閃乱カグラ~SHINOVI CHRONICLE~ 少女達の絆   作:XW

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4. 崩壊する絆と繋がらない結束

「くぅ、遅かったか。」

 

「まさか……ここまで破忍の行動が早いだなんて。」

 

 忍転身を済まし、急いで中等部校舎に向かった夜桜と、白シャツをへそが見えるように裾結びしてジーンズの左脚部分を裾を根元まで切断、右腕部分の袖の無いデニムジャケットを羽織った容姿の忍装束に転身した神裂は、襲撃を受け至る所が壊れ、至る所から煙が出てる校舎を見て悔しがる表情を見せた。

 

「夜桜ちん!! 神裂ちん!!」

 

「遅れてごめん!!」

 

 その時に四季と美野里が遅れてやって来て、その後ろには残りの臨時メンバーの二人が居た。

 

「ぬぅうううううおのれぇ破忍めぇ!! 我らが母校を襲撃するとは許すまじ!! 夜桜殿!? 某達に指示を!?」

 

 茶髪を後ろで結び、殆ど赤で統一された忍装束を纏いながら二振りの槍を持つ少女の忍名は幸村。

 真面目かつ熱い性格で、月閃校舎近くに残っている雪をも解かす程らしい。

 また夜桜の事を慕っているらしく、常に手合わせを願う程だ。

 

「あわわわ~ユッキー落ち着いて。」

 

 そんな幸村が校舎が襲撃を受けているのを見て熱く叫ぶのを見て落ち付かせているの少女の忍名は園子。

 黄色い髪に紫のドレスを模した忍装束を纏っている彼女は、基本的にぼーとしているが以外とハイスペック。時折随一の鋭さと行動力を見せる事もあるらしい。

 また、月閃では数少ない、家族が全体的に健在な忍学生でもある。

 

「……と、とにかく今は中等部に向かわないと!! 神裂と幸村と園子は中等部の皆を避難の手伝い。美野里と四季は妖魔を、儂は今回の主犯を探します!!」

 

「なんと!! 一人で主犯を止めるのですか!? それは行けませぬ!! せめて某だけでも!!」

 

「幸村!!」

 

 夜桜が少し焦りながらも、出来る範囲での指示を舌を聞いて幸村が反論しようとしたが、神裂がそれを止める。

 

「私達の第一の目的は中等部皆の安否です。ここで妖魔や破忍に命でも奪われたら、後悔してもしきれません!! それはあなただって、」

 

「ぬぅ!!」

 

 神裂の言葉を聞いて返す言葉を失う幸村。

 幸村は家族の一人であった兄を妖魔に殺されており、それ以来兄の様な悲劇を起こさないように打倒妖魔を心がけているのだ。

 だからこそ、今回はその第一歩と言って良いのであろう。

 

「神裂の言う通りです。幸村、あなたの気持ちは分かりますが、主犯と妖魔は儂らに任せて、幸村達は同じ中等部の皆を守ってください!!」

 

「………わ、分かり申したぁ!! ならばこの幸村、命を燃やして友である、皆を救い出して見せようぞぉ!!」

 

 夜桜の言葉を聞いて叫びながら、幸村は北校舎の方に向かい、神裂と園子も夜桜達に一礼しながら幸村の後を追った。

 

「……良し、儂らも行きますよ!!」

 

「OK!!」

 

「分かった!!」

 

 それを見届けた夜桜と四季と美野里は二手に分かれ、四季と美野里は西校舎、夜桜は東校舎に向かった。

 

 

「はぁあああああ!!」

 

「えぇい!!」

 

 道中人口妖魔の襲撃に合ったが、半蔵学院に現れたのと同じでかなり弱く、四季と美野里はいとも簡単に倒しながら前に進んだ。

 

「うっわぁ~酷い有様。これは急いで何とかしないと……」

 

「っ!? 四季ちゃんあれ!?」

 

 窓ガラスが割れ、教室も全てボロボロになってる校舎の中を見ながら四季が進んでいると、美野里が前に向かって指を指した。

 

「うぅうう………」

 

「た、助け……て……」

 

 指を指した方向にあったのは、逃げ遅れた中等部生徒達が、ピンクの髪で前髪で目が隠れており、赤と白のドレスを身に纏っているにも関わらず、片手には巨大な斧が待たれていた少女に首を掴まれていたり、足で踏まれている光景だ。

 

「あ……あの子ってもしかして、破忍の資料にあった……」

 

「こ、項羽。」

 

 その少女、項羽の姿を見て四季と美野里が冷や汗を掻くと、四季と美野里の存在に気付いた項羽は首を掴んでいた中等部から手を放し、そのまま四季と美野里に向かって歩きながらもう片手にも斧を出現させた次の瞬間……

 

「ウゥウウウウウ………ウガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 項羽は四季と美野里に向かって突っ込みながら、斧を振りかざし始めた。

 

 

「はぁあああああ!!」

 

 一方の夜桜も、人口妖魔からの襲撃を打ち返しながら前に進み、主犯である破忍を探していると、中等部食堂から何かの気配を感じた。

 

「この気配は……まさか!?」

 

 何かに気付いた夜桜はゆっくりと食堂に入ると、そこには食堂のメニューにもあったケーキを頬張る少女が居た。

 

「あむぅ……んぅう……こんな学校でも、飯とかデザートは美味いんだよなぁ~。」

 

「……お、お前は、まさか…………」

 

「んぅ?」

 

