なお、そのせいで執筆が遅れた模様。
ドラえもん達と離れ離れになったジャイアンとスネ夫はジャングルちほーで彷徨いそこで出会ったゴリラと名乗るフレンズから食事を誘われ、彼女の縄張りに案内してもらい、そこでジャパリまんをご馳走してもらっている。
「美味えなぁ!この饅頭!」
「ジャイアン、少しは遠慮したらどう?」
彼等の目の前には山のように積まれていたジャパリまんがあった。それをジャイアンがものすごい速さで半分以上も胃袋に詰め込み、途中喉に詰まらせる事もあったが、ジャパリソーダを流し込んだ。それを見たスネ夫も幾ら彼女が奢ってくれるというからって限度はあるだろうと言うが、
「良いだろ!俺たちは腹ペコだったんだからもっと食べてもバチはあたらねぇよ!」
「じゃ、ジャイアンこの人の前でそんな堂々と言わなくても⁉︎」
ジャパリソーダを飲みながら失礼なことを言うジャイアンにスネ夫はチラチラとゴリラの表情を見ながら声を荒げる。
「ははっ、別に構わないさ。もともとこの量じゃ私1人では食べきれないからね」
対して
「ところでこのジャパリまんでしたっけ?これって誰が作っているんですか?」
スネ夫は今食べているジャパリまんがどれも形は精巧で大きさも均等になっている事に手作業で作れる訳ないと思い、何処かにジャパリまんを作る工場があるのではと予想したスネ夫だが、
「ジャパリまんを誰が作ったかだって?……うーん、そんな事一度も考えた事なかったな」
「えっ、知らないんですか!?じゃ、じゃあ何処からジャパリまんを取ってきているんですか?」
彼女はスネ夫の質問に対して少し考えたが、どうやらジャパリまんの製造元を知らないようだ。それを聞いたスネ夫は驚きの声を上げるが、代わりに何処から取ってきたのか聞いてみた。
「いや、取ってくるんじゃなくてラッキーさんが持ってきてくれるんだ」
「ラッキーさん?」
彼女が言ったジャパリまんを持ってきてくれるラッキーさんとは何者なのだろうかとスネ夫は考える。
「ひょっとして、ラッキーさんっていうのはさっきゴリラさんが言っていた人のことですか?」
「いや、違うぞ。ラッキーさんは……なんて言ったら良いんだろう」
スネ夫にラッキーさんは何者かと言われ、答えようとするが中々ラッキーさんがどんなけもの…または生き物なのか自身の知識の中ではそれらしき物が思いつかず、口からは説明する事が出来なかった。
「まあ、ラッキーさんはわたし達の為にジャパリまんを運んできてくれる良い…けもの?」
(なんで疑問符が付くの⁉︎)
結局のところ彼女もラッキーさんについてはフレンズの為にジャパリまんを運んできてくれる存在と思っていたようだ。
「それにしてもタケシはすごい食べるな」
「へへ、俺は大食いには自信があるんだ」
ジャパリまんを食べ終えた後、彼女は関心した様子でジャイアンを見ると、彼も自身の胃袋の広さを自慢する。一方、スネ夫も腹が満たされた事で話を切り出す。
「ところでゴリラさんちょっと聞きたい事があるんだけど」
「どうしたんだ?」
「さっき此処はジャパリパークって言っていたけど、それってなんなの?」
ジャパリまんをご馳走させてもらったのは感謝するが、此処はもともと自分達がくる予定だったの未来の動物園とは思えなかった。
「む?お前たちは此処を知らないのか?」
「いや〜、俺たちはタイムマシンに乗って気づいたら此処に居たんだ?」
「たいむ……なんだ?」
「あ、気にしないで下さい」
スネ夫は無闇にタイムマシンの事を話すと、色々とややこしい事態になりそうと思い。あまりドラえもんの道具について語らない方がいいと判断して彼女に誤魔化した。同時にある事を確信した。
(此処はドラえもんが言っていた動物園じゃないんだ)
元々行く予定だった動物園は24世紀つまりドラえもんが元々いた時代にあるものだ。その時代にはドラえもんやその妹のドラミちゃんが使っているタイムマシンが普及されているのだ。それなのに先ほどのゴリラの表情からしてタイムマシンについて全く知らなそうだ。
(という事は此処はまた別の星、それとも世界かな?)
