目指せ!優しい世界!
キュルルが眠っていた謎の建物にあったスケッチブックの絵を頼りにドラえもん達は湖の所へ向かっていた。幸いにも近くにあり、道中セルリアンに襲われる事なく湖へたどり着いたドラえもん一行。
「着いたよ!どう?此処にキュルルちゃんの
「う〜ん、絵の場所は此処みたいだけど、お家とは違うみたい」
スケッチブックの絵と目の前に広がる湖を見比べてみて、同じ場所だがキュルルの家らしきものは見当たらなかった。ドラえもんもあたりを見渡しているとカラカルが話しかけてきた。
「ドラえもんあんたの友達は見つかった?」
「それが、さっきから探しているけど全く見当たらないんだ」
ドラえもんも周囲を見渡すが誰一人と見当たらなかった。ドラえもんは此処にのび太達がいないと分かると深く息を吐く。
「はぁ〜、のび太君達はいったい何処にいるんだ?」
ただでさえジャパリパークの情報を把握していないのにセルリアンという巨大なモンスターがいるからのび太達を見つける前にセルリアンに襲われる可能性がある。
(ジャパリパークの地形情報を知らないからどこでもドアは使えない。地道に探していくしかないのか……)
最初はどこでもドアを使ってのび太達のいる場所へ行こうと考えたが、どこでもドアは目的地の地図情報がインプットされてなければ使えない為、このジャパリパークでは現在のところ使用が不可能だ。仕方なくドラえもんは人探しに適した道具を使おうとポケットの中に手を入れる。すると、サーバル達がドラえもんがポケットに手を入れている事に気づく。
「ドラえもん何してるの?」
「いやね、ちょっと人探しに丁度いい道具を探しているんだ」
「なになに!?今度はどんな道具を出すの!?」
「サーバル分からない事もないけど興奮し過ぎよ」
興奮しているサーバルをカラカルとキュルルが落ち着かせている間にドラえもんは探していた道具を見つけ出した。
「あった!たずね人ステッキ〜!」
ドラえもんが取り出した道具は持ち手の部分に機械が付いた杖を取り出した。
「たずね人ステッキ?」
「よく分からないけどその棒で友達が見つかるの?」
キュルルとカラカルはドラえもんの出した道具を不思議に思いながらものび太達を探しだせるのか聞くと、ドラえもんは少々苦笑いを浮かべる。
「まぁ、当たる確率は70%なんだけどね」
「それはまた微妙な道具ね」
たずね人ステッキが確実に方角を示してくれる物じゃないとしると、キュルルとカラカルは苦笑いを浮かべるが、サーバルだけキョトンとした顔になっていた。
「あれ、サーバルちゃんどうしたの?」
「ななじゅっぱーせんとって何?」
「「「ズコーーッ!?」」」
「みゃ?」
ドラえもん達はサーバルがパーセントという単語自体知らない事に一斉にその場にこける。
「よ、要するに10回やって7回当たるって事だよ」
「そうなんだ。あっ、その棒を使えば友達は見つかるという事だね」
ドラえもんの説明を聞いたサーバルは大雑把過ぎるがパーセントの意味を理解してくれた様だ。
「それで、その棒はどうやって使うの?」
「使い方は簡単。ステッキを地面に突き付けて探したい人物の名前を言いながらステッキから手を放すとその人がいる方角に倒れる仕組みになっているんだ。では早速、『のび太君達は何処?』」
たずね人ステッキの使い方を説明すると早速のび太の場所を探し出そうとステッキから手を放すと、ステッキは湖の先へ倒れた。
「どうやら方角はあっちの様だ」
「でも、当たっているのは70%だけど」
「うっ、ま、まぁ、スケッチブックに描かれてある絵の場所もわからないから道具を信じてみよう」
ドラえもんは半分不安になりつつもたずね人ステッキがちゃんとのび太達の居場所に倒れた事を祈りながらをポケットにしまう。
「あら、先客がいましたの?」
「うん?」
そこへ後ろから声が聞こえきて、ドラえもん達は思わず振り返ると其処には毛先が赤いライダースーツを着た女性と黒と白のシマシマ模様の服を着た少女が立っていた。
(この人達もフレンズ?)
現れた2人は頭から耳が生えている事から人ではなくフレンズと瞬時に理解できたドラえもんは彼女たちの姿を観察する。
(この女の子は全身白と黒の模様をしているからシマウマのフレンズかな?)
