閃乱カグラ~SHINOVI CHRONICLE~ 少女達の絆   作:XW

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33.譲れない、それぞれの忍道

「……ここに、」

 

「アイツが………」

 

 仲間の思いを託されながら、ようやく最上階に辿り着いた飛鳥と焔の目の前には、大きな扉が待ち構えていた。

 

「………飛鳥。覚悟は、出来てるんだろうな?」

 

「そう言う焔ちゃんこそ……覚悟は出来てるの?」

 

 この先に漆月が居るのであろう部屋を前にして焔は飛鳥に聞き、聞かれた飛鳥は逆に焔に聞き返した。

 

『………………』

 

 数秒間の無言。だが二人には、二人だからこそ分かる。

 今見てる最強の友達、最強の幼馴染の目が、とっくに覚悟を決めて居る目だと。

 

「……じゃあ、行こう。」

 

「あぁ………」

 

 そうお互いに頷きながら、飛鳥と焔は扉に手をかけ、同時に開くとそこは………

 

 

「……え?」

 

「ここは……」

 

 飛鳥と焔は、扉の先にあった光景を見て驚きを隠せなかった。

 扉の先の部屋は何処にでもある公園になっていたが、二人にとってはただの公園では無かった。

 そう……ここは幼い頃、漆月と初めて会い、遊んだ公園だったのだ。

 

「ようやく来たか……待ちくたびれちゃったよ。」

 

『っ!?』

 

 その公園を模した忍結界を見渡していると、何処からか漆月の声が聞こえた飛鳥と焔が声のした方を向くと、そこでは漆月が、あの時の様に砂野城を作っていた。

 

「漆月ちゃん………」

 

「……………」

 

「心配しなくても、他の皆の事は知ってるし、余計な事はする気ないよって、聞きたいのはそっちじゃないか?」

 

 漆月を見つめる飛鳥と焔に話しかけながらも、漆月は砂の城を完成させた。

 

「…………ねぇ、飛鳥ちゃんと焔ちゃんは、どう思ってるの?」

 

「ど、どう思ってるって?」

 

「何がだ?」

 

「決まってるでしょ? 今の忍社会が。」

 

 その砂の城を見ながら、飛鳥と焔に質問した漆月は、二人に対して話し始めた。

 

「私はね……今の忍社会って、醜いって思ってるんだ。」

 

「醜い……」

 

「そ……妖魔と戦う宿命も持ってるはずなのに、善忍悪忍同士で争ったり、一度忍務を放棄したり失敗しただけでも抜忍扱いされるか殺されるかの選択肢しかない。何よりどれだけ自分の願った忍の道を選ぼうとしても、忍じゃない別の道を選ぼうとしてもそれを邪魔され否定される。挙句の果てには人の身体を弄られたりまでした!?………こんな醜くて腐りきった忍社会、本当に必要?」

 

 漆月は焔と飛鳥に、今まで自分が見て来たような、あまりにも無惨で残酷にも近い忍社会の裏を話し続けながら立ち上がる。

 

「私は……そんな忍社会を、古く腐りきった忍社会を壊す。新しい忍の、誰もがそれぞれの夢を追いかけられて、誰もが笑顔で居られる未来を作る為にも。……それが例え、」

 

「かつての友達の命を奪う事に、なってもね!!」

 

 話の最後に叫んだのと同時に、漆月は足で砂の城を踏み潰し、飛鳥と焔を見ながら妖魔の力を解放した。

 瞬く間に両手両足は妖魔の姿となり、右手には出現させた刀が持たれていた。

 

「前にも言ったけど……私達はもう止まれない。止める事なんてもう出来ない!! それでも……それでも私達を止めて、今の腐りきった忍社会を守りたいって言うなら……命懸けで止めて、そして守って見な!!」

 

 漆月は妖力も強くさせながら、刀の刃を飛鳥と焔に向けながら言ったのだが………

 

「……漆月ちゃん、何か勘違いしてない?」

 

「あぁ……確かにお前を止める為に私たちは来た。けど……別に今の忍社会がどうかなんて知ったこっちゃねぇよ!!」

 

「……は?」

 

