ドラえもん のび太の獣友冒険記   作:獅子河馬ブウ

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けものフレンズ(たつき版)を見ながら小説を書くと心が癒されるのじゃ〜。


第1話 しゅっぱつしんこー!

セルリアンを倒したドラえもん達はサーバルの案内でパンのロバ屋と呼ばれるキッチンカーにやってきていた。其処では食べ物をくれるロバから幾多もの食べ物を貰って食事をしていた。

 

 

「おいしい〜!」

 

「ほんと美味しいね。特にこのジャパリまんはどら焼きの様な味がして僕好みだよ」

 

 

お腹を空かせていたキュルルはじゃぱりまんやジャパリパン、ジャパリチップス、ジャパリソーダなどを頬張っていく、ドラえもんもじゃぱりまんを美味しそうに食べている。その2人の食いっぷりを灰色の服を着た少女のロバが感心した目で見ていた。

 

 

「よく食べますねー」

 

「うん、キュルルちゃんとドラえもんちゃんは好き嫌いがないみたい」

 

「てっきりドラえもんはキュルル以上に食べると思ったらそうでもないのね」

 

 

キュルルと比べて図体がデカいドラえもんはキュルル以上に食べると思っていたカラカルは実際はそうでもなかった事に意外だなと思っている。

 

 

「いや、僕はそこまでお腹は空いていないからね。あと、一個ジャパリまんを食べればお腹が満たされるよ。」

 

ドラえもんはじゃぱりまんを頬張りながキュルルは「あっ」と声を漏らして何かを思い出し、ドラえもんに話しかける。

 

「ねぇ、お腹で思い出したんだけど、あの時ドラえもんは僕を助ける時にそのポケットからライトみたいなの取り出していたけど、あれはなんなの?」

 

 

キュルルはドラえもんに助けてもらう時にお腹に付いているポケットに手を入れてスモールライトを取り出した事を思い出す。サーバルとカラカルもその事を思い出す。

 

 

「そういえばそうね」

 

「うん、あの時は本当にびっくりしたな〜」

 

「ポケット?……もしかしてドラえもんさんはカンガルーのフレンズですか?」

 

 

事情を知らないロバはドラえもんの腹部にポケットが付いている事からカンガルーのフレンズと勘違いをする。

 

 

「僕はカンガルーじゃなくて猫型ロボットなんだけど」

 

「猫型ろぼっと?よくわかんないけどあんたって猫っていうよりたぬきに見えるんだけど」

 

「ぼ、僕はたぬきじゃない‼︎」

 

「ご、ごめん。というか、怒鳴るくらい嫌なの?」

 

 

カンガルーと勘違いされたドラえもんは訂正をするが、カラカルがうっかりたぬきみたいだと口を滑らせる。ドラえもんも自分がたぬき呼ばわりされた為、反射的に怒鳴ってしまう。カラカルはすぐ謝罪をしたが、ドラえもんはたぬきに何か恨みでもあるのかと思った。

 

 

「あ、いや……ただいつも、たぬきって間違われるからつい……」

 

「そう、こっちもたぬきって呼んで悪いわね」

 

「いや、僕こそいきなり怒鳴ってごめんね」

 

 

少し経って冷静に戻ったドラえもんはカラカルに頭を下げる。それを見たサーバルはなんとか空気を変えようと話しかける。

 

 

「そ、それでそのポケットは一体なんなの?」

 

「ああ、これ?これは四次元ポケットさ」

 

「四次元?」

 

「「「ポケット?」」」

 

「そう、このポケットは僕の持っている秘密道具がしまってあるんだ」

 

「秘密道具ってなに?」

 

「秘密道具っていうのはね、これらのことさ」

 

 

ドラえもんは例としてポケットから先ほど使ったタケコプターとスモールライトを取り出すと、サーバルはタケコプターに注目する。

 

 

「あっ、それって確かドラえもんちゃんが飛んでいた時に頭につけていた羽!」

 

「羽じゃないよ、これはタケコプターって言うんだ。これを頭につけてスイッチを押せば空を飛ぶことができる」

 

「へぇ〜、鳥のフレンズじゃないのに空も飛べるってドラえもんってますます不思議よね」

 

 

カラカルは興味深そうにタケコプターを眺めていると、サーバルがドラえもんに頼み事をする。

 

 

「なにそれ面白そう!ドラえもんちゃん、私にも貸して!私も空飛びたーい!」

 

