閃乱カグラ~SHINOVI CHRONICLE~ 少女達の絆   作:XW

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32.託した思いと共に……

「これは……」

 

 漆月がいるであろう最上階に向かって走り続けていたはずの飛鳥達は、目の前にあった大きめな扉を見て、その足を止めた。

 

「ここを通って行かないと、最上階には行けないって感じだね。」

 

「隠し通路は……封じられてるようだな。」

 

 扉を見て四季が呟いた後、忌夢は隠し通路がありそうな場所を調べたが、どれも漆月達に塞がれていた。

 どうやら、この扉の先にある部屋を通って行かない限り、最上階には行けないらしい。

 

「じゃあ……行くよ。」

 

 その話を聞いた飛鳥は呟きながら扉を開き、飛鳥達は警戒しながら部屋に入ると、その部屋は異質な光景だった。

 

「こ……これって、」

 

「サ、サーカス会場?」

 

 その光景を見て未来と雲雀は首を傾げた。

 何せ入った部屋は大きなテントの中、数十人が座れる座席、そして円状に囲まれたステージに飛鳥達が居た身体。

 言うなれば、今飛鳥達が居るのはさながら、サーカス会場だった。

 

「すっごぉい!! ねぇねぇ!! これどうなってんのぉ!?」

 

「大方……奴らの誰かが作った忍結界だろうが、何の意味があって……」

 

 そんな部屋の中を見て笑みを浮かべながら美野里が言った隣で、柳生が呟いたその時だった。

 

「作った者の思う通りに出来る。そう言う物じゃないでしょうか、忍結界と言うのは?」

 

『っ!?』

 

 突如上から声が聞こえた飛鳥達が上を見ると、そこには空中ブランコの上に立っている転界の姿があった。

 

「お前は……転界!?」

 

「どうしてここに……」

 

「フフ、私だけではないですよ?」

 

 そのまま空中ブランコから飛び降り、転移を使って着した転界を見ながら焔と未来が聞くと、転界が答えたのと同時に突如として、大きな火の輪が出現した。

 

「ぐぅわぁああああああああ!!」

 

 その火の輪を、まるで火の輪くぐりをするライオンのようにくぐり抜けた項羽が、唸り声をあげながら飛鳥達を睨んだ。

 

「こ、項羽まで………」

 

「どうやら、私達の足止めをする為にここで待ち伏せしてた…ってわけね。」

 

「ご名答です。ついでにもう一つ、言っておかないといけない事があります。」

 

 転界だけでなく項羽まで現れたのを見て葛城が少し驚く中、両備が戦闘態勢を取りながら呟いたのを聞いた転界は、人差し指を出しながら説明し始めた。

 

「例えあなた達が、私達を突破して前に進めたとしても、ここから先にある部屋にも破忍が、私達の仲間が待ち構えています。まぁでも……」

 

「ここで皆さん一貫の終わり、ってのもありますけどね?」

 

「ウゥウウウ!! ウゥウウウウウ!!」

 

 説明をし終えながら転界は杖を構え、隣に居た項羽を転界の言葉に頷くように首を振りながら、両手に双斧を展開させた。

 

「くぅ!!」

 

 そんな転界と項羽を見て、飛鳥が脇差を構えようとすると、飛鳥の前に手を伸ばしてそれを止める者が居た。

 

「飛鳥ちゃん達は先に行って。」

 

「ここは……俺と雲雀が相手をする。」

 

 それは雲雀と柳生で、雲雀と柳生は飛鳥を護るように前に立ちながら飛鳥達に言った。

 

「雲雀ちゃん!? 柳生ちゃん!?」

 

「お前ら!?」

 

「ここで全員が相手してる方が効率が悪い。ここは俺と雲雀で何とかするから、お前達は先に行け。」

 

「柳生ちゃん……」

 

 雲雀と柳生を見て飛鳥と葛城が驚くと、柳生が二人に対して言い、それを聞いた飛鳥が心配の顔を浮かべると……

 

「それに……俺と雲雀が組んで、負けるわけないだろう?」

 

 柳生は振り向きながら飛鳥に言い、それに同意するように雲雀も頷いた。

 

「まったく……あんた達、どこまで仲良しだっての!?」

 

「でもま、そう言うのも悪くないと……ほんの少し思ってるのね、私も。」

 

