ドラえもん のび太の獣友冒険記   作:獅子河馬ブウ

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いつもながら謝罪します。本当に遅くなってすいません!!!この先自分の苦手な戦う描写がないから楽に書けるかなぁ〜、なんて思って気を抜いていたら一ヶ月近く投稿が遅れてしまいました。これからはもうすこし早く書けるように精神的に努力していきます。


我が弟が描いてくれた挿絵です。何なりとご覧ください。(`・ωメ)

【挿絵表示】



第7話 うみのしょー

アヅアエンでパンダコンビと別れたドラえもん一行はモノレールに乗り、次なるちほーのカイジュウエンへ辿り着いていた。一行はモノレールを降りてすぐ駅を出ると、そこには広大な海が広がっていた。

 

 

「うわー!きれーい!」

 

「そうだね」

 

 

海を初めて見るサーバルは視界に果てしなく広がる景色と太陽の光に反射して宝石のように輝くその光景に興奮していた。その隣でキュルルもサーバルのように楽しそうな笑顔を浮かべていた。

 

 

「水が行ったり来たりしているよー!カラカルも遊ぼうよ!」

 

「カラカルちゃん近くで見ないの?」

 

「わ、私はやめとくわ」

 

 

一方、カラカルは浜辺に生えているヤシの木に身を隠しながら海を警戒して、その隣でドラえもんは彼女が海に対して物凄く警戒になっているのか気になっていた。

 

 

「カラカルちゃんもしかして海が怖いの?」

 

「ちょ、ちょっとだけ……本当にちょっとだけなんだから!」

 

 

どうやら初めて見る海に彼女は怖がっていた。ドラえもんは沢山の動物についての知識を持っており、カラカルが本来警戒心が高く臆病な性格である事は知っている為、これが本来の彼女の姿なんだろうと思っていた。

 

 

「そ、それよりも私たちはあなたの友達やキュルルのお家を探す為に来ているのよ。早く調べて行きましょうよ」

 

「ええー、せっかく海に来たんだから遊んで行こうよ〜」

 

 

早く帰りたいと内心思っているカラカルの気持ちを察したのかドラえもんは苦笑いを浮かべる。すると、そこへ"ピョコピョコ"と音がこちらに近づいてくる事に気付いた。ドラえもん達はその音の方へ顔を向けるとそこにはアヅアエン同様にモノレールのラッキーさんが呼んだであろうカイジュウエンにいるラッキーさんだった。

 

 

『アロハ〜、海は好きカイ?』

 

「また新しいラッキーさんだ!」

 

「今度はピンク色なのね」

 

 

目の前にいるラッキーさんはボディは今まで見てきた中では全く異なる桃色でゴーグルやシュノーケルに浮き輪をつけていた。そして、口調も陽気で親しみやすそう性格をしていた。

 

 

『ボクはカイジュウエンを担当スルラッキービーストだよ、君達の事はモノレールにいるラッキービーストやアヅアエンのラッキービーストから聞いているヨ。此処で聞きたい事あったら何でも言うんだヨ』

 

「ありがとうラッキーさん。早速なんだけど、この場所を知らない?」

 

 

早速キュルルはラッキーさんにスケッチブックの絵を見せる。そのページには海の上に作られた建物とその隣には大きなステージが描かれていた。

 

 

『オッケー!早速ケンサクするヨ』

 

 

ラッキーさんは彼女の頼みに答えるとその絵を頼りにカイジュウエンの地図データと照らし合わせて調べ始めた。

 

 

『ケンサク完了!ヒットしたヨ』

 

「本当に⁉︎」

 

「思ったより早いわね」

 

 

カラカルはラッキーさんが絵の建物の場所を調べ終えるのが意外と早かった事に驚きの表情を見せる。それもそのはずだ。比較として前回公園まで案内してもらったラッキービーストが検索が完了するまでの時間が約10秒前後なら目の前にいるラッキーさんは5秒程で調べあげたのだ。

 

 

「ここのラッキーさんはアヅアエンのラッキーさんよりも情報処理能力が優れていそうだね」

 

『その通りだヨ。ボクはアヅアエンの個体と比べると結構後に作られたんダ。だからその分機能は向上しているヨ』

 

 

ラッキーさんはそう言って胸を張るように胴体を突き出し、顔は変わらないがどことなくドヤ顔をしているように見えた。

 

 

「ドラえもんちゃん、その…じょーほーしょりってなんなの?」

 

「簡単に言えば頭がとても良いって事だよ」

 

「へぇー、そうなんだ」

 

 

サーバルからの質問に答えると、一同はラッキーさんを先頭に浜辺を歩き出し絵に描かれた建物へと目指して行った。

 

 

 

 

4人は浜辺をしばらく歩いていると目の前に海に面した建物が見えてきた。

 

 

「あれは…」

 

「どうやら、建物みたいだね」

 

 

浜辺にある大きな建物を見たキュルルはスケッチブックを開き目の前にある建物と自分の書いた建物の絵を見比べるとほぼ同一の建物だと理解した。

 

 

「やっぱりそうだ。絵と同じ建物だよ」

 

「やったね、早速行ってみようよ!」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

先にサーバルとキュルルは遅れてカラカルとラッキーさんを抱えるドラえもんが建物の奥へ行くとそこには防波堤のところで2人のフレンズらしき人物が互いに距離を取り向かい合っていた。

 

 

「なにしているんだろう?」

 

「さあ?」

 

 

目の前にいる2人に此処について詳しく聞こうとするが、彼女達は好奇心が高くこれからあの2人がなにをするのか黙って見ていた。

 

 

「ハイ!」

 

「そりゃー!」

 

 

メガネをつけた女性は持っていたボールを高く投げる。すると、水色のセーラー服を着た少女はボールに向かって高く飛び上がると、そのボールに口付けをする。オーバーヘッドキックを決めると、ボールは女性の手の中に勢いよく飛んでいき、バシィィィンと音を響かせながらボールを受け止める。それはさながら某超次元サッカーを連想させる。

 

 

「す、凄い!」

 

「すっご〜い!凄い技だね!」

 

「うん、凄いジャンプだったよ」

 

「やるじゃない…!」

 

 