2人の内白黒模様の服を着た少女はシマウマと判断するドラえもんだが何処かしら違和感を感じるが、あまり気にしなかった。もう1人の女性はサーバル達の服や耳と比べると全く似ても似つかない見た目を持つ女性だ。この事から少なくとも犬やネコ科動物ではないと確信するが、どういう動物かわからなかった。ドラえもんは暫くその女性はなんの動物か考察していると、サーバルとカラカルが彼女達の名を呼ぶ。
「あっ、カバ!」
「それにアードウルフじゃない」
「サーバルとカラカルも居ましたの」
「こんにちは〜」
どうやら彼女たちはサーバルの知り合いらしく親しく挨拶を交わした。その様子を見ていたドラえもんは白黒の女の子が自分の予想したシマウマではなかった事に少し残念感を覚えるが、それ以上に驚きの表情を浮かべる。
(この人があのカバ⁉︎)
ドラえもんは目の前でサーバルとカラカルに親しそうに挨拶をする女性があの大口のカバとは全く思えなかった。しかし、よくよく見ると目の前の女性の癖のある髪はカバの牙に似ており更に耳と尻尾もカバそのものだ。
「知り合いなの?」
「うん、2人とも私たちの友達だよ」
「私達はさばんなちほーに住んでいるフレンズ達とは殆ど知り合いなのよ」
「へぇ〜、そうなんだ」
サーバルの返事を聞いたキュルルは彼女達が色んなフレンズの友達を持つその顔の広さに素直に凄いと感じた。
「そっか、2人は社交的なんだね」
「しゃこーてき?……えっへん!そうなんだ私たちはしゃこーてきなんだよ」
「いや、サーバルあんた意味わかってないでしょ」
ドラえもんが口に出した"社交的"という単語を聞いたサーバルはその単語の意味を知らないが、自分は褒められているとわかり威張るが、カラカルはそんなサーバルに思わずツッコミを入れる。
「ところでそちらの2人は見ない顔ね。あなた達もサーバルの知り合い?」
カバとアードウルフは初めて会うドラえもん達がサーバル達と親しく話している姿を見て、サーバル達の知り合いか聞くとサーバルが答える。
「あ、そういえばカバ達は知らなかったね。こっちはキュルルちゃんでこっちはドラえもんちゃん」
「初めましてキュルルです」
「こんにちは、ぼくドラえもんです」
サーバルに紹介された2人はカバ達に挨拶をする。対してカバ達は疑問符を浮かべながら首を傾げる。
「キュルルにドラえもん?」
「初めて聞く動物ですね」
聞いた事ない名前に最近生まれたフレンズだと思った2人だが、サーバルがそれを否定する。
「実はキュルルちゃんはヒトなんだって」
「えーーっ⁉︎ヒトなんですか!?」
(人って……そんなに驚く事かなぁ)
「ヒトって、そんなまさか……」
ドラえもんはアードウルフの大きなリアクションにやれやれと呆れた様子を見せるがカバはキュルルのある物をみて何かに気付く。
「貴女……その頭に被っているものは……」
「え?帽子がどうかしましたか?」
「よく見させて下さい」
「え、急にどうしたのカバ⁉︎」
突然の帽子を見せろといったカバにサーバルはどうしたんだと聞くが、カバの真剣な表情を見て驚いてしまう。カラカル達もカバの放つ威圧感に怯み、ただ黙ってその様子を見ていた。
「い、いいですけど……」
キュルルは若干カバの気迫にビビりながらも帽子を脱ぎカバに渡す。キュルルの帽子を受け取ったカバはその帽子を見つめる。それからしばらくしてカバの表情は緩み威圧感が消えるとキュルルに帽子を返した。
「驚かせてごめんなさい。帽子を返しますわ」
「は、はぁ……」
「カ、カバさん急にどうしたの?キュルルさんの帽子を見て」
いきなり帽子を眺めたカバの行動にアードウルフはキュルルの帽子に何かあったのかと思いカバに話しかける。すると、カバがアードウルフに笑みを浮かべながら口を開く。
「いえ、ただ素敵な帽子と思っただけですわ」
カバはキュルルの帽子が素敵だと言うとアードウルフは「そうですかと」言って納得する。サーバル達も何も起きなかった事にホッとする。だが、ドラえもんは目を細めてカバを怪しんで見ていた。
(このカバって人はなんでキュルルちゃんの帽子を見ようとしたんだ?)
