思い立ったが吉日の言葉通り、メリエルは多数のメンバーを引き連れて、翌日の午前中にはプラド砂漠に到着していた。
基本的に食料も水もその他必要なもの全てはメリエルの無限倉庫に入っている為、連れて行く人員だけ確保すればよく、フットワークが非常に軽い。
移動手段も
実際に大勢を引き連れて、砂漠の入り口から歩くなんて非効率なので、メリエルは単独で空を飛んで砂漠へと進入し、結界らしきものの直前まで進む。
そして、そこから
しかし、非常に喧しい。
女が3人集まれば姦しいとはよく言ったもので、3人どころか300人近くいそうなので、あっちこっちでワイワイガヤガヤと、とてもではないがこれから砂漠へレベリングに行くような雰囲気ではない。
王室主催のパーティー会場に向かう途中だとでも言った方がまだ理解できる。
「……連れて来すぎではありませんか?」
「仲間外れは可哀想なので」
ジト目で問いかけるラフタリアにメリエルはそう答えて、告げる。
「さぁ、さっさっと始めましょうか」
メリエルはディスペルの範囲と効果を極大化し、唱えた。
ガラスが割れるような音が響き渡った。
メリエルはすぐに進むことはせず、1分程の時間を待つ。
しかし、修復される恐れはない。
「よし、あとはちょっとあれを唱えて……」
メリエルの足元に巨大な青い魔法陣が展開される。
ラフタリアは勿論、全ての者達の視線がメリエルへと固定される。
基本的に、ここに連れてきているのは戦闘の心得があるものばかりだ。
魔法に関する知識があるのは大前提で、勿論、魔法使いだっている。
だが、そんな彼女達であっても、全くの未知の魔法だった。
「
熱気を防いで、快適なレベリング生活――
メリエルはそんなことを考えながら、あっさりと砂漠の熱気を抑え込んでしまった。
「色々あった気がするけど、全部メリエル様がやった」
誰かが言ったその言葉に全てが集約されていた。
砂漠であるにも関わらず、ちょっと暑いかな程度に熱気が抑えられ、モンスターが出れば誰よりも先に攻撃して処理し、結界をいの一番に見つけては一瞬で解除してしまうメリエル。
勿論、全員に食料と水やその他必要なものとそれを入れる袋も彼女は配っていた。
そんなこんなでピクニックのように砂漠を進み、遠目に見えていた赤い輪郭は、今やすぐ目の前だ。
廃墟となった都市というのが、その正体だった。
そして、メリエル以外の一行は驚くべきものを目撃する。
廃墟から悪魔がわんさか出てきた。
しかし、これまでの展開的に、この後の展開が予想できてしまった。
そして、その予想通りに白い光が一瞬にして悪魔達を包み込み、それが消え去った後、悪魔は消失していた。
空に佇む1つの影。
神々しい4対8枚の白翼を羽ばたかせ、そこにはメリエルがいた。
「馬鹿め! 悪魔は私にとってカモだ! 属性相性的に!」
そんな声が響き渡った。
絶対ドヤ顔だと誰もが確信した、そのとき、さらなる悪魔の群れがメリエルに襲いかかる。
悲鳴が上がる。
盲目的で、盲信的な女達はメリエルに必死に言葉を投げかける。
メリエル様後ろ後ろー!
