初日の夜は濃密なものを過ごし、翌日、メリエルは島のショッピングへと向かうマルティ達を見送った。
全員へお小遣いを渡しつつ、足りなかったら請求書は自分へ回すようにとも伝えることを忘れない。
一方で、まずはレベリングということで、強さを求めてラフタリア達はモンスターを狩りに赴いた。
これにはアトラやフォウル、リファナやキールといった面々もついていった。
またミレリアとメルティは仕事があり、波が発生した場合の対策についてハーベンブルグと協議するとのことだ。
メリエルのところに残った者は少数で、エリーをはじめとした数人のメイド達だけだった。
タクトはエリー以外のメイドにも手を出しており、それが彼女達だ。
エリー達が残ったのはメリエルのお世話をしようというものであったが、メリエル本人からすればちょうど良かった。
勿論、三勇者達も残っており、彼らはそれぞれのパーティーメンバーをレベリングに送り出した後、メリエルの下へと集合していた。
「さて、特訓を開始する」
メリエルはアロハシャツに短パンという非常にラフな格好であった。
「その前に選ばせてあげるわ。厳しくやるか、それとも優しくやるか……どっちにする?」
三勇者達は各々、顔を見合わせる。
「あー、厳しい場合はどういう感じですか?」
「簡単に言うと怒鳴るし、罵倒するし、理不尽だし、公の場で言っちゃまずいような単語を連発する。体力的には勿論だけど、精神的にも追い詰めて、どんな状況にも耐えられる不屈の精神を養う感じ」
元康の問いにメリエルが答えると錬が更に問いかける。
「例を挙げると?」
「お前の剣は、お前が股の間にぶら下げているものと同じで、粗末なものだ。そんなんじゃ子供の首一つ落とせないだろう」
錬は勿論、元康も樹も悟る。
これ、厳しいのはヤバイコースだと。
強くなる前に精神が木っ端微塵になりそうだ。
「優しいのはどうですか?」
樹の問いにメリエルは告げる。
「そういうのは無くなって、普通の声かけ。励ましたりもするし、優しくしたりする。内容は手を抜かないけど」
メリエルの答えに3人は頷き合う。
そして、一斉に告げる。
優しいのでお願いします――
メリエルは軽く頷き、告げる。
「じゃ、まずは模擬戦から始めるわ。3人同時に殺す気で掛かってきて。1時間ね」
メリエルの言葉に3人は各々の得物を取り出した。
3人の中に危険だとか、そういう意見を言う者はいない。
彼らもメリエルが規格外の強さであることは十分に理解していたからだ。
そして、元康達はメリエルに襲いかかったのだが――
「……いや、いくら何でも体力が無さすぎじゃないの?」
30分程で、3人は疲労でダウンしてしまった。
「め、メリエルさんがぶっ飛びすぎなんです……」
息も絶え絶えに、樹は告げた。
分かってはいたが、メリエルの立ち回りは巧すぎた。
樹は遠距離から狙い撃ちをしようとしても、その射線上には元康か錬のどちらかがいた。
メリエルがそのように動いて位置取りをしていた為であり、それによって樹の狙撃は封じられた。
しかし、樹はまだマシな方だった。
元康と錬の疲労度は樹の比ではなかった。
メリエルは元康と錬の稚拙な連携を簡単に突き崩し、翻弄した。
それだけでなく彼女は元康か錬、どっちかの体勢を崩し、捕まえ、そのまま盾に使ったり、樹目掛けて投げつけたりしたのだ。
そんなことをしてくるメリエル相手に3人は全力で立ち向かった為に、あっという間に体力が底をついてしまったということだった。
「とりあえず、体力作りね。タフじゃないとダメよ……休憩が先かしら」
道は長そうだったが、鍛えないという選択肢はメリエルには存在しない。
「週末の波――おっと、それはサーフィンだわ。終末の波とやらまでに、それなりにはしておかないと」
休憩後、体力作りということでメリエルは3人に筋力トレーニングのメニュー表を渡し、またその実演を行い、それをやるように指示をする。