「無理でしょ、これはドラえもんの羽みたいなものだから」

 

 

だが、カラカルはドラえもんの道具を体の一部と認識している為、サーバルでは使えないと思いながら無理だろうというが、

 

 

「別に構わないよ。タケコプターは誰でも使えるようになっているからね」

 

「えっ、そうなの⁉︎」

 

 

本人からタケコプターは他人でも使える事を知ったカラカルは驚いた表情を見せる。一方のサーバルは「やったー!」と喜びの声を上げながらドラえもんからタケコプターを受け取り、ドラえもんが使っていた時の事を思い出しながら頭の上に乗せる。

 

 

「サーバル大丈夫なの?」

 

「平気平気、えっと、これを押せばいんだね」

 

 

カラカルは心配するが、サーバルは自信満々に大丈夫と言ってタケコプターのボタンを押すとタケコプターの羽は勢いよく回り始め、足が地面から離れる。それを見たカラカル達は「おお」と声を漏らす。

 

 

「うみゃぁぁぁぁぁああああああああ!!!?」

 

「「「「サーバル(ちゃん)(さん)⁉︎」」」」

 

 

しかし、サーバルは空中を縦横無尽に飛び回りタケコプターに振り回される結果となる。しばらくすると地面に降り立ち、怪我こそは負わなかったが目を回し、フラフラと足元がおぼつかない様子だった。

 

 

「サーバル大丈夫?」

 

「ミャ、みゃ〜、だ、大丈夫だよ〜」

 

 

カラカルがサーバルの身を心配するが、サーバルは目を回しながらも大丈夫だと答える。ドラえもん達はそんなサーバルの姿をしてホッとする。

 

 

「大丈夫サーバルちゃん?」

 

「う、うん、まだ目が回るけど大丈夫だよ〜」

 

 

サーバルはそう言うとドラえもんにタケコプターを返した。ドラえもんもタケコプターを受け取るとポケットにしまう。因みにカラカル達はサーバルの姿を見てタケコプターを借りなくて良かったと内心そう思っていた。

 

 

の の の の の

 

 

 

それから十分後、サーバルの調子が元に戻るとドラえもんは先ほどタケコプターと共に取り出したスモールライトを見せた。

 

 

「それはセルリアンを小さくした道具だね」

 

「そ、これはスモールライトって言ってこのライトから出る光を浴びせるとなんでも小さくする事が出来る。例えば……このじゃぱりまんに光を浴びせる」

 

 

ドラえもんは実験として、貰ったじゃぱりまんにスモールライトの光を浴びせる。すると、みるみる小さくなっていき、最終的には1cm程の大きさになる。

 

 

「「すっごーい!」」

 

「本当に凄いわね」

 

「じゃ、ジャパリまんが小さくなってしまいました」

 

 

サーバルとキュルルは年相応の子供のように大きな反応を示す。カラカルもサーバル達ほどではないが、驚いた顔を見せる。ロバは事前にスモールライトの効果を見ていない為、彼女たちよりも大きく驚いた反応を見せた。

 

 

「どう?これがスモールライトの効果だよ」

 

「でも、これだと食べてもお腹は膨れないよ」

 

 

キュルルは小さくなったじゃぱりまんを手に乗せてドラえもんに言う。

 

 

「大丈夫。スモールライトの光を浴びた物はもう一度浴びれば元の大きさに戻るんだ」

 

 

ドラえもんはキュルルからじゃぱりまんを受け取り、スモールライトの光を小さくしたじゃぱりまんに浴びせると、じゃぱりまんは元の大きさに戻る。

 

 

「凄いや!」

 

「ちゃんと元の大きさに戻ってる」

 

「まるで魔法みたいですね」

 

「そうね」

 

 

元に戻ったじゃぱりまんを見た彼女たちはスモールライトの効果を改めて凄いと思った。

 

 

「どう、他にも凄い道具がまだまだたくさんあるんだよ」

 

「ええーーっ!?まだたくさんあるの!?」

 

「私は空を飛ぶだけでも驚いているのにまだ沢山あるなんてこれ以上驚いていたら疲れるわよ」

 

 

まだ秘密道具があると知るとサーバルは更にわくわくさせる。一方、カラカルは今日一日中驚いていた為、少し疲れた表情を見せる。そんな姿を見てロバ「ふふ」と笑い声を漏らす。