 その少女はふんわりとした茶髪の長髪をしており、白色のフード付きのパーカーを上に着ていた。

 そんな少女を見て夜桜が呟くと、少女は置いてあった紅茶を一気に飲み干した後、そのまま後ろに放り投げた。

 

「おぉおぉ、三人の内誰が来ると思ったら……いきなりの大目当ての野郎が来たじゃねぇか?」

 

「っ!! 龍姫!!」

 

 そのままニヤリと笑みを浮かべながら近づいて来る少女、龍姫を睨みながら夜桜は手甲を大きくしながら構えた。

 

「………あぁぁ~あぁ、ったくその自分が正しくて私が間違っていると言いたげなその表情……」

「ムカつくな。」

 

 そんな夜桜を見て、苦虫を噛んだような顔をした龍姫は、両腕に双竜を模した手甲を装着させ、そのまま構えを取りながら夜桜を、恨むような目つきで睨んだ。

 

――――

 

「早く逃げなさい!!」

 

 同時刻、同じく破忍の襲撃を受けた蛇女では、逃げ遅れた蛇女生徒を守りながら両備が人工妖魔に銃口を向けた。

 いくら厳しい特訓を受けている蛇女生徒とは言え妖魔の事に関しては教えて貰っておらず、人口とは言え初めて見る妖魔に対し恐怖心の方が強いのは当然だった。

 

「ハァア!! そこぉ!! 邪魔よぉ!!」

(くぅ!? 抜かったわ!! 破忍の中には元蛇女の蒼志が居る。だったらアイツが蛇女への安全な侵入ルートを知ってても可笑しくないはずなのに!?)

「あぁもう!! アイツらは何処に行ってんのよぉお!!」

 

 人工妖魔をライフルで撃ち、近付いて来た奴にもライフルに付けた刃で応戦しながら両備は心の中で後悔しつつ、今だに来ない総司達に向けてかなのかは不明だが、大きく叫びながら銃弾を放ったその時だった。

 

「っ!?」

 

 何処からかの斬撃が両備を襲い、それを紙一重で避けながら下がった両備の前に現れたのは、腰まで垂れた白髪に青い瞳、甲冑のような紫色の胸当てを装着している、二振りの大鎌を持つ少女だった。

 

「アハハハハハハハハハ!! まさかこんなに早く君に会えるなんてぇ!!」

 

「あ……あんたは!?」

 

「うぅうん? もしかして名前と顔は知ってる感じかなぁ? じゃあ改めて。僕の名前は鎌倉!! 今から君の首を……」

ペロォ

「狩り取りに来たんだぁ。」

 

 そう名乗った少女、鎌倉は両備を睨みながら鎌の刃を舌で舐め、それを見て両備が気味がるように見たのは言うまでもない。

 

 

「まったく……こんな物が必要だなんて、拷楽は何を考えてるのやら?」

 

 その頃、蛇女の学園内にある学生部屋が並ぶ廊下では、蒼の短髪に女の子らしい青のワンピースの上にジャンバーを着た刀を持った少女、元蛇女の蒼志が歩いていた。

 その手には黒いノートらしき物が持たれており、それを見て首を傾げながら蒼志は、廊下をしばらく歩いていていたその時、

 

「っ!?」

 

 突如として後ろから銃撃が放たれ、その銃撃に気付いた蒼志は鞘から刀を抜き、その銃弾を全て弾くのだった。

 

「うぅ~ん、両備ちゃんに頼まれて校舎内の方を見に来て見たんだけどぉ~、どうやら正解だったみたいだね!!」

 

 銃撃を放ったのは両奈だった。両奈はそんな余裕を持った表情と口調で蒼志に話しかけた。

 

「……あなたは確か、まぁ良いです。どの道あなたも倒さないといけな相手ですからね?」

 

「えぇええ!! じゃあ戦ってくれるの!? だったら出来るだけ痛くしてね!! そしたら両奈ちゃん絶対!! ぜっ~たい気持ちよくなっちゃうから!!」

 

 そんな両奈を見て蒼志は刀を構えると、その時の蒼志の発言を聞いてもなお何時もの調子の両奈に対し蒼志は……

 

「フン、そう言うのは良いのでさっさと始めましょう。ただし気持ち良くなるかどうかは……」

「あなた次第ですが?」

 

 そう言いながら構えると同時に、刃から蒼い炎を発動させながら、笑みを浮かべるのだった。

 

――――

 

「ウラァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「くぅ!? なんなのあのバカ力!?」

 

「ふぇえええ~!? 四季ちゃんどうしよう!?」

 

 項羽の猛攻を避けながら外に出た四季と美野里が話していると、追いかける形で外に出た項羽は二振りの斧を仕舞うと、今度はさっきの斧の何十倍もある斧を出現させた。

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ!! 秘伝……忍法!!」

 

『っ!?』

 

「ゴリラノ!! 剛腕!!」

 

 項羽はその巨大な斧を片手で振りあげると、背後にゴリラのビジョンのような物を出現させながら振り下ろし、それを四季と美野里は間一髪で避けた。

 

「ちょ!? あれが項羽の秘伝忍法? ヤバすぎっしょ……!?」

 

「ウガァアアアアアアアアア!!」

 

 何とか避けた四季が項羽の秘伝忍法の威力に驚く間もなく、項羽は再び二振りの斧に変え、そのまま上下から四季を挟むように振った。

 

「くぅうう!?」

 

「秘伝忍法……」

 

「っ!?」

 

「鰐ノ凶顎!!」

 

「うわぁああああ!!」

 