 すると、そんな柳生と未来を見ていた未来と春花も、柳生と雲雀と一緒に残るつもりなのか、話しながら隣に立った。

 

「春花さん!? 未来ちゃん!?」

 

「お前ら!?」

 

「心配しなくても、私は柳生みたいな事は言わないわ。単にここで柳生に雲雀を独り占めされるのが嫌なだってだけ。そうでしょ未来?」

 

「そ!! そうよ!! あんた達に格好良い所取られるのが嫌なだけ!? それだけなんだから!?」

 

 春花と未来を見て今度は詠と焔が驚くと、そんな二人に対して春花が言った後、未来も顔を少し赤くしながら話した。

 

「だから皆、私達の事は心配しなくても大丈夫だから……先に行って。」

 

 その後、春花が話した事に未来だけでなく柳生と雲雀も少し頷き、そんな四人を見た飛鳥と焔達は……

 

「……分かった、四人の気持ち、」

 

「しかと、この身に受け取った!!」

 

 飛鳥と焔が四人に答えた後、この場を柳生と雲雀、春花と未来に託した飛鳥と焔達は先に進むのだった。

 

「…………ハァ、まったく、漆月はこうなると思うとは言ってましたけど、本当にこうなると、少しイラッと来ますね。」

 

「ウゥウウウ~!!」

 

 それを見ていた転界は転移で防ごうとしたが、柳生達の戦意を感じてそれを止めながらため息を付き、この状況に少し苛立ちを感じながら睨み、項羽も唸り声を上げながら四人を睨んだ。

 

「……礼は言わんぞ。」

 

「誰もあんたなんかの礼なんていらないわよ。」

 

 そんな転界と項羽に対する柳生と春花が少し話した後、柳生と雲雀と春花と未来は転界と項羽を見ながら……

 

「半蔵学院一年!! 柳生!!」

 

「同じく一年!! 雲雀!!」

 

「舞い忍ぶ!!」

「舞い忍びます!!」

 

「焔紅蓮隊が一人!! 春花!!」

 

「同じく焔紅蓮隊!! 未来!!」

 

「舞い殉じちゃう!!」

「舞い殉じる!!」

 

 名乗りを上げながら構え、転界と項羽と対峙するのだった。

 

――――

 

「…………」

 

「なんだ……これ……」

 

 次の部屋に入った飛鳥と焔達は、その部屋にあった物を見て唖然となっていた。

 部屋は鞭と言った、無数にある拷問器具が置かれており、大きな拷問部屋になっていた。

 

「はぅう~ん!! 見てみて両備ちゃん!? この部屋凄い!? 凄すぎるよぉ!? もういっそこの部屋に引っ越したいよぉ~!!」

 

「あぁもぉ!? 分かってはいたけど、お決まりの発言してんじゃないわよバカ犬!? ってか、これもどうせ誰かの忍結界でしょうが!?」

 

 そんな部屋…と言うより忍結界を見て興奮してしまったのか、腰をくねらせながら笑みを浮かべた両奈に対して、もちろん両備がツッコんだ。

 

「あらあら~、私の忍結界を気に入ってくれる子が居るなんて……フフッ、嫌いじゃないわよ?」

 

 すると、両備と両奈の会話を聞いていた拷楽が目の前に現れ、手には得物兼拷問器具の鞭があった。

 

「拷楽!? なる程……あんたの忍結界なら、このデザインも納得だわ。」

 

「フフ、褒めても何もでないし、この際どうでも良いわよ葛城ちゃん。私はあんた達の拷問をしたくてしたくてたまんないのよぉ~!! 正直雪泉ちゃんと雅緋ちゃんを拷問しつくせてなくて、消化不良なのよねぇ~!!」

 

 葛城の話に答え、鞭の先端を舐めながら拷楽が話すと、その話を聞いた四季は顔色を思わず変えた。

 

「……へぇ~、あんたが雪泉ちんにあんな事……だったらウチ、しっかりお返ししないと行けないね。」

 

 四季は前に出ながら鎌を拷楽に向け、目を鋭くしながら拷楽に言った。

 

「四季!?」

 

「四季ちゃん!?」

 

「夜桜ちんと美野里ちん達は先に行って。コイツの相手は……ウチがする。」

 