 

 

「ドラえもんさんは本当に凄いフレンズなんですね」

 

「今更なんだけどそのフレンズってなに?あと、此処がなんなのかもよくわからないんだけど」

 

「あ、僕も気になっていたんだ」

 

 

ロバの話を聞いてフレンズという単語を思い出したドラえもんはどういうものなのか聞く。キュルルもフレンズという言葉の意味を知らない為、ドラえもんに便乗する。

 

 

「知らなかったの?……フレンズっていうのはサンドスターっていうのが動物に当たってなった者の事を言うのよ」

 

「そして、此処はジャパリパークのさばんなちほーだよ」

 

 

カラカルとサーバルからフレンズと今いる場所(ジャパリパーク)について聞いた2人は今いる場所について理解するが、

 

 

「サンドスター?」

 

「なにそれ?」

 

 

カラカルの説明の中に出てきたサンドスターについて首を傾げる。すると、サーバルが話に入ってくる。

 

 

「サンドスターっていうのはあの火山から出て来るキラキラの事をいうんだよ」

 

 

遠くの方に指を指すとドラえもん達もつられてその先を見る、遠くの方に見える山の頂に芸術作品のような大きな結晶の塊が存在していた。

 

 

「うわぁ〜!綺麗〜」

 

「あれがサンドスターか」

 

 

ドラえもんとキュルルはその結晶に思わず心が奪われる。だが、ドラえもんはしばらく見て何かに気づく。

 

 

(あれ?…あれって、どこかで見た事あるような)

 

 

暫くサンドスターを見て似たような物を何処かで見たような気がするドラえもんは記憶を思い返すが全く思い出せなかった。

 

 

(まぁ、今思い出さなくても良いかな。それにしてもあのサンドスターが動物に当たるとフレンズになるのか………ん⁉︎待てよ……)

 

 

此処でドラえもんはサーバル達の耳や尻尾を見る。最初は何かのコスプレと思っていたが、自分たちを動物の名前で呼び合いその動物にあった特徴を持っている。例としてサーバルはセルリアンに攻撃するとき動物のサーバルキャットの様に高いジャンプ力を見せていた。

 

 

(あの時は動物の力を持った女の子かと思っていたけどサンドスターの説明で漸くわかった。サーバルちゃん達はサンドスターによって独自の進化をした動物だったんだ)

 

 

以前ドラえもんは独自の進化をした動物達を見た事がある為、彼女達(フレンズ)についてすぐに理解出来たドラえもん。同時にある事に気づく。サンドスターという物質はドラえもんの知る限り22世紀どころか地球上に存在しない。

 

 

(ひょっとすると此処はアニマル星やバードピアのような別の世界、または別の星かもしれない)

 

 

此処がまだ別の世界と確信出来ないのはロバが開いているお店に日本語で"パンのロバ屋"と書かれている事だ。店の名前が日本語で書かれているという事は此処は日本の何処かにある誰かが作った場所かもしれない。少なくとも此処は自分たちの知る常識とは異なる場所であると考える。そして、どうやって此処へやってこれたのだろうと考えていると、ある事を思い出す。

 

 

(もしかしたらあのチケットが原因かもしれない)

 

 

あの時ドラえもんはチケットに書いてあった数字をタイムマシンに打ち込んだ結果タイムマシンは暴走してこの場所にまよいこんでしまった。

 

 

(この場所の名称とフレンズについて大まか理解できた。後は此処はどこまで文明が発達しているかだ)

 

 

先ほどドラえもん達が食べたじゃぱりまんは明らかに一つ一つ形がほぼ同じで少なくとも手作業では難しい。恐らくこのジャパリパークの何処かに工場があり、其処でじゃぱりまんなどの食品を作って、誰かがロバのところまで運んで来てくれる。恐らくその運んでくる人物ならジャパリパークについて詳しく教えてもらえるだろう。

 

 

「どう、わかった?」

 

 

その時、先ほどまでジャパリパークについて考えていたドラえもんだが、サーバルの声でハッとなりサーバルにフレンズについて理解した事を伝える。

 

 

「僕はわかったよ。キュルルちゃんはサンドスターとフレンズについてわかったかな?」

 

「び、微妙かな…」

 

 

若干頬をひきつらせながら返事をするキュルルの顔を見たドラえもんはこれはわかっていないなと確信して、彼女にもわかりやすい様に説明をする。

 