 項羽は再び秘伝忍法を使った事に驚く暇も無く、斧を鎌で防いだ四季を挟んだまま回転しだし、それに巻き込まれるように秘伝忍法を受けてしまった四季は、そのまま放り投げられてしまう。

 

「四季ちゃん!?」

 

「だ……大丈夫。それより美野里ちん、さっきの見た?」

 

「うん、連続で秘伝忍法を使ってたのよね。」

 

「破忍の仲間って分けだから用心してたけど……これはマジでキツイかも。」

 

 四季に駆け寄った美野里と話しながら、四季は項羽を見ながら構えていると、項羽は二振りの斧を持つ両手に力を入れ、

 

「ウゥウウウウウウウウ………ガァアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 そのまま四季と美野里に向かって突っ込んで行った。

 

 

「ハァアアアアア!!」

 

「どりゃあああ!!」

 

 その頃、龍姫と戦っていた夜桜は、運動場に場所を移しながら激しい攻防を続けていた。

 龍姫の戦闘スタイルは手甲による打撃と、夜桜と似ている為か拳と拳がぶつかるたびに火花が舞った。

 

「っへ!! 随分とやるじゃねぇか!? 流石はあの黒影の弟子って奴か!?」

 

 そう吐き捨てながら龍姫は夜桜に向けて手を出し、その手を夜桜は掴み、片方の腕も互いに掴んだ。

 

「何故ですか!? 何故にこのような事をするんですか!? ここは……ここはあなたの母校でしょ!?」

 

「母校?フン、それがどうした?! 私にとってはここは……」

「ただの牢獄だ!!」

 

 夜桜の質問に答えながら龍姫は夜桜の手を放し、夜桜の腹に一発食らわした。

 

「くぅ!? か、牢獄?」

 

「あぁそうだ!! ここは私を、忍っていう柵に縛り上げるような所だ!! そんな所……居てられかっての!?」

 

「な……何故じゃ!? 何故にそこまで月閃を嫌う!?」

 

「月閃だけじゃねぇ、今の忍社会そのものだ!!」

 

 龍姫の言葉に少し動揺しながら夜桜が聞くと、龍姫は思いの全てを全て吐き捨てた。

 元々龍姫は、正しい善忍家系の娘として生まれ育った武術家だった。

 だが道場を継がせようとする父親の過酷な訓練を受け続けていた龍姫は、次第に何故忍にならなきゃいけないと思い、何度も父親に反発した。

 だが父親は聞く耳持たずで、龍姫を月閃の選抜メンバーにさせようとする父親の猛威に何度も痛めつけられ、全身がボロボロになっていた。

 そんな時だった。今にでも死にかけそうな龍姫の前に現れたのは……

 

(こんな家にずっと住んでたら、一生自由なんて得られないよ? ねぇ、私と一緒に自由にならない? そして壊そう? こんなクソったれな忍の家しか生まない忍社会を。)

 

 漆月だった。漆月の優しさと感じる何かに引かれた龍姫は家との縁を切り、破忍として漆月の仲間になった。

 

「私は忍って以前に一人の人間だ!! 人間だったら誰しも自由に行きたい道決めたりとか出来るはずだろう!? でもなぁ……今の忍社会じゃあそれも出来ねぇ!! どうあがいても忍の掟とかクソくだらねぇ鎖に縛られるだけだ!!」

 

「………だ、だからって、これが正しい事とは言えんじゃろうが!?」

 

 龍姫の言葉に反論するように、夜桜は龍姫に突っ込みながら拳を握り、龍姫に一発食らわせようとしたのだが、

 

「チッ、つくづくイラつかせんじゃねぇよこの………」

「クソ黒影のクソ弟子がぁあああああ!!」

 

「がぁあああ!?」

 

 舌打ちしながら龍姫は龍を模した手甲から火を纏わせ、そのまま突っ込んで来る夜桜に向かって殴りつけ、それを夜桜はギリギリで防ぐ。

 

「テメェらの師匠である黒影の事は聞いてるぞ!! あんたも含め親とかを失った奴らを弟子にして、そんで自分の正義とかをオメェらに無理矢理受け継がせようとしたんだろう!? 私はなぁ、そういう身勝手な事をする奴が、」

「一番嫌いなんだよ!!」

 

 そう叫びながら龍姫は両手を前に出すと、地面から何かエネルギーのような物を吸い取り、それを手甲の双竜の顔に集めた。

 

「秘伝忍法!! ドラゴン……ズロア!!」

 

「ぐぅわぁあああああああああああ!!」

 

 龍姫の秘伝忍法、「ドラゴン・ズロア」が放たれ、まさに夜桜を食うように放たれた龍のオーラを食らい、夜桜は防ぎながらも後ろに吹っ飛んでしまう。

 

「くぅうう……黒影様を、悪く言うなぁ!!」

 

 それでも、負けじと夜桜は立ち上がりながら突っ込み、そのまま龍姫に向かって拳を振るう。

 

「儂らは自分の意思で黒影様の弟子になったんじゃ!? 無理矢理とか、そんな理由で弟子になったわけじゃない!!」

 

「フン!! どうだがな!! そうやってクソ黒影を正当化しようとしてるけど、私から見たらアイツも、私のクソ親父や他の奴らと大差ねぇよ!!」

 

「自分勝手な事を言ってからに!? お主に黒影様の何が!?」

 

「分かりたくもねぇよ!! クソ黒影の事も、テメェ見たいな……」

「弟妹を捨てたような奴の言葉なんて!?」

 

「っ!?」

 