ひょっとしたらキュルルについてなにかを知っているのかもしれない、そう考えるドラえもんだが、カバが視線をドラえもんに移すとドラえもんはドキッと蛇に睨まれたカエルのように体が動かなくなり頭から冷や汗を流す。ひょっとして、先ほど観察していたことがバレたのかと思っていると、
「ところであなたドラえもんだったかしら?貴方はヒトには見えませんわ」
どうやらドラえもんはなんの動物か知りたかったようだ。ドラえもんはそう言う事かと理解すると自分の事を説明する。
「いえ、僕は人じゃなくて猫型ロボットです」
「猫型ろぼっと?よくわかりませんが、貴方猫なのに耳が生えてありませんね。それに体が青い猫なんて聞いたことないですわ」
猫と聞いてカバはドラえもんの体を見渡すが特にこれといった猫という特徴はなくあるとしたら精々髭しかない為、カバは全く猫とは思えなかった。すると、カバの言葉に便乗するようにアードウルフが思っていた事を口にする。
「私もそう思います。それに猫というよりたぬきじゃ「僕はたぬきじゃない!!!」ひゃっ!ご、ごめんなさい!」
「あ、こ、こちらこそいきなり怒鳴ってごめん…なさい」
「なんで敬語なのよ?」
たぬきと言われたドラえもんはアードウルフに怒鳴るとアードウルフは驚きの声を上げて謝る。対してドラえもんはカバが威圧感を放ちながら睨んでいる事から慌ててアードウルフに謝る。その様子を見たカラカルは敬語を使っている事に疑問を思いつつもため息を吐きながらドラえもんに注意をする。
「というかドラえもん。いくらたぬきに間違われるのが嫌だからって、少しは怒鳴る事に自重した方が良いわよ。アードウルフみたいに気弱なフレンズを怖がらせちゃうかもしれないわよ」
「うぅ、本当に面目ありません」
カラカルに注意されたドラえもんも流石に言い返しの余地は無く、ドラえもんもやり過ぎた事を反省する。場の空気を変えようとサーバルはカバ達に話しかける。
「ところで2人は今日どうしたの?」
「はい、私とカバさんは其処にある水飲み場にやってきました」
「そうなの。今日は日差しが強くて喉が渇いたから水を飲もうと思ったのよ」
「水飲み場?」
サーバルの質問に2人は答えるとそれを聞いていたキュルルは目の前に広がる湖に視線を移す。
「この湖が水飲み場なの?」
「そうだよ、この湖はこのさばんなちほーに住んでいるフレンズが使っている水飲み場なの」
「そっか、だから2人はこの湖の事を知っていたんだ」
ドラえもんは2人が湖の場所について知っていた理由が此処が彼女達フレンズの水飲み場なんだと分かると納得した。すると、暫く湖を眺めていたキュルルは「そうだ!」と声を上げてかばんの中から持ってきた水筒を取り出す。
「ここならこの水筒に水を溜められるよ」
「お〜、確かに此処ならみんなが飲んでいるから特に体には害はなさそうだから安心して水筒に入れられるね」
キュルルは持ってきた水筒が早くも役に立つと思いさっそく湖の側に近寄り水筒の中に水を入れる。サーバル達も湖の水に口をつけて飲みだす。
「そういえば2人はキュルルちゃんの巣について何か知らない?」
「おうちですか?」
「いわゆる縄張りみたいなものよ」
サーバルにキュルルのお家を知らないか聞かれたアードウルフは聞き慣れないお家という単語を聞いて首を傾げると、カラカルは補足を付ける。
「すいません。私にはわかりません」
「自分の縄張りを忘れるなんて、何というか少し抜けてますわね〜」
「相変わらずカバはストレートにいうわね」
(この人結構な毒舌家だなぁ)
アードウルフはキュルルのお家については全く知らなく、カバはさらっと容赦のない一言を言う。ドラえもんはそれを見てカバの性格を理解した。
「まぁ、サーバルのように自分の縄張りを長期間放置していつの間にか他の子に取られることもあるから」
「えっ?サーバルちゃん縄張りを取られた事があったの?」
「うん、1回あったよ」
