いつの間にかボスになってた。組織は滅んだけど   作:コズミック変質者

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新作で鬼滅の刃のクロスオーバーオリ主最強ハーレムを書いてて遅れました(大嘘)


私はお前を応援している。どうせ勝てないけど

 突然出現した六体の脳無の暴走にオールマイトの師であり個性の秘密を共有する老人、グラントリノのもとへとインターンを受けに来ていた緑谷は巻き込まれた。

 

 新しい技、ワン・フォー・オール・フルカウル。個性の常時5%発動。完全に物にしたというつもりはないが、それでも技としての出来は実戦でそれなりに通用するレベルに仕上がっている為、ここで緑谷は一つの壁を乗り越えたといえよう。

 

 よってさぁヒーローらしい活動をしに行くぞと、人の多い都会へ行く為にグラントリノに連れられて新幹線で県を越えての移動をしていた時だった。ヒーローを叩きつける様に、かつてUSJで見た脳みそ丸出しの人型が新幹線へ突っ込んできた。

 

 停止した新幹線。脳無を新幹線より引き剥がすべく個性を使用しての高速移動でグラントリノは突進して自分共々彼方へと飛翔する。

 

 去り際に座っていろと言われたが、それでも反射的に脳無によって作られた穴から身を乗り出す。その時目に映ったのは各所で爆発などを繰り返している街。明らかに普通ではないことが起こっている。

 嫌な予感がして、咄嗟に携帯を取り出して地図アプリを開き、ここが何処なのかを調べる。悪い予感というのはよく当たるもので、新幹線が止まったのは保須市。現在ヒーロー殺しの再びの行動が最も予測される街で、連絡の返信が無い飯田がインターンとしてきていた街。

 

 増幅していく嫌な未来。確証のないその予感に、突き動かされるように新幹線より飛び降りる。後で怒られるかもしれないが、それでも今はと習得したばかりのフルカウルを発動。街に向かって飛び出していく。

 

 

 

 

 街に降りれば、そこは狂乱したような市民の悲鳴が溢れていた。無理もない。他の(ヴィラン)とは明らかに毛色が違う脳ミソ丸出しの(ヴィラン)が、一度に六体も出ていたのだ。複数体いるという事実を知らなかった緑谷は、街中で暴れ回る複数の脳無を見て戦慄する。

 USJの時に送り込まれていた時程の危険性は感じられないとはいえ、それでも脳無、改造人間なのは変わりない。まだ分からぬ敵連合の全容を考えようとした刹那、知っている人間を呼ぶ声が聞こえた。

 

 飯田の名前を呼びながら市民達を誘導しているのはノーマルヒーロー・マニュアル。飯田のインターン先のヒーローでそれを知ってから自分でも調べたヒーローだ。彼のことを見た瞬間に予測が最悪へと近づいていく。飯田はもしかすればステインを探している、もしくは既に接敵しているのではないのかと。

 

 その考えが増幅する。無意識に発動されるフルカウル。安易な考えだと言うのは理解しているが、それでも分かった上で見過ごすことなど出来やしない。街を跳ねるように飛び回りながら、ステインの出没が多いとされる裏路地を徹底的に探し出す。

 これだけの騒ぎだ。活動するのであれば今が絶好の機会だろう。

 

 そして――。

 

 

 

 

 

 

「助けに来たよ、飯田君!」

 

 虱潰しに探し回った結果、予想通りステインは飯田と接触していた。それどころか既にプロヒーローが一人倒れ、飯田に止めを刺そうとしている。本当にギリギリだった。きっとあと一つ裏路地があれば間に合わなかっただろう。

 

「ハァ・・・仲間・・・コイツも候補生か・・・」

 

(感覚が浅い、直前で身体を逸らして衝撃を逃している。これじゃあ大したダメージにはなっていない)

 

 殴られて曲がった上体を揺らめかせるステイン。自らが行った不意打ちが大したダメージになっていない。完璧な不意打ちであったと思ったのだが、曲がりなりにも悪名高きヒーロー殺し。甘い相手ではないらしい。

 

「緑谷・・・君、手を出すんじゃない、これは僕の問題だ・・・!君には、関係ない・・・!!」

 

 事前報道されていた通り、ステインの個性によって体が動かなくなっている為、身を捩ることしかできていない。しかし今も尚、こんな状況になっていても冷静さなど欠片も取り戻してはいない。復讐心はなおも黒く燃えている。