 そんな四季を見て夜桜と美野里が言うと、四季は鎌の持ち手を強く握りしめながら言った。

 さっきの話を聞いて夜桜と美野里も許せない気持ちも分かるが、それだと月閃全員が相手する事になってしまう。

 それはヤバいと思った四季は、月閃の面々を代表して相手をする事を決めたらしい。

 

「あぁ~四季ちゃん!? 独り占めはズルいよ~!!」

 

 すると、両奈が四季を見て言いながら、そのまま四季の隣に立った。

 

「ちょ?! バカ犬あんた……状況分かって、」

 

「分かってるよ。」

 

「え?!」

 

 両奈を見て両備がまたツッコもうとすると、あんまり聞かない両奈の冷静な言葉を聞いて、両備は思わず驚いた。

 

「分かってるから今ここで、両奈ちゃんが相手しないとね。それにあぁ言うのは、両奈ちゃんが相手するのが絶対ぜっ~たい一番だから!!」

 

「何が一番かこの際聞かないけど……とにかく!! ここはウチと両奈ちんに任せて、早く行って!!」

 

 その後すぐに何時もの口調で言った両奈に続き、四季も夜桜達の方を見ながら話した。

 

「………分かりました。ですから!! 四季もこんな所で負けないでくださいね!!」

 

「負けたら承知しないわよ!! バカ犬両奈!!」

 

 っと、四季と両奈の思いを受け取った夜桜と両備が言った後、夜桜と両備達は次の部屋まで走り出した。

 

「ウフフフフフフフ!! 二人だけ残ったのは少し残念だけどまぁ良いわ。二人纏めて……虐めてあげるから。」

 

「はぅうう~ん!! さっき両備ちゃんにあぁは言ったけど、やっぱりその拷問気になっちゃう~!!」

 

「両奈ちんはともかくとして、ウチをそう簡単に拷問出来ると思わないでよ!!」

 

 夜桜と両備達が部屋を後にすると、残った四季と両奈を見て唇を舐め乍ら拷楽は言ったのに対し、両奈は腰をくねらせ笑みを浮かべながら言い、四季は鎌を構え直しながら言った。

 

「蛇女子学園一年、両奈!! 悪の誇りを舞い掲げちゃう!!」

 

「月閃女学館一年、四季!! 鎮魂の夢に沈むっきゃないね!!」

 

 そのまま両奈と四季は名乗り上げ、拷楽を見ながら得物を構えた。

 

――――

 

「……さっきのも色々と嫌だったが……」

 

「この部屋も、なかなか不気味やなぁ。」

 

 次に入った部屋を見て、忌夢と日影はそう呟いた。

 なんせ入った部屋は、数個もある巨大なカプセルの様な物が並び立っていた、いわゆる研究室だった。

 

「この忍結界の趣味と言い、ここで待ち伏せしてるのはアイツか……」

 

「アイツ? とにかく今は前に進んだ方が……っ!?」

 

 その部屋もとい忍結界を見て葛城が呟いたのを聞きながらも、飛鳥は前に進もうとした矢先、何かを感じた飛鳥は後ろに飛ぶと、さっき飛鳥が居た場所に上から何が落ちて来た。

 

「なぁ!?」

 

「これは!?」

 

 その何かを見て、焔と詠達は驚きを隠せなかった。

 巨大な鳥の翼、全身を覆う亀の甲羅の様な鱗、虎のように鋭い爪、そして竜を模した顔をしたそれは人口妖魔であったが、今まで見て来た人口妖魔とは比べ物にならない者だった。

 

「っ!! お姉ちゃん!? あの妖魔から、雅緋さんと雪泉さんと同じ臭いが!?」

 

「な、何!?」

 

「あらあら……鼻が敏感とは聞いていましたが、これほどでしたとは、思わず感服ですわ。」

 

 その巨大な人口妖魔の方から、何故か雅緋と雪泉の臭いがした紫が忌夢に言ってそれを聞いた忌夢が驚いていると、その巨大人口妖魔の肩に乗っていた闇が言いながら床に降りた。

 

「闇!?」

 

「それって一体どう言う!?」

 

「どう言うも何も、そこのゴスロリ娘の察しどうりですわ。この妖魔は雪泉、そして雅緋の苦痛と痛み、そして力を吸収して作り出したもの。故に雪泉と雅緋、二つの力を兼ね備えた妖魔となってますわ。」

 

「くぅ……こいつまさか、」

 