カバの話の中でサーバルは縄張りを取られた事があったことにドラえもんは本当かサーバルに聞くと彼女は肯定すると、視線をカラカルに移した。対するカラカルは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。
「私が他のちほーに遊びに行って帰ってきたらカラカルが私の縄張りを取っていたんだ。けど今は仲良く一緒の縄張りに住んでいるの」
「は、初めて会った時の事を掘り返さないでよ!あの時は誰もいないからラッキーだと思っていたのよ」
サーバルは楽しくカラカルに初めて出会った時の話をするが、カラカルは恥ずかしそうに顔を赤くして止める様に言う。
「2人はそうやって出会ったんだね」
「だから、そんなに仲が良いんだね」
ドラえもんとキュルルは2人の出会った時の話を聞いて、仲が良い理由が同じ縄張りに住んでいると分かると2人は納得の表情を見せる。
「私もここ最近は自分の縄張りには戻らず、こうしてアードウルフと共にしているからサーバルのことをあまり悪く言えませんが」
「………」
カバもサーバルの様に現在長期間縄張りから離れてアードウルフと行動をしている事を話すと、アードウルフは複雑そうな表情を浮かべる。
「アードウルフどうかなさったの?」
「い、いえ!なんでもないです……」
カバに心配されたアードウルフは慌ててなんでもないと言うとカバは「そう」と呟いて気にしなかった。アードウルフもカバがあまり気にしなかった事に安堵の表情を見せた。
「それじゃあ、ドラえもんちゃんの友達について知らない?」
「ドラえもんさんのお友達ですか?」
「でも、貴方の友達と言っても、そんな珍しい姿をしていればすぐ目立つけど見た事ないわ」
「カバ違うよ。ドラえもんちゃんの友達はヒトなんだって」
「ヒト⁉︎キュルルさん以外にもいるんだ……」
サーバルからドラえもんの友達は人だと知るとアードウルフは驚きの表情を見せる。
「………」
「カバ?」
一方カバは口に手を当て、真剣な表情を浮かべながら何か考え事していた。それに気づいたカラカルはカバに話しかけると、カバはハッとなる。
「いえ、なんでも……残念ながら私は何も知りませんわ」
「私も知らないです」
カバとアードウルフはのび太達の事を知らないとするとドラえもんは残念な顔を浮かべる。
「そっか……じゃあ、この絵に書いてある場所はわかる?」
サーバルはキュルルからスケッチブックを借りると、そこ湖ではない何かの建物が書かれた絵を見せる。その絵を目を凝らしながらカバとアードウルフは見覚えがあるか記憶を探っていくと、カバは両手を叩き思い出す。
「そうですわ!その絵に似た物がある場所なら確かこの先にありますわ」
すると、偶然にもカバが指をさした方向はたずね人ステッキと同じく湖の先だった。
「ありがとう!」
「教えてくれてありがとうございます」
教えてくれたカバにサーバル達は御礼を言うと、カバとアードウルフにお別れの挨拶を告げると、絵に書いてある建物がある方向へ向かおうとする。
「あっ、待ちなさいサーバル。セルリアンと会ったら、基本逃げるのですよ?どうしても戦う時は1人じゃなくカラカルや他のフレンズと協力するのよ」
「わかってるよ」
カバの忠告を聞いたサーバルは返事をすると再び歩き出す。
「あぁ、後…ちゃんとお水もたくさん飲んでおくのですよ!あなたほとんど汗かかないのですから!」
「大丈夫だよ、さっき沢山飲んだから」
「それから上り坂下り坂は足をくじかない様に気をつけt「はーい」
「なんか過保護過ぎるよね」
「はは、まるでサーバルちゃんのお母さんみたいだ」
何度もサーバルに心配そうに忠告をするカバの姿を見てドラえもん達は微笑ましく思えた。すると、キュルルが「あっ」と声を漏らした。
「どうしたのキュルルちゃん?」
「ごめん、みんなちょっと待っててくれない?」
キュルルはドラえもん達に一言謝るとカバ達の方に戻ってきた。
「あら、何か忘れ物でもしたのかしら?」
「いえ……まぁ、忘れ物といえば忘れ物ですね」