2人のやりとりを見てドラえもん達も関心した声を上げながら2人に拍手を送っていた。一方、2人はドラえもん達の存在に気がつかなかったのか面食らった表情を見せ顔を赤くしていた。その様子を見たドラえもんは2人は恥ずかしがっているのかと思っていた。

 

 

「ご、ゴホン……えっと、あなた達は?」

 

 

眼鏡の女性は冷静になる為、咳払いをすると突然やってきたドラえもん達が何者なのかと聞いてきた。

 

 

「あ、自己紹介が遅れたね。僕はドラえもん」

 

「サーバルキャットのサーバルだよ」

 

「人のキュルルです」

 

「カラカルよ」

 

 

4人はそれぞれ自己紹介を行うと、それを聞いていた眼鏡の女性はとセーラー服の少女は「う〜ん?」と唸り声をあげながらドラえもんの姿を観察するように見ていた。一方、ドラえもんも疑問符を浮かべて彼女達の行動に黙って見ていた。

 

 

「ドラえもん……もしかして、アザラシのフレンズですか?」

 

「きっとそうだよアシカちゃん」

 

「あ、アザラシッ!?」

 

 

ドラえもんは思わず衝撃を受ける。今までは"たぬき"などと呼ばれていたが、アザラシと呼ばれるのは初めてであった為、新鮮さを感じるものの自分の事を呼び間違えた事実は変わらない為、頬を膨らませながら怒った表情をして2人に訂正する。

 

 

「あの!僕は猫型ロボットなんですけど!」

 

「ねこがたろぼっと?」

 

「お魚の名前かな?」

 

 

自分の事を猫型ロボットとと言うものの勿論フレンズ達はロボットについて知らない為、ドラえもんが何者なのか益々わからなかった。彼はイルカが魚と勘違いした事から思わず肩をがくりと落とす。

 

 

「と、とにかく僕は猫なの!誰がなにを言おうと猫なんだ!」

 

「いや、そう言われましても……」

 

「全然猫っぽくないよ、だって耳が無いし」

 

 

あくまでも猫だと貫き通すドラえもんの意思に2人は猫要素があまり無いドラえもんに困惑の表情を見せる。それを見ていたサーバルとキュルルは苦笑いを見せ、カラカルは額に手を当て溜息をつくとドラえもんに近寄った。

 

 

「ドラえもんそこまでにしなさい。それ以上やるとキリがないわよ」

 

「あ、ご、ごめんなさい」

 

 

ドラえもんはまたしてもやってしまった事に自分自身が情けなく思ってきた。

 

 

「あはは、なんかドラえもんちゃんが怒るのって、当たり前に思えてきたね」

 

「そうだね」

 

 

一方、サーバルとキュルルはドラえもんとカラカルのやりとりにすっかり慣れて、思わず笑いがこみ上げてきた。一方、初めて見る2人組みのフレンズは呆然としていた。それに気づいたサーバルは「あっ」と声を上げて2人に話しかける。

 

 

「それであなた達はなんのフレンズなの?」

 

「……はっ⁉︎…忘れていました。イルカさん私たちもやりますよ」

 

「う、うん!」

 

 

呆然としていた彼女達は軽く打ち合わせを行うとサーバル達に向かって小さく「せーの」と声を出すとアトラクションなどのショーのノリで2人は自己紹介を行う

 

 

「私はカルフォルニアアシカ!」

 

「私はバンドウイルカ!」

 

「「よろしくねぇ〜!」」

 

「あ…うん、よろしく」

 

 

2人の挨拶を聞いたがカルフォルニアアシカとバンドウイルカはそのまま笑顔を浮かべながら手を振り続けた。そのことに4人は疑問を浮かべると、代表としてキュルルが聞いてきた。

 

 

「なんで手を振り続けているの?」

 

「「ええっ!?」」

 

 

すると何故か2人は驚きの表情を見せると、慌ててカルフォルニアアシカが訳を話す。

 

 

「ご褒美ですよ!手を振っているとご褒美がもらえるハズです!」

 

「何よそれ!?なんで手を振るだけでご褒美がもらえるのよ!?」

 

 

カラカルはカルフォルニアアシカの説明を聞いて思わず声を上げてしまった。それは当然の反応だ。手を振る動作でご褒美を貰える話は聞いたことがない。勿論ドラえもん達もそんな話は知らない為、カラカルと同じ気持ちだが、冷静になって2人から訳を聞くことにした。

 

 

「手を振るだけでご褒美を貰える……そう言うフレンズって事?」

 

「うん、昔からそういう決まりになっているんだ」

 

 

キュルルが友好的にバンドウイルカから訳を聞くと彼女は自分たちの中では決まっていると言う。それを聞いた彼女は納得すると鞄の中からモノレールから持ってきたジャパリコロネを取り出す。

 

 

「うーん、じゃあコレはどう?」

 

「「ご褒美!」」

 

 

2人はキュルルからジャパリコロネを受け取るととても良い笑顔を見せていた。その様子を見たドラえもんは彼女たちについて考える。

 

 

(ひょっとしてこの2人は水族館にいる水中ショーの動物からフレンズ化したかも、だからその時の習慣がフレンズ化した今でも残っているのか)

 

 

サーバルやカラカルのような野生動物ではなく人に飼育または躾されていた動物ではないかと考える。そうであると目の前にある建物がなんなのか大体見当がつく。しかし、まだ確信はない為、しばらくは自分の内に閉まっておこうと思った。

 

 

「ん?」

 

「……」

 

 

一方、サーバルは大はしゃぎで喜んでいるバンドウイルカに対してカルフォルニアアシカはあまり笑顔を浮かべていないことに気づいたが、特に口に出すことは無かった。

 

 

の の の の の

 

 

キュルルから貰ったご褒美(ジャパリコロネ)を食べ終えた彼女たちはドラえもん達と話し合いをする。

 

 

「ところでみなさんは何しにこちらへやって来たんですか?」

 

「わたし達はキュルルちゃんの巣とドラえもんちゃんのお友達を探しにきたの」

 

「あと、僕の友達はみんなキュルルちゃんと同じ人だから」

 

 