過去に別の世界や星へと行ったことがあるため多少は耐性があるものの、やはり不安な気持ちで一杯一杯だ。早くドラえもん達と合流して元の世界に戻ろうと思っていると、
「どうしたんだ。先ほどから黙って?」
「あっ、な、なんでもないです!そ、そういえばゴリラさんの名前ってジャイアンみたいにあだ名のようなものですか?」
毎度見知らぬ土地に冒険をする際、いつも自分達が不幸な目にあっている為、今回はそれを避けるため彼女の警戒を解こうと必死にスネ夫は頭を働かせて答えたのだ。
「あだ名?いや私はゴリラなんだが……まあ、厳密に言えばゴリラの"フレンズ"なんだがな」
「「フレンズ?」」
彼女の発言した聞き慣れたい言葉に2人は思わず、首を傾げて復唱する。
「スネ夫、フレンズってこの間お前が言っていたフランス料理の名前か?」
「それはフレンチ!…まあ、フレンズっていうのは英語で"友達"って意味だった筈なんだけど、多分ゴリラさんの言うフレンズとは意味が違うんじゃないかな?」
ジャイアンの何時もの天然ボケにツッコミを入れるが、自分達の知るフレンズとゴリラの発言したフレンズという言葉の意味は異なる物だと思った。すると2人の会話を聞いたゴリラは「うーん」と唸り声をあげて考える。
「フレンズも知らないのか……なら教えよう。フレンズというのは
「え、それってつまり……」
「そろそろ察しているようだな。此処にいるのはサンドスターによってフレンズになったけもの達が住んでいるんだ」
「「えええええええっ!!!?」」
ゴリラの説明を聞いた2人はフレンズというものを理解し驚愕した。そして、ジャイアンは恐る恐る彼女に尋ねる。
「と、と言う事はゴリラさんは元々本物のゴリラだったんですか!?」
「その通りだ」
「いいーーっ!?」
「…なぜ怯えるんだ?正直心が傷付くぞ」
彼女が自身は動物のゴリラだと明かすとジャイアンは顔を青ざめて怖い物を見たような怯えた顔になる。対してゴリラは何故ジャイアンが怯えた顔をするのか全く分からなかった。しかし、スネ夫はジャイアンが怯える理由を知っている。
(そっか、だからジャイアンはあの時のトラウマが蘇ってゴリラさんの言う事を聞いたのか)
スネ夫達は以前学校の裏山に発生したひみつ道具の"どこでもガス"に入り込み、ジャイアンと共に迷い込んでなんやかんやあってアニマル星に来て、そこで出会ったゴリラの親父に自分の息子と間違われて拳骨を食らった事があり、それ以来ゴリラにトラウマが出来てしまい、目の前にいるゴリラのフレンズである彼女の言う事を反射的に聞いてしまったのに納得できる。すると、彼女は軽く咳払いをして口を開く。
「ところで君たち本当にヒトなのか?」
「そ、そうだ…です」
「ぼ、僕たちは正真正銘…人間…ですよ」
彼女はジャイアン達がまだ人とは確信できていないようで再び2人に尋問するように追求すると2人はビビりながらも自分たちは人だと答える。それを聞いた彼女は「それなら」と言って2人に質問する。
「君たちは"動物を思いのままに操る方法"を知らないかい?」
「え?"動物を思いのままに操る方法"?」
唐突に動物を思いのままに操る方法について聞いてきた彼女に2人は思わず首をかしげる。一方で彼女も話を続ける。
「ああ、昔ヒトは動物を意のままに操っていたと聞いてな。君たちが本当にヒトならそれが一体なんなのか知っているかと思ったんだ」
「え?そんなの簡単だろ。犬小屋と美味い餌をやって命令を聞かせればいいだけだろ?」
「まあ、僕の場合はチルチルをいつも豪華な食事に環境、専用の寝床に毎週一回マッサージに連れて行っていくから僕の言う事は必ず聞くんだ」