キュルルはカバにそう答えるとスケッチブックと数本の色鉛筆を取り出してスケッチブックに何かを描き始めた。カバとアードウルフは首を傾げながらキュルルの行動をそのまま見ていると、キュルルは満足した表情を浮かべると、なんとスケッチブックから1枚紙を切り取った。
「「えっ⁉︎」」
「はい、どうぞ」
突然のキュルルの行動に驚きながらもカバ達は恐る恐るその紙を受け取り、その紙を見てみると2人は驚きの表情を浮かべてたその顔は次第に笑顔になっていった。
カバ達がキュルルから貰った紙には先ほどキュルルが見せてくれたこの湖の絵だった。しかし、その絵は先ほどと違っていくつか書き加えられていた。それは、湖の水を美味しそうに飲むカバとアードウルフにサーバル達が載っていた。
「凄いです‼︎カバさん見てください‼︎私たちが描かれていますよ‼︎」
「本当に凄いわね、でも良いのかしら?これは貴方の巣の手掛かりでしょ?」
「大丈夫です。ちゃんと描いた絵の事は覚えているからまた同じのを描きます。それに僕は記憶がないからその日にあった人達の事を忘れないようにこうやって思い出を残していこうと思ったんです」
キュルルは笑顔を浮かべながら絵を渡す理由を言うとカバは思わず面食らった表情になる。それから暫くしてカバは表情を戻すとキュルルにある事を告げる。
「そう。それなら貴女に絵のお礼として二つこのジャパリパークについての掟を教えますわ」
「え、掟?」
いきなりカバからジャパリパークの掟を教わる事になったキュルルは若干困惑しながらも聴くことにした。
「先ず一つ目はこのジャパリパークでは自分の力で生きること。自分の身は自分で護るのですよ?サーバル達任せじゃダメよ?」
「は、はい」
「それともう一つはどうしても自分の力だけで出来ない事があればフレンズ達に助けを求める事よ。きっと、貴女を助けてくれるわよ」
「ッ!……はい!」
最初の掟を聞いてキュルルは一瞬落ち込むが、次の掟を聞いて自信に満ち溢れていった。
「ありがとうございました!」
キュルルはお礼を言うとサーバル達の元へと走っていった。
「カバさんは本当に優しいですね」
「そうかしら?私は自分でも厳しいと思っているのだけど」
サーバル達の元へ走っていくキュルルの後ろ姿を見るカバとアードウルフは彼女たちの旅が上手くいくように心の中で祈るのだった。
カバとアードウルフと別れた一行はカバに言われた通りの方角に道を歩いていた。
「ぼーけん!ぼーけん!」
サーバルは機嫌よく後ろを向きながら道を歩いている。それを見たキュルルはサーバルに話しかける。
「サーバルちゃん、ちゃんと前を向いていないと転んで怪我するよ」
「平気平気!」
しかし、サーバルはキュルルの警告を無視してそのまま後ろを向きながらスキップをし始めるが、
ピーッ!!!
「「「「うわぁっ!?」」」」
其処へ大きなホイッスルの音が響き渡りドラえもん達は驚きの声を上げ、音が響いた方向に振り向く旗を片手にエプロンを着た女性が立っていた。
「そこの皆さんストップです!列が乱れていますよ!バラバラに行動するのは危険なのです!」
女性はピシッと指をさしてサーバル達に一列に並ぶ様に注意をしていると、カラカルはその女性の正体に気づく。
「あ!カルガモじゃない!」
「知り合い?」
「この辺りに住んでいるフレンズで団体行動にとーーっても厳しいの!」
(まるで風紀委員みたいだ)
サーバルにカルガモの性格を聞いたドラえもんはルールには厳しいと聞いて面倒くさそうなフレンズだと思っていた。
「そう!歩く時は前を見て!周りにも注意して歩かねばなりません!特に貴女は後ろ歩きをしていた!そんな事をすると、地面にある小石に躓いて転んで怪我をしますよ!」
どうやら先ほどのサーバルの話を聞いていたらしくサーバルに対して注意をする。対してサーバルは余りにも突っ掛かってくる彼女の話をなんとか逸らそうとスケッチブックの絵を彼女に見せる。
「か、カルガモ!ところでこういう場所見た事ない?」
「ん、何ですかこれは?」
「スケッチブックって言って絵を描く道具なんだ」
「絵を描く道具ですか……成る程。そういえばパークの何処かにいる