カルフォルニアアシカから此処へ来た理由を聞かれた4人はキュルルの巣とドラえもんの友達(のび太達)について言うと2人は「う〜ん」と唸り声をあげながら考える。

 

 

「キュルルさんの巣にドラえもんさんの友達ですか」

 

「でもでも、わたし達はけっこう長くここにいるけど、巣やヒトは見たことないよ」

 

 

2人は全く知らないと答えるとキュルルはガッカリするもののそこで諦めず、すぐにスケッチブックに描かれた絵を2人に見せる。

 

 

「僕たちはこの絵を頼りにお家を探しているんだ」

 

「……確かにコレはわたし達の住処ですね。ほら、すぐそこにありますよ」

 

 

カルフォルニアアシカ達はじっと絵を見つめながら目の前の建物と絵に描かれてある建物は同一の物であると伝えると、キュルルは少し顔を明るくして、絵と同一である建物の外観を眺める。

 

 

「キュルルちゃん何か思い出しかい?」

 

「ううん、何も思い出せない……ドラえもんの方は友達はいそう?」

 

ドラえもんはキュルルが何か思い出したかと聞くが、彼女は首を横に振って答える。次に彼女はドラえもんに友達はいるのかと聞くと、ドラえもんはたずね人ステッキを取り出して使ってみるものの、ステッキはレールの先の方向へ倒れた。

 

 

「僕の方も駄目だ」

 

「そっか」

 

 

2人は互いに収穫が無い事に肩を落とし、ため息を深く吐いた。それを見たカラカルが慌てて2人に話しかける。

 

 

「ね、ねぇ!ここには巣や友達はいないから次のところへいきましょう」

 

「カラカル…」

 

「……まだ早過ぎるよ」

 

 

サーバルとドラえもんは苦笑いをする。一方、カルフォルニアアシカがドラえもん達に話しかけてくると、絵に描かれてあるステージに指をさしながら答える。

 

 

「あの、こちらの建物は知っているわ」

 

「本当に⁉︎」

 

「でも、それはどこにあるの?」

 

 

辺りを見渡すサーバルだが、それらしき建物は全く見当たらなかった。

 

 

「ええ、この建物はここじゃなくて」

 

「海の方にあるんだよ!」

 

「海って……」

 

 

4人はバンドウイルカからステージの場所を聞いて、視線を海の方に向ける。すると、真っ先にカラカルは声を上げる。

 

 

「い、言っておくけど、私は泳げないから!」

 

「私も苦手かなぁ」

 

「僕もあまり…」

 

 

それを聞いたドラえもんはそれはしょうがないと思った。サーバルとカラカルはネコ科動物であるため、泳ぐのは不得意であり、キュルルの場合は記憶喪失をしているため泳ぎ方を覚えていない。

 

 

「うーん、ラッキーさん此処には船とかないかな?」

 

 

ドラえもんは足元にいるラッキーさんに話しかけて海へ行ける手段はないかと聞くとラッキーさんは答える。

 

 

『それナラ、ボートがあるカラそれに乗って行こう』

 

「本当に⁉︎それは良かった」

 

「ええっ!?行くのー!?」

 

 

カラカルは露骨に嫌そうな表情を見せると、サーバルはカラカルの方に向きいたずらっ子のような顔を浮かべる。

 

 

「それならカラカルは此処で1人お留守番する?」

 

「うっ!…わ、わかったわよ!行けば良いんでしょ!」

 

 

カラカルは渋々とサーバル達と共に海へ行くことになったが、

 

 

「「ら、ラッキーさんが喋った!?」」

 

「まぁ、その反応するよね」

 

 

ラッキーさんの喋る姿を初めて見た彼女達は大きなリアクションを見て、ドラえもんやサーバル達は軽く笑った。

 

 

の の の の の

 

 

ラッキーさんの案内で建物の中に置かれていたボート、というよりはクジラの姿を模した小型の船を使って行こうとしたが、長く使用していなかった為、燃料であるバッテリー切れを起こして動かすことが出来なかったが、バンドウイルカとカルフォルニアアシカに押してもらう事になった。

 

 

「ギニャーッ‼︎」

 

 

海の上を進む船からはカラカルの情けない叫び声が響き渡る。彼女は激しく揺れる船から振り落とされない様にしっかりとしがみついていた。その姿をみてドラえもんとキュルルは思わず苦笑いを浮かべる。

 

 

「すっごーい!みてみてカラカル!」

 

「いい!やめて!」

 

 

一方サーバルはカラカルとは反対に激しく揺れる船をもろともせずに楽しそうに海の景色を眺めていた。

 

 

「別に無理について来なくても良かったのに……」

 

「そ、それはあんた達だけじゃ心配っていうか……」

 

「もう、カラカルちゃんったら本当は1人じゃ寂しいからでしょ」

 

「ドラえもん‼︎…ヒィッ!」

 

 

"余計な事を言うな"と言わんばかりにカラカルはドラえもんに対して強気な視線を送るが、激しく揺れる船に乗っている為すぐに怯えた姿勢に戻る。それを見たドラえもんは思わず苦笑いを浮かべる。そして、しばらく船が進んでいくとスピードも落ちていき、次第に船は止まった。

 

 

「此処だよ」

 

「え?でも建物なんて…」

 

 

辺りを見渡すキュルルだがそこにはステージどころか何も存在していなかった。すると、自分たちの足元から叩く音がして下を向くとそこには海の中が見えるようにガラスが張られてカルフォルニアアシカが軽く叩いていた。

 

 

「アシカさん⁉︎」

 

「流石アシカのフレンズだ」

 

「うわぁ〜!ボートの底から海の中が見えるよ」

 

 

一方でカルフォルニアアシカは指を下に向けてみんなに下を向くように表現をする。それにつられて4人は下の方に視線を向けると、

 

 

「あれは!」

 

 

そこには絵に描かれていたステージが存在していた。4人は海にあるステージを見て呆然となる。

 

 

「海の中にあったんだ……」

 

「どうするの?」

 

 

カラカルは自分達は海の中にいる2人の様に泳げない為、どうやって海の中にあるステージまで行くか悩んでいると、キュルルはラッキーさんに話しかける。

 

 

「ラッキーさんどうにかならない?」

 