勿論、カルミラ島から帰った後も、そのメニューを毎日欠かさずコツコツやるように、とも伝えた。
3人は文句を言わずに素直に従うが、開始数分でヒイヒイ言い始めた。
とはいえ、彼らは諦めるという選択はしなかった。
メリエルは3人に対する評価を上方修正し、1時間ほどかけて、どうにかメニューをこなした彼らを大げさなくらいに褒めた。
課題を達成できたら、褒めるのは基本中の基本だ。
3人共、悪い気はしなかったようで、次のトレーニングを求めてきた。
やる気になった三勇者達に指示を出し、メリエルはずっと傍で控えていたエリー達と共にその場を離れる。
ちょっとした問いかけをする為だ。
あくまで彼女達が自らの意志で志願した、という状況は必要だ。
エリー達の忠誠度は疑うべくもない。
事情を知っていればメリエルがやったのは三文芝居であったが、彼女達からすれば地獄に仏そのものだ。
真意看破の魔法を使用し、メリエルは問いかける。
「あなた達、私の為に殺せるかしら?」
率直な問いにエリー達は躊躇なく頷いた。
嘘ではない。
「男や女、子供に老人も?」
勿論です、と声を揃えてエリー達は返事をする。
嘘ではない。
「生まれたばかりの赤子や妊婦も?」
躊躇なく、エリー達は頷いた。
嘘ではない。
「何の罪もない、特に何かがあるというわけでもない平和な村があったとする。そこにいる者達を家畜も含めて皆殺しにしろと言っても?」
エリー達は頷いた。
誰も躊躇する者はいない。
そして、それは嘘ではない。
「そこまで私に尽くしてくれる理由は?」
「メリエル様は、私達を救ってくださいました。あの男から……!」
エリーはそう切り出し、滔々と語る。
タクトへの悪口からはじまり、メリエルの素晴らしさといった内容だ。
エリーが十分にその気持ちを吐露すると、他のメイド達も次々と口を開く。
内容はエリーと似たようなものだ。
それらは全て嘘ではない、とメリエルは魔法により判別できる。
だが、念には念を。
メリエルは、かつてマルティに使った、嘘をつくと蛙になる指輪をエリー達に身につけさせ、効果を説明した上で、再度、同じ問いかけをした。
誰も蛙になる者はいなかった。
満足げに頷き、メリエルは指輪を回収した後に告げる。
「あなた達は全くなっていない。銃の扱い方や動きが下手過ぎる……というのはまあ、酷だと思うわ」
メリエルが調査したところ、タクトは銃をフォーブレイにもたらしたが、具体的かつ、効果的な運用方法や訓練方法などを教えていなかった。
おそらく、知らなかったのではないか、とメリエルは予想している。
アサルトライフルやハンドガンを側近の女達に持たせている割に、引き抜いた彼女達から聞き取り調査をしてみれば、戦術がお粗末極まりなかった。
この世界の銃器や飛行機などは持ち主、あるいは操縦者のレベルによって性能が決まるという、凄まじい話だったが、側近の女達はレベルが高く、本来の性能を発揮できる。
そんな彼女達が集団として動かれると非常に手強いのだが、そんなものはなかった。
チームとしての意識すらもなかった。
個々人が好き勝手に判断し、味方に当たらないように狙って撃つといったものだった。
というわけで、メリエルは手始めにエリー達に訓練を施すことにした。
世界をひっくり返せる程の絶大な力があろうとも、戦える味方は多い方が良いのは言うまでもない。
「さて、それじゃ始めるわよ。あなた達は一つのチームよ。これから、チームはどんどん大きくなるけれど、まずはあなた達」
チームであることを意識させることから始めないといけないが、自身への忠誠を利用すれば簡単にできるとメリエルは確信している。
エリー達は、それこそメリエルが黒と言えば黒と信じ、白と言えば白と信じるのだから。
午前の訓練を終えた段階で、三勇者もエリー達も全員が疲労でダウンしてしまったので、メリエルは適当に街をぶらつきながら、食べることにした。