(フレンズも漫画を描くんだ……)
ドラえもんはカルガモの話に漫画を描くフレンズの存在がいる事に意外と思っていた。幾ら動物がフレンズに進化したと言ってもサーバルとカラカルを見たところアニマル星やバードピアの住人の様にそれ程文化を身につけて居なさそうな為、漫画という文化がこのジャパリパークに、しかもフレンズが書いている事に驚いていた。ドラえもんはフレンズの書いた漫画を機会があれば是非読んでみたいと思っている。
「あのぉ……それでこの絵のある場所を見たことありませんか?」
「おっと、話が逸れましたね」
「まぁ、そう簡単に知っているフレンズなんていないと思うけど、せめて何かヒントでも…「知っていますよ」知ってた!?」
カラカルは都合よく絵の情報が手に入らないだろうと思っていたが、カルガモの返事に思わず驚きの声を上げる。すると、カラカルの良い反応を見て機嫌を良くしたのかカルガモは辺りを踊る様に動き出した。
「ええ♪すぐ近くですから案内してあげますよ」
「「本当⁉︎」」
「そんなわざわざ悪いわよ」
「そうですよ。場所さえ教えてくれればそれで良いですから」
ドラえもんとカラカルはそこまで自分たちを手伝わなくても良いと遠慮するが、
「遠慮しないでくださいっ!私、誰かが旅を始めようとしているのを見ると案内せずにはいられない性格なんです!」
彼女は自分以外の人達が安全で尚且つ楽しく旅をさせる事を生き甲斐としているようだ。
「ふふ、とても優しい人だね」
彼女の人柄の良さにドラえもんは素直に褒めると、それを聞いたカルガモは少し照れてそれを隠すように一列に並ぶように旗を振る。
「さ、さあ皆さん私の後ろに並んでついてきて下さい‼︎一列になって!」
「わーい!なんだか楽しいねーー!」
「うん、僕も楽しくなってきちゃった!」
「仕方ないか……」
楽しそうにカルガモの後ろに並ぶサーバルとキュルルに対してカラカルはあまり気が進まないようだ。
「まぁまぁ、旅は盛り上がる方が楽しいから」
「……まぁ、ドラえもんがそういうなら納得するしかないわね」
カラカルは面倒くさそうだが、ドラえもんの話を聞いて渋々納得してカルガモを先頭にすると、5人は彼女の後ろ付きカルガモ探検隊となり一列に並んで道を歩き出した。すると、それからまだ五分足らずでカルガモは何かに気づいて足を止める。
「皆さんストップー!」
「ええ⁉︎何⁉︎」
「まさかセルリアン⁉︎」
「み、見てください!」
カルガモ探検隊の前に現れたのは………。
「危険な溝が!危険な溝が走っています!」
なんと地面に大きな亀裂が入っており、それが道に横一線に広がっていた。
「いや、絶対大丈夫でしょ……」
「ただの小さい溝だよ」
ドラえもんとカラカルはそれ程騒ぐほど大きいものではないと言うが、カルガモは「危険です!」と叫ぶ。
「ひとりでも落ちたらと思うと私は……私は……!」
(すごい心配性な人だな)
(相変わらず変な子ね…)
カルガモの人一倍心配性な性格に難を覚えながらもドラえもんは「どうするの?」と問うと、カルガモはその溝に向かって助走を付け、
「とう!」
大きく飛び、溝を超えると綺麗に着地して最後にはポーズまで決める。
「「すっごーーい!」」
「「ええーーー!?」」
すると、サーバルとキュルルはカルガモのジャンプに思わず目を輝かせながら拍手を送る。そんな2人にドラえもんとカラカルはそこまで凄いものなのかと困惑の表情を浮かべる。
「今のは普通でしょ?並みのジャンプだったでしょ⁉︎」
「さあ次は皆さんの番ですよ〜」
「聞きなさいよ人の話‼︎」
「ま、まぁ、落ち着いて」
カルガモにスルーされたカラカルをドラえもんはなんとか宥めようとする。一方、サーバルは次に溝を飛び越えたいと立候補する。
「じゃあいくよ〜。えーーい!」
サーバルは掛け声と共に溝を余裕で高く飛び越え地面に着地すると、カルガモのようにポーズを取る。
「え⁉︎それもやるの⁉︎」
カラカルはジャンプだけじゃなくポーズを取る事も知ると、思わず嫌そうな顔になる。