『大丈夫、此処にハ海中でフレンズと触れ合うための酸素ボンベとウェットスーツが備わっているヨ』

 

「本当に?」

 

『うん、船内の中にあるカラそれに着替えるんだヨ』

 

 

ラッキーさんと共にキュルルは船室へと入って行き、数分が経過すると、船室からウェットスーツを着た彼女が、ガラスのボンベを抱えて出てきた。その姿を見たサーバルとカラカルは顔色は青ざめ驚愕の表情を見せる。

 

 

「どうしたのよその毛皮は!?」

 

「キュルルちゃんの毛皮って取れるの!?」

 

「え?2人とも急にどうしたの?」

 

 

何故か慌てふためく2人の姿にキュルルは困惑の表情を浮かべて首を傾げる。

 

 

「だって、自分の毛皮を剥いで別の毛皮を体に付けるなんてあんた気でも狂ったの!?」

 

「えっ!?ち、違うよ!コレは毛皮じゃなくて"服"なんだけど」

 

「「"ふく"?」」

 

 

彼女が毛皮を服と呼んだ事に今度は2人が首をかしげる。その様子を先ほどから黙ってみていたドラえもんが口を開く。

 

 

「服って言うのはサーバルちゃん達でいう毛皮の事だよ。きっとフレンズだからその服も脱げる筈だよ」

 

「本当に⁉︎」

 

 

するとサーバルはドラえもん達の言っていることが本当か確認しようと真っ先に自分の毛皮()に手をかける。それを見たドラえもんとキュルルは慌ててサーバルを止める。

 

 

「ちょ、ちょ⁉︎なにやっているのサーバルちゃん!!!」

 

「え?何って、毛皮を取ろうと」

 

「ひ、人前でやらないでよ!」

 

 

ドラえもんとキュルルは顔を赤くして毛皮を脱ぐ事になにも躊躇しないサーバルに注意をするが、それを見ていたカラカルが疑問符を浮かべる。

 

 

「なんでそこまで慌てるのよ?」

 

「「カラカル(ちゃん)⁉︎」」

 

 

まさかこの中で一番の常識であるカラカルがサーバルがいきなり毛皮()を脱ぐ行為に何も思っていない事に思わず驚きの声を上げるがドラえもんは冷静になって考えてみた。

 

 

(そうだった、この子(フレンズ)達は動物から人に進化した姿をしているけど元々の知識は動物だった頃のままであまり人の常識についてはあまり知らないんだった)

 

 

彼女たちは動物だった頃は言わば常に裸である為、それに対しての羞恥心は特にないのだ。その事に気付いたドラえもんは思わず額に手を当て、冷静になる。

 

 

「と、兎に角その毛皮を人前じゃ脱いじゃ駄目だからね!」

 

「どうしても?」

 

「どうしても駄目ッ!!!」

 

「わ、わかったわよ、ドラえもんがそこまで言うんだから何か不味い事でもあるんでしょう」

 

 

迫真の顔で駄目だと迫るドラえもんを見てサーバル達は気が進まないが渋々納得した。そんな様子を隣で見ていたキュルルは話を変えようと口を開く。

 

 

「とりあえずみんなもこれに着替えようよ」

 

「そうだね、その毛皮を着ればわたし達も海を泳げるもんね」

 

「それじゃあ、ラッキーさんサーバルちゃん達の分を用意してくれないかな?」

 

 

サーバルは自分たちも海を泳げるようになると楽しみにしていた。だが、そんな彼女にラッキーさんは残念なお知らせを告げる。

 

 

『悪いケド、ウェットスーツと酸素ボンベは1人分しかないヨ』

 

「ええーーっ!」

 

「1つしかないのか…」

 

 

水中へ泳げるウェットスーツがキュルルの着ているものしかないと知り、サーバルはガクリと落胆してしまう。一方カラカルは泳げなくて済むと知り一安心していた。

 

 

「あの〜、まだですか?」

 

「早く潜ろうよ」

 

「あ、すいません。ちょっと待っててください」

 

 

そこへ先ほどから海中で待っていた2人が痺れを切らし船に上がってきた。彼女たちを見てキュルルはこれ以上待たせるのはいけないと思い早く海に潜ろうとする。

 

 

「じゃあ、僕はアシカさん達と行ってくるから留守番を頼むよ」

 

「いいな〜、私も海の中を潜ってみたいな」

 

 

サーバルは海中にあるステージを見に行けるキュルル達の様に自分も行ってみたいと羨ましく思っていた。

 

 

「諦めなさいよ泳ぐための毛皮がキュルルの分しかないんだから」

 

「そうだよね………ん?」

 

 

カラカルから自分達は泳げない事を指摘され、途端に頭をガクリと下げて項垂れているが、彼女の視線の先は偶然にもドラえもんの腹部、つまり四次元ポケットがあった。すると、彼女はある事を思いつく。

 

 

「そうだ!ドラえもんちゃんなら泳げる道具を持っているんじゃないかな?」

 

「いや、サーバル幾らドラえもんが規格外の道具を持っているからって泳げる道具は………あるの?」

 

 

今までの無理難題を解決してきたドラえもんなら泳げる道具を持っているんじゃないかとサーバルは思い、カラカルも最初はそんな都合が良い道具を持っているわけ無いと思ったが、アヅアエンの時にあった出来事を思い出して、泳げる道具よりも凄い道具を使っていた為、泳げる道具くらいなら持っていそうな予感がしていた。

 

 

「あるにはあるけd「本当に!?」う、うん、あるよ」

 

 

ドラえもんは2人の問いに肯定した瞬間、サーバルは目を輝かせながらドラえもんの顔がくっつきそうなくらいに近づいた。一方ドラえもんの秘密道具について何も知らないカルフォルニアアシカ達は首を傾げる。

 

 

「あ、でもその前にコレを使おう」

 

「ん?」

 

 

何か思い出したドラえもんはポケットからピンク色のカメラを取り出すと、カルフォルニアアシカは驚きの表情を見せ、バンドウイルカは興味津々にドラえもんの持つピンク色のカメラを見る。一方、3人はまた初めて見る道具を見て今回はどんな道具なのかドラえもんに聞いてみる。

 

 

「なにそれ?」

 