 再び拳と拳をぶつけながら龍姫に言い続ける夜桜だったが、次に龍姫が言い放った言葉を聞いて、思わず夜桜は動きを止めてしまう。

 

「オメェ、確か沢山の弟や妹がいる大姉弟の長女だよな? っで、そんな子どもらを産んだ両親も悪忍との戦闘で亡くなったって事も、全部調べてるんだよこっちは!!」

 

「な……何が言いたいんじゃ?」

 

「この際だからはっきり言うがなぁテメェ、親を失った弟妹の事をほっぽり出して、あのクソ黒影の元で修業してたとか……それでも姉貴かテメェは!?」

 

 龍姫は夜桜に指差しながら吐き捨て、それを聞いた夜桜は冷や汗を掻きながら、内心動揺しだしていた。

 

「ち……違う!! 儂は、儂は弟達を捨てたりしてない!! 儂が黒影様の弟子になったのは、その弟達を助けれるような力を付ける為に!?」

 

「オメェはそう思ってるだろうが、弟妹達はどうなんだ?」

 

 夜桜はすぐさま反論しようとしたが、龍姫は付け足す様にこう言い続けた。

 

「姉は自分達を捨てたとか、自分達の事は忘れて他の人達と幸せに暮らしてるとか、そんな事思ってんじゃねぇのか?」

 

「………まれ。」

 

「そもそも黒影、あのクソ野郎がオメェと弟妹を切り離した見たいなもんじゃねぇか? じゃなかったら今頃、オメェは弟妹達と仲良く暮らしてたのによぉ?」

 

「………黙れ。」

 

 龍姫の言葉を聞いて更に動揺は強くなり、身体の震えも強くなっていた。

 

「そんなクソ最低な黒影を何時までも慕い続けて弟妹はほったらかしと来た!! 本当にオメェ、」

「最低の姉だな。」

 

「っ!! 黙れぇええええええええええええええええええええ!!」

 

 龍姫がそう言った次の瞬間、夜桜は叫びながら再び龍姫に向けて拳を振るった。

 だが動揺してまともな攻撃が出来ないでいるせいか、全ての打撃が龍姫に避けられてしまう。

 

(違う!! 違う!! 違う!! 違う!! 黒影様は、儂から弟妹を切り離したなんて、絶対に無い!!)

 

 そう心からそう思い続けたがそれとは裏腹に動揺は続く処か、更に強くなって行き、もう夜桜の拳は龍姫にまったく当たってなかった。

 

「痛たたたたたた……!? 四季ちゃんあれ!?」

 

「っ!? 夜桜ちん!?」

 

 そんな中、項羽との戦闘の際に運動場まで来た美野里と四季は、動揺のせいで様子がおかしい夜桜を目にした。

 

「どうしたんだろう夜桜ちゃん? 何か様子が……」

 

「完全に冷静じゃなくなってるっぽい……夜桜ちんどうしたのよ!? とにかく今は落ち着いて!?」

 

 美野里の話を聞きながら四季は夜桜を落ち着かせようと声を掛けるのだが夜桜にはまったく聞こえておらず、一心不乱になりながら殴り続ける夜桜の拳は、龍姫に何度も避けられ続けた。

 

「よっと!!」

 

「んなぁ!?」

 

 そして龍姫は下にしゃがみ込みながら避けると、右腕にまた地面からエネルギーを集め、龍を模したオーラを右拳に纏わせた次の瞬間、

 

「秘伝忍法……天翔竜脈拳!!」

 

「ぐわぁあああああああああああ!!」

 

 まるで天翔ける龍のような拳を放った龍姫の秘伝忍法を食らった夜桜は忍装束を真っ二つに裂け、そのまま校舎にまで吹っ飛んでしまう。

 

「夜桜ちん!? っ!?」

 

「がぁああああああああああ!!」

 

 それを見てすぐさま助けに向かおうとした四季と美野里だったが項羽の邪魔が入ってしまったせいで助けに向かえず、倒れる夜桜には龍姫が近づいて来ていた。

 

「くぅうう……うぅうう……」

 

「オイオイどうしたんだぁそんなもんなのか? 弟妹を切り捨ててまであのクソ黒影の弟子に入って、そのクソ黒影の弟子仲間共と仲良くしてる……クソ最低な長女様の力はぁ!!」

 

「っ!? ぬわぁああああああ!! 極楽千手拳!!」

 

ダァン!!

 

 龍姫の挑発じみた言葉に怒ったのか、夜桜は何振り構わず秘伝忍法「極楽千手拳」振るい、そして当てた。

 

「……がぁ……」

 

「………え?」

 

 だがその拳が当たった、正確には当たってしまったのは龍姫では無かった。夜桜が殴ってしまったのは……

 

「ゆ……幸村さん!!」

 

 同じ仲間であるはずの幸村だった。

 

「っ!? 幸村!?」

 

「えぇえええ!? 一体どう言う状況これ!?」

 

 報告にやって来たのか、神裂と園子が幸村を追いかけるようにやって来ると、夜桜の秘伝忍法をまともに食らってしまい倒れていく幸村を見て戸惑ってしまう。

 

「……………」

 

 それが一番強かったのが夜桜だった。龍姫の言葉に動揺してしまった挙句、仲間であり自分の事を慕ってくれてる幸村を傷付けてしまった。

 その事実は覆す事など出来ず、夜桜はただただ、唖然となりながら座り込んでしまうだけだった。

 

「………フン、ざまぁねぇな。項羽!!」

 

「ウガァアアアア!!……ウゥ?」

 