しかし、メリエルは華麗にくるっと回って魔法を放ち、悪魔達を消し飛ばしてみせれば、一転して黄色い声援に。
その光景に白けた顔をしている者達もそれなりにいる。
ちなみにラフタリアがその筆頭だ。
「あー、満足した」
さながら気分はヒーローショーのヒーロー役だ。
バッタバッタと敵を薙ぎ倒し、声援を受けるのも中々乙なもので、メリエルはご機嫌だった。
ラフタリアが凄い目で見ているが、メリエルは気にしない。
メルティが駆け寄ってきた。
彼女はミレリアに報告したら、ぜひに連れて行ってくれ、と言われた為だ。
目をきらきらと輝かせているメルティにメリエルは鷹揚に頷く。
そうそうこれこれ、こういう反応が欲しいのよ、とメリエルは満足しながら、大正義降臨と背後に文字を浮かび上がらせてみれば、きゃーきゃーと嬉しそうにはしゃぐ。
遅れてきたナナもまたメルティと同じような反応で、フィーロやティアも。
「……子供に手を出すのは犯罪じゃぞ」
見るに見かねたトゥリナが口を挟んできた。
「子供じゃありません!」
「子供じゃないもん!」
メルティとナナの言葉に肩を竦めるトゥリナ。
その際に彼女の大きな胸が揺れた。
メルティとナナは悔しそうに顔を歪めた。
「というか、メリエル。さっさと行きましょうよ。お宝の匂いがする」
レールディアは非常に機嫌が良かった。
尻尾も機嫌が良い為か、ゆらゆらと揺れている。
「ここらのことに関して、何か情報は?」
「知らないわね。ただ、ドラゴンっぽいようなヤツがいる気がする」
「出てくる敵は全部ぶっ殺して、身包み剥ごう」
即断即決、メリエルの判断に誰も異論はない。
「のりこめー!」
メリエルの号令一下、廃墟の都市へと突入を開始した。
侵入を防ごうと閉じられていた門はやる気満々のレールディアによる尻尾アタックで一瞬にして吹き飛ばされ、潜んでいた悪魔達やモンスター達はメリエルの索敵を逃れられず、次々と発見されては虐殺されていく。
とはいえ、さすがに300人で一斉に同じ場所を進むのは効率が悪い。
それならば仲の良い者同士、あるいは出身が同じ者同士でチームを組ませ、
少し進んだところで、メリエルはそう指示を出し、自分もいつものパーティーメンバーにナナとメルティ、お宝に対する嗅覚が鋭いらしいレールディアと物知りなトゥリナ、メリエルが悪さをしたときの抑え役としてフィトリアを加えて、探索を開始した。
そして、メリエルが直接率いるチームはお宝を発見したのだが――
「破壊しようとした形跡はあるけれど、できなかったみたいね。悪魔が勇者の邪魔をする為に隠したのかしら……」
メリエルはそう言いながら、手近なところに落ちていた剣を拾ってみる。
刃が潰されて、あちこちボロボロだが、手入れをすれば使えそうだ。
鑑定してみれば、こんな状態でもそこらの剣よりも性能が良いことが分かる。
他にも無造作に床に様々な武器や防具が放置されており、それらは全て伝説に出てくるような代物のようだった。
「メリエル様、どうしますか?」
「決まっているじゃないの、ラフタリア。床に放置され、朽ちるがまま。これは誰がどう見ても捨ててあった、と判断するわよね?」
「あ、また凄い強引な理論でいくんですね……」
「これ、捨てちゃうんですか? じゃあ、貰っていいですよね!」
メリエルは笑顔で宣言した。
「ねーねー! ご主人様ー! フィーロ、あれが欲しいー!」
フィーロがメリエルの服の裾を引っ張って、指差すのは朽ち果てた馬車。
任せろと、メリエルが取り出したるは1つの丸いゴムボールのようなもの。
中には粉が詰まっている。
連戦系のレイドボスだと途中で武器や防具の耐久が心配。
そんなとき、お手入れしてくれるのはこの使い捨てアイテム。
神器級だろうと完璧に直してくれるのだが、唯一の難点はガチャからそこそこの確率でしか出ないこと。
スーパーレアという枠に該当するのだが、廃課金者からすれば外れ枠でしかない。
ウルトラレア1点狙いの為に10万100万単位でカネを出すのが廃課金者なのだ。
メリエルはゴムボールを思いっきり馬車に投げつけた。
当たった瞬間に割れて、中の粉が馬車に降りかかり、馬車は眩い光に包まれる。
