いつの間にかボスになってた。組織は滅んだけど 作:コズミック変質者
クラス対抗戦など、学園内のみで話が進んでいく時とかは基本スキップすることに決めました。
ジョジョ五部、ディアボロがようやく登場。そしてディアボロVer.のOPが最高すぎる。ジョジョ五部が終わりに近づく度に悲しく感じる。なんでだろう、ジョジョが終わるから?それともディアボロの全盛期が・・・。
「なぁ、一つだけ教えてはくれないか?」
彩辻の処置が終わり、籠の中に入っていた服を着直す。彩辻は相変わらず、シクリーザの着ている服は派手過ぎないかといつも思ってしまう。必ずといっていいほど身体の一部分が露出しているのだ。まぁこれはシーラにもスキューロにも見られる光景ではある。イタリア人は皆こうなのか?と偏見を抱いてしまいそうになる。というかその服どこで売っているんだと言いたくなるものばかりである。
「何が聞きたいのかしら〜?」
「シーラの処置の時、仕込んだのか?『シンデレラ』の持つ本当の能力を。運気を呼び寄せる相を、仕込んだのか?」
『シンデレラ』の全身整形はあくまで能力の一部分に過ぎない。その本当の能力は人間の外見上のパーツを取り替え、肉体のイメージを変換することで、運を呼び込む相に変えるという能力。
この能力は彩辻が《シンデレラ》と称される所以となったもの。曰く彩辻の所にエステに行ったものは、その後運気が良くなるということ。
当然の如く噂は広がり様々な場所で取り上げられ、今では『魔法使い』となってしまった。だが種が分かっているシクリーザからしてみれば、そんな能力は最悪の類のものだ。
この能力は永劫続く訳では無い。元々の『シンデレラ』のDISC保持者であるシクリーザでさえ、というか原作ジョジョにさえ、この能力の全貌は明かされなかったのだ。
原作では保有者が決めたルールに従って、『シンデレラ』の能力が解けるようになっていたが彩辻は外見だけならいつまでも使い続けることが出来る。ハッキリ言ってこの能力は底が知れない。
運気の上昇がどれほどのものかさえも明かされていないのだ。不明瞭な能力だ。そして何より、上昇があるということは下降もある。この能力が、未来にある運を使っている可能性さえ否めない。
シーラにこの運の能力が使われていた場合、能力が切れた時シーラは不幸だと思うことがあるだろう。そして幸福だった時間に甘えて、連鎖的な不幸が始まる。人生とはそういうものだ。一つの失敗が更なる失敗を呼び込むように、運もまた同じ。
もしシーラの運が下がり続けたらどうなるだろうか。隠れているシクリーザの居場所が割れ、正体がバレて、刑務所にドーン。そして極悪ギャングのボスとして世間に晒しものにされる。想像すらしたくない未来だ。
この能力はシクリーザにとっては禁忌だ。故に未来の危険を、あるかもしれない可能性を事前に排除するのは当然のこと。だから殺してでも使わせない。
「まさか〜私があなたのお願いを聞かないわけないじゃない」
さすがに狂っていようとも殺されるのは御免だ。
命あってこその探求。他人の命はどうでもいいが、流石に自分の命には拘りたい。
「ならいい。それなら相変わらず完璧な技術だよ。惚れ惚れする程だ」
鏡を見て両手で顔に触れる。そこにあるのはシクリーザの顔なのに、普段見ていたのとは違う印象を受ける。顔の部位などは弄っていないのにここまで変わって見えるとは、流石としかいいようがない。
「そういえば〜一つ聞きたかったんだけど〜、どうして日本に来たの〜?」
高跳びする場所はアメリカにロシアやオーストラリア、それこそハワイのような場所でも良かったはずだ。シクリーザやスキューロならば国外に邸宅を幾つか持っていてもおかしくはない。容易に想像がついてしまう。
「ああ、その事か。まぁ、そうだな。アレだよ。
友達に会いに来たんだよ」
その一言に、彩辻は当然ながら最高の笑顔を返した。
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「終わったぞ。さぁはやく行こう・・・シーラ、何をしている」
ようやく変態から解き放たれたと思ったら、シーラが鏡の向こう側とキスするんじゃないかってくらい見つめ合っていた。うん、分かるよ。今のお前の気持ち。アイツのエステ受ければ最初は誰だってそうなるよ。
