ドラえもん のび太の獣友冒険記   作:獅子河馬ブウ

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けものフレンズ3は本当に面白いですね〜。約一週間ごとにイベントがあって飽きずに更に新しいフレンズが出てくるから楽しくてしょうがないですよ。

それにジャイアント先輩の声がまさかのサトシになるとは……実装されたらゲットあるのみです!

あと、投稿が遅れてすみません。


第9話ひっこし

カイジュウエンでアシカとイルカの願いを叶えたドラえもん達は彼女達と別れて、キュルルのお家とのび太達を探す冒険を再開し、次なるちほーを目指してモノレールに乗っていた。だが、今回は今までよりも道は長く昼の時間は過ぎて夕方になってまだ駅には着いていなかった。

 

 

「はぁ〜、まだ次のちほーには着かないの?」

 

 

モノレールの窓を開けてそこからレールの先を覗くカラカルだが、一向に駅の影も形も見えなく、彼女はため息をつく。本来サーバルとカラカルは夜行性であるが、ここ最近はドラえもんとキュルルに行動を合わせて昼間に動いている為、すっかり生活リズムが崩れているのだ。

 

 

「みゃ、みゃみゃっ♪」

 

 

一方でサーバルはイルカ達から貰ったボールを楽しそうに転がして遊んでいた。その姿にドラえもんは微笑ましく思えた。

 

 

「ほんと、サーバルは楽しそうね」

 

「まあ、モノレールに乗っている間は特にやる事が無かったから遊べる物があって、本当に楽しそうだね」

 

 

楽しそうに遊んでいるサーバルを見るカラカルに同意するドラえもんだが、彼女がボールをチラチラと見ていることに気づいた。

 

 

「カラカルちゃんも遊んだら?」

 

「や、やらないわよ!」

 

 

ドラえもんはサーバルと遊べば良いと提案するが、彼女は一瞬戸惑うものの拒否する。

 

 

「カラカルも遊ぼうよ。楽しいよ」

 

「うっ……まあ、サーバルがどうしてもって言うのならやるわよ」

 

「やった!」

 

 

カラカルは仕方なさそうに言うが、サーバルからボールを受け取るとサーバルとともにボールを転がして、笑みを浮かべていることから本当に楽しんでいることがわかる

 

 

「ドラえもんちゃんもどう?」

 

「いや、僕はいいや」

 

 

ドラえもんもいつもなら近所の猫と一緒に遊んだりするが、此処最近2人は一緒に遊ぶ事はなかった為、今だけでも2人だけで遊ばせようと彼なりの気遣いをする。

 

 

「そっか、じゃあキュルルちゃんはどうする?」

 

「うーん」

 

 

一方サーバルはドラえもんが断ると今度はキュルルを誘うが、彼女はサーバルの誘いを聞いておらず、スケッチブックを見て何やら考え事をしていた。

 

 

「どうしたのキュルルちゃん?」

 

 

普段のキュルルなら例え考え事をしていても返事はする筈だが、今の彼女は全く返事をする様子はなく絵を集中している。それが不思議に思ったドラえもんは彼女の肩を軽く揺らして話しかける。

 

 

「…え、ドラえもんどうしたの?」

 

「どうしたのはこっちの台詞だよ」

 

 

漸く彼女はドラえもんが自身に話しかけている事に気付き、対してドラえもんは本当に自分たちの声を聞いていなかった事に思わず、呆れた表情を浮かべる。そして、

 

 

「あんたさっきからサーバルが呼んでいるのに全く返事を返さない物だから一体どうしたのよ?」

 

「あっ、もしかしてまた記憶を思い出したの?」

 

「ううん、違うよ」

 

「じゃあ、いったいどうしたの?」

 

「いや、この絵はなんだろうと思って」

 

「見せて見せて」

 

 

3人はスケッチブックを覗き込むと、そこには星空の下に草原から生えている謎の黒い物体が無数に描かれていた。よく見ると、その物体には幾つものの光が描かれてある。

 

 

「何コレ⁉︎たくさん目があるね。もしかしてそういうフレンズ?」

 

「「ええっ⁉︎」」

 

 

この謎の物体の正体をフレンズだと思ったサーバルにドラえもんとカラカルは思わず声を上げる。すると、カラカルはサーバルの言ったことを元に想像してみると思わず、気味が悪くなった。

 

 

「メッチャ恐いじゃない!」

 

「えー?目が多いと色々見えて便利じゃない?」

 

「逆に僕はこれがフレンズだと思ったサーバルちゃんの想像力に驚いたんだけど」

 

 

3人はこの謎の物体の正体について考えると、キュルルが手を上げる。

 

 

「これは多分"街"じゃないかな?」

 

「「「まち?」」」

 

 

キュルルはこの絵にある謎の物体が街ではないのかと、口にするとサーバル達はそれはなんなのか疑問符を浮かべる。一方でドラえもんは街がなんなのか知っているが、どうして彼女はこの絵が街の絵であると思ったのか気になった。

 

 

「えーと…たくさんのお家が集まっていて、この一つ一つの光がお家なんだ」

 

「つまり集合住宅(マンション)かな?」

 

 

先ほどサーバルが言っていた謎の物体にある無数の目と呼んでいた物を光と考えたキュルル。ドラえもんはそれがマンションだということを口にするとキュルルはうーんと考えるような素振りを見せる。

 

 

「すっごーい!こんなに沢山あるなら今度こそキュルルちゃんのお家は見つかるかもね」

 

「うん!」

 

 

サーバルはこの絵がマンション街であるなら今度こそ彼女のお家、または手がかりが見つかるかもしれないと思い、キュルルは嬉しそうに返事をした。だが、それとは反対にカラカルは何か言いたそうな顔を浮かべていた。

 

 

(本当にこれはマンションなのかな?)