光が収まった後、そこにはすっかり元通りとなった馬車があった。
「ご主人様大好きー!」
フィーロはメリエルに抱きついて、頬ずりした後、馬車に駆け寄って抱きついた。
「フィーロのー!」
全身で主張するその様にメリエルは、すっかり和んだ。
それはラフタリアや他の面々も例外ではない。
「守ってあげたい、この笑顔」
「メリエル様が言うと、変な意味に聞こえます」
「最近のタヌキチちゃん、きついや……」
しょんぼりしたが、メリエルは気を取り直して、落ちていたものに片っ端からゴムボールを投げつけて、元通りに戻したところで無限倉庫へ放り込んでいく。
20分くらいでその作業も終了した。
他のチームから宝物庫らしき部屋の発見はない為、メリエル達はどんどん進んでいく。
そして、怪しげな吹き抜けの祭壇を越えて、禍々しく脈動する壁にげんなりしつつも、一行は玉座の間のようなところにいたのはドラゴンっぽいものだった。
竜人タイプかー、と思いつつ、メリエルが一撃で始末すると、竜帝の欠片が現れた。
しかし、それは悪魔の力に汚染されているらしく、傍目にも分かる程に食べたら危険という雰囲気を醸し出していた。
「グルメな私はあんなもの食べない。食べたらお腹を壊すわ」
レールディアはあからさまに嫌そうな顔だ。
とはいえ、食べて貰わないと情報が得られない。
仕方がないので、メリエルが手を挙げて宣言する。
「じゃあ私が食べる」
ぎょっとしてレールディアがメリエルを見つめる。
「それじゃあ、フィーロも食べる!」
いつの間にかレールディアの隣にやってきていたフィーロの宣言。
レールディアはフィーロを驚いて見つめた。
2人にちょうど挟まれる形になってしまったレールディア。
竜帝の意地が彼女を奮い立たせる。
「じゃ、じゃあ、私が食べるわよ!」
「どうぞどうぞ」
メリエルがそう言うと、フィーロも真似してどうぞどうぞ、と言った。
うまくノセられた、とレールディアはそこで悟ったが、こんなフリをしてくるなんて想像もできないので仕方がない。
「メリエル、浄化して」
「はいはい、この私がガチで祈ってあげるから。感謝しなさい」
「え、できるの?」
テキトーに言ってみただけであったレールディアはメリエルが簡単に承諾したことから、驚いてしまう。
「できるわよ。私に解けない呪いは世界全部を覆い尽くして一瞬で焼き尽くしてしまうような、そういうやべーのだけ」
「それは確かにやべーのだわ……」
レールディアが納得してしまったところで、メリエルは浮かんでいる竜帝の欠片をひょいっと掴んだ。
強力な呪いがメリエルに降りかかるが、彼女は物ともしない。
念の為に自分が持つ最高の浄化を試してしまおう、とメリエルは竜帝の欠片を両手で握りしめて、その場に両膝をつき、両手を高く掲げた。
そして、彼女は両目を閉じて、深く祈り始めた。
その背中からは4対8枚の純白の翼が顕現する。
「……すごい」
フィトリアがまず口を開いた。
彼女に同意するかのように、レールディア、トゥリナと頷いた。
何が、と言いかけたラフタリアも、すぐに悟った。
メリエルを中心にあることが起こっていた。
それは目には見えないが、確かに感じ取れる。
どっかに潜んでいた悪魔が悲鳴を上げて出てきたが、1秒も経たないうちに消滅した。
悪しきものを滅する、神聖なオーラは急激に膨れ上がり、完全に周囲を覆い尽くした。
1分程であっただろうか、メリエルは微動だにしなかったが、やがて両目を開けた。
「もういいみたいね」
メリエルの言葉と同時に神聖なオーラは収まった。
その背中にあった翼は消えている。
メリエルがレールディアへと竜帝の欠片を差し出せば、すっかり浄化されて、美しく輝いていた。
「あ、うん……食べるね」
レールディアは受け取って、一気に飲み込んだ。
「メリエル、何で欲塗れのあなたがあんなことができるの?」
「フィトリア、失礼ね……天使だから。もう教えてあるでしょうに」
「大魔王の方が似合うから」
それは褒められているのだろうか、貶されているのだろうか、ちょっとよく分からなかったので、メリエルは深く聞くのはやめた。
