繰り返し黒歴史
オリカ出ます
MATO YUMI 4000
VS
HASIBA SHION 4000
「いや何故そこでデュエル!!??!?!?」
デュエルモードに移行するデュエルディスクをよそに、俺はごもっともな疑問を声高に叫ぶ。
「デュエルディスクの動作確認ですから。デュエルするのは当然でしょう?」
「いやいや! 他に確認することが色々あるでしょう! 時計機能とかメール機能とか! そういうのあるって俺聞いてますけど!?」
「それは後で自分で確認してください。デュエル機能ばかりは2人以上いないとできないので」
「意外と理にかなってた! ぐうの音も出ねぇ!」
呆気に取られた。まさか上陸していきなりデュエルが始まるとは。これがアカデミアの洗礼だとでもいうのか。
「先行はあなたに譲ります。どうぞ、色々やってみて下さい」
「あっはい。じゃあお言葉に甘えまして……」
言葉の通りどうやら先行は俺のようで、まずは5枚の手札を確認する。
うわぁ……動けねぇ……
「俺はフィールド魔法『アークマキナ・ズブエクメーネ』を発動します。このカードがある限り、俺はエクストラデッキ以外からモンスターを特殊召喚できない」
「なんですって……?」
「おいおいおいセンセイ! 自分で自分の首を絞めてどうするよ!」
船長が笑いながら煽ってくる。なんてわかりやすい反応をするんだあの人は。アメリカ人かよ。
ここでデュエルディスクに何かのマークに✕がついたマークが出たのに気がついた。なるほど特殊召喚不能のマークか。こうやってデュエル中のステータスを教えてくれるの便利だなぁ。
「……色々やってみて下さいとは言いましたが、負けてくださいとは言ってませんよ?」
「負けませんよ。これが基本戦術なんです。俺はこれでターンエンド」
嘘である。事故である。これ以外全く動けません。
「……では私のターン。ドロー! 私はメインフェイズ開始時に『強欲で金満な壺』を発動!」
強欲で金満な壺
通常魔法
①:自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの
裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。
除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。
このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。
「このカードの効果によりEXデッキからカードを6枚除外して、2枚ドローします! 言い忘れましたが私は本気で行きますよ!」
「負けるつもりはこっちもないですよ。こちらも『アークマキナ・スブエクメーネ』の効果を発動します。
このカードが既に魔法・罠ゾーンに存在し、自分の墓地にモンスターカードが存在しない場合、魔法・罠・モンスターカードの効果が発動する度に、そのプレイヤーのフィールドに『魂魄機トークン』を特殊召喚する」
「橋場ちゃんのフィールドにトークンを!?」
魂魄機トークン
☆1 光 機械族
ATK0 DEF0
ディスクにチェーン表示が現れる。②のチェーンで橋場さんのフィールドに純白の機械球体『魂魄機トークン』が出現し、①で彼女がドローした。
ソリッドビジョンも凄いしっかりできてるなこれ。
「『魂魄機トークン』は攻撃対象に選択された時、破壊される」
「しかも超弱いじゃねぇかあれ! なんだぁ!?」
「なんのつもりか知らないですけどいきますよ! 手札から『シラフテッド』を召喚!」
シラフテッド
☆2 地 獣族・効果
ATK900 DEF1000
①:???
②:???
『シラフテッド』……知らないカードが出ててきたな、一体どんな効果が……って、基本ステータスだけで効果の確認はできないのかよ!? ダミット! だから『ズブエクメーネ』発動時もあんなに驚いてたのか!
「『シラフテッド』の効果発動! このモンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分の手札1枚をデッキに戻し、デッキから『シラフテッド』を特殊召喚する! そしてその効果を2体目の『シラフテッド』でも発動!」
無愛想な顔をした、青いキリン型のモンスターが3体現れる。その効果の発動に伴って、『魂魄機トークン』も1体特殊召喚された。
同名……いや同じレベルのモンスターが3体……エクシーズか!
「さあいきます! 私は3体の『シラフテッド』でオーバーレイ!」
『シラフテッド』が茶色の光に変わり、フィールド中央に出現した銀河のような渦に飲み込まれていく……!