 飛鳥と焔の返答を聞いて漆月が思わず唖然となる中、焔から話し始めた。

 

「正直私も、その今の忍社会で辛くない方が少ねぇよ。人を殺しただけで善忍の道は閉ざされるは、抜忍だからってだけで何時襲撃されるか分かんねぇは、そもそも抜忍だからロクな生活も出来ねぇ!!……でもよ、」

 

 焔は愚痴にも似たような事を話すが、途中からその顔は笑みが見えていた。

 

「そんな私でも、誰よりも、何よりも大切な友が出来た!! 最高で忘れられない記憶が出来た!! 何にも変えられない、家族が出来たんだ!! 今の忍社会がどうかなんてどうでも良い!! 私は……私が信じた未来、信じた忍道を突き進む!! それだけだ!!」

 

 そう話しながら、焔は七本目の刀を抜き、「紅蓮の焔」へと覚醒した。

 

「……漆月ちゃん。私ね、今まで色んな忍の皆と出会って、そして何度も戦ったんだ。」

 

 すると今度は、飛鳥が漆月に向けて話しだした。

 

「であった忍の皆は、それぞれ自分が信じた正義や悪があって、そのせいでぶつかって刀と刀をぶつけあう事あった。でもね……最後には皆笑顔だったんだ。」

 

 一瞬目を瞑りながらも、飛鳥は漆月を見ながら話し続けた。

 

「運が良かったのかもしれない。その出会った忍の皆が、分かってくれただけかもしれない。でも!! それでも私は信じたいんだ!! 今の忍社会でも、誰もが自分の信じた正義を信じられる!! 誰だって自分が信じた刀と盾を持っていられる!! 誰だって、笑顔で居られるんだよ!!」

 

 漆月を見ながら話し、叫び続けながら飛鳥は、腰に仕舞っていた脇差に手を掛ける。

 

「だから私も……自分が信じた正義を、刀と盾を持って戦う。たとえそれが愚かで、甘っちょろくて、罪だとしても……私は!! その全てを背負い続けながら戦う!! それが私の信じた正義で刀と盾!! それが私の!!」

 

「私だけの忍道だから!!」

 

 その脇差の刃を抜いたのと同時に、飛鳥も「真影の飛鳥」へと覚醒。二刀の脇差を構えながら、漆月を見つめた。

 

「………なる程、それが二人の忍道って分けね。だったら私も……」

 

 飛鳥と焔の言葉を聞いた漆月は、頭を掻きながら二人の言葉に納得するが、それでもなお武装を解く事は無かった。

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

 飛鳥と焔、そして漆月。互いにしばらく睨み、そして得物を構え直した次の瞬間……

 

『ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 三人は同時に突っ込んで行き、得物が振るった直後、互いの力がぶつかり合った。

 

「くぅう!!」

 

「がぁ!!」

 

「このぉ!!」

 

 反動で一旦離れた三人だったが、漆月はすぐさま飛鳥と焔に向けて斬撃を放ったが、

 

「半蔵学院二年……飛鳥!!」

 

「焔紅蓮隊が一人にしてリーダー……焔!!」

 

『己が信じた忍道の為に、』

 

「舞い忍びます!!」

「舞い殉じる!!」

 

 飛鳥と焔は仲間達同様、名乗り上げながら刃を振るい、その斬撃を消し去った。

 

「っ!! へぇ……まぁそうじゃないと面白くない、よね!!」

 

 それを見て一瞬驚いた漆月だったが、その表情はすぐに笑みへと変わり、再び飛鳥と焔に向かって突っ込み、

 

『ハァアアアアアアアアアアアア!!』

 

 同時に飛鳥と焔も地面を蹴り、漆月に向かって突っ込みながら刃を振るった。

 

――――

 

 始まった激戦は、飛鳥と焔と漆月だけでは無かった。

 それぞれの部屋でも、繰り広げられていたのだった。

 

「ハァアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「はぁあああああああああああ!!」

 

 葛城の具足での蹴りと蒼志の蒼炎纏った斬撃がぶつかり合い、激しい火花を出し続けていた。

 

「っへ!! やっぱやるじゃねぇか!?」

 

