おや……? 盾の勇者の様子が……?   作:やがみ0821

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グロ注意


暗躍、そして破滅の時

「マルティ……! どうしたんだ、いったい!」

 

 タクトはボロ布を纏い、薄汚れたマルティに驚きつつ、彼女の体を優しく抱きしめた。

 

「タクト……私……!」

 

 マルティはこれまでの辛い思いでも込み上げてきたのか、その美しい瞳に涙をいっぱいに溜め、そしてそれらはすぐに溢れだした。

 

「もう、大丈夫だ……!」

 

 タクトはそんなマルティを強く抱きしめ、彼女の耳元で囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 タクトがマルティを保護して一週間程が経過した。

 この一週間で、タクトはマルティの事情を聞くことに成功している。

 

 メルロマルクで酷い仕打ちを受けて、フォーブレイに行こうと決意したものの、途中の国々でも酷いことをされた。

 命からがら、こちらに逃げてきた、と。

 

 メルロマルクに対してタクトは抗議しようとしたが、それをマルティは止めた。

 それでは自分の存在を喧伝するようなもので、ダメだと。

 奴らの影達により、自分が殺されてしまうかもしれない、と。

 

 そんなことはさせない、とタクトは断言してみせたものの、絶対ということはこの世にはあり得ない。

 とはいえ、自分を守ってくれる彼に対し、マルティは恋する乙女のように目を輝かせ、彼を求めた。

 勿論、タクトもその求めに応じないわけがない。

 

 行為の最中にマルティは「イヤ」とか「やめて」とか「助けて」とか拒絶の言葉を口にしたが、事前に彼女からはそういう行為をこれまでの国々で強要されたと述べていたので、タクトは気にしなかった。

 

 彼は、これまで色んな女の子と関係を持っており、例外なく女の子の側が気持ち良くなってくれたので、自分は巧いと確信していた。

 だからこそ、これまでと同じようにマルティを抱いた。

 他にも彼女は「痛い」という言葉や悲鳴を上げたりもしたが、タクトはこれまでのマルティの辛い思いを自分がどうにかすると考え、気に留めなかった。

 

 

 マルティが行為を求める日は事前に打ち合わせがされており、その日には完全不可知化(パーフェクト・アンノウアブル)を使用したメリエルが寝室に忍び込み、撮影しているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

「あー、疲れた」

 

 夜遅く、フォーブレイでの寝取られ撮影を終えたメリエルはシルトヴェルトの城下町にある会員制クラブにやってきていた。

 この前、偉い人達との接待のときに紹介された店だ。

 

 ウルフ系種族で構成されたホステス達であり、お客様をよくもてなしてくれると評判だった。

 

「メリエル様でも、お疲れになるときがあるのですね」

 

 ボブカットの20代半ば程の女性――店のママ――が笑顔でメリエルにお酌をした。

 

「ええ、まあね。仕事が忙しくて」

「お仕事ですか?」

「お仕事よ。勇者も楽じゃないわ」

 

 メリエルはそう言って、グラスに注がれた酒を飲み干す。

 彼女は耐性が邪魔をして酔えないが、それでも味や香りを楽しむことは当然にできる。

 酔う為ではなく、美味しいお酒を味わうことが目的だ。

 

「この前の試合は見ましたけれど、本当にお強いですね」

「それなりにはね。私よりも強いのはきっと世界のどこかにいると思う」

「想像もできない世界ですわ」

 

 にこりと女性は微笑み、胸元を程よい位置に寄せてくる。

 

「うちのお店、そういうお店ではありませんけど、メリエル様なら話は別です。あなたが、その、男のアレもあるということは承知しておりますので……」

「そういうことを求めた客はどんな地位の輩だろうが、叩き出していることで有名らしいじゃないの。私を叩き出す為の口実かしら?」

「いえいえ、違います。本心ですよ」

 

 そして、ママはメリエルに抱きついた。

 メリエルの首に腕を絡ませる。

 

「どうですか? 今夜」

 

 妖艶な笑みを浮かべるママ。

 問いにメリエルは考える素振りをみせた、その瞬間。

 