「いでよ畜生の番人! 野生の国に迷い込んだ客人を剪定せよ! ランク2! 『地槍角ライノバーク』!」
地槍角ライノバーク
★2 地 獣族/エクシーズ
ATK1800 DEF2000
獣族モンスター3体以上
①:???
②:???
渦から現れたのは分厚い鎧をまとった、鋭い槍が角になっているサイだ。
エクシーズモンスター、やはり効果は分からないか……二つ効果があるがどう出てくるか……
「まずは『ライノバーク』のオーバーレイユニットになった『シラフテッド』の効果発動! このカードと同名カードを3体以上X素材にしてX召喚に成功したモンスターは1度のみ、攻撃力が1000ポイントアップし、攻撃を2回行うことができる!」
「攻撃力2800の2回攻撃……しかしその効果の発動に伴い、『魂魄機トークン』をあなたのフィールドに特殊召喚する」
「問題ありません! バトルフェイズです!」
『ライノバーク』がけたたましい咆哮を上げる。すごい血気盛んなモンスターだなぁ。本当に元々攻撃力1800かよ。
「この瞬間、『ライノバーク』の効果発動! バトルフェイズ開始時、このカードのオーバーレイユニットを1つ使うことで、このターン、『ライノバーク』はこのカード以外のカード効果を受けず、攻撃力が1300ポイントアップする!」
「え゛」
「あなたが手札から何か発動しようとしていることはお見通しですよ! バトル!」
そんな脳筋と鉄壁を兼ね備えたような効果持ってんのかよ! 物騒だなオイ!
「その効果の発動に対して『ズブエクメーネ』を発動し、『魂魄機トークン』を特殊召喚する!」
「関係ありません! ダイレクトアタックです『ライノバーク』! 【地翔閃】!」
「えっ、ちょっ……!」
それは一瞬であった。
図体からは想像もできないスピードで『ライノバーク』が走り、ライフを刈り取るために迫ったのだ。
攻撃宣言をした時には既に『ライノバーク』は姿が消え、俺の目の前に鬼の形相をして現れた。
そして──
「やっぱやるなあ橋場ちゃん。新人センセイでも全力なとこ、最高だぜ」
「……ちょっと大人げなかったですかね。もう少しデュエルディスクに慣れてからワンキルはするべきでしたか」
爆発音と砂煙が上がった。
『ライノバーク』の攻撃がそうさせたのだ。凄まじい威力と破壊。それを彷彿とさせるだけのソリッドビジョンがそこに再現されていた。
彼女はふぅと一息吐いて、残念がるように呟いた。
「念の為警戒して2回攻撃を付与してみたけれど……過剰だったようですね」
「……そうですね、無駄でしたよそれは」
「でしょう。じゃあ間藤さん、アカデミアの館内紹介に行きましょうか。相田さんも一緒に報告に行きましょう」
「オッケー!」
「そうですね、早く休みたいところですし。でもまあ──」
「──それはこのデュエルで勝ってからってことで」
「えっ……?」
「なんだなんだ!?」
砂煙が晴れる。
そこにあったのは『ライノバーク』と、俺を守るようにしてそびえ立った白い崖だった。
「そんな……どうして攻撃が止められて……」
「罠カード『アークマキナ・クリフ』。このカードは相手モンスター直接攻撃宣言時、手札から発動できる。
自分の墓地にモンスターカードが存在しない場合に発動でき、相手バトルフェイズ及びメインフェイズ2を終了させる」
「なんですって……?!」
「そうか、『ライノバーク』の攻撃を止めたんじゃなくて、バトルフェイズそのものを終了させた!」
「船長さんその通り。そして『ズブエクメーネ』の効果で『魂魄機トークン』を俺のフィールドに特殊召喚して、エンドフェイズになる」
「くっ……」
「まさかデュエルで反射神経が求められるなんて……少しヒヤヒヤしましたが、どうやらこのタイミングで発動できるカードはないようですね。そう、つまり俺のターンとなる! ドロー!」
よし良いカードだ! 橋場さんのフィールドに俺の行動を妨害できるカードはない。手札は4枚あるが、その程度ではこれからの動きは止められない! 理想的だ! なんだか楽しくなってきたぞぉ!