 

 

一方、ドラえもんはこの絵に描かれている謎の物体が本当にマンションなのか半分思えなかった。確かにマンションとしての特徴は結構表されているが、背景から見ると草原のところにある。そんな場所に不自然にマンションが建っているのだろうか。

 

ゴゴゴ……

 

「「「ん?」」」

 

「なんだ?」

 

 

すると、彼の思考を強制的に止まるようにモノレールが揺れ出し、次第にその揺れは激しくなっていく。

 

 

「「「うわぁっ!?」」」

 

「うぐっ⁉︎」

 

 

サーバル達3人は突然の地震に驚き、反射的にドラえもんに抱きついた。そのまま、1分程揺れてだんだんと収まっていった。

 

 

「結構大きく揺れたね」

 

「びっくりしたなー」

 

「な、なんなのよ……?」

 

 

3人は地震が収まると安心するが、自分たちは今なにかを抱きしめている事に気づき、その抱きしめている物に視線を移すと、

 

 

「ぐ、ぐるじぃ……」

 

「「「あっ、ごめーん‼︎」」」

 

 

ドラえもんが苦しんでいる事に気がついたサーバル達は慌ててドラえもんを離した。

一方で解放されたドラえもんは大きく息を吸って呼吸を整えると地震にびっくりしたサーバル達に抱きつかれたドラえもんは思っていた以上にサーバル達の抱きしめる力は強く顔色は瞬時に赤から青へと変わった。それもそのはず、彼女たちは巨大なセルリアンを武器や道具を使わず己の力のみで倒し遊具を組み立てるときには大きなパーツを軽々と持ち上げたのだ。当然力はそこいらの少女に比較できない。

 

 

「し、死ぬかどおもっだぁ〜……」

 

「ご、ごめんねドラえもんちゃん」

 

「流石にちょっと力を入れ過ぎたわ」

 

 

サーバル達もやり過ぎた事に心からドラえもんに反省する。

 

 

「ドラえもん大丈夫?」

 

「だ、だいじょぶ、だよ、こ、これぐらい……」

 

 

キュルルは2人と比べると力は劣るが、それでもドラえもんの首を力強く抱き締めてしまった事に苦しませた為、彼女はドラえもんが本当に大丈夫か不安になっていたが、ドラえもんは彼女を心配させないように口ではそう言うが、とても辛い表情を浮かべていることから我慢している事がバレバレであった。

 

 

●●●●●

 

 

「それにしてもさっきの地震は凄かったなぁ」

 

 

先程起きた地震は普通の地震と比べて大きく揺れ、このジャパリパークに被害が出てそうだと思った。

 

 

「最近はよく地面が揺れるんだ」

 

「そうなの?」

 

「うん…少し前からなんだけど」

 

 

サーバル達の話からここ最近まで先程と同じように地震が何回も繰り返しに起こっているらしい。

 

 

(今の地震…普通の地震なら良いんだけど)

 

 

ドラえもんは呼吸が安定して考える。最近までフレンズ達と接して、楽しい毎日を送っていたが、此処は本来自分達の住む世界、または時代ではない事を思い出す。そして、何よりこの世界には普通の生き物とは違った謎の生命体セルリアンという存在。そして、サーバル達から聞いた地震。

 

 

(キュルルちゃんの記憶とお家も大事だけど、一刻も早くのび太くん達それにタイムマシンを探さなきゃ)

 

 

このジャパリパークで知り合った友達も大切だが、事故で一緒に来てしまったのび太達の身の安全を優先して考えるが、

 

 

「ドラえもんどうしたのよ。そんな怖い顔をして…?」

 

「へ?……い、いや、別になんでもないよ」

 

「ふーん」

 

 

ドラえもんはカラカルに自身が考えている事を誤魔化すと、彼女はドラえもんの言動を怪しんで目を細くして彼を見る。

 

 

『ゴジョウシャシテイルオキャクサマニモウシアゲマス。先ホドノ地震ニヨリ、本車両ハ次ノ駅デ暫ク運休サセテモライマス』

 

「え、どう言う事?」

 

 

突然のラッキーさんのアナウンスに4人はどう言う事なのか理解できず、モノレールはゆっくりと動き出した。

 

 

「動き出したみたいだけど、さっきよりも遅いね」

 

「このスピードじゃ、次の駅に着く前に日が暮れちゃうな」

 

 

地震が起きた為、ラッキーさんは安全を配慮して、モノレールのスピードを遅くして発進させ、ドラえもん達は気が遠くなりそうだと思っていると、

 

 

「ねぇ、あれ見て!」

 

「「「あっ!」」」

 

 

カラカルは窓の外にあるものに指を刺す。ドラえもん達もその先を見るとそこには駅が存在していた。どうやら、モノレールは既に駅の近くまで来ていたようだ。

 

 

「どうやらあの駅に止まるみたいだね」

 

「ようやく降りられるのね」

 

 

カラカルは一日中モノレールの中という狭い空間に閉じ込められていた彼女は漸く外へ出られることに安堵する。

 

 

『マモナク、みなみめーりかえん みなみめーりかえん ゴ搭乗ノオ客様は降リテ下サイ』

 

 

モノレールはみなみめーりかえんと呼ばれる駅に着くと、だんだんとスピードは遅くなってその駅に止まった。

 

 

「着いたみたいだね」

 

「じゃあ、早速降りようか」

 

 

4人は新たなちほー"みなみえーりかえん"と呼ばれる所に着くと、モノレールから降りた。

 

 

「それじゃあ、ラッキーさん僕たちこの近くを見てくるから留守番をよろしくね」

 

 

そう言って4人はラッキーさんにモノレールの留守番を任せて、駅から出ようとする。

 

 

『残念ダケド、此処デオ別レダネ』

 

「「「「え?」」」」

 

 

だが、ラッキーさんの放った言葉に全員は耳を疑い、一斉にラッキーさんの方に振り返る。

 

 

「お別れって」

 

「それってどう言う事?」

 

 

カラカルとドラえもんはラッキーさんの言った"お別れ"と言う言葉について詳しく聞く。すると、ラッキーさんは語り出す。

 

 

『僕ハオ客様ヲ目的地マデものれーるニ乗セテ行クノガ仕事ダカラ、君達ハコレカラ先他ノパークガイドニ頼ッテネ』

 

「そんな事ないよ。ちゃんと戻ってくるから」

 

