落ちていく‥思えば短い人生だったな。最後にあの子に会いたブベッ!!
ビタンッと地面に激突した。めちゃくちゃ痛かったが、どうやら落ちた高さはそれほどでもなかったようだ。
マジで死ぬと思っちまった‥そういえば四葉は?
少し辺りを見回すと‥なんだここ?まるでテレビ局のスタジオのような作りだ。て、四葉は‥あ、いた。同じく地面に激突したみたいで、鼻を抑えて転げ回っている。
「四葉、大丈夫か?」
「上杉さん‥はい、何とか‥私の鼻ちゃんとありますか?凹んだりしてません?」
「大丈夫だ。それにしても‥ここはテレビの中ってことでいいのか?俺たち、テレビの中に入ったんだよな?」
「私、テレビって中に入れるなんて知りませんでした。」
「最近のテレビは危なっかしくて使えねーな。メーカーにクレーム言わなきゃなんねえ。」
「それにしても、凄い煙?霧ですかね?前が見えにくいです。」
四葉の言う通り、まるでスモークのような霧だ。10メートル先の景色も怪しい。
「とにかくだ、出口を探さねねーと。落ちてきたところはどこらへんだ?」
上を見つめるが、霧のせいでわからない。
「ちょっとぐるっと見てきましょうか?」
「いや、この霧の中バラバラに動くのはやめておいたほうがいい。とりあえず、何か目印になるようなものはないか?スタジオだとしたら非常口とかはあると思うんだが‥」
「スンスン‥スンスン‥」
「‥‥一応聞く。お前何やってんだ?」
「匂いで出口を探してます。」
「‥‥で、何かわかったか?」
「こっちの方角から何か匂います!」
四葉の指差す方向を見ると、特にこれといった目標物がなく、ただ霧があるだけだ。‥いや、何か動いた!
出来るだけ声を潜めて、四葉にセットの裏に隠れるように伝えた。
「しばらく様子を見よう。」
「誰か来たなら出口を聞けばいいのでは?」
「こんな訳のわからない場所だぞ?言葉通じるかも疑問だ。」
動く物体は、だんだんと近づいてくる。身を出して物体を見ると‥
見ると‥
着ぐるみ??
まるで青い卵に手足が生えたような、そんな縫いぐるみのような物が歩いてきた。
「何ですか、あれ?可愛い‥。」
「可愛いか?それ以上に怪しすぎるだろ。」
青い着ぐるみは左右をキョロキョロしている。何かを探してる?いや、誰かをか?その場合って‥
「おかしいクマね?誰か入ってきたと思ったんだけど〜、クマの思い違い?」
「上杉さん、人の言葉喋ってますよ?」
「あぁ、そして俺たちのこと探してるみたいだ。」
とりあえず敵か味方かもわからない。もう少し観察だ。
「スンスンスン‥スンスンスン‥」
匂いを嗅いでる?
「上杉さん、あの可愛い子、匂いを嗅いでますね」
「さっきのお前みたいだな。」
「スンスンスン‥こっちから匂うクマね。」
「げっ、こっち来た‥」
「どうしましょう?逃げますか?」
「‥よくわからん場所で逃げ回るのも難しいな。人の言葉は通じるみたいだし、俺が話してみる。‥一応すぐ逃げれる心構えはしててくれ。」
勇気を出して、四葉とセットの裏から出て着ぐるみの前に立った。
「君達は誰クマ?ここで何してるクマよ?ここはシャドーが出るから危ないクマよ?」
「俺は風太郎だ。シャドーってのがよくわからんが‥お前は、なんなんだ?それは着ぐるみか?」
「私は四葉です。可愛い着ぐるみですねぇ!」
「クマはクマクマよ?着ぐるみじゃないクマよ!ところで、クマってかわゆい?撫でさせてあげてもいいクマよ?」
「わーい!ありがとうございます!」
四葉のフレンドリーなところって人間以外にも発揮するんだな。めっちゃサワサワ撫でてるし‥いや、それよりも
「クマ、ここからどうやって帰ればいい?」
「ここから出たいクマ?なら出してあげるクマよ。ホイッ!」
クマが叫ぶと、テレビ高く積んだオブジェみたいな物が出てきた。
「これに入れば入ってきた場所に出れるクマ。さっ!帰った帰った!」
そういって、クマが俺と四葉をオブジェの方に押し出した。
中野家 リビング
午前3時
五月はトイレがしたくなり、部屋から出た。おそらく、リビングには彼が寝ているだろう。毛布などは渡したが、ソファなんて寝にくくないだろうか?
眠い目を擦りながらトイレに向かう。
リビングに彼の姿はなく、携帯電話だけ置いていた。
「あれ?トイレでしょうか‥」
トイレにもいなかった。とりあえずリビングに来たが、やはりいない。
「おかしいですね‥まさか誰かの部屋に?‥いえ、そんなことする人には‥でも男の子ですし‥」
ソファの前で考え事をしていると‥
テレビが勝手に着いた‥が、画面は砂嵐だ。リモコンを踏んでしまったのかと思いあたりを見回すが、テーブルの上にあった。
そもそもなぜ、砂嵐なんだろう?まだ何かしら番組はやっていてもおかしくない。疑問に思っていた五月は、
テレビから
出てくる手を見つけ、息を飲む。
一本、二本と左右の手が画面から出てき、その腕はテレビの枠をガッチリと掴み、何かが出でこようとしているようだ。
何が?
そんなの、腕の持ち主の本体したないではないか。
画面から‥だんだんと‥頭が出てくる‥
頭が完全に出てきたところで、五月は意識を失った‥
「フー!やっと出れましたね!」
「あぁ‥四葉、最後にやってたポーズなんだ、あれ?この高さならわざわざ這い出なくてもいけるじゃねーか。」
「上杉さん、有名なホラー映画知りませんか?ラストの幽霊がテレビから這い出てくるシーンを真似てみたんですよ!こんなことなかなか出来ることではないんで!」
「見たことねーよ。うちにテレビねーしな。‥ん?あれ誰だ?」
「あれ?五月なんでこんなとこで寝てるんですかね?」
朝になり、五月が貞◯を見たと騒ぐのを、四葉は非常に気まずそうに見ていた。‥四葉がテレビから出てくるのを見たんだろうな、きっと‥。