「で、でも1ターン生き延びただけです! 『ライノバーク』は相手ターン中にオーバーレイユニットを使うことで、守備表示になり、守備力を1300アップさせて、更に手札を1枚を捨てれば戦闘・効果で破壊できなくさせることもできますよ!」
「関係ないですねぇ! 手札から速攻魔法『アークマキナ・テラフォーム』を発動!
自分の墓地にモンスターカードが存在しない場合に発動でき、フィールドの『魂魄機』モンスター1体以上を含むモンスターを任意の数素材にして、自分のエクストラデッキから『魂魄機』融合・S・リンクモンスターを正規の召喚法扱いとして特殊召喚する!」
「い、1枚で複数の召喚法を扱う魔法カードですって……!?」
「強……ん……? しかしセンセイのフィールドにはモンスターは一体しか……」
「このカードで選択できるのは相手のモンスターも含まれている、つまり! 橋場先生の『ライノバーク』諸共俺のモンスターの糧となってもらいますよ !」
「召喚だけじゃなくて除去もするのかよ!! 強!!!!」
「俺は『ライノバーク』と『魂魄機トークン』を3体を指定し、融合させる!」
『ライノバーク』と『魂魄機トークン』が俺のフィールドに現れた渦に引きずり込まれ、溶けて一つになっていく……!
「古き世界の血族よ! 新しき世界の因子と交わり、統制せよ!
融合召喚! 現れ出でよ『魂魄機天ネーナ』!」
魂魄機幻ネーナ
☆9 光 機械族/融合/ペンデュラム
◀:1 1:▶
ATK3200 DEF2600
EXデッキから召喚されたモンスター+『魂魄機』モンスター3体
【ペンデュラム効果】
①:???
【モンスター効果】
①:???
②:???
③:???
現れたのは輪郭がぼやけた機械仕掛けの巨大な天使。神々しい光を全身から反射し、圧倒的な質量がデュエルフィールドを支配した。
「な……何だこのモンスター……」
「すごい……キレイ」
「見とれるのはそこまでですよ! 『魂魄機幻ネーナ』の効果発動! このモンスターが融合もしくはP召喚に成功した場合、このカードのコントロールを相手に移す!」
「えっ……私のフィールドに移す……?!」
巨大な天使の輪郭がさらにぼやけ、俺のフィールドから消えると、今度は橋場さんのフィールドに再び姿を見せた。
「そして! 『魂魄機幻ネーナ』の効果! 自分の墓地、つまり今は橋場さんの墓地にモンスターカードが存在する場合! 相手ターン中に相手が受ける戦闘・効果ダメージは自分が受けなければならない!」
「……! それは……!」
「そして『ズブエクメーネ』の効果! 『テラフォーム』を発動したことにより、俺のフィールドに『魂魄機トークン』が特殊召喚される! これで俺のフィールドに『魂魄機トークン』が2体! さあ! バ ト ル !」
「『魂魄機幻ネーナ』の効果でこのターン、センセイが受けるダメージは全て橋場ちゃんが受ける……ということは!」
「『魂魄機トークン』2体で、『魂魄機幻ネーナ』に攻撃! トークンの攻撃力は0、ネーナの攻撃力は3200!」
俺のフィールドから小さな白い球体が巨大な天使に向かい衝突する。儚く球体は破裂し、天使の身体に赤いオーラが身に纏われた。
やがてゆっくりと天使が橋場さんの方を振り向き、空中に無数の光球が出現する──!
「生命を弄んだ怒りを今こそ受けよ! 【蜃気楼の現界】!」
「ひどいマッチポンプじゃないですか!!! きゃあああああああああああ!!!」
「橋場ちゃああああああん!!!!」
光が矢のように降り注ぎ橋場さんをフィールド諸共爆撃する。何も残らないように、全てを咎めるように。
そして攻撃が止んだ時、決着がついた。
MATO YUMI 4000 WIN!
VS
HASIBA SHION 0 LOSE……