2人は自分の家に飼っている犬のムク、猫のチルチルのお世話する日常を思い出しながら自分達の飼育方法をそのまま伝えると、
「そんな事でいいのか?」
2人から動物を操る方法?を聞いたものの意外と簡単そうだとゴリラはそう思っていると、ジャイアンが補足を入れる。
「ああ、仮にそれで言うことが聞かなかったらぶん殴って言う事を聞かせればいいだけだしな」
「ぶ、ぶ、ぶん殴る!?」
彼女はジャイアンの口から出た暴力を振るう発言を聞いて思わず目を見開いて、聞き返してしまった。
「い、今のはジャイアンの軽い冗談ですよ」
「そ、そうだよな。幾ら何でもぶん殴るなんてそんな野蛮な事はするわけないよな」
彼女はスネ夫からジャイアンの言うことは冗談であると聞くと、苦笑いを浮かべた。それを見たスネ夫は内心ホッとした。
「え、何言ってんだ?俺は冗談なんt──「ああ、そうだ!ほら最後のジャパリまんをあげるよ!」フゴッ!?」
余計な事を言いそうになったジャイアンにスネ夫は持っていたジャパリまんで無理矢理口を塞いだ。
「でも、なんでゴリラさんが動物を操る方法を知りたいんですか?失礼かもしないけど、元動物のあなたが動物を操る方法を知りたいなんてちょっとへんな感じがして……」
「ああ、実はな───」
ゴリラは2人に動物を操る方法を知りたい理由を告げようとした時、遠くからバタバタと足音が聞こえてきたのだ。2人はまさか猛獣がジャパリまんの匂いに誘われてきたのではと警戒する一方でゴリラはなんの警戒することなく話を一旦中断して、足音が聞こえてくる方向に首を向ける。
「ゴリラさん大変だよー!」
「何とかしてよー!」
すると、そこへ全身黒い少女とそれとは対照的に全身が白い少女がやってきた。
「マレーバクにミナミコアリクイか、一体どうしたんだ?」
(動物の名前?この2人もフレンズなのか)
2人ともゴリラから動物の名前で呼ばれていることから彼女達もゴリラと同じフレンズだと気づく。
「またヒョウとワニ達が喧嘩しているの」
「はぁー、またか……」
「またって?」
「実はここ最近いくつかのフレンズ縄張りが誰かに壊されてしまって、その中で新しい縄張りを巡ってフレンズ同士の縄張り争いが起きているんだ」
スネ夫はゴリラが発言した縄張り争いが起きていると聞いて、思わずゾッとした。もしもゴリラのような心優しい性格をしたフレンズではなく争いの真ん中にいたらとんでもない目に遭っていたかもしれない一方、スネ夫が考えている事を他所にゴリラは腰を上げて地面から立ち上がる。
「とりあえずあいつらを止めに行くか」
「本当にありがとうゴリラさん!」
「ゴリラさんありがとうだよぉー!感謝のポーズ!」
2人はゴリラにお礼を言う。ただしミナミコアリクイは何故か両腕を広げて感謝?のポーズをした。それをみて彼女は思わず苦笑いを浮かべると視線をスネ夫達に移した。
「私はこれから争い事をしているヒョウ達を止めに行くが、お前たちはどうする?」
ゴリラからここで待っているか、それとも一緒に来るかと選択肢を出されると、スネ夫はもちろん前者を選ぶ、強そうなゴリラと一緒にいるのが良さそうだが、これから向かう先に凶暴な動物が待ち構えている事を考えるとここで待っていた方が身の為だ。そう思ったスネ夫はここで待っていると言おうとしたが、
「スネ夫俺たちも行こうぜ!」
「えっ!?で、でも、これから会いに行くのはヒョウとワニだよ」
その前にジャイアンが後者を選んでしまった。スネ夫は彼を説得しようと試みるが、
