魔法少女リリカルなのは~恋する融合騎~   作:旗本

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いちゃこらとか……書いたことなくて死ねるけど……頑張る……頑張る……


第2話

***

「これが……」

 

 デプスは感極まって小さな声を漏らしてしまった。

生まれて初めて見る夜空、それが、こんなに綺麗で、大きいものだなんて。

自分はなんて幸せなんだろう、と、心の底から思う事が出来た。

 

 融合騎として造られたのに、自分には自我があったのに、課せられるのは実験材料となることばかり。外に出たことなんて一度も無かった。ただ知識としては知っているだけに、それが余計に辛かった。

 

 ぞれが、今では遂に自由の身だ。何故あんなに熱心に自分を調整していた科学者たちがデプスを連れて行かなかったのかは、実はデプス自身にも分からない。だが、それよりも今は、この空を一人占めできるという奇跡に、酔いしれていたかった。

 

「デプス。」

 

自分を呼ぶ高めの声に、ふと振り返る。

 

「眠れないのですか?」

 

気がつけば、後ろにリインフォースⅡがいた。

 

「あ、いえ……そういう訳でもないんですが……嬉しくて。」

「嬉しい……ですか。あ、それと、リインにも敬語はいらないですよ!」

「そ、そう? じゃあ、そうする。」

リインも、それでよいのです、と胸を張って、デプスが座っている岩の上、デプスの隣に腰を下ろす。

 

「ヴィータさんは?」

「まだ報告が終わっていないようなのです」

 

 ヴィータは現在調査隊に何があったかを報告している最中らしい。自分が行かないでもいいのかと聞くと、居てもいなくても変わらねぇと言われたので、おとなしく待機しておくことにしたのである。

 

「あの、移動魔法の余波で、施設の中がめちゃくちゃになってたらしくてですね……怒ってる局員さんが怖かったので逃げたらデプスさんを見つけたという次第です!」

 

 しょぼんとうなだれるヴィータとそれをがみがみと叱るはげ頭のおじさんを想像したデプスは、何だかほほえましいなあと思いながらリインの方を見やる。

今は局員の制服を着ている彼女は、自分と目が合うと微笑みで返してくれた。

 

「あはは、体が小さくてよかったね。でも、バレなかったの?」

 

 リインくらいの大きさでも、ふよふよと浮いていればそれなりに目立つ筈である。どうやって局員の目を誤魔化したのか気になるところだ。

 

「私は別に怒られてる訳じゃなかったので、ゆっくりヴィータちゃんの後ろに回ってフェードアウトました!」

「な、なるほど……」

 

 つまりヴィータは盾にされた訳である。仕方なかったとはいえ、こうなったのは半ば自分のせいであることも相まって、申し訳ない気分になってしまう。

 

「なんか、ごめんね。俺のせいで……」

「いえいえ!大丈夫なのですよ!……さっきヴィータちゃんが念話で【あとでデプス共々とっちめてやるからな】って恨めしそうに言ってましたから……」

「え、えぇっ!?」

 

 明るかったリインの表情にも影が射し、あとでヴィータによる折檻を受けることを告げられる。しかもいつの間にかデプスまで対象に入れられていた。

 

「これで一蓮托生ですね! 旅は道連れです!」

 

 あの固そうな鉄槌で殴られたらと思うと、心底恐ろしい。しかもリインの様子を見るに、手加減してくれる訳でもなさそうである。こんな小さな体では、一瞬で地面と同化してしまうだろう。

 

「ひ、非殺傷設定とか……物理攻撃に働くのかな……?」

「どうでしょうねー……斬撃ならまだ大丈夫なんですけどねー……」

「俺の演算能力なら、気づかれないように一瞬でプロテクション張ることも……」

「ヴィータちゃんの特技は……バリア抜きなんですよ……」

「絶望的じゃないですか……」

 

 遠い目をしたリインに告げられた彼我の戦力差は絶対だ。ヴィータの技術、魔力量を見る限り、例え最初から全力で防御したとしても容易く抜いてくるだろう。それにもともと自分は防御が得意ではない。がっくりと肩を落とす。そんなデプスの様子を見かねてか、リインは自身の青い魔力光をふりまきながら彼をはげましにかかった。

 

「えぇと……だ、大丈夫です!お姉ちゃんに任せるのです!」

「お、お姉ちゃん?」

「そうです! 私の方が年上ですから、私がしっかり守っちゃいますよ!」

 

そういえば、先刻もお姉ちゃん力がどうとか言っていたが、どうやら本気にしてしまったらしい。

 

「お姉ちゃん……かぁ……」

「?どうかしましたですか?」

 

小首をかしげながらリインが問うが、デプスは苦笑で帰すしかなかった。

 

「いや、何ていうか……むず痒くて。」

 

 今まで肉親どころか、まともな繋がりを持ったことも無かったのである。急に姉と言われても、少し戸惑いが残る。まぁ、ここでいうお姉ちゃんという言葉は、年上ということを示すだけの物なのだろうが、それでもむず痒いものはむず痒い。

 

「研究所では、ずっと物扱いだったから。リインさんみたいな人に会えて、嬉しいよ。」

「デプスさん……」

「繋がってるって、素敵だね。リインさんも、ヴィータさんも、仲良くて。ちょっと羨ましい、かな。」

 

 デプスは少し自嘲気味に笑った。こんなことを羨んでも仕方がない。彼女達は何も悪くないのだ。ただ、自分はこんな環境に生まれ、リインは恵まれた環境に生まれた。それだけだ。

それでも、という考えを抱いてしまう自分が、デプスは情けなかった。妬みや嫉みから生まれるものなんて、何もないのに。

そうやって一人、ずぶずぶと自己嫌悪に陥って行くデプスだったが、

 