エリー達は不甲斐ない自分達のせいでお世話をできないことに、死んで詫びるような勢いであったが、メリエルは彼女達を1人1人抱きしめ、優しく慰めた。
それでうっとりとした顔をしてくれるのだから、安いものだ。
エリー達は個々人によって得意不得意はあるが、全員が優秀で、勤勉。
また、彼女達は全員が貴族の令嬢でもある。
彼女達が仕えていたタクトは末席とはいえ王子――王族だ。
王族の傍で世話をすることから、経歴や身元がはっきりと分かっていないと安全上の問題がある。
貴族側としても、あわよくば王族に見初められて、妾にでもしてくれれば家の地位を高めることができるので利益こそあれど、問題はない。
メリエルが色々と忙しすぎて、エリー達と深く関わる機会がこれまでなかったのだが、訓練の合間に彼女達の身の上話を聞いてみて、それが判明した。
「チョロいのは頭がお花畑だからか……」
純粋培養された貴族のお嬢様なら、それもそうだとメリエルはここにきてようやく納得する。
彼女達に求められているのは王族から寵愛を受け、家の覚えをめでたくしてもらうことであり、それ以外のことは求められていない。
その為には素直で純粋、従順な女である方が都合が良い。
そういう女の方が気に入られるからだ。
生まれたときから、ずっとそういう教育をされてきたのだろう。
そこに宗教が加われば完璧だ。
四聖勇者であり、自分達を救ってくれたメリエルに対して、妄信的かつ狂信的な忠誠を抱くのも考えられないことではない。
メリエルとしては願ったり叶ったりだ。
裏切らない優秀で勤勉な人材というのはどれほどカネを積んでも手に入らない可能性が高く、手元に置いて確保しておきたい。
無論、これはエリー達だけに言えることではない。
たとえ優秀ではなかったり、勤勉ではなかったとしても裏切らないという一点だけで評価に値する。
「裏切りといえばマルティだけど……もうしないでしょうね」
これまで力は見せてある。
とはいえ、もしも裏切った場合、メリエルは罰を与えてから許すつもりだ。
死ぬ可能性はあったが、死んだとしても蘇らせるので心配はいらない。
リアルにおいて裏切り=死であった。
だから、どんな悲惨な死に方をしようと五体満足に蘇生させ、必要ならば精神状態も完璧に治癒した上で、裏切りを許すというのはメリエルからすれば、これ以上ないくらいの優しさだった。
勿論、これはマルティ以外の者にも当てはまる。
裏切ったとしても、罰を与えた後に許す。
自分も丸くなったものだ、とメリエルは思う。
そんなことを考えながら、彼女は街を散策する。
露店で買い食いしたり、エリー達にお土産を購入するなどして、1時間ほど休息をする。
その最中、メリエルは尾行に気づいていた。
メルロマルクの影や他国の影、暗殺者などではない。
あまりにも稚拙だ。
尾行は4人で、あろうことか一塊で動いている。
普通はバラけて多方面から尾行するのがセオリーだ。
盾の勇者だと分かって尾行しているのか、それとも何か別の狙いがあるのか。
とはいえ、ちょうど良かった。
元康らに指示を出した後、メリエルは尾行に気づいていないように振る舞う。
彼らのいる場所から離れれば、尾行者達はそのままメリエルについてくる。
ますます、都合が良い。
エリー達には森の中で訓練を行うことを告げ、そのまま森の中へと誘い込む。
魔法で姿を隠して処理するなんて、もったいないことはしない。
実演にちょうどいい。
バカな連中だとメリエルは思う。
こちらが気づいていないと思い込んでおり、森ということもあって、連中はどんどん距離を詰めている。
確かに木々や脛のあたりまで生えた雑草で視界は悪い。
だが、そいつらの服装は色合いが派手ではないが、かといって地味なものでもない。
おまけに歩く際の音も酷い。
素人でももうちょっと頑張るんじゃないか、と思うくらいに大きな音だ。