明らかに別人に見える自分に戸惑っているな。顔のパーツは少しだけ変わってるかな?ただアイツの着眼点を組み変えれば少しが大幅に変わったように見えるんだよな。
「ボスも別人みたいに見える・・・」
「それがアイツだよ。本当に気持ちの悪い腕だろう?問診はされたのか?」
「ええ、小一時間ほど。明らかに関係の無い内容を延々と繰り返されてたわ。最後辺りなんてヤるときの体位まで聞いてくるとか、アイツどうかしてるんじゃないの?」
え?アイツ暫く見ないうちにエスカレートしてんじゃん。ヤるってアレだよな?あれがああしてああなるあのアレだよな?私の時はそんなこと聞いてこなかったぞ。やはり変態だ。成長の方向性も変態一直線だ。
「スキューロ、時間は?」
「まだ少し余裕はあるが、どこか寄ってから行くか?今の時間帯なら昼食にするのもアリだとは思うが」
「いや、遠慮しておこう。私のいつもの食事帯からは早すぎる。それに、日本の駅弁に興味があるんだ」
「分かった。着いたら買っておこう」
いや、私まだ興味があるしか言ってないぞ。あーあ、多分このままじゃ駅弁一つずつ買ったりしそうだな。持ち運びは・・・多分シーラか。なんかこの面子だとシーラってパシリにしか思えないな。
そういや昨日までは堅苦しかったけど口調はいつもの強気なものに戻ったな。まぁそういったフランクな感じは責めないよ。外にいる時にそんな話し方されたら変に思われるかもしれないし。
彩辻の見送りをエンジン音で無理矢理かき消して車を出す。ナイスだスキューロよくやった。どうせ彩辻は最後にまた要らんことを言うからな。聞くだけ無駄だ。ストレスが溜まるだけだ。
『シンデレラ』から車を出して、駅までは一時間足らず。まぁ車は進まない。それもそのはず。また性懲りも無く
問題は脳天気な
逃げろよスカタン。巻き込まれて死にたいのか。この世界の日本は平和ボケが酷すぎるぞ。こんなのが私の元出身国なのか・・・。
本来であればヒーローが逃げるように言うべきだろう。だがヒーロー達が欲しいのは功績と名声。
ああクソ。だからヒーローは
「あまり苛立つな、ボス。ボスの不機嫌はシーラにはまだ早い」
「あ・・・すまないシーラ」
自分の身体を抱きしめて縮こまって、私そんなに怖かった?ホントにごめんシーラ。いや、待って何で震えてるの?え、私が不機嫌な時って周りの人間こんな感じになんの!?だったら普段の教会の大鐘楼の中とかえらい惨事になってるぞ!?主にゲームとかゲームとかのせいで!
「それよりも、本当にどうなっているんだ日本人というのは。あまりにも危機管理能力が低すぎる。しかもこの状況、まるでプロレスの試合でも見ているかのようじゃあないか」
ふむ、言い得て妙だな。リングは道路。ロープ兼観客。そして乱入してくる
イタリアは
「どうした、ボス」
私が事件とは真反対の一点を見つめているのが気になったのか、スキューロが話しかけてくる。だがスキューロの声は私には遠く聞こえた。私の視界内にいるのは黒のパンツにパーカーの男。その男から見えた顔は、どこかボロボロに見え、見覚えがあった。
いや、あの顔知ってるわ。え、なんでアイツここにいんの?死柄木弔じゃん。そうだよね?なんか特訓でボコボコにされた後みたいな顔してるの、絶対に死柄木弔だよな?ほら、携帯の持ち方だって指一本だけ外してるし。
「気になっているのはあの黒い男か?」
スキューロも気付いたらしい。まぁ、見ればなんとなく分かるよね。アイツのドス黒いオーラってのが。明らかになんか周りから浮いてるんだよね。カモフラージュ能力無さすぎ。
「いや、なんでもない。見ないでおけ。今はまだ奴を気にする必要はない」
「まだ、か」
「そう、まだだ」
私は運も信じるし運命も信じる。運とは信じていればミスタのように確実なものに変わる。運命も信じていれば確実なものとなる。
私と奴の道がここで交差したのは運命だ。運命とは引力であり、引力とは出会いだ。
オールマイトと緑谷出久が会うべくして会ったように、人には必ず見えない運命の糸が絡み付いているのだ。
そしてそれは私達にも言えること。私はスキューロに出会い、スキューロと出会ったことでシーラと出会った。その果てに、信頼を与えたのだ。