「なぁに、心配するな。たとえ襲いかかってきたとしても俺様が一捻りにしてやるよ」
右腕を"ブンブン"と音が鳴るくらい右腕を回しながらまたしても命知らずな発言をするジャイアンをみてスネ夫は思わずため息をつく。
「そう言って、さっきビビっていた癖に……」
「なんか言ったか?」
「え?あ、いや!な、なんでもないよ!」
うっかり口を滑らせたスネ夫だが、幸いにもジャイアンの耳にはっきりと聞こえてなかった為、ボコボコにされずに済んだ事にホッとする。
「そうか、なら私の後についてくるんだ。それと勝手な行動をするなよ」
「はーい!」
「は、はーい……」
彼女から許可を貰った際2人は彼女の中核を聞くとそれぞれ対称となる返事をすると、ゴリラを先頭に2人はその後に続いて行った。
ゴリラを先頭に3人はジャングルの中をしばらく歩いてると、だんだんと何か言い争っている声が聞こえてきた。彼女は腰を下ろすと目の前にある茂みに身を隠しながら奥を覗いた。それにつられて2人も茂みから覗く。
「彼処で言い争いをしているのが、ヒョウとクロヒョウにイリエワニとメガネカイマンだ」
「え、あそこで言い争いをしている4人が?」
3人の視線の先にはガミガミと言い争って、既に一触即発な状態にある4人の女の姿があった。
「なんだ、てっきり動物の方かと思ったらフレンズの方か、ビビって損した」
「いや、僕からしたらあまり怪我せずに済みそうかな」
ジャイアンはてっきり猛獣がいるかと思ったら目の前には4人のフレンズ達と分かると落胆し、スネ夫は暴力沙汰にはなりそうにないと一安心する。
「一応言っておくが、フレンズのあいつらは元の動物だった頃よりも何倍も強力になっているぞ」
「ええええーっ!?」
「おい!大きな声を出すなよ!」
すると、スネ夫の声を聞いたヒョウとイリエワニがジャイアン達が隠れている茂みを鋭い眼光で睨みつけた。
「誰や!そこに隠れているんわ!」
「出てこないとそこから引きずり出すよ!」
「や、やばいよジャイアン!僕たちの方を睨んでいるよ!」
「お、落ち着けって」
今にも隠れている自分たちを引きずり出そうとするヒョウ達に睨まれて、スネ夫は若干パニックに陥り、ジャイアンはそんなスネ夫を宥めようとする。
「はぁ〜、仕方ない」
ゴリラは軽く溜息をつくと今までの雰囲気違って強そうなオーラを出して茂みから出る。
「お前たち、また縄張り争いか?」
「「「「お、親分!?」」」」
すると、ヒョウ達は先ほどと打って変わって態度が変化した。
「ミナミコアリクイ達から聞いたぞ?お前たちまだ縄張りは決まっていなかったのか」
ほかのフレンズに迷惑がかかっていると聞くと、彼女たちはそれを自覚したのか、とても気不味い表情を浮かべる。
「せ、せやけど、こいつらが此処は自分たちの物やって言うんです!」
「そうや!ウチらただでさえ水飲み場が少ないのにこのワニどもが此処の水飲み場を寄越せって言うんです」
すると、ゴリラに弁明するようにヒョウ達は自分達は悪くない悪いのはワニ達だと主張すると、ワニ達は「なんだと⁉︎」と声を荒くする。
「そもそもお前たちはそれ程水飲み場は必要ないだろ!」
「その通りです!その分私達が同等の縄張りと交換するって言うのにこれだからネコ科は……」
「「なんやとぉーっ!?」」
また言い争いを始めた事にゴリラは額に手を当て、ため息を吐く。
「とにかく今は言い争いをやめろ!」
「「「「は、はい!」」」」
そして、ゴリラが4人をたった一言で言い争いを止めた事に2人はすごいと思った。
「ところで親分そこに隠れているのは誰ですか?」