 ママは素早く袖口に仕込んだ鋼の糸を伸ばし、メリエルの首に巻き付けた。

 

「……抵抗しないのですか?」

「その程度では殺せないことを分かっているでしょうに。それに殺す気もないでしょう?」

 

 そう言われ、ママはくすりと笑って糸を戻した。

 

「どこまで?」

「初めて見たときから。あなたは勿論、他の子達もそこらの女の子ができる歩き方じゃなかった。あと、地位を持つ客を叩き出して無傷で済んでいる店なんて、ワケありに決まっているでしょうに」

 

 意識せずに足音を消して歩くなんて、普通の女の子ではできない。

 

「さすがはメリエル様。試すようなことをして、申し訳ありません」

 

 メリエルから離れ、深く頭を下げた。

 メリエルは構わないと手をひらひらと振る。

 

「背後は国? それともどっかの貴族?」

「いえ、盾です」

 

 盾教か、とメリエルは軽く頷く。

 

「俗に我々の一族は猟犬と呼ばれております。メリエル様に仇なす敵をこっそりと始末してご覧にいれますわ」

「狼なのに猟犬?」

「……そこは触れないで下さい。代々、ツッコまれてきたので」

「あ、そうなのね」

 

 そう言いながら、メリエルはママの頭を優しく撫でる。

 すると尻尾がよく振られている。

 

「エレナからはよく聞いています。彼女とは喧嘩もしますけど、友人なので」

「……あの子の知り合いとか友人、多い気がする」

「彼女は、ああ見えてもそれなりの地位ですよ?」

「そうなんだ」

 

 職業柄、相手の経歴や過去は詮索しないメリエルなので、今に至るまで全く知らなかった。

 

「早く手を出して欲しいって言っておりますので、私に出した後に出してあげてくださいね」

「……あなたも、いい性格をしているわね」

「それほどでもありません。あ、勿論、私以外の子達にもちゃんと手を出してくださいね?」

 

 やれやれ、と溜息を吐くが、メリエルとしては手を出さないという選択肢は毛頭ない。

 

「ところでメリエル様。様々な種族の姫や貴族の令嬢達が近いうちに……」

 

 メリエルは察して、鷹揚に頷いた。

 ここまで遅れに遅れたのはメルロマルクでゴタゴタしたり、フィトリアとの一件があったりした為だ。

 

 メリエルが来て最初の一週間で嫁や妾にどうですか、とオススメされるかと思いきや、どうやら最初の脅しが効きすぎてしまったようで、必死になって過激な派閥の力を削いでいたとのこと。

 ちなみにその過激な派閥のトップはメリエルが病死に見せかけて始末した奴だった。

 

 メリエルはそいつを処理したとき、屋敷にあった色んな書類をいつも通りに転写して持ってきたのだが、それによって偉い人達から向けられる尊敬の視線がマシマシになったような気がした。

 

 ともあれ、メリエルは告げる。

 

「全員ね」

「全員ですか?」

「全員よ。花々に違いがあるように、女の子達にもそれぞれ違いがある。それに私は手を出したら、永遠にその子達の面倒を見るわ。生活から欲しいものまで全部」

 

 ママは満足げに頷き、メリエルの耳元で囁く。

 

「まずは私を愛でてくださいませ。あなた様に全てを捧げますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 窓から差し込む太陽の光に目を細めつつも、トゥリナは仕事に取り組んでいた。

 彼女が任された仕事は重要だ。

 

 現在、彼女はタクトの女達を観察していた。

 誰が引き抜きやすいのか、その選別だ。

 

 トゥリナは完全不可知化(パーフェクト・アンノウアブル)を使っており、誰にもバレていない。

 この魔法を使用できるようになる指輪の他にも伝言(メッセージ)転移門(ゲート)を使用できるようになる指輪、合計3つをトゥリナはメリエルから貸し与えられていた。

 

 タクトが居住しているのは王城ではなく、別の場所にある彼専用の城だ。

 彼のハーレムメンバーは基本的に、この広大な城に居住している。

 そこで女達と狂宴が繰り広げられている――ということもなかった。

 

 彼はメリエルと違って普通の性癖だった。

 