「まだ、安心は私の心の中にある」
私が転生者であるならば、恐らくは『原作』という大きな運命に絡まれる。星形の痣の家系なんか正にそれだ。必ず邪悪に出会うように、転生者という存在も、関わらずにはいられないのだ。そこに関しては納得もしているし、諦めもついている。
リゾットも言っていた。失敗は反省して、前向きに利用するのだ。『原作』に何かしらの形で大きく関わるということを前向きに利用するのだ。どんな形であれ、最後は私が『幸福』ならばそれでいい。
あまり信用はならないが『シンデレラ』や、それに親衛隊にスキューロもいる。
辿り着ける勝利はいくらでもある。大切なのはどの勝利を掴むかだ。掴むべき勝利を間違えなければ、未来は私の手の中にある。
この後めちゃくちゃ新幹線に乗り遅れた。
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死柄木弔。AFOの後継者として見出された青年。自傷癖か後継者になるための修練か。その貌は傷で溢れており、悍ましささえ感じさせる。
未来の王は社会勉強として、AFOに校外授業のため、適当に暴れ回っている
前を見ればいつもと同じ、くだらない木っ端の掃いて捨てるようにいる
最近、久しぶりに会ったAFOの右腕がなかった。綺麗さっぱり、根元から寸断されていた。教師として、育ての親として関わってきた弔は、その光景に戸惑った。5年前に弱体化したとはいえ伝説の悪、世界の頂点と言っても過言ではない実力者なのは嫌でも知っている。
そんなAFOが、無様にも右腕を切り落とされるという醜態を晒していた。
AFOには『超再生』という個性がある。文字通り肉体を治癒ではなく再生する個性だ。この個性はAFOをして、5年前の段階で手に入っていれば、弱体化することもなかったと言わせるほどの個性。唯一の欠点として治ったと看做された傷は再生できないという物があるが、それを差し引いても十分に強力だ。
AFOはその個性を使わなかった。誰がやったか、治さない理由を聞いても何も答えてくれない。この接し方に、未だ精神の成長が未熟な弔が不満を抱くのも当然。更に追い打ちをかけるように放り出された。八つ当たりの一つもしたくなる。
戦闘が終わった。増援が来ていたのか、二人のヒーローが捕まえた
だが、ここで問題を起こしても何のメリットもないことくらい、精神が未熟な弔にも分かる。弔には進むべき未来がある。今が準備期間なのは弔とて理解している。見るものは見た、さっさと黒霧を呼ぼうとした直後、背筋に氷柱を差し込まれたかのような感覚。ぞっとしている。人としての感性が壊れている弔が、何かに怯えている。
この怯えは知っている。かつて模擬戦でAFOと戦ったときと同じか、それ以上。生物としての絶対的な強者が放つ威圧感。
弾かれたように辺りを見る。正面、違う。後ろ、違う。左右、いた。
威圧感の発生場所。ヒーローの戦闘で足止めを食らっている車列の先頭にいる外車。運転席に座っている男、ではない。確かに奴も実力者なのだろう。経験から分かる。間違いなく強い。だが奴ではない。確かにあの男は強い。実力は間違いなく弔よりも上だ。だがあの男からはAFOのような恐怖は感じられない。
しかし間違いなく気配は車からした。
目を凝らして注視する。無意識に出していた右手の携帯は、既に回収役の黒霧にかけられている。ああ、これだったのか。こいつだったのか。先生が見てこいと言ったのは、そこで回収されている木っ端ではなく、アレだったのか。
弔の視界には映っていた。帝王の姿が。AFOと同じか、あるいはそれ以上。恐らく今の弔などゴミのようにあしらわれて終わりだ。ともすれば相手にさえされないかもしれない。
そんな事実が気にくわない、気にくわないよなぁ。
気に入らないから壊す。弔にとっては聞き飽きた至極当然の教え。AFOがどうしてオールマイトを殺したいのかが、正しい意味でようやく理解できた。いずれ頂点に立つのは弔だ。そうでなくてはならないのだ。そうなるための教育も施されている。
あそこにいたのは間違いなく頂点に座する者だ。だがそこに座るのは弔なのだ。そうでなくてはならないのだ。