「あなたこそその生意気な態度……やっぱりそっちが本当のあなたって事ですか?」

 

「あぁそうだよ!!」

 

 途中で話しながらも再び蹴りと刀をぶつけ合う葛城と蒼志。

 その近くでは、詠と日影が蒼志が呼んだ人口妖魔と戦っていた。

 

「ハァアアアア!!」

「フン!!」

 

 詠は大剣を振りかざし、日影はナイフで人口妖魔にそれぞれダメージを与えるが、ダメージを与えたはずの人口妖魔は今だ健在だった。

 

「んぅ……やっぱウチら用に改造されてる様やな。」

 

「でも、だからと言って……ここで時間を無駄にするつもりはありませんん!!」

 

「……そやな!!」

 

 人口妖魔を見て日影は呟くが、詠が大剣の持ち手を握りしめながら発した言葉に日影も頷き、再び人口妖魔二体に向かって行った。

 

――――

 

「だぁあああ!!」

 

「だぁあああ!!」

 

 龍姫を相手にしていた夜桜も、拳を振るって応戦していた。

 負けじと龍姫も夜桜に向かって拳を振るい、拳と拳はぶつかり合った。

 

「このぉお……!! 天翔竜脈拳!!」

 

「極楽千手拳!!」

 

 龍姫が秘伝忍法「天翔龍脈拳」を放つと、夜桜も負けじと「極楽千手拳」を放ち、二人の秘伝忍法はぶつかった衝撃で打ち消され、龍姫と夜桜は再び距離を取るが、

 

「くぅう!?」

 

「ぐぅうう!!」

 

『ハァアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 互いに突っ込み、そのまま拳によるラッシュが始まった。

 

――――

 

「アハハハハハハハハハ!! よっと!?」

 

「食らうかっての!?」

 

 両備は鎌倉の双鎌からの斬撃を避けながら、ライフルによる銃撃を行うが、その銃撃も鎌倉は避け続けた。

 

「アハハハハハ!! ちょっとはやるようになったじゃん!? 両姫お姉様の面汚しの癖に!?」

 

「その面汚しっての……いい加減聞き飽きたっての!?」

 

 笑みを浮かべながら、両備を挑発する鎌倉に対して、両備はライフルによる銃撃を続けながら言い返した。

 

―――――

 

「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「キャァアア!!」

 

「わぁあああ!!」

 

 雪泉と雅緋の力吸収した巨大人口妖魔の黒炎と氷の攻撃に対して、紫と美野里は何とか避けるが、その瞬間を狙ってのか、闇が茨で紫と美野里の動きを封じた。

 

「あぁ……あぐぅう……」

 

「く……苦しい………」

 

「あらあら? 本当に苦しそうですわね? でも止めてあげませんわ。このままこの子……」

 

 茨に縛られ、苦しむ紫と美野里を見ながら闇が微笑んでいる中、巨大人口妖魔が紫と美野里に襲い掛かろうとしたその直後、

 

「ローリングサンダーⅡ!!」

 

「影狼!!」

 

 忌夢と叢の秘伝忍法が巨大人口妖魔を退け、そのまま紫と美野里を縛っていた茨も粉砕した。

 

「大丈夫か!? 二人共!!」

 

「う……うん。」

 

「まだ行けるな?」

 

「と、当然だよ!?」

 

 忌夢と叢の質問に対して紫と美野里は答え、それを聞いた忌夢と叢は再び闇と巨大人口妖魔を睨んだ。

 

――――

 

「ハァアアアアアア!!」

 

「そぉ~れぇ!!」

 

 四季は鎌による斬撃、両奈は二丁銃による銃撃で拷楽に向けて攻撃するが、拷楽はそれを避けようともせず全てその身に受けた。

 

「まだまだぁ!! クウソクZIX!!」

 

「美しく青きガンスリンガー!!」

 

 攻撃の隙すら与えない為か、四季は「クウソクZIX」を、両奈は「美しく青きガンスリンガー」を放ったが、それすら拷楽は避けようともせずにその身に全部受けた。

 

「ハァ……ハァ……こ、これで倒れてくれば良いんだけど……」

 

