某動画サイトでざくざくアクターズの動画を見て、思わず自分もやりはじめ、
気がつけば公式設定資料集と絵日記を購入するまでどっぷりハマりました。
またこの小説を書くきっかけとなったのはハーメルン内のおなじざくざくアクターズ小説
やーなん様作の「アナザー・アクターズ」に影響されたのもあります。
長い前書きはここいらで、本編をどうぞ。
彼女との出会いは、デーリッチと共に王国となる場所を探す旅の途中で立ち寄った小さな村。
一晩だけでもと、泊まれそうな宿を見つけ、受付を済ませた時だった。
「初めまして!もしよろしければ一曲聞いて行かれませんか?」
紺色の髪を揺らしながら、デーリッチよりも背の引く少女が私たちに声をかけてきた。
どう見ても10歳程度にしか見えない少女は、自分よりも背が高く重そうなリュートを背中に背負い、
満面の笑みでこちらを見ている。
ハグレだろうか?たとえハグレだったとしても今の私たちには曲を聞いて恵むほどの財力はあまりない。
「すみません、私たちあまりお金がなくて…。」
やんわりと断ろうと言葉を口に出す、が。
「お金なんていいですよ!聞いてくれるならそれだけで十分です!」
なんて、言うものだから、
「ほんとでちか!?ねぇねぇローズマリー、タダで音楽が聴けるみたいでちよ!」
デーリッチが嬉しそうに食いついてしまった、こうなると中々諦めてくれないのはわかっている。
ここは素直に厚意に甘えよう。
「じゃあ…お言葉に甘えて」
そういって、小さな彼女に連れられ、宿の食事処に案内される。
食事処は小さな酒場も兼任しており、夜のとばりが落ち始めた頃もあって村人や旅人で賑わっている。
そんな賑わいの中から、声が上がった。
『歌姫様が来てくださったぞー!』
その声を皮切りに、あっちこっちから熱の入ったコールが飛ぶ。
「す、すごい人気でちね…。」
「ああ…よほど彼女はこの村で人気なんだろうね。」
小さく置かれたステージに向かって歩む彼女を見て二人で言葉を交わしながら、空いてるテーブルに着く。
頭を下げて「どうも、どうも!」と元気よく周りの人たちに声をかけていくその様は、
隣にいる未来のビッグな王様にとてもよく似ている。
やがて小さなステージに上がると、深々とお辞儀をしながら、言葉を紡ぎ始めた。
「こんばんわ、この度もこのような席を設けてくれた宿の店主様や皆様にまずは感謝を。」
「初めての方もいらっしゃいますので改めて自己紹介をさせて頂きます。」
「私は吟遊詩人のユナ、この夜も皆様のために歌を紡がせてもらいます。」
先ほどの無邪気な笑顔から一変して、大人のような笑みを含めた笑顔でそう言うと、
リュートを手に持ち、ゆっくりと弦に指をかけ、周りを見渡し
「まずは一曲目、曲のタイトルは【英雄の旅立ち】」
そう言って、歌と共にリュートを鳴らし始めた。
……
…
一曲目が終わる頃には、私もデーリッチも歌に魔法でも掛かっていたのではないかと疑うほどに魅了されていた。
たかが歌だと思っていた自分が少し恥ずかしいと思ってしまうほど、その歌には言葉では表せない魅力があった。
「すごいでち!こんな綺麗な歌は初めてでち!」
デーリッチの言葉に只々頷くしかなかった。
そして二曲めに差し掛かろうとしたとき、私たちに声をかけてくる人物がいた。
『楽しんでいるかい、お客さん?』
それは先ほど受付で対応してくれた女主人の方だった。
「ええ、すごくいい歌ですね。」
『でしょう?にしてもほんとに運がよかったわね。』
「? 運がいいとは?」
『実はね、ユナちゃん…明日にはこの村を出るのよ。』
「え!?」
その言葉に思わず声を上げてしまう、周りの熱狂でどうやら気づかれてはいなかったのは幸いだった。
「どうしてでちか?こんなに人気なのに?」
デーリッチが不思議そうな顔をして女主人に問いかける、私も同じ気持ちだ…一体どうして?