「その為に雪泉と雅緋を……」

 

 葛城と叢の質問に対して闇が語った事に対して、忌夢と叢は怒りの眼差しを向けた。

 つまり闇達は、この妖魔を作り出す為に雪泉と雅緋を拷問し、忍の力までも奪ったのだからだ。

 

「ついでに申し上げますと、私かこの妖魔を倒さない限りは……雪泉と雅緋の力は戻りません事。つまり……下手したらもう忍として戦えなくなるって事ですわ。」

 

 っと、闇が笑みを浮かべながら説明した矢先、忌夢と叢が前に立つと、

 

「だったら……貴様もその妖魔もぶっ倒して雅緋の力、」

 

「雪泉の力……返してもらう!!」

 

 忌夢と叢は互いの得物を闇と巨大人口妖魔に向けながら言い、そのまま両備と夜桜達に言った。

 

「両備!! ここは僕と叢に任せてくれ!? こいつには僕達も、色々と世話になったからな。」

 

「どの道こやつを倒さなければ、雪泉も雅緋も戦えまい!? ならば我らが!!」

 

 そう忌夢と叢が得物の持ち手を強く握りしめながら言った次の瞬間だった。

 

「だ、だったら私達も!?」

 

「ここに残って………お姉ちゃん達を……助ける!!」

 

 美野里と紫が叢と忌夢を護るようにして前に立ち、そんな美野里と紫を見て叢と忌夢は驚いた。

 

「み、美野里!?」

 

「紫!?」

 

「今の叢ちゃんだって十分に戦えないんでしょ?! だったら、私が叢ちゃんを助けてあげなきゃ!?」

 

「私も……もうこれ以上、私が見てない所で……お、お姉ちゃんが傷つくのは………嫌だから。」

 

 叢と忌夢に対して美野里と紫は真剣な眼差しで言い、それを聞いた叢と忌夢は、思わず笑みを浮かべた。

 

「まったくお前は……と言う事だ両備!! ここから先はお前に託した!!」

 

「必ず……勝ってください。」

 

「忌夢……紫………」

 

「我らの思い、しかと託したぞ!! 夜桜!!」

 

「夜桜ちゃんの事、今度こそ信じてるから!!」

 

「叢……美野里……」

 

 忌夢と紫の言葉を聞いた両備は、叢と美野里の言葉を聞いた夜桜は、その言葉と思いをしかと胸に刻んだ。

 

「……あんた達の思い、しっかり受け取ったわ!!」

 

「必ず……勝って見せるのじゃ!!」

 

 両備と夜桜はそれぞれ言った後、飛鳥と焔達ともに先へと進んだ。

 

「……さて、僕達も行くかマスク女。」

 

「言われなくとも分かっている。デコ眼鏡。」

 

 それを見届けた後、忌夢と叢は互いに言い合った後、美野里と紫の共に闇と巨大人口妖魔の前に立った。

 

「蛇女子学園三年……忌夢!!」

 

「蛇女子学園二年……紫!!」

 

「悪の誇りを舞い掲げるよ!!」

「悪の誇りを舞い掲げます!!」

 

「月閃女学館三年……叢!!」

 

「月閃女学館一年!! 美野里!!」

 

「鎮魂の夢に沈む!!」

「鎮魂の夢に沈むの!!」

 

 忌夢と紫と叢と美野里は名乗り上げながら、闇と巨大人口妖魔と対峙するのだった。

 

――――

 

『……………』

 

 次の部屋に入った飛鳥達だったが、その部屋兼忍結界を見て呆気とられていた。

 

「何これ……部屋中って言うか、結界内殆どが……」

 

「りょ、両姫だらけ………」

 

 何せ部屋中には、両備と両奈の姉である両姫の絵や写真、更には大きな銅像まであったからだ。

 そんな忍結界を見て、何の反応しないのが可笑しいと思うと、何時も通り無反応な日影を見ながら飛鳥と焔が思ったが、それを口にはしなかったは言うまでもない。

 

「忍結界は忍の個性が出るとは聞いたあるけどよぉ……これって、」

 

「えぇ……絶対あいつが居るわね。この部屋には……」

 

「僕が居る、って言いたいのかな?」

 

 そんな忍結界を見て葛城と両備が話していた次の瞬間、銅像の方から声が聞こえて見ると、そこには双鎌を持った鎌倉が立っていた。

 