「コレは着せ替えカメラって言って服を変える…君たちにとっては毛皮を別の動物の毛皮に変える道具だよ。とりあえずコレを使ってアシカさんやイルカちゃんの様に泳ぎに適した毛皮を着てもらうよ」

 

「でも、その道具でどうやってサーバルちゃん達に水着を着させるの?というかそれ以前にその水着が何処にもないんだけど」

 

 

キュルルの意見に2人は頷く、それもそのはずドラえもんが取り出したのは水着ではなく着せ替えカメラだ。そのカメラからどうやって2人に水着を着せるのか予想できなかった。

 

 

「ちょっと待っててね」

 

 

ドラえもんはカメラを持たない左手をポケットの中に入れるとそこから二枚の紙を取り出した。

 

 

「キュルルちゃんこの二枚の紙に2人に似合う水着を描いてくれない?」

 

「え?別にいいけど…」

 

 

彼女はドラえもんの頼みを聞いて紙を受け取ると自身の色鉛筆を使って2人分の水着の絵を描き上げるとドラえもんにその二枚をわたす。

 

 

「描いたけど、その絵をどうするの?」

 

「その絵をこのカメラに入れて2人の姿に合わせて撮るとキュルルちゃんの描いた水着がそのままサーバルちゃん達が着るんだ」

 

「?…よくわからないんだけど」

 

「まあ、見てて」

 

 

ドラえもんはそう言うとキュルルに描いてもらった水着の絵を着せ替えカメラの中に入れる。

 

 

「じゃあ、先ずはどっちからする?」

 

「わ、わたしは後からで良いわよ」

 

 

カラカルはドラえもんの道具は今まで凄かった物ばかりであったと認識しているが、それがいざ自分に向けられると思わず警戒してしまっている。

 

 

「じゃあ、サーバルちゃんからだよ」

 

「うん、お願いね」

 

 

一方サーバルはカラカルとは対照的に警戒などせず、ドラえもんに任せる。ドラえもんはレンズの中に映るサーバルの身体と水着の絵が一致するように合わせる。

 

 

「はい、チーズ」

 

「?…ちーず?」

 

パシャッ

 

 

写真撮影の定番の台詞にサーバルはキョトンとしながらもボソリと呟き、ドラえもんはそのタイミングでカメラのシャッターを切ると、サーバルの着ていた毛皮が変わり彼女の色にあった黄色と白を基準とした黒の水玉模様の水着になっていた。

 

 

「「「えええええーーッ!?」」」

 

「わぁ〜!毛皮が変わったよ。なんかスゥスゥして気持ち良いよ」

 

「なんか変な感じね」

 

『アワワ、アワワワワ』

 

 

サーバルは自分の普段着ている毛皮とは違って露出が高い為、違和感を感じているが悪くなさそうだ。隣で見ていたカラカルもサーバルの水着姿を見て違和感を覚えるが、それはそれで悪くないと感じていた。一方、キュルルは2人よりも大きな反応を見せていた。そして、ラッキーさんはアヅアエンのラッキーさんと同じようにフリーズを起こした。

 

 

「すごい!僕の描いた水着をサーバルちゃんが着ている!」

 

「これが着せ替えカメラの力だよ。これは描いた服の絵をそのまま実体化させる道具なんだ」

 

 

目の前で自分の描いた水着が実体化した上にそれがそのままサーバルが着た姿を見て我ながらよく似合っていると思っていた。

 

 

「さて、次はカラカルちゃんd「コレで泳げるようになったんだし、早速海を泳ぐね」…え?」

 

 

ドラえもんは次にカラカルも着せ替えカメラで水着を着させようとしたが、サーバルの発言に思わず彼女の方に振り返ると、そこにはサーバルが海へ飛び込もうとしていた。

 

 

「サーバルちゃん違うよ!着せ替えカメラは「だいじょーぶだいじょーぶ!先に泳いでいるから!」ちょ、まっ⁉︎」

 

 

ドラえもんの制止を無視して、彼女はその場から高く飛びそのまま海へと飛び込んでいき大きな水柱を立てる。5人は水柱を見て嫌な予感がして、恐る恐る海をのぞいてみると、

 

 

 

 

「ブクブクブク……」

 

「「「「「サーバル(ちゃん)(さん)!!!」」」」」

 

 

サーバルはブクブクと音を立てながら海に沈んでいった。その後すぐに彼女はカルフォルニアアシカ達が助け、船に引き上げた。

 

 

の の の の の

 

 

 

「もう、話は最後まで聞いてよ」

 

「ごめんね、ゲホッ!ゴホッ!…先走っちゃって…」

 

「サーバルちゃん大丈夫?」

 

「もう、サーバルはおっちょこちょいなんだから」

 

 

カルフォルニアアシカ達に助けてもらったサーバルはドラえもんとカラカルの説教を聞き、耳が垂れるほど落ち込んで反省する姿を見せていた。そんな姿を見てキュルル達はサーバルを心配そうにしていた。

 

 

「僕がしたのはあくまでも着せ替えカメラで2人の服を海に泳ぐのを適した水着に変えただけで、別に泳げるようになる道具じゃないんだよ」

 

「じゃあ、なんでサーバルの毛皮を変えたの?」

 

 

サーバルを海から引き上げた後にカラカルは着せ替えカメラで自分の毛皮を水着に変えたものの、先ほどのサーバルが泳げない所を見てこの道具は意味がないのではと思っていた。

 

 

「水着を着ると海を泳ぐ時気持ち良く感じるからだよ」

 

「ふーん、よくわからないわね」

 

 

ドラえもんの話を聞くカラカルだが、彼女はいまいち納得出来なかった。それもその筈だ、サーバルとカラカルはもともと海には無縁の場所に住んでいた為、水着に着替える意味を理解できなかった。

 

 

「それじゃあ、海を泳げるアシカさん達はその水着で気持ちよく泳いでいるって事?」

 

 

何時も海辺に住んでいる彼女達に問いを投げると、2人は返事を返した。

 

 

「私たちは自分達の毛皮についてあまり考えず泳いでいましたが、今思うと特に不快感はありませんね」

 

「うん、私もよくわかんないけど海を泳いでいるととても気持ち良いんだよ」

 