メガネカイマンに茂みに隠れている2人のことを指摘され、その瞬間茂みは"ガサッ"と音をたてて揺れる。それを見たヒョウとワニ達は2人が隠れている事を確信した。すると、ゴリラは「仕方ない」とこれ以上は隠すことは出来ないと思い、茂みの方に視線を向ける。
「ほら、2人とも出てこい」
これ以上隠していたらヒョウとワニの争いにジャイアン達が巻き込まれしまうと、感じ2人には茂みから出てきてもらい4人の警戒を解こうと考えたのだ。
「親分、其奴らは誰ですか?」
イリエワニは初めて見るスネ夫とジャイアンを頭から足先までじっと見つめる。
「こいつらは私の客だ。くれぐれも失礼のないようにしろ」
彼女は2人を自身の客と4人に説明しておけば、余程のことじゃない限り手を出すことはない思っていた。一方でスネ夫とジャイアンは品定めをするような目で彼女たちに睨まれている事に額に汗をかいていた。
「そんであんたらはなんて名前なんや?」
「あ、どうも僕は骨川スネ夫です」
「ホネカワスネオ?」
「なんかひょろそう名前やな」
「ひょろォーッ!?」
自分の名前がヒョロいと言われた事に思わずスネ夫は叫んでしまった。
「それでこちらの体の大きいあなたはなんて名前ですか?」
「おう!俺は剛田武って言いまーす!ジャイアンって呼んでくれ」
「ゴウダタケシ?(威勢が良いな)」
「なんでしょうか、こちらの方は強そうな名前をしてますね」
「そ、そうか?」
一方ジャイアンはワニ達に自分の名前を褒められた事から照れた顔を浮かべる。
「親分、この2人は何者ですか?」
「あー、実はこの2人はヒトだ」
「え?ヒトって前に親分が言っていた体が大きくて、力が強く、怖い顔をしたあのヒトですか?」
怪しむようにメガネカイマンはジャイアンとスネ夫を見つめ、残りの3人も同じく2人を見つめる。一方、彼女の台詞を聞いてジャイアン達を耳を疑った。
「なんだ?あいつらヒトを化け物と勘違いしているんじゃないのか?」
「そうだよね。と言ってもそんな人って該当するのは精々ジャイアンくらいだもn「んだとぉ!?スネ夫ォ!!!」グエッ!?」
スネ夫が誤って失言してしまい、ジャイアンに胸倉を掴まれて怒りの形相で睨まれていた。
「ま、待てタケシ!!!」
ゴリラはいきなりスネ夫を今にも殴ろうとするジャイアンを止めるように声を出すが、今の彼は怒りが頂点に達し、さらに先ほどゴリラに止められて不完全燃焼だった為、ゴリラの止める声は耳に入らなかった。唯一止める方法は
「ママァァァァァァァァーーッ!!!!」
ジャングルちほーにスネ夫の悲鳴が鳴り響いた。
「また次に言ったらギッタンギッタンのメッタメッタにしてやるからな!」
「も、もう、されてまぁ〜す……」
スネ夫をボコボコにしたジャイアンはすっかり機嫌を取り戻した。対してスネ夫はジャイアンにツッコミを言うと気絶した。そして、スネ夫に暴力の限りを尽くしたジャイアンの姿を見たゴリラ達の顔は青ざめていた。
「ほ、ほんまや!アレは間違いないほんまのヒトや!」
「あ、アレが親分の言ってたヒト……なんて恐ろし奴や!」
「幾らアタイたちでもあそこまでしないのに……」
「ヒトは正に親分の言っていた通り怖い生き物だったんですね」
上からヒョウ、クロヒョウ、イリエワニ、メガネカイマンがジャイアンの恐ろしさを口にすると、ゴリラは4人の呟きを聞いて我に帰ると、慌ててジャイアンに近寄った。
「た、タケシ!君は本当に何者なんだ!?」
「え?いや、だから俺は剛田武、ジャイアンだって」
「そうじゃなくて……⁉︎も、もしかして君はさっきまでの行動を見る限りヒトの群れのリーダーをやっていたのか!?」
