?」
奈楽の話を聞いていた飛鳥の質問に対し、奈楽は頷いた後話しを続ける。
「陽花はたった一人で上層部に掛け合い、妹には手を出さないで欲しいと願ったらしい。最初は陽花の言葉に耳を傾ける者が居なかったが、実力と功績だけじゃなく、陽花の力ならもしもの時は止められると考えた上層部は………」
「陽花さんの望みを聞いたって事だな。」
奈楽の話を聞いて今度は焔が聞き、それに奈楽は静かに頷いた。
「……でも、それも一時だけだった。結局漆月の処罰忍務は下され、それに気づいた漆月は逃亡した。」
「え? 何で!? 陽花さんの望みを聞いたはずじゃ!?」
「それが無効になったって事だ。陽花が……妖魔との戦いで死んだ事をきっかけにな。」
『っ!?』
奈楽の話を聞き続けた飛鳥と焔は、これまでにない程の衝撃を受けたような顔をした。
尊敬していた陽花が死んだ、今までそれを知らなかった飛鳥と焔にとって、これ以上に衝撃的な事実があるだろうか。
「……知らないのも無理ないか。当初は陽花が死んだ事を知ってるのはごく僅かで、殆どの奴や知ってる忍には行方不明と説明されているからな。」
「……それで、その後漆月はどうしたのよ?」
話を再開した奈楽の話を聞いていた両備は質問し、その質問に奈楽はすぐさま答えた。
「陽花が戦死したのをきっかけに追われる身になった漆月は、来る日も来る日も追っての忍に追われる日々だったらしい。っで、そんな日々が続いたある日、とうとう追い詰められた漆月は……」
「妖魔の力を発現するようになり、何時しか忍社会壊滅を考えるようになったって事だ。」
奈楽が話し終えた後、出されていたお茶を一気に飲み干した。
その場の雰囲気は完全に暗くなっていた。 特に飛鳥と焔は、尊敬していた陽花が死んでいた事が本当に衝撃的だったのか、今だ愕然となっていた。
「……今の話、どう思う?」
「どおって、それで漆月の事をはいそうですかって許せるわけは行きませんが……行きませんが………」
「大好きだった姉を殺されて、挙句妖魔のせいで人生を狂わせたってのは、どうもね……」
雲雀の質問に対して、夜桜と両備はそれぞれ答えた。
確かにその話を聞いて、今まで漆月がやって来た事をそう簡単に許す事は出来ない。
だが最愛の姉を殺され、おまけに体内に宿った妖魔の力のせいで殺されると言う悲惨な人生を送ってしまった。
そんな漆月に対してどうすれば良いか、奈楽以外のこの場に居る皆の心には、動揺が止まらなかった。
「……そう言う、漆月みたいな奴らの集まりなんだよ、破忍ってのは。」
そんな空気の中、葛城は皆に対して話し始めた。
「今の忍社会が気に入らない気に食わない、今の忍社会が嫌い、こんな忍社会が憎い……そう思ってる奴らが集まったのが、破忍って忍なんだ。」
一時的破忍の仲間になっていた葛城の言葉は、何処か重いものがあった。
彼女も一時的とは言え、今の忍社会の正義は全て偽善と思っていたからだろう。
その後も重い空気のまま誰も話さなくなり、今日の所はここで解散となった。