 

此処まで連れてきてくれたラッキーさんと別れるのはとても辛いキュルルはラッキーさんの元へ必ず戻ると言うが、

 

 

『ものれーるヲ四日間動カシテ、整備ヤエネルギーヲ補給シテナイ、ソレニ先程ノ地震デコノ先ノレールガ崩レテイルカモシレナイ。ダカラコレ以上走ラセルノハ危険ダヨ』

 

「それじゃあ、ラッキーさんとは本当に此処でお別れ?」

 

「そっか……」

 

 

ラッキーさんの話を聞いて、本当に別れざる得ないと理解したサーバルとカラカルだが、まだ納得できていなかった。

 

 

「しょうがないよ。これ以上モノレールを走らせるのは危険なんだから」

 

 

ドラえもんは2人を説得するも内心は同じロボットの友達になれたのに此処で別れるのはとても悲しく思っていた。

 

 

『君達ヲ運ベル事ガ出来テ僕ハトテモ嬉シカッタヨ』

 

 

ラッキーさんは4人にお礼を言うが、その声は普段と変わらず感情は感じない筈なのに何故か4人にとってはラッキーさんの気持ちが感じ取れた気がした。

 

 

「私たちも此処まで乗せていってくれてありがとう」

 

「うん、ラッキーさんがいなかった此処まで来れなかったわよ」

 

「僕もラッキーさんに感謝しているよ」

 

「また今度僕たちを乗せてね」

 

 

4人はそれぞれ此処まで乗せてきてくれたラッキーさんにお礼を言う。すると、ラッキーさんは表情は変わらない筈なのに何処となく嬉しそうな感じをしていた。

 

 

「此処まで僕たちを乗せてくれたお礼にラッキーさんにこれをあげるよ」

 

 

キュルルはそう言うと、スケッチブックから1枚絵を切り取るとそれをラッキーさんに渡した。その絵はモノレールに乗る自分たちとその隣にラッキーが強調されるように描かれていた。

 

 

道中御無事ニ(ボンボヤージュ)!良イ思イ出ヲ!』

 

 

4人はラッキーさんからお別れの言葉を貰うと、手を振って駅を出て行くのだった。

 

 

●●●●●

 

 

ラッキーさんと別れたドラえもん達は駅を出て、周りを見渡すと辺りには草原が広がっていた。

 

 

「此処がラッキーさんが言っていた"みなみえーりかえん"か」

 

「此処にはなにがあるんだろう」

 

 

ドラえもんとキュルルは辺りを見渡して、なにか目立った物が無いか探していると、先程からサーバル達が黙っている事に気づき、彼女たちの方に振り返る。

すると、サーバルとカラカルは初めてくるちほーの筈なのに落ち着いた様子だ。

 

 

「あれ、カラカルどうしたの?」

 

「それにサーバルちゃんまで」

 

 

2人は普段の彼女達は初めてからちほーに好奇心と警戒心それぞれが高い筈なのに今回はやけに静かに辺りを見渡していることが不思議におもっていた。

 

 

「なんか此処がさばんなちほーに似ているから帰ってきたのかと思っちゃったわ」

 

「うん、なんだかとっても此処は落ち着くんだ」

 

 

どうやらこの"みなみえーりかえん"という場所の環境はさばんなちほーと似ていて、まるで故郷に帰ってきたように2人は落ち着いているようだ。

 

 

「あれ?…何か来るよ」

 

「あっちの方から来るわよ」

 

 

「「え?」」

 

 

その時、サーバルとカラカル耳にこちらに近づく何かの音が聞こえてきた。それを知ったドラえもん達は音のする方向を警戒するが、だんだんと視線の先には見覚えのある影が見えて来て段々と姿がハッキリしてきた。

 

 

「あれは!」

 

「ラッキーさんだ」

 

 

恐らくモノレールにいるラッキーさんが呼んだ"みなみえーりかえん"を担当するラッキービーストでると思った4人は安心する。

 

 

「今度は黄色だね」

 

 

まだ距離は離れているが身体の色はまた今までと異なった色で今回は黄色の身体をしていた。すると、そのラッキーさんを見たドラえもんは懐かしく思っていた。

 

 

「はは、なんか親近感が湧くなぁ」

 

「なんで親近感が湧くの?」

 

 

唐突にラッキーさんを見て親近感が湧いたと聞いて、カラカルは何故今そんな事を言うのか疑問に思う。以前アヅアエンで案内をしてもらったラッキーさんはドラえもんと同じ色で親近感を湧くと聞いてまだ納得出来るが、今こちらにやってくるラッキーさんは全くドラえもんと色や別に耳が無い訳でも無いのに何故親近感が湧くのか不思議でしょうがない。

 

 

「昔は僕の身体の色は黄色でちゃんとサーバルちゃんやカラカルちゃんみたいに耳も付いていたんだよ」

 

「でも、なんで今は耳が無くて身体の色は青なの?」

 

「そ、そこは……あまり、聞かないで欲しいな」

 

「ドラえもん……?」

 

 

途中キュルルとサーバルも話を聞いて、彼は何故今は耳を持たず身体の色が青になっているのかと聞くとドラえもんは酷く落ち込んだ様子でそれ以上自身の過去について明かさなかった。その姿を見た3人はドラえもんの過去になにがあったのかとても気になるが、彼自身話したく無い為、それ以上は追求しなかった。

 

 

●●●●●

 

 

そして、話している内にメキシカン帽子を被った黄色いラッキーさんは4人の前にやってきた。

 

 

『ブエノスタルデ〜ス!ボクはみなみえーりか園のパークガイドだよ〜!』

 

「「「「へ?」」」」

 

 

突然の癖のある会話に4人は思わず目が点になる。

 

 

『連絡は受けている〜ね。ここからは僕が案内する〜ね』

 

「な、なんかカイジュウエンを案内してくれたラッキーさんよりも…」

 

「喋り方に癖があるね」

 

 

今まで出会ったラッキービーストの中でもカイジュウエンにいたラッキーさんを超えるほどの陽気な口癖に4人は調子が狂う。一方でラッキーさんはキュルルに話しかける。

 