「大丈夫ですよ、デプス。」

 

 唐突に両頬に手を添えられ、目を見開く。

自分と同じ小さな手。しかし、そこから感じる温もりは、とても心地よい物だった。

 

「リインさん……?」

「あなたはもう、1人じゃありません。私も、ヴィータちゃんも、みんなあなたの味方なのですよ。それに……」

「……」

 

隣から自分を支えてくれる手は、小さかったけれど、とても大きく力強く。

 

「デプスさえよければ、その……私たちと一緒に来ませんか?」

「え……?」

「も、もちろん私の一存では決められないのですけれど! ここで出会ったも何かの縁! 行く当てがないのなら、ウチに来れば良いのです!」

「……本当に……いいの……?俺なんかが居て……」

「ご心配なく! ウチには既にリイン含めて2基の融合騎が存在するのです! 定期メンテナンスだってお手のものですし、収入だって融合騎1基追加で養うくらいはわけないくらいあるのです!」

リインは胸をどん、と叩いて、かくいうリインも結構稼いでいるのですよ!と得意気に説明する。

 

 何というか、底抜けにお人好しというか。

気を遣ってくれているのだろうか。

話す様子からして、リインからすれば何のことはない話なのかもしれないが。

その心遣いが、今はどうしようもなく嬉しくて。

 

「……」

「あれ?デ、デプス?大丈夫ですか?」

「……はは……おかしいな……俺……デバイスなのに……機械なのに……」

涙が止まらなかった。俺は自由になれるんだ、ちゃんとした繋がりが持てるんだって、リインを見ていれば簡単に分かる。今この瞬間、俺はやっと解放されたんだ。それを実感できるのが、たまらなく嬉しくて、リインの手の温かさもあって、もうどうしようもなくなった。

「……あなたも私も、融合騎なのです。普通のデバイスとはちょっと違って、感情が思いっきり表現できます。それも、好きなだけ。機械だなんて、関係のないことなのですよ。」

「……ッ!……ッ」

 

 リインもデプスも、同じ存在。人に造られた融合騎。それでも、リインはこんなにも暖かくて、自分はこんなにも冷たく沈んだ存在で。

 

「今は、私しか居ませんから。思いっきり泣いたらいいと思いますよ。」

「……う、うあぁ……うあああぁぁぁ!」

 

 リインはデプスを抱き、その頭をゆっくりと撫でてやる。その表情からは、紛れもない母性が感じとれ、いつも八神家の末っ子と言われ、可愛がられるリインにしては、どうにも珍しい光景だった。

現に――――

 

「……なんだありゃあ……」

  

 上官からの説教を終え、さぁあいつらにお灸を添えてやろうと探し回っていたヴィータが、その様子を見て目を丸くしていた。

 

「……これじゃ入れねぇじゃねぇか……」

 

 あんな所に無理矢理割り込んで折檻を始めるほどヴィータは野暮な女ではない。いい女は空気を読める物なのだ。

 

「……ちぇっ、あいつらの分のアイス、あたしが食ってやろうかな……」

 

右手に提げたアイスの袋を力なく肩にかけ、すごすごと自分のテントに戻るヴィータだった。

 

――――リインって、意外とお姉ちゃん力、あるのかも。

 

リインに対する心象をひっそりと改めながら。

 

……お姉ちゃん力ってなんだという疑問は、隅に置いといた。

 

***

「はやてちゃんはやてちゃん!」

 

 一通りの書類仕事もこなした八神はやて二等陸佐は、クラナガンにある実家のリビングでコーヒーを飲んでいると、慌ただしい声と共に緊急通信がかかってきた。

 

「な、なんや! どうしたんやリイン!」

 

 緊急ということだから、何か厄介事には違いない。もしや共に派遣したヴィータに何かあったかと思考を巡らせるも、まずは話を聞くべきだと、意識をリインに戻す。

 

「八神家緊急家族会議を開く必要があるのです! ヴォルケンのみんなを招集して欲しいのです!」

「お、おぉ……何があったんや?」

 

 いつにない剣幕でモニターに迫るリインのあまりの迫力に押され、ついついのけぞってしまうはやて。リインがこんな状態になるのもかなり珍しいことだ。本当に一体何があったのか不安になるが、よく見ると後ろにヴィータも居るので危険があった訳ではないと察し、そこだけは少し安心する。何かうなだれて「アイス……結局食われた……」などと虚ろな目でつぶやいてはいるが、無事で何よりである。さらに、

 

「あら、はやてちゃん、リインからの通信って……何かあったの?」

 

と、洗濯ものを終え、ベランダから歩いてきたシャマルが、はやてのモニターを覗きこむ。

 

「あぁ、シャマル。なんやリインが緊急家族会議やーいうてな?」

「き、禁急ですか。どうしたんですか?」

 

 尋常ならざるリインの様子とうな垂れるヴィータを見て、思わず、すわ何事かと気を引き締めるシャマルだったが、告げられた言葉はその予想のはるか斜め上を行っていた。

 

「弟が欲しいのです!」

「……は?」

「……はい?」

「だから、弟が欲しいのですぅ!」

 

八神家のリビングを、静寂が覆い尽くした。

 

 




荒ぶるリインのお姉ちゃん属性。
ちいさな体におっきな器。これがリインフォースⅡなんだよ!

ヴィータは不憫。はっきりわかんだね。
そしてデプスが目から流した液体は一体何なのか。
いろいろと頭の悪い文章で申し訳ありません。これから精進していこうと思います。

リインがですです言い過ぎてガンダム00のミレイナに見えてしまう気がしないでもないけどきっと気のせいです。
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