「鎌倉……」

 

「フフ!! どぉお!! 僕の忍結界は!? あっちを見ても、こっちを見ても、全部両姫お姉様!! まさに僕の、僕の為の忍結界だと思わない!?」

 

 両備が睨みつける中、鎌倉は両腕を上げて笑みを浮かべながら、自身の忍結界に対する感想を述べた後、すぐさま飛鳥達を見つめた。

 

「けどまぁ残念なのは……こんな素敵な結界を、君達の鮮血で台無しにししちゃう事かなぁ?」

 

 鎌倉は、今度は不気味な笑みを浮かべ、双鎌の片方の刃を舐めながら言い、その笑みからは殺意にも似た何かが感じられた。

 

「……ハァ~!! まったく、ついさっきアイツらに色々と託されたばっかりだってのに!?」

 

 そうため息を付きながら、両備はライフルを肩に乗せ乍ら前に出た。

 

「仕方ないから、こっから先は善忍と抜忍のあんたらに任せるとするわ。」

 

「りょ、両備ちゃん!?」

 

「お主!?」

 

「どの道コイツとはケリを着けないと思ってたしちょうど良いわ!! だからあんた達はさっさと行きなさいよ!!」

 

 心配の表情を浮かべる飛鳥と夜桜に対して両備は頭を掻きながら言った後、そのまま飛鳥達の方に顔を向けた。

 

「けど……これだけは言っておくわ。……必ず勝ちなさい。」

 

『っ!?』

 

 両備の言葉を聞いて、思わず飛鳥達は驚いた。

 それほど何時もならあまり人に言わない言葉を、両備が言ったのが以外だったのかもしれない。

 

「……分かった。必ず勝つから、両備ちゃんも必ず勝ってね!!」

 

「負けたら承知せんぞ!!」

 

 飛鳥と夜桜が言った後、飛鳥達は両備だけ残して先に行き、忍結界に残ったのは両備と鎌倉だけになった。

 

「へぇ~? あんたが僕の相手をしてくれるんだぁ~!! 両姫お姉様の面汚しの両備ちゃん?」

 

「………………」

 

「まぁ……それは僕としても本望なんだけどねぇ~!! じゃあ始めるよ、両姫お姉様が見ている前でやる、愚妹の両備ちゃんスプラッターショーをね!!」

 

 両備が睨みつける中、鎌倉は笑みを浮かべながら双鎌を振るい、刃からから出た鮮血に染まった斬撃が両備を襲った。

 

「っ!! ハァアア!!」

 

 その斬撃を両備は避けたのと同時に、ライフルでの銃撃を行い、鎌倉はその銃撃を鎌で防いだ。

 

「フゥ……あいにく、アンタにスプラッターにされる程、私も甘くはないわよ!!」

 

 着地した後、一息ついた両備は鎌倉に言いながら前を向き、得物のライフルを構え直した。

 

「蛇女子学園一年、両備!! 悪の誇りを舞い掲げるわ!!」

 

 両備も他の蛇女と同じように名乗り、再び鎌倉をその瞳で睨みつけるのだった。

 

――――

 

 次の部屋に入った飛鳥達。そこは、至る所がボロボロになっていた道場になっていた。

 床の畳、壁、そして天井……もはや使え物にならない程にボロボロの道場をイメージしたかのように作られた忍結界になっていた。

 

「……どうやらここで待ち伏せていたのは、お主のようじゃな?」

 

「…………」

 

 そんな中を見渡していると、夜桜が目の前で座っていた龍姫を見て呟き、その言葉に気付いた龍姫は、静かに目を開いた。

 

「……飛鳥さん、焔さん、皆さん。ここは儂に任せてもらえんじゃうか?」

 

「よ…夜桜ちゃん?」

 

 そんな龍姫を見た夜桜は前に立ちながら飛鳥達に言い、それに少し驚いた飛鳥に対し、夜桜はこう告げた。

 

「両備さんが鎌倉とケリをつけないと行けないのと同じように、儂も彼女とは決着付けなきゃいかんのじゃ。黒影様の弟子としても………何より、」「夜桜と言う忍としても、奴には……勝たんと行けんのじゃ。」

 

「………必ず勝ってね。」

 

 っと、夜桜は自身が秘めていた思いを打ち解け、それを聞いた飛鳥達はその言葉を受け入れ、夜桜を残して先へと進むのだった。

 