彼女はスネ夫に対する接し方が暴力的だが、明らかにジャイアンの方が上でスネ夫は一歩引いた姿勢で会話をしていた事からジャイアンはヒトの群れのリーダーをやっているのではと思っていた。
「そんな大袈裟な。まぁ、空き地で"ガキ大将"をやっているけどな」
「なっ!"たいしょう"だって!?」
ジャイアンが口にしたガキ大将という言葉を聞いてゴリラは何かに気づくと、数秒間口元に手を当てて考えると、先程の威厳ある顔に戻すとヒョウ達の方に振り返る。
「お前たちはここで待っていろ。私はこれからタケシさんと話をしてくる」
「「「「は、はい!」」」」
「へ?…たけしさん?」
急に彼女がジャイアンをさん付けした事に彼は呆然をなっているのを他所に彼女は地面に横たわるスネ夫を担ぐとジャイアンと共に自身の縄張りに戻った。
「突然すまないが、話を聞いてくれ」
「は、はい」
縄張りに戻った2人はまず気絶しているスネ夫をゴリラが寝床として使っている大きな葉っぱのベッドの上に寝かした後、2人は向かい合って座っていた。
「実はタケシ、君に折り入って頼みがある」
ゴリラの真剣な眼差しにジャイアンは思わず唾を飲み込む。
「どうかヒョウ達を喧嘩させないように此処のボスをやってくれないか?」
「……は?」
彼女の発言に思わずジャイアンは耳を疑った。
「頼む!この通りだ!」
そう言って彼女はジャイアンに手を合わせて頼み込む、その姿から彼女がどれだけ真剣なのかわかる。
「ちょ、ちょっと待っててくれ!なんで俺が此処のボスをやんなきゃいけねえんだ?俺じゃなくてゴリラさんがやりゃいいじゃんかよ」
「いや、実を言うと私は普段彼奴らには強気な姿勢を見せているが……」
すると、彼女の腹からギュルルルゥ〜と明らかに腹を空いた時に鳴る音ではなく段々と彼女の顔は青ざめていき全身からは脂汗が出る。
「ちょ…ちょっと…待ってく、れぇぇぇぇえええええっ!!!!」
彼女は腹と臀部を抑えながら森の奥へと走っていった。その場に残されたジャイアンは彼女の後ろ姿を見て呆然とする。 そして、しばらくして彼女は戻ってきたが、ジャイアンは彼女の顔を見て思わず「うおっ!?」と驚きの声を上げる。それもそのはず、今の彼女は戻ってくる前と違って若干頬が痩せこけ、ヒョウ達に見せた強者のオーラが微塵も感じなかった。
「は、話を戻すよ、私は元々親分って呼ばれる程精神は持ち合わせていないんだよぉ〜!」
「えええええっ!!!?じゃあ、なんであんたは親分やってんだよ」
ジャイアンの意見は最もだ。些細な事で腹を壊すくらいストレスが溜まるなら何故わざわざここのリーダーをしているのか聞くと、彼女はその訳を話してくれた。
「実は元々このジャングルちほーにはトラブルが起きた時に相談に乗ってくれる"ジャガー"がいたんだけど、いつのまにか何処かへ行って、それでジャガーの代わりは誰がやるのか相談しあった結果、みんなが私を指名するんだよ〜!」
要するに学校で委員会決めでクラスのみんなに面倒な保険委員を押し付けられたようなものだ。
「だから私はみんなが争わないように強いイメージをリーダーや集団のボスについて学ぼうと勉強したり、へいげんちほーにいるライオンやヘラジカから"たいしょう"や"リーダー"について教わったんだ」
「え?ゴリラさんって、ライオンと知り合いなのかよ!?」
「まあね、ライオンも私と同じように部下の前では威厳を示すために強気な口調と姿勢をしているけど、私はあの子程の精神はないからすぐお腹を壊して毎日毎日辛いんだ」