 その光景を見て鼻で笑った龍姫は項羽を呼び、呼ばれた項羽は四季と美野里を離しながら首を傾げた。

 

「帰るぞ。ある程度コイツらに痛い目に合わせられたし、良い物も見れたしな。」

 

「………ウゥ!!」

 

 項羽に話しながら龍姫は夜桜をあざ笑うように見た後去って行き、そんな龍姫に頷きながら項羽も後を追った。

 

「うぅ……うぅう……」

 

「…………………」

 

『………………』

 

 龍姫と項羽が去った後その場に残っていたのは、夜桜の秘伝忍法を受けて倒れる幸村とそれを見て茫然となる夜桜。そんな夜桜を見て、それぞれの思いを感じる四季と美野里と神裂と園子、そしてその静寂に漂う風だけだった。

 

――――

 

「アハハハハハハ!! そらよっと!!」

 

「くぅうう!! このぉ!!」

 

 同時刻、鎌倉と戦っていた両備は、鎌倉の猛攻に苦戦を強いられていた。

 両鎌での斬撃と言うあまり見ない戦闘スタイルのもあるが、鎌倉のまるで頭のネジが吹っ飛んだような笑みが現しているような性格に、両備は調子が狂いかけていたのもあるからだ。

 

「もぉ~しっかりしなって両備ちゃん!? そんなんじゃ僕、ただ一方的に両備ちゃんを狩り取りに来ただけでつまんないじゃんかぁ!?」

 

「うっさい!! 秘伝忍法!! リコチェットプレリュード!!」

 

 鎌倉が片方の鎌の持ち手に股を擦らせながら放った言葉に言い返しながら、両備は秘伝忍法「リコチェットプレリュード」を放ち、最初に放った爆撃に向けて銃撃を放ったのだが、

 

「よっと!!」

 

「なぁ!!」

 

「残ね~ん!! 次は僕から行くよ!! 秘伝忍法!!」

「飛血鎌!!」

 

「っ!? あぁああああ!!」

 

 その攻撃をジャンプして避けた鎌倉に驚いたのもつかの間、鎌倉の秘伝忍法「飛血鎌」が放たれ、両鎌から放たれた血を帯びた斬撃を食らってしまった両備の左肩が斬られてしまう。

 

「くぅうう……」

 

「ハァ~、もう最悪。こんなに弱いだなんて……両備ちゃんって本当に、」

「あの両姫お姉様の妹なの?」

 

「っ!?」

 

 血が溢れ出る左肩を抑える両備を見下す様に見ながら、鎌倉が自分と両奈の姉で、妖魔との戦いの際に命を落とした両姫の事を口にした事に驚く両備。

 

「あ、あんた……両姫お姉ちゃんの、何?」

 

「何ってそれはもちろん………ファン!!」

 

「はぁ?」

 

「僕は両姫お姉様の一番の大ファン!! あの美しいお姿!! なびく黒髪、そして戦う姿!! どれを見ても美しくそして強い!! 僕はそんな両姫お姉様を一番愛してるんだぁああああああああ!!」

 

 両備の質問に対して鎌倉は、先ほどとは打って変わって目を輝かせながら、辺りを踊りながら両姫を褒め称えるように話すのを見て、両備は一瞬唖然となった。

 

「……そ、そんなあんたが、何で私を狩り取うとしに来るのよ!? 一応……妹である私を?」

 

 その後すぐ気を取り戻した両備がそんな質問をすると、鎌倉は踊りを止めて上げていた腕を下げた。

 

「……そんなの決まってるじゃん。あんたが、」

 

「っ!?」

 

「両姫お姉様の顔に泥を塗ったからだぁよぉ!!」

 

「がぁああああああ!!」

 

 次の瞬間、鎌倉は暗い声で言いながら一気に両備に近付くと、それに驚いた両備の胸を十字に両鎌で切り裂き、斬られた胸からは鮮血が噴き出して行った。

 

「君も両奈ちゃんもだけどさぁ、同じ月閃の善人だった癖に悪忍の蛇女に転向しさぁ、その理由が復讐でおまけに勘違いだった? ハァ!? 意味分かんないし!! そんなんじゃ両姫お姉様の為になる処か、ただ泥ぬっただけじゃんか!?」

 

「がぁああああ!?」

 

 胸も元の大きさに戻り、出る血を抑えながら倒れる両備に近付きながら、鎌倉は鎌を地面に引き吊らせ、そのまま上に振りあげて両備を吹っ飛ばした。

 

「くぅうう!? 何勝手な事言ってんのよ!? 秘伝忍法、8つのメヌエッ…」

 

 両備は立ち上がりながら上に向けて銃撃し、その銃弾から放たれた爆弾を爆発させる秘伝忍法、「8つのメヌエット」を発動させようとしたのだが、

 

「秘伝忍法……血狂い咲!!」

 

 鎌倉は両鎌に鮮血のような血が帯びると、その両鎌を振り回した事によってその血が飛び散った。

 そして飛び散った血が両備の爆弾に付着すると、爆弾の火は消える処か、その爆弾そのものが溶けて行った。

 

「んなぁ!?」

 

「フヒヒヒヒヒヒ!! 両姫お姉様の面汚しの君には……反撃の機会も与えないよ!!」

 

 それを見て驚いた両備に対し、鎌倉はそう言いながら両鎌を連結させると、連結させた鎌を回転させ、血を帯びた旋風を作り上げた。

 

「秘伝忍法……血鎌旋風!!」

 

「ぐうぅうううう!? ぐわぁああああああああああああああああああ!!」

 