 

『君は何処へ行きたい〜の?』

 

「と、とりあえずこの絵の……」

 

 

案内をして欲しい場所にキュルルは絵を見せてその場所まで案内をしてもらおうとしたが、その時ある考えが頭に過ぎる。

 

 

「キュルル?」

 

「どうしたの?黙っちゃって」

 

 

絵を見せようとしたキュルルが突然考え出した様子を見てどうしたんだろうと2人は思っていた。すると、彼女は3人に「ねぇ」と話しかけてある事を聞いた。

 

 

「考えたんだけど、ラッキーさんって絵の描いてある場所について知っているよね」

 

「確かにそうだね」

 

「けど、それがどうしたの?」

 

 

4人は今まで旅ではこのジャパリパークについて恐らく一番知っているラッキーさんのおかげで絵の場所について案内をしてもらった事はわかっているが、何故今その話を持ちかけるのかドラえもん達3人は分からなかった。

 

 

「もしかしたら、ラッキーさんなら僕のお家について何か知っているんじゃ無いかな?」

 

「「「!」」」

 

 

キュルルの推測を聞いて、3人は面食らう。確かに今までは絵を頼りに旅をしてきて、その先にいるラッキーさんはジャパリパークについて把握していた。それならラッキーさんが知っててもおかしくはなかった。

 

 

「なら早速聞いてみようよ!」

 

「うん!ラッキーさん僕たちはお家を探しているんだけど知らない?」

 

 

サーバルの考えを聞いて、早速キュルルはラッキーさんに自身のお家の場所について聞いた。

 

 

『オウチ……検索中…検索中…』

 

「知ってるの⁉︎」

 

 

ラッキーさんはキュルルのオウチについてパーク中の地図から探し出す。だが、何時もと違って検索する時間は長く1分以上も経っている事に流石におかしいと思い、4人は顔を曇らせる。

 

 

『検索完了』

 

「それで、どうだった?」

 

 

漸くお家の場所について検索を終えたラッキーさんにキュルルは結果を聞く。

 

 

『このパーク内に"おうち"という施設はない〜よ』

 

「パーク内に───ない?」

 

 

お家がないそれを聞いたキュルルは声を失う。その隣でドラえもんは考える。

 

 

(パーク内にお家がないって事はやっぱりキュルルちゃんはパークの外にやってきたのかな)

 

 

だが、ここで思い出すのはキュルルがいた謎の施設。あそこにあった装置に眠っていたキュルルにその隣には壊れたが、同じ装置らしき物が幾つもある。更にまだ調べてない扉の奥。まだあの施設には彼女に関する物があるかもしれない。

 

 

「でも…ラッキーさん「ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

サーバルはラッキーさんに話しかけようとした時、カラカルが割って入った。

 

 

「こいつも必死で探しているの!だからそんな一言で引き下がる訳にはいかない。もう一回ちゃんと思い出してみて!」

 

「カラカル…」

 

 

ラッキーさんと会話できない事はカラカル自身理解していた。だが、それでも彼女はここまで旅をしてきたキュルルと自分達の行動を無駄にしたくないそう思った彼女だからこそ、ラッキーさんに言ったのだ。

 

 

『……ピピッ…他にも手掛かりがあるなら教えて〜ね』

 

「ラッキーさんが…」

 

「カラカルちゃんに答えた」

 

 

すると、カラカルの思いが伝わったのか本来フレンズと関わる事が禁止されているラッキーさんは彼女の声に答えたのだ。ドラえもんとキュルルはその光景に呆然となる。勿論カラカル自身もそうだ。まさか自身の声に反応するなんて彼女ですら驚いていたのだ。

 

 

「すっごーーい!カラカル凄いよ!!!」

 

「へ、サーバル?」

 

 

突然大声でサーバルはカラカルをを褒める。対してカラカルは自身を褒める彼女に思わず呆然となる。

 

 

「カラカルどうやってラッキーさんとお話ししたの?」

 

「さ、さぁ、私も無我夢中だったからわかんないわ…って、そんな事よりもキュルル!ラッキーさんに絵を見せなさいよ」

 

「あ、うん!」

 

 

キュルルはスケッチブックを取り出すとページをめくり、モノレールの時に見ていた謎の物体の絵をラッキーさんに見せる。今いる場所は草原であるため、スケッチブックの中で草原を背景にしたこの絵を見せたのだ。

 

 

『スキャン完了…検索中…検索中…』

 

 

スケッチブックの絵をスキャンし、改めて自身の持つみなみめーりか園の地図から照らし合わせて、10秒が経つと検索が完了する。

 

 

『近くに似ている場所がある〜よ。案内するからついてきて〜ね』

 

「本当⁉︎」

 

「よかったねキュルルちゃん!」

 

「うん!」

 

 

3人はお家の手がかりがあると知ると笑顔を浮かべる。

 

 

(フレンズと会話する事を禁じられている筈なのに、それを逆らってカラカルちゃんの気持ちを答えるなんて凄いな)

 

 

一方でドラえもんはプログラムに反した行動を取ったラッキーさんの意思に同じロボットとして尊敬する。と3人と共にラッキーさんの後を歩き出した。

 

 

●●●●●

 

 

4人はラッキーさんに案内してもらい絵に描かれてある建物?がある場所まで歩いていると、サーバルが周りの景色を見て思わず口を開いた。

 

 

「そう言えばここはサバンナに似ているね」

 

「そうね。けど、何処か違和感を感じるわ」

 

 

辺りにはさばんなちほーと同じで道には草原が生えているものの、彼女達自身何かが異なる事を感じていた。

 

 

「そうなの?僕はよくわからないけど」

 

「ラッキーさんは何か知っている?」

 

 

ドラえもんとキュルルはサーバル達と違ってさばんなちほーとの違いがわからないため、ラッキーさんに聞いてみる。

 

 

『此処はパーク建設時にサバンナちほーとして開発されていたんだけど、面積が小さすぎて途中で開発を中止されたんだ〜よ』

 