強くなろう、賢くなろう、邪悪になろう。今度会うときは無視なんて出来ないように、敵として、脅威として認識されるように。その時は弔も頂点にいるだろう。そして、頂点は二人もいらない。
「お待たせしました、死柄木とむ———」
迎えに来た世界的にも貴重な個性を持つ黒霧と呼ばれる、普段はバーテンダーをしている男。黒霧は元々はAFOの部下だったが、AFOの意思により将来的に弔の右腕となることが決まっており、黒霧自身もそれを容認している。右腕になる存在だからこそ、弔の成長はAFOと同じくらい近くで見てきた。
いつも通り、AFOの課題で外に出されていた弔を個性で迎えに行った。黒霧の『座標移動』ははっきり言ってものすごく便利だ。視界内ならどこでも自由に、遠隔でもワープさせることが出来る。敵の攻撃を敵自身に食らわせることも出来る。下半身だけワープさせれば自由を奪うことも出来る。
座標を教えてもらい、ゲートを開けばそこは薄暗く小汚い路地裏。どんなにヒーローが飽和しようが、こういった場所は消えることはなく、そして基本的に誰かが来ることはない。
はじめは、そこにいるのが誰だか分からなかった。だが少しして、そこにいるのが弔だと理解することが出来た。正確には、外見を視界に納めることで、だ。そうしなければ、黒霧は弔を認識することが出来なかった。
少し前にAFOが苦言を漏らしていたのを黒霧は聞いていた。弔の肉体的、個性的成長は期待以上だ。だがそれの反面、精神的、悪的成長が芳しくない。前者の成長はトレーニングなどで筋繊維を破壊して自然治癒で強くすればいい。だが後者は『経験』が必要になってくる。
これに関しては弔自身の問題だ。はっきり言って黒霧にはどうしようもない。最後の一押し、卒業式の計画は既にある。いや、そちらに関しては図らずもそうなる。十分な才能の種はあるが、そこまで育たなければ、全てに意味がなくなる。
だが、ほんの少し、目を離しただけなのに弔は変わった。黒霧が認識出来なくなるくらいに中身が変化したのだ。それは洗剤同士を混ぜ合わせて出来る有害物質のように、邪悪の劇物が誕生していたのだ。
今はまだ青いが、いずれ、そう遠くない未来に最低の悪になるかもしれない。AFOの後継者として相応しいほどの邪悪に。
「おい、さっさとゲートを閉じろ」
声の中身にも変化があった。素晴らしい成長だ。誰がやったのか、何が成長させたのかは分からないが、弔を飛躍的に成長させてくれたことには感謝しかない。これにはAFOも満足するだろう。
弔に言われてゲートを閉じる。弔はアジトのバーのいつものカウンター席に座り、黒霧もカウンターの中に戻る。いつもとは違って、心なしか機嫌が良さそうだ。
「何かいい事でもあったんですか?」
「俺、そう見えるか?」
「ええ、とてもいい笑顔をしていますよ」
「ならあったんだろうな。とても、いい事がさ」
そうですか、と言っていつも通り使っていないコップを拭く。AFOにいい報告が出来ることで、黒霧も少し気分は良くなっていた。
原作何度も読み返して思ったんですけど、どうしても1巻の一般人の危機感の無さと、神野からヤクザ編の死柄木の精神的成長に少しだけ違和感を覚えてしまった。だから今回はちょいとばかり死柄木にはメスを入れてみました。無理矢理感が強かったけど。
最初からそれなりに成長していれば可笑しくないからね。
このボス、設定考えていくうちに段々邪悪になっていくのは何故なのだろうか。
それと感想欄、遅れながら全部見返しました。色々と鋭い指摘する人いて冷や汗を感じてました。
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再)今後の展開、主に2、3話後について
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原作前に原作キャラと関わってもいい
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何言ってやがる、直行で原作いけやダボが
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関わる原作キャラは俺達が決める