 

「仲間が、助けに来た・・・。ハァ・・・いい台詞じゃないか。だが俺にはコイツらを殺す義務がある・・・お前は俺を止めて・・・コイツらを守りたい。ならば必然として、弱い方が淘汰される。そして――」

 

 完全に立ち直ったステインが、射抜くように緑谷を見詰める。殺気、憧憬、様々な視線が混じった視線に思わずたじろいでしまう。その視線に飯田も気付く。今のステインが緑谷に向ける視線には、先程まで自分に向けていた物が殆ど混ざっていないということに。

 

「お前には、俺を認めさせる義務がある。そうだろう、緑谷出久」

 

(なんで僕の名前を・・・!?)

 

 瞬間、二刀抜刀。風のように鋭く速く、水のように流れる自然な動作で二刀を手にしたステインが緑谷の心の疑問を置き去りに高速で接近する。

 問答無用。余計なことを考えさせず、ただ目の前の、自分にだけ集中しろと言うように。

 

「ッ・・・!!」

 

 先程まで心中でステインに対する疑問や、飯田に対する憤りを募らせていたというのに、頭の中は至極冷静で、ステインの攻撃を回避する。こちらは素手で相手は刃物。それも切断力はどれほどのものか分からない。グローブやスーツの申し訳程度の耐刃性能は役に立たないと見てもいい。

 

 生じる問題は二つ。

 

「疾っ!!」

 

 積み重ねてきた戦闘経験もあるのだろうが、獲物の違いによって射程距離が常にステインへと有利に働いている。緑谷の拳も当たれば相応のダメージは通るだろうが、一発で倒せることはないだろう。対してステインの攻撃はどれもが致命を秘めている。リスクを冒して突貫に出るのはまだ早い。

 

 そしてもう一つ。

 

「いいんだ、緑谷君!!これは僕の、僕だけの戦いなんだ!!」

 

 後ろにいる守るべき存在である。ステインの第一目標が何故だか緑谷に変わったとはいえ、ステインは一向に緑谷の背後にいる二人の処刑を諦めてはいない。見過ごせぬほどの大きな隙を緑谷が作れば、すぐにでも殺しに行くだろう。

 よって、攻勢に転じることが全く出来ていない。防戦一方で擦り潰される。

 

 風の如く靭帯の急所に向けて繰り出される斬撃。心臓首頭は当然として、そこに繋げるまでの過程も完璧だ。隠し持った小型の刃物による投擲に、わざと大きく刃を振るうことによる視線誘導(ミスディレクション)。どれもが仕上げられていて、無駄など一つもありはしない。恐らく純粋な殺人技術であれば、ステインは間違いなく国内最上に位するだろう。

 ヒーローを、(ヴィラン)の血を吸ってきた技術に狂いは微塵もありはしない。加えてコンディションは最高だ。何せ最上の相手なのだから。故に――

 

「・・・どういうことだ」

 

 曲がりなりにも戦えている。防戦一方とはいえその現実に疑問が漏れる。一通りの動きは既に見ているし、見切っている。所々ステインですら思い付かぬ意外性を秘めていたが、動きはまだまだ学生の域、素人でしかない。だからといって手を弛めるつもりなどは欠けらも無い。そんなことに意味など一つもありはしない。

 

 だから可笑しい。必殺だと思って落胆と共に放った斬撃が、予定調和の如く失敗している。何度も何度も。一や十などでは無い。少なくともこの時点で三十は超えている。つまり緑谷は三十回死んでいなければ可笑しいのだ。

 

 オマケにだ。

 

「ハァ・・・まさか、無傷(・・)とはな」

 

 明らかに異常である。既にステインの個性が『血』に関係した何かであると広まっているのは報道を通じて確認済みである。戦っていれば大なり小なり傷を負う物であり、傷を負えば血が流れ、そして血が流れればステインの個性は経口摂取によって発動する。一つの最大の必殺。動けなくなった相手に一方的に振るう処断の刃。それが全く機能していない。

 

 ステインの武器は全てが刃物に属している。僅かな攻撃でも掠るだけでも流血はするというのに、それらが一切存在しない。これは一体、どういうことか。

 

「戦闘経験から来る勘にしては、実力がまるで見合っていない。ならばそういった個性かと考えたが、それではここに来た時の辻褄が合わなくなる」

 