「そうなんだ」

 

「えっと、どういう事?」

 

 

ラッキーさんは質問に答えてドラえもんとキュルルは理解出来たが、隣で聞いていたサーバルとカラカルは理解できていない様子だ。

 

 

「つまりここは中途半端だけど、さばんなちほーと似たようになっているって事だよ」

 

「そうなんだ」

 

「だから何処となく違和感を感じるのね」

 

 

2人とも納得すると、そのまま他愛のない話を交えながらみなみえーりかえんを歩いて行く。

 

 

『着いた〜よ』

 

「着いたって……」

 

「ここが?」

 

 

ラッキーさんに謎の建造物まで案内をしてもらい数十分が経ち、4人の目の前にはマンションなどではキュルルの推測通り集合住宅(マンション)ではなく、幾つもの大きな岩のような物が存在していた。

 

 

「だいぶ絵と違うみたいだけど……」

 

『条件に一番近いのはここだ〜よ』

 

「これって岩?」

 

「けど、何か変な感じがするわね」

 

 

カラカルとキュルルは恐る恐る謎の岩?を観察するが、妙に怪しい為触れようとはしなかった。だが、反対にドラえもんとサーバルは謎の岩を特に警戒する事無く触れる。

 

 

「これはどうやら砂みたいだね」

 

「あっ、本当だ」

 

「え、これは砂なの?」

 

「けど、なんでこんなところにこんな大きな砂の塊があるんだろう。それにこの沢山の穴はなんだろう?」

 

 

こんな草原の真ん中に大きな砂の山はさばんなちほーでもあまり見たことがないキュルルだが、よく観察すると沢山の穴が見えた。そんな彼女の発言を聞いたドラえもんは閃く。

 

 

「そっか。これは蟻塚だね」

 

「「ありづか?」」

 

「ってなに?」

 

 

またも初めて聞く言葉に3人はそれがなんなのか質問すると、ドラえもんは「ふふん」と得意げな顔になって説明する。

 

 

「蟻塚って言うのh『こう言う砂や土の山から作ったアリの巣の事を言うんだ〜よ』…だよ。って、僕が説明しようとしたのに〜!」

 

 

キュルルの問いに反応したラッキーさんにのこりの説明をされた事にがっかりとするドラえもん。そんな彼をサーバルは「まぁまぁ」と声をかけながら宥めていると、

 

 

「あれ、サーバルさん達じゃないですか!」

 

「うみゃ?」

 

「今の声って」

 

 

ここにいるはずのない声を聞いた4人は声が聞こえた方向に振り返ると、そこには白と黒の縞模様の服を着た少女(フレンズ)のアードウルフが立っていた。

 

 

「アードウルフ!」

 

「アードウルフ久しぶりだね」

 

「久しぶりって、4日前に会っていましたよ」

 

 

サーバル達は4日ぶりに会うアードウルフに挨拶をすると彼女も挨拶を返した。

 

 

「アードウルフちゃんこんにちわ」

 

「さばんなちほーではありがとうございました」

 

「あ、キュルルさんとドラえもんさんもお元気そうですね」

 

 

ドラえもんとキュルルの2人もアードウルフに挨拶をした。そして、挨拶を終えるとカラカルはアードウルフに質問する。

 

 

「それよりもなんであんたがここに居るの?ひょっとしてカバも来ているの?」

 

「カバさんですか……」

 

 

カラカルはいつも彼女がカバと共にいる為、この場にもカバが来ているのかと思い彼女に聞くが、彼女は顔を曇らせる。それを不思議に思ったサーバルとカラカルは疑問符を浮かべる。

 

 

「どうしたの?」

 

「ひょっとしてカバと何かあった?」

 

「い、いえ!特になんでもありません!カバさんはさばんなちほーにいます。私1人しかいません」

 

 

どうやら彼女は1人でこのみなみえーりかえんに来たようだ。だが、その様子が何処となく落ち着きがない事に怪しく思い、カラカルは追求する。

 

 

「1人って、こんなところまで何しにきたの?」

 

「実は私巣を引っ越そうとおもいまして」

 

「え、また引っ越すの?」

 

「「また?」」

 

 

カラカルのまたと言う言葉にキュルルとドラえもんは気になった。そんな2人にサーバルは答える。

 

 

「ここ最近じゃ引っ越さなくなったけど、前まではさばんなちほーの中で結構引っ越していたの」

 

「へぇー、そうだったんだ」

 

 

サーバルからアードウルフの事を教えてもらうとキュルルは納得の声を上げる。一方でドラえもんも納得するが少しある事が気になり、アードウルフに話しかける。

 

 

「けど、ここってさばんなちほーから結構遠いのにどうやってきたの?」

 

 

自分達でも此処へ来るまではモノレールで4日も掛かったと言うのに彼女は自身の足でここまで歩けるとは思えなかった。

 

 

「実は此処へ来る途中に出会ったフレンズにここまで乗せて行ってくれました」

 

「「「「乗せる?」」」」

 

 

アードウルフの"乗せる"と言う言葉に4人は思わず疑問符を浮かべながら復唱する。

 

 

「アードウルフ、知り合いが見えたからって私を置いて行かないでくれよ」

 

 

その時、背後から声が聞こえ4人は思わず振り返ると自分たちよりも大きな狼が口を開けて今にも自分達を食べようとしていた。

 

 

「「「「うわぁっ!?」」」」

 

「おっ、いい顔頂き」

 

「「「「へ?」」」」

 

 

だが、その狼から人の声が聞こえた事に4人はよくその狼を見ていると、それは本物ではなく狼の頭の飾りが付いた乗り物であった。

 

 

「これってバスかな?」

 

「「「ばす?」」」

 

 

すると、ドラえもんはその乗り物をよく観察すると自分達の住んでいるところにもある人を乗せる乗り物(バス)に特徴に似ている事から目の前の乗り物がバスではないのかと口に出すと、バスを知らないサーバル達は口を揃えて疑問符を浮かべる。

 

 

「バスっていうのは僕たちが乗ってきたモノレールと同じで人を乗せて地面を走る乗り物だよ」

 

