最強攘夷志士は異世界でも最強?   作:極丸

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サブタイ関係なし


主人公が有利になると主人公補正とかって言われるけど不利になったらなったで上げ足取られたりするから結局程よい立ち位置って存在しない。

 銃声が鳴り響く。

 魔物の唸り声が聞こえる。

 血が噴き出る音が木霊する。

 ハジメたちが迷宮探索に出て早数時間が経過した。本来であればこの時点ではハジメはまだ何の力も持っていないのだが、ハジメは器用にガンスピンをしながら呑気に坂田たちの後ろを歩いていた。

 

「一体どれくらいの時間が経ったんだろうね?日差しが入り込まないから今が一日のうちのどの辺なのか見当もつかないや」

 

 魔物が一匹死んだ。

 

 坂田たちと呑気に喋っているハジメは黒い銃身の拳銃二丁をクルクルと器用に回しながらそうボヤく。その先では……

 

「んなもん適当でいいんだよ、適当で。どうせ上に戻るまで朝だろうが夜だろうが影時間だろうが向こうにとっちゃ関係ねぇんだしこっちもオールナイトの気分で突っ走りゃあいいんだよ。おめぇんちでよくやっただろうが、GTAで強盗したりCoDで一日潰したりだとかよくあっただろ」

「それとこれとは話が違う気がしてならないんだけど……」

「いやいや、結局てめぇも拳銃創ってやる気満々じゃん。リアルGTAしようとしてんじゃん」

「ぴょん」

 

 坂田は木刀を振り回しネズミやらムカデやらの魔物をなぎ倒していた。それでもかなり余裕があるそうだ。

 ハジメの手にしている拳銃はごつい片手銃であり、黒い塗装が渋いいぶし銀のビジュアルだった。どことなく厨二心をそそる要素がある。

 

 また魔物が死んだ。 

 

「いや、この状況はどっちかって言うとのブラッドボーンとかアサシンクリード辺りの方が近いと思うけど?雰囲気とかそっくり」

「SEKIROも仲間に入れてやれよ」

「そうなると獅子猿を二回倒さなきゃいけなくなるから僕としてはあまり仲間に入れたくないな。良いゲームではあるけどね」

「出来ればブレイスオブザワイルドとかゼノブレイドみたいなあまり死人が出ない雰囲気の方が僕としてはいいけどね」

「ぴょん」

 

 また魔物が死んだ。

 

 光輝も話に入り始め、奈落の底で交わされるような内容ではない話が和気藹々と続けられていた。

 そして特に留まることなく、三人は階段の前にたどり着く。

 

 そのついでにまた魔物が死んだ。

 

「これで今何階層だ?俺3回目あたりから数えんのやめたんだが」

「しっかりしてよ坂田君。これで6回目。つまり今は56階層らしいね」

「でも下がって本当に大丈夫かい?確証はないだろう」

「ぴょん」

「大丈夫だって光輝君。檜山君は確実に僕らの階層よりも下の方にいる。これは間違いないんだから」

 

 下りの階段に。

 何故上を目指すべき3人が下りの階段へと足を進めているのか。それは50階層の時にまでさかのぼる。

 

 

 

「これって……」

 

 ハジメはその巨大な穴の前に独り言ちる。その穴は巨大であり、ベヒモスが落ちた時と同じほど、いや、それ以上の大きさの穴だった。

 その穴を見つめ、ハジメは何も言えなかった。

 そのハジメの様子を不審に思ったのか、馬鹿二人も穴を眺め始める。

 

「おー、こりゃでけぇ穴だな?あのオオトカゲが落ちてった穴か?」

「いや、()()()()()()()って言った方がいいんじゃないかな?多分あの竜が落ちたはずみでできた穴だよ。相当な重さみたいだったしね?勢いがついてむしろ穴を作るレベルにまで至ったんじゃない?」

「ひょっとして檜山君って……僕たちのいる層よりもさらに下にいるんじゃ……」

「あん?どういうこった?」

「だから、檜山君はベヒモスと一緒に穴に落ちてったんじゃないかなって思って……」

「「??」」

 

 ハジメの言い分にうまく読み取ることが出来ない二人は頭に?を浮かべるばかりだ。その様子を見てすぐさま呆れた表情を浮かべるハジメはそう思っても仕方ないと割り切り、説明を始める。

 

「僕が目が覚めた時にはそこって水辺だったんだ……僕が思うに僕だけはその水に落下の勢いを殺されてうまい事生き残ったんじゃないかなって思って……そういえば二人はどうやってあの落下から生き延びたの?」