 

「簡単に説明すると彼女達フレンズは元々は動物だったけど、サンドスターに当たって今の姿になったんだよ」

 

「ええーーっ!?そうなの!?」

 

「そうだよ!」「そうよ」「ええ」

 

 

ドラえもんの説明を聞いてサーバル達が元動物だった事を知ると驚愕の表情をするキュルル、ドラえもんはそんなキュルルの反応がのび太に似ている事から親近感を感じた。

 

 

「そういえばキュルルとドラえもんは何処から来たの?」

 

「僕は友達と一緒に遠いところから来たんだ」

 

「ドラえもんの友達ってドラえもんと同じ姿をしているの?」

 

「いや、一緒に来たのはキュルルちゃんの様な姿をした子達だよ」

 

「えっ、僕?」

 

 

友達がキュルルと似ていると聞いて、キュルルはキョトンとする。

 

 

「という事はその友達は人なの?」

 

「そうだよ」

 

 

カラカルは内心人という存在は少ないと思っていたが、実際は結構いるものだと思っていた。

 

 

「それでキュルルちゃんは何処から来たの?」

 

「僕はあそこから」

 

 

サーバルの問いにキュルルは自分がやって来たところに指をさすと其処には森の奥に巨大な建物が見えていた。

 

 

(こんな森の中にあんな大きな建物が建てられているなんて……ますます、ここの文明がわからなくなってきた。でも、あそこに行けば何かわかるかもしれない)

 

 

自然豊かな土地に明らかに場違いな建物が建っている事にドラえもんは其処に行けば何か情報を得られるかもしれないと思っていた。

 

 

「大きな建物ね」

 

「ひょっとして、あれはキュルルちゃんの縄張り?」

 

「えっと、多分違うと思う」

 

 

記憶がないキュルルにとってあの建物はどういうものなのか、キュルル自身もわからなかった。

 

 

「まぁ、あそこに行けば何か分かると思うよ」

 

 

ドラえもんは其処に行けばキュルルの失われる前の記憶についての手がかりが見つかるだろうと提案をする。

 

 

「確かにそうね」

 

「じゃあ、行ってみようよ!」

 

 

サーバルはドラえもんの提案に賛成をすると一目散に建物の方へ走っていった。カラカルはそんなサーバルに頭を悩ませながらも走っていく。その後をドラえもん達も行くが、その前に2人はロバの方に振り返る。

 

 

「ロバさんご飯ありがとう!」

 

「ご馳走さまでした〜!」

 

「はい、皆さんも気をつけてください」

 

 

2人はロバにお礼を言うとロバも2人を見送る。ロバは2人が走っていくのを確認すると自分の店に戻っていく。

 

 

「あれ?これって……」

 

 

その途中地面に何か落ちている事に気付いたロバはそれを拾い上げた。

 

 

 

 

それはドラえもんのスモールライトだった。どうやら、うっかり仕舞い忘れてそのまま置いていってしまったようだ。彼女はドラえもんにスモールライトを届けようと考えたが、店にいなくては駄目な為、店に戻ることにした。

 

 

(きっと、無いことに気づいてすぐ戻ってくるでしょうしね)

 

 

そう考えたロバは店へ戻っていった。

 

 

の の の の の

 

 

ロバと別れたサーバル達は森の中を進んでいると、謎の建物の前へやってきた。遠くから見てあまりわからなかったが、近くで見るとその建物の壁は所々ボロボロで、窓ガラスもいくつか割れていた。そんな建物にこれから入る事からサーバルを除いた3人は息を飲んだ。

 

 

「ほ、本当に此処から来たの?」

 

「う、うん多分此処であっている……筈」

 

(ネズミが出ませんようにネズミが出ませんようにネズミが出ませんように!!!)