「う~ん? 両奈ちゃん的にはもう少し刺激が欲しいかなぁ~?」

 

 四季は息を整えながら、両奈は人差し指を唇に当てながらそれぞれ違う期待をしながら、拷楽を攻撃する際に出た煙が晴れるのを待った。

 

「うぅ~ん!! 二人共し・げ・き・敵よぉ!!」

 

『っ!?』

 

 煙が晴れるとそこには、拷楽が何事も無かったように立っていた。

 身体を見る限りダメージはあるらしいが、全然その素振りを見せないのを見て、四季と両奈はそれぞれ別の意味で驚いていた。

 

「フフフフ……さぁて~と、次はどう私を喜ばせてくれるのかしらぁ~!!」

 

「えぇ~!! 何あの人!? まるで両奈ちゃんと同じ!? ねぇ!? あの人!? 絶対に両奈ちゃんと同じ側の人だよね!? ね!?」

 

「……う、うん。そうだね……」

 

 そんな二人に対して拷楽は腰をくねらせながら言い、それを見て飛び跳ねる両奈の質問に対し、四季は頷きながらも考えていた。

 

(お、同じってレベルじゃないって……アイツ多分両奈ちん同様いや……それ以上かも……)

 

 四季は額から冷や汗を掻きながら考え、恐らく今まで戦ってきた中である意味最強の敵と思える相手を見て構え直した。

 

――――

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「わぁあああ!!」

 

「ぬぅう!!」

 

「わぁああああ!!」

 

「よっと!!」

 

 項羽の猛攻を避け続ける雲雀と柳生と春花と未来。

 双斧を振るっての猛攻が危険もあり、柳生達も隙を探りながら攻撃するのが精一杯だった。

 

「あぁもう!! 何なのよあいつ!?」

 

「暴れると思えばすぐに俺達に攻撃の隙を与えないようにしている。思った以上にやるな。」

 

 そんな項羽を見て未来と柳生が言ったその直後、項羽は次の行動に移した。

 

「ヌゥオオオオオオオオオオオオオ!! 秘伝……忍法……サイノ猛進!!」

 

 項羽が叫んだのと同時に、額からサイのを模した角が現れ、未来に向かって突進したが、それを未来は軽々と避けた。

 

「フ、フン!! でもそんな猪突猛進な秘伝忍法ぐらいなら、」

 

「避けれる……と思っていたのが、あなたの運の月ですよ?」

 

 避けながら未来が項羽に向かって行った直後、転界は言いながら転移空間を発動。

 その中に項羽が突っ込んだかと思えば、その転移先は未来の真後ろ。

 「サイノ猛進」状態のままの項羽に避ける事も出来ず、未来はその突進を食らってしまう。

 

「がぁああああ!?」

 

「未来ちゃん!?」

 

「くぅ!? そう言う仕掛けか!? だったら!?」

 

「先にあの転移ちゃんを倒して!?」

 

 攻撃を食らい、吹っ飛んだ未来を見て雲雀が叫んだ後、歯を食いしばった柳生と春花が転界を倒そうとしたが……

 

「無駄ですよ。」

 

「グガァアアアアアアアアアア!!」

 

 転界が杖を鳴らした直後、転移空間が発生。

 項羽はその空間に向かって突っ込み、その転移先近くに居た柳生と春花を吹き飛ばした。

 更に再び転移空間に突っ込むと、次の転移先である雲雀の近くに転移し、そのまま雲雀に突進した。

 

「がぁああ!!」

 

「あぁあああ!!」

 

「キャアアア!!」

 

 吹き飛んだ三人はそのまま倒れてしまい、項羽は一旦転界の元に戻った。

 

「痛たたたたたたた、皆、大丈夫?」

 

「雲雀が無事なら……俺も平気だ。それにしてもアイツら、」

 

「えぇ……中々……良いコンビじゃないの。でも……」

 

「ここで負ける……私達でもない!!」

 

 そんな二人を見て、雲雀と柳生と春花と未来は話しながら立ち上がり、再び転界と項羽相手に構えた。

 

 忍社会の未来を決める戦い。

 それはまさに、互いの信じる忍道のぶつかり合いのようだった。

 

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