エリー達に銃は携帯させていない。
その方が敵を油断させられる。
だが、彼女達には事前に実演をしてみせる、とさり気なく伝えてあるので問題はない。
周囲を何気なく見渡し、確認する。
メリエル達を取り囲むように、数m程離れたところにある木々に紛れて――かろうじて紛れてはいる。
だが、服の袖や裾がちらちら見えている。
エリー達も既に気づいているようで、何とも言えない微妙な顔をしている。
正直、現段階の彼女達に任せても簡単に制圧できそうな気がするが、お手本は大事だ。
デスクワークばかりで実戦から離れて久しいが、それでも体に染み付いたやり方は覚えている。
メリエルは無限倉庫から周囲には見えないよう、さり気なくハンドガンを取り出す。
フォーブレイで入手した一品だ。
その際に弾丸の速度が実銃とほぼ同じであることは確認済み。
リアルにおいても、銃は昔とあんまり変わらない。
レーザー銃とかのSF兵器は試作され、実用化されているが、コスト的な問題でどれもこれも不採用だ。
メリエルは軽く息を吐いて、駆け出す。
手近なところからまずは確実に。
その段階でようやく気づかれていることを察したのか、敵が全員飛び出してきた。
4人のうち1人は男。
背丈や顔から高校生くらいだろうか。
メリエルは剣を振りかざし、斬りかかってきた敵の女に対し、その胴体を狙って冷静に両手で保持し、撃ち放つ。
反動を全く感じない。
銃口がブレることはなく、人間であればある筈の反動を完全に抑え込んでいる。
映画のように片手で撃つどころか、両手にハンドガンどころかアサルトライフルというスタイルでも問題なく狙って当てられそうだ。
胸と腹部から出血した女は崩れ落ちた。
次の標的を、とメリエルが銃口を素早く向けると、そこにいたのは動きを止めた3人の敵がいた。
事態を理解できないようで、武器を持ったまま呆然として倒れて血を流す女を見つめている。
メリエルは溜息を吐きながら、3人の片方の太腿に1発ずつ銃弾を撃ち込んだ。
悲鳴を上げて、地面に崩れ落ち、のたうち回る3人。
メリエルは再度、溜息を吐く。
「……フォーブレイ以外では銃は一般的じゃなかったわね」
「はい、メリエル様。ところで……本当に敵なのですか?」
「敵だと思うけど……お粗末なのよねぇ」
エリーの問いにそう返しつつも、メリエルは油断なく、銃を構えながら、それぞれの得物を蹴り飛ばし、遠くにやる。
「敵がお粗末過ぎたけど、まあ、こういう具合に……ハンドガンの場合は両手で保持して、素早く冷静に胴体を狙うこと。敵がこういう連中であろうとも、容赦はしないこと」
エリー達が頷くのを確認しつつ、メリエルがとりあえず黒幕について尋ねようとすると、そこで男が叫んだ。
「汚いぞ! 銃を持っているなんて! ファンタジー世界にそんなものがあっていいと思っているのか!」
文句はタクトに言ってくれ、とメリエルは思いつつ、男の前に立つ。
「で、あなたはどちら様?」
「お前もあの女神に送り込まれた転生者なんだろ!? お前ばっかり盾の勇者とかいうチート能力を貰いやがって!」
瞬間、男の頭が弾け飛んだ。
答え合わせができてしまった。
急展開にメリエルも頭が追いつかないが、それでもどうにか無理矢理に状況を把握する。
「つまり、今の男は女神とやらに送り込まれた転生者で、チート能力を貰ってやってきたということでいいのかしらね……」
「……証言が確かならそうなります。言っている意味がよく分かりませんが……」
「エリー、奇遇ね。私もよく分からないわ」
自分と同じように強くてニューゲーム状態で、女神とやらに転生させてもらったんだろうか。
とはいえ、自分はその女神に会っていないぞ、とメリエルは首を傾げる。
彼が連れていた女達は呆然としている。
メリエルは3人の撃った女達を治してやる。