 鎌倉の秘伝忍法「血鎌旋風」を食らってしまう両備は最初は耐えたのだが、最終的にはその旋風に中に入ってしまい、その旋風の風によって身体中の至る所を切り刻まれて行った。

 

「がぁああ!?」

 

「アハハハハハハハハ!! 弱っちぃいい!! そんなんで両姫お姉様の妹だなんてねぇ、君にはこうやって………」

 

「ぐがぁあああ!?」

 

「地面に転がってるのがお似合いだよ♪ 両姫お姉様の面汚しの両備ちゃん?」

 

 旋風から抜け落ち、地面に頭から落下した両備を見て狂ったように笑う鎌倉はそう口にしながら両備の頭を踏み、地面に擦りつけさせた。

 

(く、くそぉ……こんな奴に、両姫お姉ちゃんの事をキレイな部分しか見てないような奴に言われ放題とやられ放題だなんて……こんなんじゃ、こんなんじゃ私……)

 

 頭を踏まれ続け、立ち上がろうにも立ち上がれない両備はそんな事を考えながら目尻に涙を浮かべ始めたその時だった。

 

ドォオオオン!!

 

「おぉおおおっと!!」

 

「…………」

 

 何処からか爆発がしたと思ったら、その爆風から両奈が飛び出してきて、それを追うように蒼志も飛び出して来た。

 

「アチチチチ、蒼志ちゃん凄いねぇ~こんなに熱い炎出せるだなんて?」

 

「その口調、正直イラッと来ますね。さっさと終わらせます。」

 

「えぇ~もう終えちゃうのぉ!? 両奈ちゃん的にはもっとイジメて欲しいな……」

 

 蒼志の蒼い炎を受けてもいつも通りの両奈であったが、ふと鎌倉に踏みじられている両備を見て、目の色を変えた。

 

「アラララ~もう一人の面汚しが出て来ちゃった? ゴメンねぇ~、今君の妹の首を狩り取る事前準備をしてる最中だから。」

 

「くぅう……バ、バカ犬……に、にげがぁああ!!」

 

「うるさいよ。」

 

 そんな両奈を見て鎌倉が話している下で、両備は両奈に逃げるように呼びかけながら手を伸ばしたが、その手も鎌倉に踏まれたのを見た両奈は、二つの拳銃を力強く握った。

 

「っ!? 両備ちゃんをイジメるなぁあああああああああああああ!!」

 

 先程とは打って変わり、怒り混じった表情で鎌倉に突っ込みながら銃撃したのだが、それら全てを鎌倉は鎌を回転させて防いだ。

 

「なぁ!?」

 

「フフッ、ざぁ~んねん!! じゃあ蒼志ちゃん!! お願ぁ~い!!」

 

「っ!?」

 

 それを見て驚いた両奈に対して鎌倉は、後ろに居る蒼志に声を掛けたのもつかの間、蒼志は蒼く燃える刀を構えながら両奈に近付いた次の瞬間、

 

「秘伝忍法……鬼火・蒼炎歌!!」

 

「わぁああああああああああああああ!!」

 

 後ろからまさに鬼のように強い蒼炎を纏った斬撃をし、それを食らった両奈は両備に意識してたせいか受けるのが遅れ、ただただ背中にダメージを受けてしまうだけだった。

 

「うぅうううう……」

 

「妹の事が心配で痛みを気持ち良くなる気分ではなかったようですね。だったら良い事を教えてあげますよ。」

「姉妹の…家族の絆だなんて偽り。どんな家族を信じても、それに裏切られた時の絶望は、計り知れないだけですから。」

 

 倒れる両奈の首に刀を向けながら言った蒼志の言葉には何処か憎しみが混じっており、そしてその目にも憎しみに満ちた目になっていた。

 

「アハハハ!! じゃあ両奈ちゃんよく見ててね。君の大事な妹の……」

 

「っ!?」

 

「首がすっ飛んで行く瞬間をねぇえええ!!」

 

「や、やめてぇええええええええええええええええええええ!!」

 

 その光景を見て鎌倉が笑みを浮かべた後、両備の首元に鎌の刃を近づけながら振りあげ、両奈の静止も聞かずに両備の首を狩り取ろうとした。

 

カァン!!

「なぁ!?」

 

「あれは……」

 

 だが両備の首は狩り取られる事はなかった。両備の首近くに突如として飛んで来た「守」と書かれた漢字が両備を守ったからだ。

 それを見て鎌倉は驚き、蒼志は見覚えのある表情を浮かべながら辺りを見渡した。

 

「ハァ……ハァ…な、何とか間に合いました。」

 

 すると見つけたのは、さっきの「守」と言う漢字を飛ばした忍、蛇女子学園補欠メンバーの芭蕉だった。

 

「なぁ!? ちょっと君!? 何邪魔すんのさぁ!! せっかく良い所だったのにってわぁああ!?」

 

 芭蕉を同じく見つけた鎌倉はその芭蕉に対して文句を言うとすると、後ろから怨念がそのまま銃弾になった銃撃がやって来、それに気づいた鎌倉は避けるのと同時に両備から離れた。

 

「へぇ……そのようないかれ狂った頭のあなたでもこの銃撃に気付くなんて、意外と勘は利くようですね。」

 

 その邪弾撃った忍、芭蕉と同じく補欠メンバーの千歳は、鎌倉を小馬鹿にしたような口調で言いながら銃口を向け、千歳を見て蒼志が再び刀を構え直したその時、

 

「っ!?」

キィン!!