頭を抱えてストレスが溜まる日常があって、彼女はとても辛そうだとジャイアン自身もこれは同情せざる得なかったが、
「けどよぉ、俺も逸れた友達を探しに行かなきゃ行けねえんだよ。飯を奢ってくれたのは感謝してるけど、此処のボスはやれねぇよ」
「そんなぁー!」
彼女が若干涙目になっている事からそれほど必死に頼んでいることが理解できる。しかし、こちらにも事情がある為ジャイアンはキッパリと断る姿勢を見せる。
「じゃ、じゃあ!せめて……その友達が見つかるまでの間だけで良い!ボスをやって!1人が嫌なら私と君とで半分半分でいいよ!もちろんタダとは言わないよ。寝床と食料も提供する!」
しかし、ゴリラも負けじとジャイアンに条件を付けて待遇が良いと説得し続ける。
「あー、わかった。そこまで言うなら引き受けるよ」
「本当に⁉︎ありがとう〜!」
ついにジャイアンはゴリラの説得に負けて、期間限定だがジャングルちほーでボスを引き受ける事になった。一方でゴリラはジャイアンがボスをやる事を引き受ける事に心の底から喜び、感激の涙を流していた。
「そのかわり条件があるんだけど聞いてくれるか?」
「いいよ、ボスをやってくれるならなんでも聞くよ」
この先腹を壊さない生活を送れて、尚且つヒョウとワニが争わずに済むならなんでもする彼女はジャイアンの条件を呑むことにした。
ヒョウ達4人とゴリラの呼びかけに応じたジャングルちほーに住むフレンズ達の前には大きな切り株にはジャイアンが立っており、その隣にはゴリラが腕を組んで立っていた。因みにその後ろには気絶したスネ夫が横たわっていた。
「みんな聞いてくれ!突然だが今日から私と共にこのジャングルちほーを治める新たなボスを紹介する!それはヒトのタケシさんだ!」
「どーも!俺が剛田武ことジャイアン様だ!今日からここにいるゴリラさんと共にボスをやっていくからよろしくな!」
新しいボスが加わると聞いて、特にフレンズ達は不満などは持たずジャイアンに向かって「よろしく」や「がんばってね」といった声と拍手を送っていった。
「そして、ボスになったタケシさんが我々にプレゼントをしたいようだ」
「今から俺がお前たちのボスとなった記念に一曲歌ってやるよ」
そう言うとジャイアンはマイク代わりに手頃な枝を右手で握ってた。
「歌って事はペパプみたいに歌うんかな?」
「ヒトってどんな風に歌うんやろ?」
「歌はもともとヒトが作ったて聞いたからな、恐らくとても上手いだろうな」
「さすがイリエワニさんの知識ですね」
ヒョウ姉妹とワニ達はこれから始まるであろう地獄のライブの事を知らず、呑気な事を言っていた。
「ヒトのライブだって、ミナミコアリクイちゃん楽しみだねー?」
「うん、どんな歌を歌ってくれるんだろぉ?」
彼女達も同様にジャイアンの歌を楽しみにしていた。そして、
「それじゃあ、いくぜぇぇぇぇえっ!!!!」
ジャイアンは大きく息を吸うと手に握っているマイク代わりの枝を口元に寄せる。
「ボエェェェェェェエエエエエエエエエエッ!!!!」
「「「「「ギャァァァァァァァァァァァ!!!!」」」」」
ジャイアンに至近距離にいたゴリラ達は彼の強烈な音痴の歌を聴いて悲鳴をあげながらその場で倒れてもがき苦しんだ。
「ぎゃぁぁあああああああ!!!?」
そして、タイミング悪くスネ夫が目を覚ましてしまい、ジャングルちほーに住むフレンズ達と共に地獄のリサイタルを味わう羽目になってしまったのだった。ドラえもん達が此処に訪れるまではジャイアンによる支配が続き、ゴリラ達はけものを操る方法を身をもって知ったのだった。(違う)