 

今まで自分たちの毛皮()を意識せず泳いでいたため、カラカルに指摘された事から改めて自分達の着ている毛皮の性能を感じていた。

 

 

「成る程、それで結局海を泳げる様になる道具は何なの?」

 

「あー、ごめん。すっかり忘れてた」

 

 

ドラえもんは軽く謝るとポケットに手を突っ込みそこから光線銃の様な道具を取り出した。それを見たキュルルを除いた彼女(フレンズ)達4人は一斉にビクッと驚きドラえもんから一歩離れて警戒した。

 

 

「これが海の中で溺れなくなる道具だよ」

 

「へぇー、なんて名前なの?」

 

「テキオー灯って言うんだ。これから出る光線に浴びれば海の中で息が出来るようになる」

 

「本当に⁉︎じゃあ、早くかけてかけて!」

 

「い、痛くないわよね?」

 

 

ドラえもんの説明を聞いたサーバルは警戒を解き、今度こそ海の中でも泳げる様になると楽しみにしているが、カラカルも説明を聞いてある程度警戒を解くが、何処と無く危険な形をしているテキオー灯に対して顔を歪めながらも渋々とサーバルと浴びる事にした。

 

 

「じゃあ、2人とも行くよ」

 

「わっ!」

 

「きゃっ!」

 

 

ドラえもんがテキオー灯の引き金を引くと銃口からは光が照射され2人の体に数秒間浴びせた。2人は視界に入る光に思わず目を瞑ってしまうが、光が治ると目をゆっくり開けるが、

 

 

「うーん、特に何も変わってないと思うけど」

 

「ほんとに効果あるの?」

 

 

彼女達は自身の体をじっくりとみて、両拳を開いたり握りしめたりするが、テキオー灯を浴びる前と浴びた後、大した変化は見当たらなかった。

 

 

「大丈夫だよ。見た目は全く変わらないけどちゃんと効果はあるから安心して海に泳いで」

 

「そう?それならいいんだけど……」

 

 

ドラえもんからも問題はないと聞くが、いざ海を泳ぐとなると足が全く動かなくなる。

 

 

「よーし、およぐぞー!」

 

「サーバル…今度は勝手に一人で行かないのよ」

 

「わかってるって」

 

 

だが、サーバルは元気よく声を上げて泳ごうとする姿をみてカラカルは不安な気持ちが薄くなった。

 

 

「ついでにもしもという場合があるからキュルルちゃんにもかけるね」

 

「うん、わかった」

 

 

ひょっとしたらなにかトラブルで酸素ボンベが壊れる恐れがある為、彼女にもテキオー灯の光を浴びせる。そして、テキオー灯を浴びせたドラえもんは彼女の着ているウェットスーツとサーバル達の着ている水着を見た。

 

 

「ところでキュルルちゃんも着せ替えカメラでサーバルちゃん達みたいに水着を着てみる?」

 

「いや、僕はラッキーさんが用意してくれたこの服で海を潜るよ」

 

 

彼女はせっかくラッキーさんが用意したウェットスーツと酸素ボンベを使わないのは勿体無いと思い、テキオー灯で海の中でも呼吸が出来ても気分としてウェットスーツと酸素ボンベを着ることにしたのだ。それを聞いていたラッキーさんは表情は変わらないが何処と無く嬉しそうな瞳をして彼女に向けた。

 

 

「じゃあ、みんな準備できた事だからアシカさん達を先頭にステージの所へ行こうか」

 

「「「うん(そうね)」」」

 

「それじゃあ皆さん私とイルカさんの後についてきてください」

 

 

カルフォルニアアシカはバンドウイルカと共に先に海に潜ると、その後をドラえもん達も海の中へ潜って行った。

 

 

の の の の の

 

 

船から海中へ潜ると目の前に広がるのは上から刺してくる太陽の光によって反射して海の中を泳ぐ魚達や岩に付いてサンゴが宝石の様に輝き、青い世界が幻想的に広がっていた。

 

 

「「うわぁ〜、きれ〜い!」」

 

 

目の前に広がる光景を初めて見るサーバルとキュルルは目を輝かせて眺めていた。すると、サーバルの目の前に一匹の小魚が横切った瞬間、サーバルの本能が目覚める。

 

 

「みゃ、みゃみゃっ!みゃみゃみゃみゃっ!!!」

 

「さ、サーバルちゃん!?」

 

 

急にサーバルが鳴き声を出しながら目の前を泳ぐ小魚を捕まえようと必死に手と足をばたつかせて動かすが、全く進まず、小魚は逃げてしまった。そして、隣でサーバルの行動を見ていたキュルルは思わず困惑の表情を浮かべた。

 

 

「何やっているのよサーバルは……?」

 

「多分、魚を捕まえようと泳いでいたんじゃないのかな?」

 

 

ドラえもんとカラカルもサーバルの泳ぐ、と言うよりは海の中でもがいている姿に見え、カラカルは呆れ、その隣でドラえもんは苦笑いを浮かべた。

 

 

「それにしてもドラえもんの道具は凄いわね。本当に海の中で息ができるなんて」

 

 

先ほどから海の中を慣れない手つきで泳ぐカラカルだが、呼吸ができ、全く目がしみらない事に船の上では分からなかったテキオー灯の効果が今身をもって感じていた。

 

 

「みんなー、こっちだよー!」

 

 

4人は一斉に声が聞こえた方向に振り向くと其処には目的のステージの前にいるカルフォルニアアシカとバンドウイルカが手を振って呼んでいた。呼ばれた4人はステージまで泳いでいる途中にキュルルがある事に気がつく。

 

 

「あれ?なんでイルカさんの声が聞こえるの?」

 

 

今思って見ると、彼女はテキオー灯を浴びていないにも関わらず会話が出来ていることにキュルルは不思議に思っていると、彼女とともにいたラッキーさんが答える。

 

 

『イルカは超音波を使って仲間とコミュニケーションを取るエコーロケーションが出来るんダヨ〜』

 

「へぇー、そうなんだ……あれ?ラッキーさんの声も聞こえる」

 

 

今度はラッキーさんの声も聞こえた事にひょっとしたら、ラッキーさんも超音波を使って会話しているのかと思ったが、すぐにラッキーさんは答える。

 