「ほーう、よく知っているね」

 

「ま、また喋った⁉︎」

 

 

するとまたしても車から声が聞こえた。ドラえもんはもしかすると、ラッキーさんの様に人工のAIを搭載したバスと思っているが、あまりにも馴染みやすい喋り方とラッキーさんのようなやや機械的な声ではない事にドラえもんは違和感を覚える。

 

 

「けど、このばすだっけ?モノレールと違ってお話することが出来るんだね」

 

「違いますよキュルルさん」

 

「え?」

 

 

バスは自分で話をする事が出来ると思ったキュルルだが、すぐにそれはアードウルフが否定する。

 

 

「喋ったのは私だよ」

 

 

そう言ってバス…否、そのバスから降りてきた人物が否定して姿を見せる。その車から降りてきた人物は黒のロングヘアーに頭にはサーバル達同様に獣耳と尻尾を生やし、瞳の色が左右異なった女性だ。

 

 

「えっと、貴女は?」

 

「自己紹介が遅れたね。わたしは作家のタイリクオオカミだよ」

 

「「さっか?」」

 

 

タイリクオオカミが自己紹介をした際に言った作家と言う言葉にサーバルとカラカルはそれがなんなのか知らなかった。

 

 

「そうなんです。オオカミさんはホラー探偵ギロギロという"まんが"を描いているフレンズなんですよ」

 

「そう、こんな感じのね」

 

 

そう言ってオオカミはバスの中からキュルルと似たスケッチブックを取り出してそこに書かれている怪しく目を光らせるオオセンザンコウのフレンズの絵を見せる。

 

 

「すごい、僕の絵よりも上手く描けている」

 

「君も絵を描くのかい?」

 

「はい、でもオオカミさんのと比べると下手ですけど」

 

 

キュルルはオオカミのクオリティの高い絵を見て、自身の絵と比べるとやはりオオカミの絵よりも絵の出来が悪い事を自覚してしまう。

 

 

「そんな事ないよ、キュルルちゃんもとっても絵が上手いよ」

 

「確かに絵はちょっとオオカミよりは劣るけど、あんたはその絵で色んなフレンズを喜ばせてきたじゃない」

 

「そうだよ。キュルルちゃんの絵にはちゃんと魅力があるから」

 

 

「さ、3人とも…」

 

 

ドラえもん達が自身の絵を褒めてくれる事にキュルルは嬉しく思った。

 

 

「へぇ〜、興味があるね。是非君の絵を見せて貰いたいね」

 

「そ、そうですか?」

 

 

オオカミは自分以外にも絵を描くフレンズがあまり居ないため、キュルルの絵に興味があり、更にサーバル達の話を聞いて益々興味が湧いているのだ。一方でサーバルはタイリクオオカミが持つスケッチブックに目が入っていた。

 

 

「あれ?よく見たらオオカミのそれもキュルルちゃんと同じスケッチブックだね」

 

「そういえばそうだね」

 

 

よく見るとオオカミの持つスケッチブックは表紙がキュルルと同じ柄をしている事に気がつくと、更に彼女はさばんなちほーでの出来事を思い出す。

 

 

「そういえば、前にカルガモが言っていたよね」

 

 

サーバルの言葉に3人はさばんなちほーで道を案内してもらったカルガモが"パークの何処かにいるまんがという物を描くフレンズもこれと似た様なものを持っていると"言っていた事を思い出して、改めてオオカミの絵を眺める。

 

 

「という事はオオカミがカルガモの言っていたまんがを描くフレンズ?」

 

「まあ、私の知る限り絵や漫画を描くフレンズは私以外に知らないから、多分それは私だと思うよ」

 

 

どうやら彼女がカルガモの言っていたまんがを描くフレンズの様だ。それを知るとドラえもんはある事をオオカミに聞く。

 

 

「オオカミさんそのスケッチブックを何処で手に入れたの?」

 

 

オオカミの持つスケッチブックはキュルルと同じ種類である為、もしかしたら彼女が入手した経緯にキュルルのお家について何かわかるかもしれないとドラえもんは思い、彼女に聞いてみる。

 

 

「これかい?これは博士から頂いた物だよ」

 

「「博士?」」

 

 

オオカミは自身のスケッチブックは博士という人物からの貰い物と説明すると、ドラえもんとキュルルはその博士という人物の存在が気になった。

 

 

「カラカル、博士ってどんな人なの?」

 

 

博士の事を知らないキュルルはカラカルに博士について聞く。

 

 

「私たちも実際にあった事はないんだけど、とても物知りで私たちがわからない事や知らない事をなんでも知っているらしいの」

 

「それに博士達はこの()()()()()()()()()()なんです」

 

「おさ?…て事は……ジャパリパークで一番偉いって事⁉︎」

 

「えええっ!?」

 

 

博士という人物についてカラカルが説明すると、更にアードウルフが長だと補足をいれる。長と聞いてキュルルはすぐにはわからなかったが、ドラえもんはすぐに理解して驚きの声を上げると、キュルルもドラえもんの話を聞いて驚きの声を上げる。そして、その2人の顔を見てオオカミは「お、良い顔いただき」と言って2人の顔をスケッチブックに書き込む中々の性格をしたフレンズである。

 

 

「へいげんちほーの隣にある図書館にいたんだけど、いつの間にか助手と一緒に居なくなっちゃったんだ」

 

「てことは……行方不明⁉︎」

 

(行方不明じゃ、その人に詳しい事を聞くのは難しそうだな)

 

 

場所が分かり次第ラッキーさんに博士の元まで案内してもらおうと思ったが、居ないと分かりがっかりする。

 

 

「そういえばすっかり忘れていたんだけど、オオカミはどうして此処にきたの?」

 

 

すっかりスケッチブックや博士という存在についての話をしていたが、アードウルフを乗せてきた彼女は一体何しにここに来たのも聞くのを忘れていた。

 

 

「ああ、丁度この先に少し用があってね。ついでに道中彼女と出会ってここまで乗せてきたんだ」

 

「そうなんだ。それでオオカミはこの先になんの用があるの?」

 