「……よっと!! 随分と御大層な事言ってくれるじゃねぇか? クソ月閃の夜桜先輩よぉ!!」

 

 残った夜桜を見ながら龍姫は立ち上がり、夜桜に向けて罵倒に似た言葉を言い放つが、夜桜は臆する事なく龍姫に近付いた。

 

「……………」

 

「……………」

 

 互いに睨み合いながら、拳を握りしめた次の瞬間……

 

「っ!! ハァアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「っ!! ハァアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 夜桜と龍姫は互いの拳をぶつけあい、その反動で同時に離れてしまった。

 

「くぅう!?」

 

「くぅうううう!!」

 

 そのまま倒れそうになるのを踏みとどまり、お互いに睨む着ける中、世夜桜は拳を握りしめ直しながら構えた。

 

「月閃女学館二年……夜桜!! 鎮魂の夢に沈むけぇのぉ!!」

 

 そのまま名乗り上げた夜桜は、龍姫を見ながら戦意を上げて行くのだった。

 

――――

 

 次に入った部屋は、暗い墓地になっていた。

 幾つもの墓が置かれてるその真ん中には、最後の番人と言うべき破忍が待ち構えていた。

 

「……やっぱり漆月の前に待ち構えてたのは、オメェか蒼志。」

 

「………そう言うあなたこそ、ここまで来てくれた事、だけに関しては感謝します。」

 

 真ん中に立っていた蒼志を見ながら葛城が話しかけ、蒼志も葛城に言い返した。

 

「この忍結界の意味、あなたなら分かりますよね? ここはまさにあなたが死ぬ為に造られた世界。まぁベタな事を言えば……」

「ここが、あなたの墓場になる……と言う事です。」

 

 蒼志は話し続けながら鞘から刀を抜き、その刃を葛城に向けた。

 

「……飛鳥、ここはあたいに任せて、」

 

「良いよ。」

 

 蒼志を見ながら、葛城は飛鳥の肩に手を置きながら頼もうとすると、飛鳥は最後まで聞かずに頷いた。

 

「あっちもかつ姉ぇと戦いがってるし、かつ姉ぇとしてもケリは付けたいでしょ? だから……」

 

「………分かってる、必ず勝って、後を追う。」

 

 飛鳥が拳を握りしめながら話したのを見て、葛城は一瞬目を瞑った後、飛鳥にそう約束するのだった。

 

「……焔さん、私も、」

 

「……日影と、」

 

「え?」

 

「日影と一緒で良いなら、ここを任せても良いぞ。」

 

 そんな光景を見た詠も焔にお願いしようとすると、焔も条件を付けながらも詠の願いに頷いた。

 

「そう言う事でだ日影、頼めるか?」

 

「……頼むも何も、ウチもここで戦うつもりやったし。」

 

「……そうだな。」

 

「焔さん……日影さん………」

 

 そう焔と日影が話しているのを見て、詠は涙が溢れそうになるが、その涙を流さまいと堪えた。

 

「じゃあ……皆、」

 

「……行って来る!!」

 

 そう言ったのと同時に、飛鳥と焔は漆月が居る最上階まで走り出し、この部屋兼忍結界には、葛城と詠と日影と蒼志だけになった。

 

「………ってなわけだ。悪りぃけどあたいだけ相手するわけには行かねぇようだぜ?」

 

「問題ありませんよ。そちらの二人には……コレらと戦って貰いますから。」

 

 葛城が蒼志に話しかけると蒼志は口笛を鳴らした。

 その直後、天井から二体の人口妖魔が現れ、その二体は詠と日影の前に降り立った。

 

「ヘッ!! やってくれるじゃねぇの……んじゃあお二人さん、」

 

「えぇ!!」

 

「行くで!!」

 

 それに対して葛城も詠も日影も臆することなく、葛城は拳を鳴らし、詠と日影は得物を構えながら……

 

「半蔵学院三年!! 葛城!!」

 

「焔紅蓮隊の一人!! 詠!!」

 

「同じく焔紅蓮隊、日影!!」

 

「舞い忍ぶぜぇ!!」

「舞い殉じます!!」

「舞い殉じる!!」

 

 三人は名乗り上げると、そのまま葛城は蒼志に、詠と日影は人口妖魔に向かって突っ込んだ。

 

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