 

 ハジメの質問に意気揚々と答えようとするのは、光輝であった。

 

「ふっふっふっふ……僕はもう既にあの時飛行法をマスターしていたんだよ……残念ながら数秒しか飛翔が出来ないけど、それを使って僕は墜落の勢いを直前で回避したんだよ……」

「え?!飛行術!?ど、どうやってそれを……」

「ふ、ある人たちを参考にしたら出来たのさ……、その人の名は……

 

 

 

 

 

 

 

……ダオス様とミトスくんだぁあああ!!!!!」

「ここでまさかのテイルズゥウウウ!?」

 

 テイルズネタ、まさかの復帰である。予測できるはずもないボケにハジメは思い切り叫びあげる。遠くの方でハジメのツッコミがハウリングしていた気がするが、そこは気にする必要のない事である。

 ハジメの驚き具合に気付かず、光輝は意気揚々と話を続ける。

 

「やっぱりダオスの様に覇気を纏うのも捨てがたかったんだけど、ミトスくんの背中の羽も譲れなくてね……最終的にはダオス様のスタイルはどこかでローブが手に入ったら再現できると思ってミトススタイルをまずは極めようと思って、【飛翔】ってスキルを発現することが出来て、数秒間浮遊することが出来るようになったんだ……これからどんどん秒数を長くしていき最終的には一日中飛べるようになるつもりだよ。後は後ろの羽をどうにかして再現するだけさ」

「どっちかって言うとミトスくんの方が再現難しいと思うけど?なんでよりによって一番ファンタジー色強い人選んだの?」

「ぴょん」

 

光輝のドヤ顔にハジメは呆れながら呟く。バカバカしすぎると考えた様だ。事実ばかばかしいし思いついたとしても実践しようとは到底思わない策である。しかしハジメはそこで思考を止めて腰を上げる。馬鹿の馬鹿な話をこれ以上聞いても馬鹿な返答しか返ってこないと分かっていたからだ。

 

「それでさっきの話の続きだけど、檜山君はよくよく考えると落下した瞬間は意識が無かったんだ。おそらく落ちてる瞬間もそうだったはず。だとしたら相当のラッキーが無いと途中で止まったりはしない。ずっと最下層に着くまで落ち続けるはずだよ」

「なーるほど、けどよハジメ?それだったらそんだけ高けー所に落ちたんだったら生きてねーんじゃね?」

「そこは希望的観測だけど……死んでたとしても、せめて何か遺品位は持って帰りたいんだ……」

 

 ハジメの顔に哀愁が漂い始める。それを見て光輝と銀は何も言わなかった。

 

「本当に変わったよね。前だったら考えられなかったよ」

「オレがきっかけで仲直りできたって訳だ。感謝しろよハジメー」

「ぴょん」

 

 そして振り向かずにそのまま階段を歩いていった。ハジメもただ黙って後を追う。

 

 

 

 

 

「……うん、回想シーン挟んでも問題が解決されなかったから気になったんだけどさ……それ何?」

「ぴょん」

 

ハジメは改めて坂田達の方を見る。そこには銀と光輝の間に鎮座する大きなウサギがいた。そのウサギは終始ジッと南雲の方を眺めて何もせずにいた。

 

「それじゃないよ。エリザベスだ」

「何勝手に名前まで付けてんの?エリザベスってその太ももバキバキのアンバランス感ありまくりなそのうさぎが?どう考えてもエリザベスって感じじゃないよ」

「この子は僕を助けてくれた大切な仲間だよ。南雲君と会う前にエリザベスとは出会っていてね」

「そんな前からいたの!?」

 

 ハジメが驚いていると光輝は物思いに耽りながら上を見上げた。

 

『そう、あれは僕がペガサス彗星拳を会得して流星拳を会得しようとし始めた時の事だった……』

「ペガサス……流星拳!」

『おい!何か回想入ったぞ!』

 

 記憶の中の光輝はハジメが最初に会った場所にてペガサス流星拳にの練習をしていた。声を張り上げながら。

 

「くそ……まだペガサス流星拳は会得出来ないか……でもまだまだ!ペガサス……流星拳んんんん!!ん?」

 

 やがて光輝は周りから見られていることに気が付く。見渡してみると其処には涎を垂らした魔獣の群れが光輝をじっと見つめていた。

 

『その時僕は何故か分からないけど大量の魔物に囲まれてしまっていた……』

『なぜかじゃねーよ!そんなペガサス星夜が全力で大声放つような大技連発してたらそら魔物も来るわ!』

『その時だった……エリザベスが辺りにいた魔物を蹴散らしてくれたのは』

 