 血に濡れぬ刃を口元にやる。いつもならば既に赤く染まっているはずなのに依然として色は鋼の光沢のみで、既に慣れ親しんだ血を舐めとる動作もしない。

 

「緑谷出久・・・お前のことは詳細に経歴含めて知っている。その中にはお前が決して口外できない、してならないことも含まれている」

 

 一体何を、なんて疑問さえ出ない程の衝撃が緑谷に走る。そしてその衝撃はステインと交戦を開始した時に名前を呼ばれた時以上。確かに緑谷の名前は世界に知られることになった。だがそれはあくまでも雄英体育祭でそれなりに頑張っていた生徒の一人でしか無かった。認知度で比べれば轟や爆豪とは雲泥の差があるだろう。

 

 もしステインがキメ細やかに雄英体育祭のことを記憶していたとして、だ。どうしてそこで緑谷の経歴等を知ることに繋がるのか。更にいえば経歴などよりももっと大切な、口外出来ない秘密のことを知っているような口ぶりまで。

 

「お前は、何を――」

 

「知っているとも。全て」

 

 知っているのか。その問いを全て言うまでもなく、ステインは是と言った。何をどこまでとは言っていないが、それでも悪寒と同時に理解してしまう。この男は全てを知っているのだと。

 

「ハァ・・・見当は直ぐにつくだろう。皆まで言う必要は俺には無い。だが———」

 

 同時に十字に振り抜かれる両腕。勢いの付いた刃が二本、回転しながら飛来する。狭い路地裏で先行する一つは地面と平行に、もう一つは両脇のビルと平行に。避けることは容易いが――。

 

「この程度をどうにか出来ないのであれば、お前ではダメだ(・・・)

 

 ただ見ているだけのつもりは無い。刃を放つと同時に短刀を抜いたステイン自身も急加速。速度は投擲した刃に劣っているとはいえ、ステインには高い身体能力や反応速度がある。緑谷がフルカウルで避けたとしても、そこから次へ繋げようとする間に、軽くても確実に一撃ダメージを与えることが出来る。そうなればあるのは詰み。

 

(上に垂直に跳ぶか!?いやダメだ!跳んでいたら次の動作に移れない・・・!なら壁を蹴って避けるか!?これもダメだ、それじゃあステインに追い付かれる・・・!)

 

 頭の中で何度も何度も、次の展開が繰り返される。どうすれば正解なのか、どうすれば次へ繋げられるのか。どうすれば次を凌げるのか。普段の倍以上に回転する頭だが、正解には辿り着けない。

 知を巡らせて今を乗りきったとしても、次に迫るステインが厄介すぎる。まず先行する刃を避けなければならない緑谷を、ステインはその行動を見てから対処することが出来る。

 

「これしか・・・ない・・・!」

 

 弓を番えるように、左手の指を一本だけ構える。正直やるべきでは無い。奇跡的に無傷だったからいいとして、痛みというものは行動を、思考を蝕んでいく。ステインという一瞬の必殺を放つものには、たとえ指一本だとしても危険となる。

 前方、まとめて吹き飛ばす。

 

 番えられた指が解き放たれる。5%など比ではない、正真正銘の全力100%。拳一つで雲を晴らせるオールマイトのように、凝縮された空気が不可視にして巨大な砲弾となる。

 

 狭い路地裏で、逃げ場はない。轟のように氷壁などを生み出して盾にすることはステインには不可能だ。爆風は埃を巻き上げながら前方一帯を吹き飛ばす。勝った、なんてことは言えないが、それでも撤退までの時間を稼ぐことは出来る。先程の砲弾で程よい煙幕も出来ている。指が使えなくなった痛みを堪えながら、倒れているヒーローと飯田の元に向かおうとし――

 

 

「はァ・・・中々いい判断だ。だが次からは大技を使ったから仕留めた、などと油断はするな。そして確実に敵を殺せる方法を取るといい」

 

「え?」

 

 駆け寄ろうとした刹那、耳元で聞こえたステインの声。そしてその言葉が聞こえ終わると同時に、ヒュッ、と何かが風を斬る。刹那、激しい痛みに燃えたような熱を伴う緑谷の背中。激痛に耐えきれなかったのか、それともステインの個性なのか。力が抜けて膝を屈して倒れ込む。

 

「がっ・・・あぐぅっ・・・いっ・・・いっだい・・・どうやって・・・」

 