 

『その酸素ボンベは海中でもガイドが出来るヨウニ僕たちラッキービーストの声が聞こえるヨウにスピーカーとマイクが内蔵しているんダ』

 

「へぇー、それはとても便利だね」

 

 

この酸素ボンベがただ酸素を供給するだけではなく、海の中で唯一ラッキーさんと会話が出来るものだと分かると、身につけて良かったと思っていた。そして、しばらく泳ぐとキュルル達はステージに辿り着き、その圧倒的な大きさに呆然となる。

 

 

「うわ〜、大っきいねー!」

 

「近くで見ると意外と広いのね此処は」

 

 

サーバルとカラカルもここまで広いステージを見るのは初めてらしく、興味津々にあたりを見ていた。すると、彼女たちの意見に同意するようにバンドウイルカも声を上げる。

 

 

「そうでしょ!そうでしょ!ここって物凄く広いんだ!それにここってPPP(ペパプ)が歌を歌ってくれそうならいぶ会場に似ていて、面白いでしょ?」

 

「ぺぱぷ?」

 

 

バンドウイルカの口にした"ペパプ"という言葉にドラえもんは思わず復唱する。それを聞いたカラカルは口を開く。

 

 

「ドラえもんはペパプを知らないの?ペパプって言うのはペンギンのフレンズ達が組んだ"あいどる"の事よ」

 

「え、アイドルなの?(ここにはアイドルの概念もあるのか……)」

 

 

これまでドラえもんはサバンナちほーにある場違いな建物やモノレールに公園と言った物を見てきたが、彼女(フレンズ)達はそれがなんなのか知らないにも関わらず、漫画やアイドルと言った特定の文化について知っている事から、彼女たちの生活スタイルと文化がバラバラでややこしく思ってきた。

 

 

「あ、そういえば最近ここに来た子たちから聞いたんだけど、最近ペパプに新しい子が入ったんだって」

 

「へぇー!ペパプに新しいメンバーか、一体誰なんだろう?」

 

 

文化の違いについて頭を悩ませているドラえもんを他所にサーバル達はペパプについて話し合っていた。

 

 

「………」

 

 

一方、キュルルは彼女たちの話に混ざらずただ黙って観客席を見渡す。すると何処からともなく沢山の人の声と拍手が聞こえたような気がする。彼女はしばらく眺めた後、

 

 

「ん?…あれは何だろう」

 

 

観客席の1つにヒラヒラと揺れるなにかを見つける。彼女はそれがなんなのか気になり近づいた。赤い大きな布が観客席に引っかかっていた。なんで布がこんなところにあるんだろうと不思議に思いながら布に手を伸ばした瞬間、あたりの雰囲気が変わった。

 

 

「……え?」

 

 

気がつくとガラガラに空いていた観客席は満席になりそこには沢山のフレンズが歓声と拍手をあげていた。

 

 

「いつの間に沢山のフレンズが!?」

 

 

自分が気づかないうちに沢山のフレンズが席に座っている事に驚くが、それ以前に今いる場所がどこなのか気が付いた。

 

 

「ていうか、ここは海中じゃない…というか酸素ボンベがなくなったているし、服も戻っている!?」

 

 

そう言って彼女はあたりを見渡すが身が軽い事に気がつき視界も酸素ボンベを付けている前よりも綺麗だと気がつくと彼女は先ほどまで付けていた酸素ボンベは消え、着ている服はいつも自身が着ている半袖シャツとズボン気づき、更に帽子はかぶっていなかった。

 

 

「なんで帽子だけg…うわっ!」

 

 

突然観客席が軽く揺れる。地震かと思いあたりを見渡すと観客席の周りは海が広がっていた。それを見た彼女は気づいた。

 

 

「観客席が海に浮いている⁉︎」

 

 

そう、観客席が船のように海の上に浮いているのだ。そして、しばらくして冷静になったキュルルは考える。

 

 

(これはもしかして、アヅアエンの時と同じ)

 

 

そうなると、今見ているのは突如と一斉にフレンズ達の歓声が上がり、何事だとフレンズ達の視線の先を見てみる。

 

 

「レディースアンドジェントルメン!!!これより、■■■■■■と海のフレンズとのコラボマジックショーを行うよ!」

 

「あの子はあの時の!」

 

 

ステージの中央にはアヅアエンの時に見たシルクハットを被ったフレンズが立っていた。

 

 

「今回私と協力してくれるのはこの2人だ!」

 

「みなさんこんにちわ〜!カルフォルニアアシカと…」

 

「バンドウイルカだよぉ〜!」

 

 

2人はキュルル達と初めて会った時と同じく観客席にいるフレンズ達に両手を振って挨拶をしていて、その表情は生き生きとしていた。

 

 

「アシカさんとイルカさんもいる!」

 

 

なぜ2人が彼女と一緒にステージに立っているのだろうと不思議に思いつつも、彼女はそのままフレンズ達と共にステージを眺める。

 

 

「さて、それじゃあここに来てくれたお客さん達に奇跡の水中マジックを披露しよう」

 

 

そういうとカルフォルニアアシカ達は自分たちが入りそうな箱を用意する。

 

 

「さあ、ここにあるのはタネも仕掛けもないただの箱です」

 

 

そう言って彼女は箱を軽く叩き観客席にいるフレンズ達に仕掛けがないことをアピールすると、その中に2人が入っていくと、その箱に大きな錠前を付けて2人を出れないようにする。

 

 

「さあ、これで2人出れなくなりました。しかし、私が3つ数えると2人はこの箱から脱出する事が出来るんだよ」

 

 

そういうと彼女は箱を覆い尽くすほどの面積がある赤い布を被せる。

 

 

「それでは観客席に座っているお客さんも数えてください!せーの!」

 

 

観客席に座るフレンズは彼女に言われた通り大きな声で数える。

 

 

「「「「3!」」」」

 

「「「「2!」」」」

 

「「「「1!」」」」

 

「ゼロ!」バサッ!