 

 

若干カラカルは建物の不気味さに恐怖を感じながらキュルルに確認をするが、キュルルも建物の不気味さにすこし怯えながら自信なさげに答える。対してドラえもんは自分の天敵であるネズミが出ない事を必死に祈っていた。

 

 

「3人とも何してるの〜?早く入ろうよー!」

 

 

そんな中サーバルは恐怖とは無縁で逆にこの建物の中に何があるのだろうとワクワクしていた。そんなサーバルを見て2人は次第に彼女に感化されていった。

 

 

「わ、わかったわよ。ほら、キュルルもドラえもんもいくわよ」

 

「う、うん」

 

「そ、そうだね」

 

 

3人はサーバルの後に続き建物の中へ入っていく。その中は明かりはなく薄暗い空間が広がっていた。所々に隙間風が吹き、天井からは水滴が垂れている。

 

 

「暗くて涼しいね〜。暑い日には丁度いいよね〜!」

 

「ちょっと静かにして、ひょっとしたらセルリアンがいるかもしれないでしょ!」

 

「えっ!セルリアン!?」

 

 

カラカルがセルリアンがいるかもしれないと聞いて、キュルルはセルリアンに襲われた事を思い出しその場で身を丸くした。カラカルも失言だった事に気付き、なんとか落ち着かせようとするが、口が悪い自分では逆効果になるのではと思っていると、サーバルがキュルルに駆け寄る。

 

 

「大丈夫だよー、もしセルリアンが出たとしても自慢の爪でやっつけちゃうんだから!」

 

「サーバルちゃん……う、うん、ありがとう」

 

 

サーバルに勇気付けられてキュルルはなんとか立ち直る。そんな2人をカラカルは複雑そうな表情で見る。そんな彼女にドラえもんは話しかける。

 

 

「大丈夫だよ、カラカルちゃんもキュルルちゃんを落ち着かせようとしたんでしょ?」

 

「べ、別に、私はただこんな事で怯えていたらきりが無いから注意しようとしただけなんだから!」

 

「ふふ、今はそう思っておくよ」

 

「ほ、本当なんだからーーっ!!!」

 

 

自分の本心をなかなか打ち明けられないカラカルはドラえもんに否定するが、ドラえもんは温かい目でそんなカラカルを見ていた。いつのまにかサーバルとキュルルもそんな2人を見て思わず笑った。

 

 

「な、何がおかしいのよー!?」

 

「ううん、なんでも無いよ〜!」

 

「嘘おっしゃい!」

 

「きゃー!食べないでー!」

 

「食べないわよ!」

 

 

悪ふざけするサーバルと追いかけ回すカラカルだが、先ほどの顔と比べてとてもいい笑顔を見せていた。

 

 

「2人とも元気がいいな、此処は暗いのに2人が明るく見え……あ、そうだ!」

 

 

元気よく走り回る2人を見てドラえもんはなにかを思いつき、ポケットの中に手を入れる。

 

 

「どうしたの?」

 

「うん、2人を見て思いついたんだ。確か暗いところを明るくする道具は……あった!」

 

 

ドラえもんはキュルルの質問に答えながらポケットの中を探っていると、目的の物を見つけて取り出した。

 

 

「ピッカリゴケ〜!」

 

「なにそれ?」

 

 

ドラえもんの取り出した小さな小袋にキュルルは首を傾げながらそれはなんだと聞くが、ドラえもんは見れば分かるといって小袋の封を取りその中に入っていた苔を地面にふりかけるとそこから明るくなっていき、だんだんと周りにも広がっていった。

 

 

「すっご〜い!」

 

「さっきまで暗かったのに外みたいに明るくなっちゃった」

 

 

サーバルとカラカルは周りが幻想的に明るくなっていく事に思わず心が奪われていき、建物の中の全てが明るくなっていくところを眺めていた。

 

 

「これで探しやすくなった。さぁ、行こう」

 

「「「うん!(ええ)」」」

 

 

ドラえもんの言葉に3人は元気よく返事をして奥に進んでいると、扉が開いている部屋を見つける。

 

 

「ねぇ、あそこはなんだろう?」

 

「入ってみるわよ」

 

 

サーバル達は部屋に入ると其処には数台の壊れたなにかの装置と唯一無事な装置を見つける。

 

「これなに?」

 

「ここがキュルルちゃんの(おうち)?」

 

「わからない……でもここでずっと眠っていた気がする」

 

謎の装置の中に眠っていたと思っているキュルルは曖昧な発言をする。ドラえもんも目の前にある装置は一体何かと考える。

 

 

(うん?部屋の奥にまだなにかあるな)

 

 

なにかを見つけたドラえもんは部屋の奥に向かうと頑丈そうな扉を見つける。

 

 

「これはなんだろう」

 

 

見たところなにか大事なものが入っていそうなその扉の奥はなにがあるのだろうと思いながら、ドアノブを探そうとするがそれらしきものは見つからなかった。

 

 

「こういう時は通り抜けフープを使おう」

 