「…………総司ですか。」

 

「あぁ、久しいな。蒼志。」

 

 何処からか襲って来た刃をはじき、その刃もとい、鎖鎌の持ち主である忍、蛇女補欠メンバー筆頭の総司を見ながら蒼志は呟き、その言葉に答える総司だった。

 

「感動の再会……とは程遠いな。今すぐここから立ち去るか? それとも、私の美しさにも見惚れるか?」

 

「……ハァ、相変わらずですね。まぁ良いでしょう、鎌倉。帰りますよ。」

 

「あぁうん。ってえぇええ!?」

 

 総司の言動を見て呆れながらため息を付いた蒼志は鎌倉に帰還を提示し、それを聞いた鎌倉は一旦頷いたもののすぐに驚いた。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ蒼志ちゃん!! まだ両備ちゃんのも両奈ちゃんのも首狩り取ってないよ!?」

 

「それくらいまた別の機会にでも取っておいても問題ないでしょ? それに、これくらい痛めつけば満足の範囲内でしょ?」

 

 鎌倉の文句にそう答えた蒼志は先にこの場を去り、蒼志野言葉を聞いた鎌倉は頬を膨らませながらも、両鎌を背中にしまった。

 

「あぁもう分かったよ!! 今回は見逃してあげるよ!! でも……これだけは言っておく!!」

「君らを……両姫お姉様の妹だなんて絶対認めない!!」

 

 そう言い捨てながら鎌倉は蒼志の後を追うように去って行った。

 

「………クゥ!!」

 

「…………」

 

 その後、さっきの言葉を聞いて拳を握りしめながら悔しがる両備を見て、総司は見下すような目で見た後、そのまま校舎に戻って行った。

 

――――

 

 月閃女学館中等部の破忍襲撃は、事実上の破忍による勝利で終わった。

 重傷者も多数、更には戦闘の際に幸村が夜桜の技を食らってしまうと言う事故が起きてしまった。

 

パァン!!

「…………」

 

「何で叩かれたか、わかるよね?」

 

 中等部の後の事は上忍や教師達に任せて、気を失っている幸村が寝ている保健室の外にいた四季は、同じく立っていた夜桜の頬を叩いた後、夜桜に先程の戦いを聞いた。

 

「どうしたの夜桜ちん? さっきの戦い、全然夜桜ちんらしくなかったよ!? 冷静じゃなかったし、殆ど動揺していたし、挙句の果てには幸村ちんに間違えて攻撃するって……どう見ても何時もの夜桜ちんじゃないじゃん!?」

 

「し、四季ちゃん。そこまで言わなくても、」

 

「美野里ちんは黙ってて!!」

 

「うぅ……」

 

 夜桜に対して怒っている四季を落ち着かせようとする美野里だったが四季に怒鳴られてしまい、思わず黙ってしまった美野里の隣で立っていた園子が前に立った。

 

「あ、あのぉ夜桜先輩? 良かったら何があったか教えてくれませんかねぇ~? そうじゃないと私達も、どうしたら良いか分からないし~。」

 

「…………」

 

 園子の何処か気の抜けた話し方で聞いた質問に対し、夜桜は先程の戦いで龍姫に言われた事を全て話した。

 そして、その話を全て聞いた四季はと言うと……

 

「……何それ、何なのそれ? それで動揺するって事は、夜桜ちんが黒影様の事信じてないって事じゃん!!」

 

「っ!?」

 

 四季の身体を震わせながら言った言葉を聞いて、目を見開く夜桜。

 

「そ、そんな事はない!! 儂にとっても黒影様は……」

 

「だったら何で動揺なんてしたの!? 何でこんな状況になってるの!? 本当に黒影様の事信じてるんだったら、そんな事なかったじゃん!? でも動揺したって事は、信じて無いって事と一緒じゃん!!」

 

「そ、それは……」

 

「ねぇ、夜桜ちんにとって黒影様って何だったの? 私達って何だったの!? 私達は、家族みたいなものじゃなかったの!?」

 

 すぐさま反論しようとした夜桜だったが、四季の話に言い返す言葉が見つからないでいると、次に発した四季の言葉を聞いた次の瞬間、

 

「くぅう、お前に……おまんに何がわかるんじゃ!! 弟妹達に会いたくても会えない儂の気持ちが!? 何時も思うんじゃ、今頃アイツらは元気にしてるのかとか、儂の事覚えているのかとか、離れる時が多ければ多い程、そんな心配が多くなって来るんじゃ!? そんな儂にあんな、あんな事を言われて動揺する儂の気持ちが……」

「本当の家族でもないおまんに分かるのかぁ!?」

 

「っ!?」

バァン!!

 

 夜桜の言葉を聞いた四季はその瞬間、夜桜を思いっきり殴り飛ばした。

 

「………もう良い、ウチはウチで勝手にするから、夜桜ちんは里帰りするなり好きにしたら?」

 

「……四季、」

 

 そう顔影を落としながら後ろに振り返った四季の背中を見た夜桜が呟くと、四季は一旦止まったかと思えば……

 

「夜桜ちんの事信じてたのに……見損なった!!」

 

 そう言ってその場から走り去っていき、それから程なくして、

 

「……すみませんが、今のあなたとは一緒に戦えません。」

 

 神裂もそう言って四季を追うように走り去り、残ったのは夜桜と美野里と園子だけだったが……

 

「………」

 

「み、美野里……」

 

「ごめん夜桜ちゃん。美野里、ハッキリ言って今の夜桜ちゃん、」

「大っ嫌い!!」

 