 

 

カウントがゼロになった瞬間、箱から赤い布を取り箱についていた錠前を開け、蓋をあけるとそこには2人はいなかった。

 

 

「消えちゃった!?」

 

 

先ほどまで箱に入っていた2人は何処へ行ったのだろうとキュルルを含めたフレンズ達も周囲を見渡すが、消えた2人はどこにも見当たらなかった。

 

 

「おっと、皆さん安心して下さい2人は無事です。彼女たちは今、彼処にいます!」

 

 

そう言って指をさした先にはステージと客席の間にある海面だったすると、そこから二つの黒い影が浮かび、「バシャーンッ!」と水柱を立てながら2人は高く飛んで現れた。

 

 

「それ!」

 

ポーンッ!

 

すると、シルクハットを被っていた彼女は自身の帽子を彼女たちに向けると、帽子からビーチボールが射出される。

 

 

「あ、危ない!」

 

 

このままでは2人にボールが激突してしまうと、キュルルは声を上げてしまう。

 

 

「えい!」

 

 

しかし、彼女は飛んできたボールを蹴り返した。蹴り返されたボールはそのままボールを射出した彼女に向かって飛んでいくが、

 

 

「ふん!」

 

 

バンドウイルカが蹴り返したボールを持っていた赤い布に覆うよう受け止め、布を解くとそこにはボールではなく三つの浮き輪をリズム良く投げる。すると、今度はカルフォルニアアシカがその浮き輪に飛ぶと、浮き輪に身体を通しそのまま着地する。

 

 

「「「ハイ!」」」

 

 

そして、マジックショーのフィナーレを飾るため、3人はそれぞれポーズを決めた。

 

 

「「「「「ワァーーーーッ!!!!」」」」」

 

 

先ほどのマジックとパフォーマンスが大好評だったらしくあたりは歓声と拍手の音が響き渡っていた。

 

 

「す、すごい!」

 

 

そして、キュルルも気がついたら黙って最後まで見ていて、3人のフレンズによるパフォーマンスの感想を述べ、大きな拍手を送った。

 

 

「ねえ、キュルルちゃん。何さっきから拍手なんてしてるの?」

 

「…え?……うわっ!?あ、あれ?」

 

 

突然ドラえもんが隣から現れた事にキュルルは驚くと、彼女は先ほどまで観客席に座っていたフレンズがいない事やここが元の海底だと気がついた。

 

 

「ど、ドラえもん今少しだけどまた僕の記憶が蘇ったよ」

 

「それは本当かい!?よかったじゃないか、それで今回はどんな記憶なの」

 

「うん、それなんだけど」

 

 

彼女はドラえもんに自分が見た光景を伝えようとするが、

 

 

「みんな〜、そろそろ戻った方が良いかも」

 

 

そこへバンドウイルカがタイミング悪く全員を呼んだ。

 

 

「急にどうしたの?」

 

「アシカちゃんがそろそろ戻った方が良いって」

 

「戻るって、まだ五分も経っていないよ」

 

 

サーバルはせっかく海底に来たからもうすこしここを見て回りたい思って彼女に抗議しようとするが、

 

 

「実は最近海のご機嫌が悪いの。だからここにいたら危険だよ」

 

 

すると、カルフォルニアアシカはバンドウイルカと違ってエコーロケーションが使えない為ジェスチャーを行なって何かを伝えるが、ドラえもん達4人は彼女がなにを言っているのか全く理解できなかったが、唯一バンドウイルカはカルフォルニアの言いたい事を理解するように「うんうん」と頷いていた。

 

 

「仕方ないサーバルちゃん、帰るよ」

 

「えー、もうすこし遊んでいようよ」

 

「わがまま言わないの、海のご機嫌が何かわからないけど2人が危険だって言っているのよ?ここは帰るべきよ」

 

「そうだよサーバルちゃん、長くここに居たらなにが起きるかわからないけど、僕も此処は帰るべきだと思うよ」

 

「はーい……」

 

 

カラカルとキュルル説得によってサーバルは渋々帰ることにした。一方、ドラえもんはすこし考えた。

 

 

(それにしても"海のご機嫌"って何だろう……ん?)

 

 

ドラえもんは彼女達の言った海のご機嫌とはなんなのか考えていると、一瞬、遠い岩陰に"黒い何か"が見えた。しかし、それは瞬きした瞬間消えていた。

 

 

(なんだったんだろう。今のは……)

 

 

先ほど見たのは何だったんだ。もしかしたらサメ、クジラ、或いは魚と考えたドラえもんだが、

 

 

「ドラえもんなにぼーっと立っているのよ?」

 

「あ、ごめんごめん、今行くよ」

 

 

カラカルがドラえもんを呼び、ドラえもんは慌てて彼女達の元へ行き海上に向かって泳ぐ。その途中先ほど見たものは恐らく先ほど魚か何かだろう。そう自分に言い聞かせてドラえもんは海の中を上がっていった。




フレンズ図鑑

バンドウイルカ

クジラ偶蹄目マイルカ科ハンドウイルカ属

Tursiops truncatus

高い遊泳力を持ち人懐っこい、水族館の主役・バンドウイルカのフレンズ。
外洋から沿岸などに生息しているが、内湾や大きな河川の汽水域などでも見られる。普段は水深1m程のところを遊泳していて、3~45m程のところを定期的に潜ったりしている。バンドウイルカは一見ほぼ全身灰色であるが、詳しくみると、背びれの先端の辺りの濃い灰色から、腹面にかけての明るい灰色にまで変化し、腹部はほぼ白である。この配色のため、水中を泳いでいる時には、上方向からも下方向からも見つけ難いようになっている。バンドウイルカは「泳ぎの達人」と称され、その遊泳力は高く昔から人間の羨望の対象とされてきた。通常は5km/hから11km/h程度の速度で泳ぐが、短時間ならば45km/h程度の速度で泳ぐこともできる。また65km/hで航行する高速船と競ってさらに速く泳いだという目撃情報もあることから、瞬間的には70km/h近い猛スピードを出す個体もいると考えられる。最高速度では82km/hに達するシャチにかなわないものの、相対的に体が小さく体重も軽いバンドウイルカのほうが制動力やジャンプ力に優れている。笑顔満点で天真爛漫。驚異的なパフォーマンス能力を有し、ボール遊びが「遊び」の範囲を超えるほど真剣。
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