 動かず痛む身体。激痛で妨害される思考を必死に回しながら、緑谷を見下ろし漸く血の付いた刃を舐めるステイン。緑谷の問いを予想していたのか、ステインは緑谷が見えるように腰についていた道具を外してみせる。

 

「はァ・・・こいつはアンカーになっていてな。全く使う機会がなかったから、今の今まで忘れていたが役に立った。あまり褒めたくはないが、未熟な俺ではさっきの攻撃で詰んでいた可能性だってあった」

 

 逃げ場は一つ。路地裏の露出した上空。間に合うかは賭けだったが、どうやら上手くいったらしい。そしてステインの言葉には欠片も嘘はない。

 だから――

 

「未だ測れぬものも多いが・・・今は及第点だが認めよう、緑谷出久。お前は後継者に、彼の後を継ぐに相応しいヒーローだ。まだ若いが、それでも成長速度は目まぐるしいものがある。だから、お前は次に持ち越しだ。そして・・・はァ・・・今回はこれで終わりだ」

 

「ま・・・て・・・!」

 

 吹き飛ばされて壁面に刺さっていた刃を引き抜く。その矛先がどこに向かうかなど、容易に想像が付いてしまう。だから止めるために、痛み動かぬ身体に力を入れるが、その姿は自己犠牲を善とするステインを喜ばせるだけである。

 

 しかし何も出来ず、ステインは易々と飯田へ到達する。そしてその顔面の上で刃を両手に構え、

 

「忘れるな、緑谷出久。俺が起こすこの悲劇を。心に刻み、業火の薪とするのだ。そして重ねて、忘れるな。たとえ悲劇を刻もうと、その素晴らしいヒーローとしての心を」

 

 迷える子羊の相談に乗る神父のように、邪悪にして善良な行いをしているステインは、いざ新たな社会へ次の生贄を捧げんと――。

 

 

「わりぃ、遅くなった」

 

 

 氷と炎。二つの力を併せ持った少年が、新たにこの場に踏みこんだ。絶対の窮地で、強力な助っ人。それが作為的な、物語のようであると誰も気づかぬまま、全てが順調に進んでいく。

 

 

 

 

 ————————————————————————————————

 

 

 

 

 逐次送られてくる報告によると、ステインの方は予定通りに進んでいる。その過程で緑谷出久の明らかな異常が露見したのは幸いだった。ステインが言っていた通り、あの回避率はどうかしていた。

 

 しかし大きな成果だ。緑谷が実際に戦闘の際にどれだけの判断力があるのか、どれだけ動くことが出来るのか。ありとあらゆる能力値を徹底的に探し出している最中だ。それこそ、あの驚異的な回避率は『幽波紋(スタンド)』の能力によるものの可能性だって有り得る。

 

 緑谷はこのままデータ収集ついでにステインの処理を良い感じに手伝ってくれるだろう。問題はもう一つ。

 

「・・・脳無の数が多いな」

 

 保須で暴れ回っている脳無は原作では四体だったが、実際に暴れているのは六体。AFOの協力者だろうドクターとやらが調整等を素早く終わらせたのか、それとも中途半端なものを癇癪のように死柄木が持ち出したのか。

 どちらにせよ、死柄木の行動や思想がどうなっているのかは皆目見当がつかない。本来であればステインを接触させた後、可能であれば殺すようにDISCに書き込んでいたのだが、どうやら接触した様子はない。

 

 緑谷出久がオールマイト(怪物)の後継者であるように、死柄木弔もまたAFO(怪物)の後継者。警戒するのは当然だ。

 

「可能ならどさくさに紛れて一体欲しいんだけどな・・・」

 

 連合の主要戦力になるだろう脳無。この段階で確保して、スキューロを通して生態やら設計やらを解剖するなりして調べ尽くして何かしらの弱点などを知りたいところだ。もしこのまま進むのであれば、連合を直接潰すことを視野に入れなければいけない以上、その為の努力を怠るつもりは無い。

 しかしあれだけの巨体であれだけの怪物的外見。あそこから持ち出すのは苦労する。たとえ鏡の世界に入れたとしても、大人しく言うことを聞くはずがない。暴れ回って始末しなければならなくなるのがオチだ。そして私が知る限り、神野までに脳無が使われるのは今回で最後だ。しかし仕掛けることが出来ない。

 

 ならば原作でステインが収容されていた刑務所を襲撃するか。確かあそこには対オールマイト用の脳無が捕らえられていたはず。・・・いや、流石にあそこには仕掛ける気にはなれないな。脳無程の怪物を収容する施設だ。警備も厳重でヒーローも手練が十人以上は常にいるだろう。