『ここで歌の許可をもらいに来た時に教えてくれたんだけどねぇ…ユナちゃん、夢があるらしいのよ。』
「夢…ですか?」
「一体どんな夢なんでちか?」
『…いろんな種族の人たちと友達になることが夢だそうよ。』
「友達でちか?」
『ええ、前にいた世界でも同じ夢を持って過ごしてたらしいのよ。』
「なるほど…でもやはり村としては彼女を引き留めたいとは思わないのですか?」
『そりゃぁこの村のもんは誰だってそう思うさね…けどね…』
『ユナちゃんは半年もここで歌を歌って…それどころか稼ぎにもならない小さな手伝いを自分から率先してやって…』
『そんな優しい子が夢を追いかけてるってなれば、だれも引き留められないわよ。』
「……なるほど。」
その話を聞いて、ステージの上の彼女を見る。
太陽のように輝く笑顔を振りまきながら、歌う姿は誰かが言った【歌姫】のようで、
そんな小さな体に、周りが聞けば笑ってしまうような大きな夢を背負っている。
「デーリッチみたいな子だね。」
「そうでちか?そういわれるとデーリッチも恥ずかしいというか…。」
『仲がいいのね、あなたたち。』
「でーっちっち!デーリッチとローズマリーは家族のようなものでちからね。」
『仲がいいことは良いことだよ、もし何か食べたいでもあれば用意するからね』
「ありがとうございます、わざわざ。」
お礼を言うと『良いのよ、良いのよ』と言って女主人が去っていく。
その姿を見送ると、また二人で彼女の歌に耳を傾けた…。
……
…
――――その日の就寝前
「ローズマリー、相談があるんでち。」
「どうしたんだいデーリッチ?」
一つのベッドに二人で横になりながら、デーリッチの話を聞く。
「あのでちね…デーリッチ少し考えたんでちが。」
「…もしかしなくても、ユナって子を誘いたいとか?」
「うぐ…バレバレでちか…。」
「まぁ、明日この村から出るって話を聞いた後ソワソワしてたからね…でもどうするんだい?
彼女の夢の話は聞いただろう?」
「そこでち、デーリッチたちは今ハグレたちのための王国を作ろうとしてるでち。」
「まぁ、まだ王国になる場所を探してる最中だけどね。」
「うっ…ま、まぁそれは今はいいんでち!王国をつくればいろんなハグレが王国にきっとくるでち。」
「…そうすれば自然といろんな種族の友達も増えるから一石二鳥だって言いたいんだね?」
「先読みされまくってるでち…。」
「確かにそうかもしれないけど、王国が本当にできるかだってまだ不明確なうえにハグレが集まるかもわからない…
今の状態じゃ説得力もあった物じゃないってわかっているだろう?」
「そ、それは…そうなんでちが…。」
「……でも、そうだね もしその話で彼女が頷いてくれる可能性がないわけでもない。」
「ローズマリー?」
「…明日の朝、君が直々に話をしに行くといい やってみないとわからないんだ。」
「! そうでち!がんばるでちよ!」
「…それじゃ、明日に備えて今日はもう寝ようか。」
「うん、お休みでち、ローズマリー。」
……
…
――――次の日の朝
荷支度を整え宿の食事処に向かう、
女主人さんが彼女は朝はここに居ると教えてくれたので先に向かったデーリッチは話をしている頃だろう。
彼女がついてきてくれるかは正直わからないけど…。
受付までやってくるとデーリッチが笑顔で待ってくれていた。
その横には
「あの!デーリッチちゃんからお話を聞きました!私でよろしければ未熟者ですがよろしくお願いします!」
たどたどしく挨拶する彼女…いや、【ユナ】に私は、
「こちらこそ、よろしくお願いするよ、ユナ」
――――これは、やがて【ハグレ王国】と呼ばれる小さな国の、はじまりの叙事詩である。
この小説を書こうと思ったきっかけは、ざくざくアクターズをプレイしてて、
「そういえばサポート重視のキャラはいるけど特化してるキャラっていないなぁ」
と思った事と
「これだけ立派な王国だから、吟遊詩人がお話として語り継ぎそうだなぁ」
と思った事が原因です。(
今回オリジナルのキャラクターの設定を作る際、SW2.0というTRPGで自身が作成した
吟遊詩人(バード)のキャラクターを少し弄って出しているため、
このキャラの設定にSW2.0の設定が混ざることを先に言っておきます。
ここまでの読んでいただきありがとうございます、次回をお楽しみに。