「ぴょん」

「き、君は……?」

「ぴょん(お前は俺の食糧だ。他の奴等に食われちまったら俺の食う分がねぇんでな)」

 

 突如として現れたムキムキの足を持った兎は口から涎を隠し切れないほどにだらだらと垂らしていた。その事に気付いていないのか、光輝は目を輝かせた。

 

「ひょっとして助けてくれるのかい!ありがとう!魔物の中にも優しい心を持った奴も居るんだね!よし、そうとなれば共に戦おう!そして僕の仲間と合流しよう!こんなにいい魔物なんだ!きっとみんな受け入れてくれるよ」

『いや、めっちゃ涎垂らしてるけど?こいつ完全にあれだよね?お前の事食料としてみてるよね?』

「ぴょん(仲間がいんのか。だったら尚更死んでもらえねぇな。そいつらのとこ案内して貰うまでは是が非でも生きて貰うぜ)」

『なんか光輝君の言葉聞いて更に献身的にサポートしだしたんだけど?!これ餌が増えたことでさらにやる気出たとかじゃない?完全に僕らの事も食料としてカウントしてない?!』

 

 

 

「…………っていう経緯を得て僕とエリザベスは出会ったんだ」

「「なんちゅうもん連れて来とんじゃてめぇはぁあああああ!!!!!」」

「キャッサバ!」

 

 話し終えた光輝の顔面に坂田と南雲のドロップキックが炸裂する。勢いそのままに光輝は四、五回回転して壁にめり込む。それを確認すると銀とハジメはそのまま後を去る。兎が光輝の側に駆け寄っていくのが見えた。

 

「ったく、なんつーもん連れて来てんだあいつは……」

「もう面倒くさいよ対処が…………坂田君、パス」

「拒否だバカヤロー、あんな核弾頭一人で背負い込めるか」

「僕だって同じだよ。あーあ、どうやって振り切ろう」

 

 そんな話を続けながら二人は先を目指した。

 

「ぴょん(ち、先に行っちまった。おい起きろ。お前がいないとオレが不自然になっちまうだろうが。さっさと起きて追いかけやがれ。アイツら強いからへばったところを狙わねぇと食えるタイミングがねぇんだよ。オレはお前になついてるって設定だからな。早くしろ)」

「う、うぐ……エ、エリザベス……心配してくれてるのか?お前の居場所がなくなってしまうかもしれないっていうタイミングなのになんて優しいんだ……安心してくれ、必ず僕が二人を説き伏せて見せるよ」

「ぴょん(意気込みはいいからさっさとしろ。アイツら見失うだろうが)」

「ちょ、ちょっとエリザベス……あんまり引っ張らないで、痛っ、お、起き上がれないから……痛っ、いい加減にしろよお前!!ちょっと俺助けて自分が上だと思ってんのか!?こっちだって怒るときは怒……痛い痛い!一旦ストップ!ちょ、まじで!!」

 

 それを引きずられながら後を追う二人?が下へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、それじゃあ次の候補だな。ユヘ、ユネ、ユテ、ユセ、ユケ、こっからなんかピンときた奴は?」

「ない」

「ダーもう!お前まじで決めてほしいの名前!?さっきからめっちゃ文句言ってくんじゃん!!」

「檜山のセンスが無いだけ。こっちは悪くない」

「あー言えばこう言うなほんと、もう『ああああ』にしてやろうか?」

「そうなったら解放瞬間、私は檜山の眉間を撃ち抜く」

「怖ーよ!しかも出来そうだし!」

「当然できる。そこのベヒモスを抑え込んだ私に不可能は無い」

「ほんと何なのオマエ?あのデカブツがお前見ただけでひれ伏すとか訳分かんねー」

「グルル……」

「それは今は関係ない。さっさと次」

「はいはいはい分かりましたよ!あー、しかし二文字ローラー作戦ももう頭文字『ユ』でエ段まで行ったしなー、もうだいぶ終盤だしいい案無さそう、また適当に言ってくかー……ええっと、最後に言ったのが……『ユケ』……ユケかー、ユケ、ユケ、ユケ……ユーケー……UK?」

「どうしたの?」

「いや、えーっとUKってたしかイギリスの事だよなー、確かなんかまだ言ってないような名前があった筈……」

「…………」

「………………檜山」

「…………フゴ」

 

 

 

 

 

「…………よし!決めた!お前の名前は今日からエリザベスだ!はい!もう決定!!」

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