 ヒーローや警備など鏖殺すれば関係ないが、あそこの警備を破綻させすぎると連合に攻め入る隙を与える。どんな犯罪者が収容されているかは分からないが、あまりイレギュラーな戦力の加入は見過ごせない。

 

 期日までに打てる手が限りなく少ない。下手に仕掛けてしまえば致命を曝け出す予感がする。具体的にどうとは分からないが、そういう運命に繋がりそうだ。

 

 メディジーナは既に手元から離している。一応は厳重な安全策を仕込んでいるが、肉体は既にボロボロだ。薬物の乱用による毒、弱った肉体に追い打ちをかける数多の病。肉体を無理矢理生かし、人格をDISCで固定していなければ、既に発狂して死んでいる。虚ろな自我ではスパイの真似事などできるはずもない。正真正銘ただの人形。

 

 緑谷の情報は欠伸をしていても入ってくるが、死柄木の方はさっぱりだ。やはりヒーロー達からずっと潜んでいられるだけある。情報が殆ど漏れてこない。何とかという情報屋?だったか?そこから辿りつこうと考えたが、巧みに避けられている。

 

 先も言ったが緑谷がオールマイトに選ばれたように、死柄木もその正反対の存在であるAFOに選ばれた。ならばただの餓鬼であるはずもない。純粋な力か、それとも心の方か。はたまた両方か。必ず何かがあるはずだ。

 そして後継者の意味を考えろ。ただ脅威的な(ヴィラン)となる者では後継者には成り得ない筈だ。それでは弟子といった方が正しいし、あくまでAFOに育てられ、世に送り出された程度の脅威にしかならない。そこに後継者という言葉は確かに介在するが、AFOの後継者と言えるかは微妙である。

 

 よって、妥当な結論に自然と伸びていく。

 

 ()()()()()()()()()()()A()F()O()の後継者でもある。

 

 奪い、与えるという個性。その個性が自分にだけは作用しない、なんていう描写は記憶にない。ならば出来てもおかしくないはずで、事実OFAという前例がある以上、できると考えるのが普通だろう。

 

「・・・・はぁ。ヤバイ」

 

 思い至り、夢想して、呆れるようにため息を吐く。私は緑谷出久の成長度合いがどれほどになるかは知らない。少なくとも神野事件まででは、今とそう大差ない。フルカウルが使えるだけだ。

 何が言いたいかと言うと、些か遅すぎる。いや、私が対峙する場合は今のままでもいいのだろうが、できることなら死柄木の相手を任せたい。

 

 上述した予測が正しいのなら、いつかは分からないが死柄木はAFOに匹敵する怪物となる。個性時代の新たな超越者が誕生する。

 

 神野事件でAFOは破れ、捕まった。それはAFOとオールマイトの長い因縁にケリがついたことや次の世代へ移行したというだけでなく、AFOが死柄木に先生として教えられること、与えられる物を全て与え終えた。即ち死柄木がAFOにとっての完成を終えた、もしくは完成に至るまでが最早自分がいなくてもいい程の目前に近づいていたということなのだろう。

 

 AFO程の存在が、胸を張って自分の全てを与えても構わないほどの完成度。考えるだけでも頭痛ものだ。まずマトモな方法では殺せなくなる。攻撃力は言わずもがな、防御力は異形系の個性やショック吸収や高速回復などの補助系の個性があるだろう。

 一撃で天地を引き裂き、殺すには爆撃レベルが必要で、殺し損ねれば多少の時間で回復される。

 

 これでは迂闊に緑谷を殺せない(・・・・・・・)。緑谷は死柄木を殺せる、恐らくは唯一の存在だ。私もできないことはないだろうが、完成した死柄木の相手なんていう危険な綱渡りはゴメンである。賭けの要素が多すぎる。

 よって、確実に勝てるのは緑谷だけであり、緑谷を殺すことは出来ても簡単に出来なくなる。

 

 その後、死柄木を倒した緑谷は正しく完成した主人公だ。三部終了の旅を終えた承太郎だ。そんな時に挑むなど間違っている。

 

 よって私が緑谷を相手に、挑むのであれば――。




多分だけど神野事件終わった後で、実は死柄木ってAFOの個性の継承者じゃね?って掲示板とかで言われてたと思う。
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