「次はカラカルです。ジャンプは得意だと聞いていますよ?見せて頂きましょうか!」
「グヌヌ…」
カルガモをカラカルに煽るように言うと、カラカルは顔を歪める。しばらくするとカラカルは腹をくくり、覚悟を決める。
「そんなに言うなら見てなさーーーい!」
カラカルは地面を蹴り上げると先ほどのサーバルのジャンプと比べて高く飛びあがらないが、サーバルとカルガモが着地した位置よりも奥へと着地し、顔を赤くしながらもポーズを決めた。
「失格!」
「何でよ!?」
カラカルはカルガモに失格と言われて思わず吠える。わざわざ恥ずかしいポーズを決めてしまった上それが失格呼ばわりされた彼女は怒鳴らざるえなかった。
「私より前に出たら隊列が乱れるじゃないですか!」
「先に言ってよ!」
「言いました!」
カルガモとカラカルが言い争っている間にキュルルはサーバル達が飛び越えた溝を覗くと、溝は大きく見え思わず恐怖を感じて足をその場に止めてしまう。
「キュルルちゃん?」
すぐ隣にいたドラえもんはどうしたのだろうと思っていたが、直ぐに溝に怖がっていた事が理解できたドラえもんは溝に脅える彼女の手助けをしようとポケットに手を伸ばそうとする。
『ぼく一人の力で君に勝たないと、ドラえもんが安心して未来に帰れないんだ!』
不意に彼の言葉が過ぎる。
(いや、やっぱり道具は使わないでおこう)
ドラえもんは思い留まりポケットから手を引いた。こんな小さな溝ぐらいでこの先も道具に頼っていたら彼女の教育によろしくない。そう思ったドラえもんは意を決して彼女に話しかける。
「心配する事ないよキュルルちゃん。こんな溝大した事ないよ」
「え?」
ドラえもんは彼女に安心させるように言うと溝の前に立つ。
「やぁーー!」
そして、先に飛んだ3人と比べると平凡なジャンプをして、溝を飛び越え地面に着地するとキュルルに対して笑顔を浮かべながらポーズを見せる。
「ねぇ、こんなの簡単だよ」
「そうだよキュルルちゃんこんなのへっちゃらだよ!」
「足が短いドラえもんだって出来たんだからキュルルが出来ない事じゃないわ!」
「足が短いのは余計だ!」
サーバルとカラカルもドラえもんに便乗するように応援すると、先ほどまで怯えていたキュルルの顔は変わり、勇気を出して彼女達の応援を応えるように地面を蹴り上げ、溝を飛び越えて地面に着地すると彼女達に向かってポーズを決める。その姿を見てドラえもん達は彼女が一皮向けた事に喜びを感じた。
「合格です!」
「やったー!キュルルちゃんすっごーい!」
「やればできるじゃない」
「おめでとうキュルルちゃん!」
「うん、みんなのおかげだよ!ありがとう!」
サーバル達に褒められたキュルルは彼女達にお礼を言う。そして、カルガモの号令により再び一列に並ぶ。
「さぁ、皆さん絵の場所はこの先ですからね〜!私の後にしっかりついて来てください!」
「「「はーい!」」」
「ええー⁉︎まだこのノリ続けるの〜?」
カラカルはもううんざりだと言わんばかりの顔をするが、しばらくして満更でもない顔を浮かべながらも一列に並びながら道を歩いていくのだった。
フレンズ図鑑
カバ
偶蹄目カバ科カバ属
Hippopotamus
力が強く時には厳しく時には優しいフレンズ。
湖や河川、沼などの水辺近くで生活しているが、半水生の哺乳類で、1日のほとんどを水中で過ごしている。
主に夕方から夜間にかけて、陸上で草類や芽、茎、樹皮などを採食するが、50cm程もある幅広い筋肉質の唇は地面の草を食べるのに適していて、木の根などを掘り出すことはない。
アードウルフ
哺乳ネコ目ハイエナ科アードウルフ属
人見知りで臆病・引っ込み思案な性格のフレンズ。
草原やサバンナ、低木林などに生息する。単独で生活し0.5-2平方キロメートルの縄張りを形成する。夜行性で、昼間は巣穴で休む。巣穴は岩の隙間や自分で掘った穴のほか、ツチブタやトビウサギの古巣を用いることもある。
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