すると、彼女達はついさっき、襲ってきたことなどなかったかのようにメリエルに縋り付いてきた。
明らかな命乞いだ。
「わ、私達、彼とは深い関係じゃないです……!」
「盾の勇者様は偽物だからって!」
「ゆ、許してください!」
何だこれは、とメリエルは頭を抱えたくなった。
とはいえ、聞かなければならないこともある。
真意看破の魔法を使い、メリエルは問いかける。
「その男とはどこで知り合った?」
問いかけに酒場、路上、冒険者ギルドと三者三様の答えが返ってきた。
どうして男についてきたのか、という問いかけには腕も良くて顔もそれなりに良かったから、というもの。
嘘ではなかった。
「次はない。さっさと行きなさいな」
メリエルの言葉に彼女達はおっかなびっくり立ち上がって、逃げていった。
「よろしいのですか?」
「彼が敵の正体を教えてくれたお礼かしらね」
あとでこっそり蘇生魔法を試してみようとメリエルは思いつつ、撤収の指示を出した。
その後、メリエルは元康達に本日の訓練の終了を告げ、隠れて回収した男の遺体に対して蘇生魔法を使用した。
リファナの時と同じようにアイテムを使った上で。
だが、それは失敗した。
彼が蘇ることはなかった。
メリエルはミレリアに
彼女はすぐさまそれに応じ、人払いを済ませ、ミレリアの宿泊している部屋で2人は対面した。
「緊急の用事とのことですが……」
「波の黒幕の正体が分かった」
ミレリアは驚きつつも、すぐに続きを促す。
メリエルは午後に出会った連中とその顛末をミレリアへと話す。
「ちょっとよく分からない単語が多いですが、四聖召喚に似ていますね」
「ちなみにだけど、私はその女神に会ってはないので」
「でしょうね。あなたがもし会っていたなら、今頃、その女神が傍にいるでしょうし」
「よく分かっているわね」
本物の女神を口説けるチャンスなんて、滅多にない。
メリエルが会っていたなら、絶対に口説いたことだろう。
「どうしてその女神が波の黒幕だと? もしかしたら、波に対処しようとして転生者とやらを送り込んでいる可能性は?」
「まずないわね。向こうは私が盾の勇者であることを知っていた。たとえ偽物だと吹き込まれていたとしても証拠もないのに、いきなり四聖勇者に手を出そうなんて、よほどのバカか大物のどちらかよ」
「見た感じはどうでした?」
「前者ね。普通に声を掛けて探りを入れてくればいいのに、わざわざ下手くそな尾行までしていたわ。そっちの影は私の護衛についていないの?」
「あなたに護衛が必要だということが今日一番の驚きです」
ミレリアの答えにそれもそうだとメリエルは頷きつつ、言葉を続ける。
「特効薬があるわ。簡単に炙り出せる」
「それは?」
「女神と転生者。おそらく、それが鍵よ。最近、急に現れた、やたらと強い輩。そいつらに女神に送り込まれた転生者か、と聞けばいい」
「否定した場合は?」
「良いアイテムがある」
メリエルはミレリアに対し、嘘をつくと蛙になる指輪を大量に箱に入れて渡す。
その効果を説明すれば、ミレリアは便利なものがあるものだ、と感心する。
単なる低レアアイテムに過ぎないので、在庫は腐るほどあるし、何ならメリエルも作り出せる。
「逃げたり、答えられなければ黒。蛙に変化しても黒。明確に否定できた者だけが白よ」
「黒の者は?」
「自白させようにも、吐いたところで頭が吹っ飛んで死ぬ。かといって捕まえたままだと、力が強いことから脱走される危険がある。可哀想だけど殺すしかないわね」
なるほど、と頷きながら、ミレリアはメリエルに問いかける。
「メリエル様、あなたは女神に送り込まれた転生者ですか?」
「違うわ……って、証明するアイテムがないと意味がないじゃないの」
「大丈夫です。あなたがそうではないことはこれまでの行動から、分かりますから。すぐに各国に対して、今回のことを伝えます」
「ええ。お願い」
そして、ミレリアとの会談をメリエルは終えた。