 トゥリナはメリエルに抱かれていないが、彼女のこれまでの経験から、アレは相当な好き者だと予想できている。

 近いうちに手を出してくるだろうな、とも。

 もっとも、トゥリナとしては別に今更清い体でもあるまいし、強い権力者に乗り換えるのは昔からよくやっていたので、何とも思わない。

 

 

 

「ネリシェンは予想してはいたが、利益じゃな」

 

 シルトフリーデンの代表を務めるアオタツ種のネリシェン。

 タクトの女達の中では各方面に影響を及ぼせる女だ。

 同時にトゥリナが作成した引き抜き優先順位のリストではトップにある女。

 

 タクトに惚れた――というのがきっかけであったのかもしれないが、とにもかくにも現在のネリシェンの言動や行動はタクトの地位を利用して、シルトフリーデンに利益を引っ張ろうと体を張っているのがトゥリナには分かった。

 

 現在、タクトはマルティにゾッコンであり、トゥリナから見ると他の女達との関係がないがしろにされているように見受けられた。

 

 何しろ、タクトの傍には常にマルティがいる。

 トゥリナもびっくりな程にマルティは男心が分かっており、媚をうまく売っている。

 生半可な輩では見抜けないだろう演技だ。

 さらには彼女は予定通りに他の女達にうまい具合に不和をばら撒いている。

 タクトがあいつは実は嫌いって言っていた、あの女はタクトのことを実は嫌っているなどなど。

 見ている側からすると、呆れるくらいの悪口の天才だった。

 

 しかも自分が女達から嫌われないように、絶妙に距離を置いている。

 

 そのような状態であるからこそ、惚れているのか、それとも利益で従っているだけなのかが炙り出されてきた。

 

 マルティが潜入し、早くも2週間。

 トゥリナの仕事はマルティのおかげで非常に捗っていたが、今日はタクトに対しては精神的な衝撃を与え、同時に女達のタクトに対する反応を調査する日であった。

 

 

 

 

「タクト様! いつの間にか、不審なものが城門の前にあったとのことです!」

「分かった。見に行く」

 

 そして、タクトは兵士からの報告を聞き、城門前に置かれていたというものを見にやってきた。 

 爆弾か、と彼は思ったが、エリーが調べた限りではそういう形跡はなく、むしろなんだか生臭いとのこと。

 

 俺に惚れた女の子が魚でも差し入れてきたのか、と彼は思ったが、それならば、なぜわざわざ旅行用トランクが2つなのか、さっぱり分からなかった。

 開けた途端にモンスターでも出てくるのか、と彼は考え、念の為にマルティを離れさせ、そして、トランクの周囲をネリシェンをはじめとした女達で十重二十重に固めた。

 

 幸いにもここは大広間であり、そのように囲めるだけのスペースは十分にあった。

 

 そして、彼はカッコいいところをみせようと、そのトランクを2つ、同時に勢い良く開いた。

 

 

 タクトはトランクに入っていたものに目を見開いた。

 脳が理解することを拒絶する。

 

 トランクから溢れ出す赤黒い血がテーブルや床を汚していく。

 

 そこに入っていたのは死体だった。

 しかし、それはただの死体ではない。

 四肢や尻尾がそれぞれ切断され、丁寧に入っていた。

 そして、勿論、頭部も入っており、そこにあったのは――トゥリナとレールディアのものだった。

 

 タクトは胃の中のものを全て吐き出し、腰が抜けたように床に崩れ、体を震わせる。

 それだけではなく、彼は失禁までしてしまった。

 

「タクト様!」

 

 エリーが叫び、敵か何かだと判断して、そのトランクの中のものを見てしまった。

 半狂乱になって手に持っていた銃を乱射してしまい、流れ弾に何人かが当たってしまう。

 すかさずにネリシェンや耐性のあった者達――女騎士などの凄惨な死体に慣れた者達――はエリーを取り押さえたり、負傷者の救助へ回る。

 

「こ、これを早くどっかにやってくれ! 気色悪い! 捨てろ!」

 