 

そう言ってドラえもんは再びポケットの中に手を入れて道具を取り出そうとした時にサーバル達が呼んでいる事に気付き、サーバル達の元へ向かった。

 

 

「ドラえもんちゃーん!」

 

「もう、1人で行動すると危険よ」

 

「ごめんごめん、ところでなにか見つけたの?」

 

 

呼びかけたと言うことは何か手がかりになるものを見つけたのだろうと思っていると、キュルルはドラえもんに見つけたものを見せる。

 

 

「うん、これなんだけど」

 

「スケッチブック?」

 

「ドラえもんも知っているんだ」

 

「まぁね、けどそのスケッチブックはどうしたの?」

 

「それがね、これを見て」

 

 

そう言ってキュルルはスケッチブックのページを開いて其処に描いてあった絵をドラえもんに見せる。

 

 

「これは湖?」

 

 

描いてあったのは湖の絵だが、ドラえもんは全く見覚えのない光景だった。

 

 

「この絵の場所は私たちも行ったことのある場所なのよ」

 

「うん、きっと其処に行けばキュルルちゃんのおうちがあると思うんだ!」

 

 

どうやらサーバルとカラカルは見たことある場所であるらしく、この近くにキュルルのお家、または手掛かりになるものがあるとサーバルは思っている。

 

 

「そうか、ひょっとしたら其処にのび太君達もいるかもしれない」

 

「「「のびた?」」」

 

 

聞いたことのない名前にサーバル達は首を傾げる。

 

 

「あ、そういえば言っていなかったね。さっき話していた友達の1人で僕の大親友なんだ」

 

「へぇ〜、いると良いわね」

 

 

カラカルはこれから行く湖にのび太達がいるといいと言うと、ドラえもんは彼女にお礼を言う。

 

 

「ありがとう。じゃあ、取り敢えずその絵の場所まで案内してくれる?」

 

「まっかせてー!ガイドは得意だから」

 

「あっ!ちょっと、1人で突っ走らないでよ!」

 

 

自信満々にサーバルは建物の出口へと走っていき、カラカルはその後を追いかけて部屋を出て行った。その場に残されたドラえもんとキュルルは互いに目を合わせる。

 

 

「それじゃあ、僕らも行こうか」

 

「うん、あっ!ちょっと待ってて!」

 

キュルルは装置の中に何かある事に気付きそれを取り出す。

 

 

「それはかばんに水筒?」

 

「うん、多分これも僕のだと思う。それにこのかばんにスケッチブックを入れれば運びやすいし、湖でこの水筒に水を入れようと思ってる」

 

「うん、旅はなにがあるかわからないしね」

 

 

2人は話し合いながら部屋を出ると建物の出口にはサーバルとカラカルが待っていた。

 

 

「遅いよ〜」

 

「なにのんびりしているのよ」

 

「ごめん、ちょっとね」

 

 

ドラえもんは彼女たちに謝るといっしょに建物から出た。

 

 

「それじゃあ、キュルルちゃんの(おうち)と!」

 

「ドラえもんの友達を探しに!」

 

 

 

「「「「レッツゴーーー!!!」」」」

 

 

こうしてドラえもん達のジャパリパークを巡る冒険が始まった。

 

 

 

 

 




フレンズ図鑑

サーバル

ネコ目ネコ科レプタイルルス属

Leptailurus serval

聴力やジャンプ力に優れたフレンズ。
背の高い草木のある草原や、川辺近くの葦の茂み、草むらなどを好んで生息していて、主に夜間に活動する。しかし、朝夕の日差しが強くないときには、昼間もよく活動する。

カラカル

ネコ目ネコ科カラカル属

Caracal caracal

乾燥した地域に住み、耳の先端に特徴的な房毛を持つフレンズ。
森林やサバンナ、ヤブ地などに生息しているが、岩山などでも姿が見られる。砂漠地帯には生息していないが、乾燥した土地を好み、サーバルキャットなどよりも乾燥した環境に適応している。
主に夜行性の動物で、昼間は茂みや木の上などで潜んでいることが多い。

ロバ

ウマ目ウマ科ウマ属

Equus asinus

体は小さいものの、賢く力持ちなフレンズ。
ロバは粗食にも耐え、厳しい条件下でも働くことができ、また力も強いので、現在でもアフリカやアジアで乗用や運搬、耕作などに使われている大切な使役動物である。


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