「ぬぇええええ!? ちょ、ちょっと待って~美野里先輩~!!」

 

 美野里も夜桜に対して大きな声で叫んだ後、四季とは別方向に走り去り、園子も美野里を追うように去って行った。

 

「……………」

 

 一人残された夜桜は、その場に座り込んでしまう。ずっと信じて来た仲間を、家族同然だったはずの仲間との絆を、自分の手で壊してしまったからだ。

 

「……ううぅ、うわぁあああああああああああああああああああああ!!」

 

 後悔しても既に遅い。夜桜はただ、泣き叫ぶだけだった。

 

――――

 

「……………」

 

「……………」

 

 同時刻、蛇女の集会室では両備と両奈、総司と千歳と芭蕉と言う形で向かい合い、気まずい空気が漂っていた。

 今回の蛇女への襲撃は月閃中等部と同じぐらい酷く、重傷者も多数。

 おまけに両備は鎌倉に惨敗と言う形で戦いが終わってしまい、両備の身体中の至る所には包帯が巻かれ、左腕もギブスで固定されていた。

 

「……何で勝手な行動したのよ?」

 

「? 何の話だ?」

 

「とぼけんじゃないわよ!? あんた達が何の話もせずに勝手な行動をしたかって話をしてるのよ!? 後、蛇女が襲撃されたときにも何ですぐに来なかったの!? 下手したらあんた達の学園、今度こそ無くなる所だったのよ!?」

 

「……ハァ、」

 

 両備は総司に対して指を指しながら聞くと、総司はその事に対してため息を付いた。

 

「何かと思えばそんな事か? あいにく蛇女はあの程度の襲撃で滅びるほど柔ではない。現にかつて学園が炎上して滅びかけても、またこうして復活してるだろう?」

 

「そ、それは!?」

 

「それに、今のお前から聞いても、負けた事の言い訳にしか聞こえんな。」

 

 総司の言葉を聞いた両備は右腕を震わせながら、総司を強く睨んだ。

 

「どう言う意味よ?」

 

「あの鎌倉って破忍の言葉から察するにアイツは、貴様達の姉である両姫に憧れており、でもその両姫の妹である貴様達を妹とは認めていないから殺そうとした。っで、結果は両備、貴様はアイツにボロボロにやられてしまった。違うか?」

 

「そ!? それがさっきの私の言葉が言い訳に聞こえる事と、どう繋がるのよ!?」

 

「まだ分からないのか? 今の貴様の言動を見る限りでは、私達がここに居ればここまで被害が大きくなる事は無かった。私達が居れば、敗北する事なんて無かったのに。と言った感じの言い訳にしか聞こえなかったな私は?」

 総司の話を聞いて怒りを抑えながら聞いた両備に対し、総司は続けざまにそう答えた。

 

「あ、あの総司さん。それ以上言わなくても……」

 

「そもそも破忍側に元蛇女の蒼志が居る事ぐらい分かってたのであれば、生徒達に現状注意を呼びかけるか、周囲を警備を厳重にさせるとかやるべき事があったじゃ無いんですか? そんな事も分からないのにリーダー代理を務めるなんて、正直鈴音先生の目を疑います。」

 

「ち、千歳さんまで……」

 

 そんな総司に対して芭蕉が止めさせようとしたのだが、総司に続くように千歳が言った事に思わず唖然となってしまう。

 

「あ…あんた達………」

 

「まったく、そんな事でイチイチ怒ってる様では、あの鎌倉の言ってる言葉もあながち間違ってないかもな。」

「両姫の妹として認められない、哀れな妹。」

 

「っ!? 言わせておけばぁああああああああああああ!!」

 

 怒りを抑えていた両備を見てあざ笑うように行った総司の言葉を聞き、遂に怒った両備は立ち上がり、総司の胸倉を掴もうとしたのだが、

 

「フン!!」

 

「なぁ!?」

 

 総司はすぐに立ち上がりながら両備の背後に周り、そのまま両備を転ばせて右腕を掴み、身動きを封じた。

 

「この際だから言っておく。両備、貴様はリーダーに向いていない。」

 

「なぁ!? がぁはぁ!?」

 

 右腕を掴みながらそう言い捨てた総司は両備を自由にした後、そのまま集会室から去って行き、千歳もその後を追った。

 

「あぁ……あのえっと……ご、ごめんなさい!!」

 

 そして芭蕉も両備と両奈に頭を大きく下げた後、総司と千歳の後を追った。

 

「…………」

 

「りょ、両備ちゃん、大丈夫?」

 

 倒れたまま身動きしない両備に対して、心配そうな顔を浮かべながら聞く両奈。

 いくら両奈であっても、家族である両備がこんな事になってしまえば、心配するのも当然だった。

 

「………ごめん、しばらく一人にして。」

 

「え、でも……」

 

「お願い……」

 

 そんな両奈に対し両備は立ち上がった後暗い声で言い、そのまま両備は顔を下げながら集会室を去って行った。

 

「…………」

 

 そんな両備の後ろ姿を見て、両奈は今だ心配する顔を浮かべ続けていた。

 

 

「…………あ゛ぁああああああああああああ!!」

 

 自身の部屋に戻った両備は次の瞬間、叫びながら近くにあった物を蹴り飛ばし、そのままベットに仰向けに寝転んだ。

 

「くそ…くそ……くそぉ………」

 

 両備は右腕で自分の目を隠すと、その目からは涙が溢れ出して来た。

 己の弱さと、リーダーとしての責務を果たせない不甲斐なさに悔しがる涙を………

 

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