 トゥリナは決定的な言葉をタクトが叫んだことにほくそ笑んだ。

 その叫びを聞き、ネリシェンや何人もの女達――エリーを取り押さえたり、負傷者の救助にあたろうとした者達――が動きを止め、信じられないという顔で彼を見た。

 しかし、あまりの恐怖に錯乱している今の彼はそんな視線には気づくわけもない。

 

「あんなものを俺の前に持ってくるなんて! 気持ち悪い! 早く捨てろぉ!」

 

 そこでマルティはトゥリナの仕事をサポートするべく、問いかける。

 

「タクト様、彼女達はあなたが愛した者達、そしてあなたを愛していた者達では……?」

「あんなものは女でも何でもないだろ!」

 

 マルティは笑いを堪えつつ、更に問いかける。

 

「それは本心ですか?」

「当たり前だ! その気色悪い肉塊を早く捨ててくれ! もう俺は見たくない!」

 

 ナイスアシスト、とトゥリナは喝采を叫びたかった。

 彼女が素早く視線を巡らせれば、耐性のあった者達だけでなく、それ以外の女達ですらも、軽蔑の視線を彼に送っている。

 

 あのエリーですらも、それは例外ではない。

 彼女はネリシェンに後ろから羽交い締めにされていたが、タクトの叫び声により、落ち着きを取り戻していたのだ。

 

 自分の為に頑張った女達が、凄惨な姿になって帰ってきた。

 それを気色悪い肉塊、早く捨てろ、と叫ぶの最悪の一手だった。

 

 タクトに盲従している女達ですらも、恋から目が覚めてしまう程に。

 もしもここで彼が男としての度量を示し、どれほどに気色悪かろうが、たとえ失禁し、震えてしまおうが、それでも死体の2人を受け入れていれば、彼はまだマシな未来であったかもしれない。

 

 メリエルですらも、彼のことを見直した可能性は大いにある。

 だが、ここに彼は最悪の選択をした。

 

 タクトの未来は決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 狂乱の事態から数時間が経過した。

 タクトはマルティとともに自室に引きこもった。

 

 その隙に、トゥリナは動いた。

 ネリシェンが1人になったところを見計らい、彼女は自身とネリシェンを結界でもって隔離した。

 

「久しぶりじゃな、ネリシェン」

「……え?」

 

 ネリシェンは幽霊でも見たような、驚きの顔を披露した。

 トゥリナは予想通りの反応に笑ってしまう。

 

「どうしてだ? 死んだ筈……」

「ホムンクルスじゃよ。今は盾の勇者、メリエル様の下でお世話になっておる」

 

 トゥリナの言葉でネリシェンは全てを察してしまう。

 単に力が強いだけではシルトフリーデンの代表は務まらない。

 

「……そういうことか?」

 

 その一言に色々と込められていた。

 すなわち、今回の騒動に関して。

 

「そういうことじゃ。お主も先程のアレであの男の底が見えたじゃろう?」

「そんなものは早いうちから知っている。最初は良い男だと思ったが、実際に付き合ってみたら、大したことのない……」

「じゃろうな。メリエル様につかんか?」

 

 問いにネリシェンは即答はしない。

 その姿勢を当然と受け止め、トゥリナは告げる。

 

「わらわとレールディア、2人で同時に戦って子供のようにあしらわれてしまった。それにメリエル様は気前が良くての。自分の女に対して、カネに糸目はつけない」

「女と聞いているが?」

「男のアレも生えている。問題はなかろう」

「それならば問題はないな」

 

 トゥリナは引き抜きの成功を確信しつつも、更に告げる。

 

「今回のシナリオ、その脚本は全てメリエル様じゃ。タクトとは訳が違うぞ」

「裏側を分かっている輩ということか?」

「そういうことじゃ。元いた世界では全世界に店舗を構える超巨大商会お抱えの闇ギルドのボスらしいぞ」

「それならば安心だ。私はどう動けばいい?」

「他の女達をメリエル様へ鞍替えするように、うまく唆してくれ。具体的な引き抜きはわらわがやる」 

「レールディア様も当然、生きているんだな?」

「無論じゃ。奴め、メリエル様から膨大な金銀財宝を与えられて、巣に引き篭もっておる」

 