 

サーバルはオオカミから此処から先にどういう用事があるのか聞いてみるものの、

 

 

「それは秘密さ」

 

「ええ〜、別に秘密にしなくていいじゃない」

 

 

だが、オオカミは人差し指を口元に寄せ、自身のこの先の用事を明かさなかった。それを聞いたサーバルは不満を募らせるが、

 

 

「サーバルそこまでして別に知る必要はないでしょ」

 

「だって、気になるんだもん」

 

 

オオカミから目的を聞こうとするサーバルをカラカルが止めに入り、そのまま何とか説得して、サーバルも渋々引き下がる。

 

 

「まあ、この先にも用はあるけど此処にアードウルフの新しい巣を紹介してくれるフレンズにもちょっと用があるんだよ」

 

 

最初の用事については明かさなかったが、どうやらもう一つの用事があり此処に来るフレンズに用があると言ったが、キュルルはそれは誰なのか聞こうとするが、

 

 

「お待たせしてすいません」

 

 

その時、背後からまた聞き覚えのない声を聞き、4人は振り返るとそこへ頭に鳥の羽を付けた眼鏡を掛けた女性がやってきた。

 

 

「鳥のフレンズ?」

 

「みたいだね」

 

 

現れた女性の頭についている鳥の羽を見て、ドラえもんとキュルルはカルガモの事を思い出し、彼女と同じ鳥のフレンズだと判断した。

 

 

「どうも、私は様々なフレンズさん達に合った住処を提供しているアリツカゲラです。今日一日よろしくお願いします」

 

 

どうやら彼女はアードウルフに巣を紹介する為に来たフレンズの様だ。

 

 

「住処を提供するって?」

 

『アリツカゲラは集団で行動する習性がある〜よ。繁殖期になるといろんな場所に巣作りする〜よ』

 

「要するにそのフレンズ達にあった(おうち)を紹介しているって事だね」

 

「その通りです」

 

 

一方でキュルルは住処を提供する事とはどういう事なのか口に出すと、ラッキーさんが反応してアリツカゲラの習性について解説し、ドラえもんが更にわかりやすく説明すると、アリツカゲラ本人が肯定する。

そして、それを聞いたキュルルも納得の表情を浮かべる。

 

 

「ラ、ラッキーさんが喋りました⁉︎」

 

 

ほぼ恒例になっている初めて喋るラッキーさんを見たフレンズの反応に今回はアードウルフが驚愕した表情を浮かべる。だが、一方でアリツカゲラとオオカミはラッキーさんが喋る様子に特に驚きの顔や珍しがる表情を見せなかった。

 

 

「あれ、2人は驚かないの?」

 

 

初めて会うフレンズは大抵喋るラッキーさんを見て驚くのに2人は驚かない事にサーバル達は不思議に思った。

 

 

「まあ、私も前にボスが以前喋っているのを見たことがあるからね」

 

 

すると、オオカミの声を聞いたアリツカゲラは驚きの表情を浮かべて、彼女の方に振り向く。

 

 

「あ、オオカミさんじゃないですか!いらしていたんですか⁉︎」

 

「やぁ、久しぶりだねアリツさん」

 

 

オオカミの存在に気がついたアリツカゲラは挨拶をすると、オオカミも親しげにアリツカゲラと会話をする。

 

 

「え、2人は知り合いなの?」

 

「はい、タイリクオオカミさんは以前まで私の経営するロッジに住んでいたお客さんです」

 

「ジャパリパークにはロッジもあるのか……」

 

 

此処まで人のお家などは見ていないが、ジャパリパークにはロッジなどの宿泊施設があると知ると、ドラえもんは此処が益々なんなのかわからなくなってきた。その一方でアリツカゲラは辺りをキョロキョロと見渡して何かを探している様子だ。

 

 

「あれ、アミメキリンさんはどうされました?ロッジアリツカを出る時に一緒について行った筈では?」

 

「ああ、実は彼女なんだけど、いつの間にか何処かへ居なくなってしまったんだ」

 

「アミメキリンって?」

 

 

初めて聞くその名前からそのアミメキリンなる人物(フレンズ)は2人の知り合いのようだ。

 

 

「アミメキリンさんはオオカミさんの手伝いをしているフレンズさんで探偵もしているんですよ」

 

「探偵…」

 

 

実際にそのアミメキリンというフレンズにはあった事はないが、そのフレンズもアリツカゲラやオオカミ同様に仕事をしているフレンズであると理解した。

 

 

「まあ、彼女は私のファンでもあるけどね」

 

「ファンって、オオカミさんが描く漫画のファンって事?」

 

「そうだよ。良かったら君たちも私の描いた"ホラー探偵ギロギロ"を後で読むかい?」

 

「是非お願いします!」

 

 

ドラえもんは漫画が大好きな為、オオカミの描く漫画を楽しみにした。

 

 

「それにしても今日はアードウルフさんだけかと思いましたが、たくさんの方がいますね」

 

「私たち迷惑だった?」

 

 

サーバルはアリツカゲラにとって仕事の邪魔になるのではと思ったが、アリツカゲラは首を横に振って否定する。

 

 

「いえ、ただ初めて見る方が多いもので……ん?」

 

 

アリツカゲラはそう言いながらこの場にいる全員の姿を見渡すと、キュルルの姿が目に入り、そのまましばらく彼女の姿を見つめた。

 

 

「どうしたんですか?」

 

「……あ、いえ!な、なんでもありません」

 

「?」

 

 

アリツカゲラに見つめられたキュルルはどうしたのだろうと彼女に聞くと、キュルルの声に我に返ったアリツカゲラは手を振りながら何でも無いと伝えた。その姿にドラえもん達は不思議に思った。

 

 

「えっと……あ、それであなた方は何という名前ですか?」

 

 

4人の視線にアリツカゲラはどうにかしようと咄嗟に彼女達の名前を聞こうと話題を変える。

 

 

「なんか変な感じがするけど、まぁいいわ。私はカラカル」

 

「サーバルキャットのサーバルだよ」

 