 その言葉で、ネリシェンはタクトとは違うと確信する。

 

「そなたも好きなものを望むが良い。一度、顔見せにシルトヴェルトに行ってもらうが、この後、良いか?」

「問題はない」

 

 話は纏まった。

 トゥリナは伝言(メッセージ)を使い、メリエルに報告を入れ、彼女から面会の許可が取れると同時に転移門(ゲート)を開く。

 

 トゥリナが先導し、ネリシェンは黒い靄を不思議そうな目で見ながら、その靄の中へと入ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、メリエルとネリシェンの面会は特に問題もなく、終了した。

 メリエルはその場でネリシェンに対して、彼女個人への支援は勿論、シルトフリーデンという国家そのものに対する個人的な支援を約束する。

 それが口だけではないことを示す証拠として、彼女はネリシェンにその場で金貨1000枚を大きな袋に入れて渡した。

 

 ネリシェンは歓喜し、メリエルにつくことを宣言し、シルトフリーデンもまたメリエルに味方するように変えることを確約する。

 それに応えるかのようにメリエルは無数のドレスや装飾品なども無限倉庫から出して、ネリシェンに披露してみせ、好きなものを持っていくように告げた。

 

 ネリシェンの心は完全にメリエルへと傾いた。

 

 

 ネリシェンが落ちたこの日を境に、彼女の協力とマルティの活躍、トゥリナの巧みな話術もあり、タクトの女達は1人ずつ、メリエルへと引き抜かれていくことになった。

 

 タクトが引き抜きに気づかぬようにマルティは彼から1日中離れず、甘い言葉で惑わしつつも、彼女は大胆に動いた。

 

 マルティはまずエリーを、その次にはタクトの実妹であるナナを標的にした。

 

 マルティお得意の、ありもしない罪をでっち上げ、タクトを唆せば、彼女を信じ切っている彼は簡単に騙され、幼馴染と妹を牢に入れ、更にマルティの進言により拷問官に拷問をさせた。

 勿論、彼女達2人だけでなく、ここに至ってメリエルについていない女達にも同じようにそうさせた。

 既にメリエルについているネリシェン達もマルティにそれとなく味方し、タクトは判断を簡単に誤らせてしまった。

 

 信じていたものに裏切られる、その衝撃は計り知れない。

 エリーとナナをはじめとして、牢に入れられた女達はタクトに対して憎しみを募らせる。

 

 そして、そこでメリエルが一芝居を打った。

 完全にタクトの心を折る為に。

 

 拷問され、傷つき、身も心もボロボロ。

 そんな状態のエリー達の前にメリエルは現れた。

 

 そして、彼女達の傷を簡単に癒やし、微笑みを浮かべ、手を差し伸べたのだ。

 メリエルは彼女達に告げた。

 

 あなた達は何も悪くない(・・・・・・)、他の子達はタクトに洗脳(・・)されている、盾の勇者である自分があなた達の今後の生活を全て面倒見る、と。

 

 決め台詞はこうだった。

 

 あなた達を洗脳していたタクトを倒す。その協力をして欲しい――

 

 

 

 

 タクトの傍にはもはや誰もいない。

 マルティはタクトが自分に溺れて、破滅していくこの状況を心から楽しんだ。

 彼女は自分の才能を見抜き、楽しい仕事を与えてくれたメリエルに対し、心から感謝し、同時に惚れ直すが、そろそろ彼女の仕事も終わりであった。

 

 最後の仕上げだ。

 

「タクト様、あなたは何も悪くはないのです。全て、悪いのは世界。世界が悪いのです。ですから、間違った世界は壊して、直しましょう。あなたは神に選ばれた最強の勇者様なのですから」

 

 

 タクトは、決意した。

 

 

 

 

 

 

 




メリエルがタクトの女達に対して行った引き抜きを現代日本に置き換えるとこうなる。

メリエル「あなたに支度金として1000万を今この場で現金で差し上げます。借金があるならそっちも全部支払います。生活費も全て払います。欲しいものも全部買ってあげます。無制限にお金を出します。だから、あなたのできる範囲で私の味方をして?」
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