「僕はキュルルです」

 

「ぼくドラえもんです」

 

 

4人は益々アリツカゲラの行動に不審を思ったが、確かに彼女の言葉にも一理ある為それぞれ自己紹介を行った。

 

 

「サーバルさんにカラカルさんにキュルルさんとドラえもんさんですね。…ところでドラえもんさんはねこですか?」

 

「もう!だから僕はねッ⁉︎……今、なんて言いました?」

 

 

ドラえもんはまたしても自分を狸とかの動物に間違えられたと思い、怒鳴ろうとするが、何か違和感を感じて口を閉じ、アリツカゲラに先程の言った言葉を繰り返して欲しいと頼む。

 

 

「いえ、ネコのドラえもんさんだと」

 

「ぅぅ……!」

 

 

すると、ドラえもんの両目に涙が流れる。それを見た一同は驚きの表情を浮かべる。

 

 

「ど、どうしたのよドラえもん⁉︎」

 

「何処か痛いの⁉︎」

 

「な、何か私失礼な事を言いましたか⁉︎」

 

「違うよォ!」

 

 

カラカルとキュルルはドラえもんの身を心配し、アリツカゲラはドラえもんの気に触る事を言ってしまったのかと思ったが、ドラえもんは涙を流しながら否定する。

 

 

「僕をタヌキやアザラシじゃなくてネコって言ってくれるなんて、うう〜!」

 

「いや、泣くほど嬉しいの⁉︎」

 

 

いくらなんでも大袈裟すぎるドラえもんの反応にカラカルは思わずツッコミを入れる。一方で、ドラえもんがをタヌキなどに間違えずネコと呼んだアリツカゲラにサーバルとキュルルは凄いと思っていた。そして、アードウルフは前回たぬき呼ばわりしたことを思い出し、少々罪悪感に見舞われ、オオカミはそれを見て軽く笑った。

 

 

 

●●●●●

 

 

それから数分が経ちドラえもんが落ち着いた後、アリツカゲラは話を再開する。

 

 

「それで今回アードウルフさんの住処を紹介するんですけど、よろしかったら皆さんにも住処を紹介しましょうか?」

 

「いや、僕たちはキュルルちゃんのお家を探しているんだけど」

 

 

ドラえもんはこのちほーに来た目的は引っ越しをしに来たのではなくキュルルのお家を探しに来た事を説明する。

 

 

「成る程、それなら任せてください。アードウルフさんだけじゃなく、キュルルさんにも住処を探してみせましょう」

 

「アリツさんの腕はすごいからね。君たちの期待に応えてくれると思うよ」

 

 

自信満々にアードウルフの新しい住処とキュルルのお家を探してくれる事に彼女も協力してくれるようだ。そして、その自信を押すようにオオカミが捕捉を入れる。

 

 

「ありがとうございます。でも、良いんですか?」

 

 

本当なら今日アリツカゲラはアードウルフに新しい住処を提供するだけだった筈なのに更にキュルルのお家探しに手伝ってもらうのは躊躇してしまう。

 

 

「良いですよ。私の仕事はフレンズさんに合った住処の提供と探す事ですから。それでキュルルさんのお家って、どんな所なんですか?」

 

「一応これが手掛かりなんだけど」

 

 

そう言ってキュルルはアリツカゲラに絵を見せる。すると、彼女はキョトンとした顔になる。

 

 

「これって、ここの蟻塚ですよ」

 

「え⁉︎だって、全然…」

 

 

絵と違うとキュルルは言うが、アリツカゲラは「うーん」と唸り声を上げながら少し考える。

 

 

「そうですね……それなら少し時間を頂けます?そうしたらわかってもらえると思いますが」

 

「別に良いですけど」

 

 

特にこの後、予定とかは無い為キュルルはドラえもん達にも相談するとアリツカゲラの言う事を聞く事にした。

 

 

「それでは時間が経つまでアードウルフさんの住処を探していきましょう!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 

絵の謎が分かるまではアードウルフの新しい住処を探しに行こうと決めると、オオカミが手をあげる。

 

 

「それならこのバスに乗って行かないかい?道中楽だとおもうよ」

 

 

オオカミはこの"みなみめーりかえん"はここまで来る時にさばんなちほーのように平らな道もあるが、歩き辛い場所も通って来た事を説明し、バスに乗りながら新しい住処に向かおうと提案する。

 

 

「はい、是非お願いしますオオカミさん」

 

 

オオカミの運転するバスに全員はお言葉に甘えて乗り込んでいく。そんな中カラカルだけはその場に立ちある事を考えた。

 

 

(そういえばなんでアリツカゲラはキュルルだけを不思議そうに見ていたのかしら?)

 

 

カラカルはにアリツカゲラが自分たちの姿を確認する際にキュルルだけは不思議そうに見ていた事を思い出して、疑問を抱いていた。

 

 

「カラカルちゃーん!早くなりなよ!」

 

「早く早く!」

 

「置いて行っちゃうよー!」

 

「あ、今行くー!」

 

 

しかし、そこへ先にバスに乗っているドラえもん達3人が呼んでいる事に気付き、一旦考えるのをやめて、今はアードウルフの新しい住処探しに専念しようとバスに乗り込むのであった。




フレンズ図鑑

タイリクオオカミ

ネコ目イヌ科イヌ属

Canis lupus

怖い話と絵を描くのが得意なフレンズ。
雌雄のペアを中心に平均4から8頭程の社会的群れを形成する。群れはそれぞれ縄張りをもち、広さは食物量に影響され100 - 1000平方キロメートルに及ぶ。縄張りの外から来た他のオオカミはたいてい追い払われる。稀に、仲間とうまくコミュニケーションがとれなかったり、群れのリーダーを決める争いに敗れ群れから孤立し単独で活動しているオオカミもおり、これが「一匹狼」の語源にもなっている。
オオカミは肉食でシカやイノシシ、野生のヤギなどの有蹄類と齧歯類小動物を狩る。最高速度の時速70キロメートルなら20分間、時速30キロメートル前後なら7時間以上獲物を追い回す事ができる。

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