「メリエル様、今の祈りはいったい?」
「よくぞ聞いてくれたわ、ヴィオラ。アレは熾天の祈りといってね、簡単に言うと呪いの装備を浄化できる私が持つスキルの一つ。何かオマケの効果として、周囲の空間も浄化しちゃったみたいだけど」
ヴィオラは肩を竦めた。
自分の影が微妙に薄いので、頑張って質問をしてみたが、ツッコミきれない。
彼女の種族的に、リーダーであるメリエルにそういうことをしては良くない、という思いもある。
「ちなみにだけど、私が本気で全力の浄化のオーラを出すと」
メリエルはそこで言葉を切った。
聞いて欲しいんだな、と誰もが察した。
「どうなるの?」
無邪気なティアが問いかけた。
メリエルはドヤ顔になった。
「浄化の力が強すぎて生物だと塩の柱になる。死体も残らない即死ってやつね。耐性があれば耐えられるんだけどね」
えぇ、と一同は困惑した。
メリエルは得意げに言葉を続ける。
「なので、正直な話、私がそのオーラを撒き散らしながらあちこちを歩き回るだけで生物相手には勝てる……私がそうしなかったことを有り難く思い、咽び泣くといいわ。あ、ちなみに対になっている絶望のオーラってのもあるんだけど、こっちは死体が残るから」
メリエルがメルロマルクで色々あった、ということはフィトリアですらもある程度は知っている。
特に詳細を知っていたり、聞かされていたりするラフタリアやヴィオラ、メルティは顔が思いっきり引きつった。
メリエルがその気になれば、浄化のオーラを撒き散らしながらメルロマルクの城下町や王城を練り歩き、塩の柱を量産できたという事実。
他国から調査団が派遣されたとしても、塩の柱が何なのかさっぱり解明できないだろうことは想像に容易い。
メルロマルクの城下町と王城にいた人々は塩の柱を残して全員消えたという恐怖の伝説として語り継がれることになっていたかもしれない。
「メリエルって、実は良心があったのね……」
「お主、そんな人の心を持っていたのかと思えてしまうんじゃが……」
レールディアとトゥリナの言葉に他の面々も同意とばかりに頷いた。
「まあ、やらなかったのは私が面白くないっていう理由なんだけど。人生において、面白いっていうのは重要」
「……やっぱり外道だったわ」
「人の心を持っているから、誰よりも残酷になれるし、その反対にもなれるのよ、と。で、レールディア。何か新しい情報は? こうなった原因だけでいいわ」
「ようやく聞いてくれたわね。大昔に天才がある装置を発明して、それを使って栄えていたけど、マジカルハザードが起こって吹っ飛んで終わり。その装置、まだ動いているみたいよ」
ふーん、とメリエルは大して興味のなさそうな反応だ。
ありがちな話だったからだ。
「その装置って?」
「経験値を自動で集めてくれる装置らしいわよ。どうもそれが悪さをしているみたいで、悪魔とか呼び寄せているんだか作っているんだか。あ、それと波の黒幕は例の女神で合っているわよ」
なるほど、とメリエルは頷いた。
そして、あることに気がついた。
「……その天才って、発明品を作るなら、いわゆる科学者……錬金術師みたいな?」
「そういうものでしょうね」
「女神経由の転生者?」
「そこまでは分からないけど、まあ、そう考えておいてもいいかもね」
メリエルは「あー……」と何かを察してしまったのか、そんな声を出した。
「……地球からの転生者で、科学者……当然、兵器も開発している筈……」
地球、科学者、兵器――
ミサイルどころか、銃も今までのところ発見されていない。
作られていないのか、あるいは、それらでは威力が不足と考えたのか?
メリエルがそう考えていたときだった。
「ねーねー! ご主人様―! あそこにヘンテコなのがあるー!」
フィーロはそう言って、天井を指差した。
メリエル達は彼女の指差す方へと顔を向けた。
確かにヘンテコなものがあった。
大きな楕円形の物体。
ラグビーボールを巨大化したら、あんな形になるだろうというものだ。
それが天井に何重もの鎖に絡まって、ぶら下がっていた。
傍目には単なるオブジェクトか、あるいはどっかから落ちてきた構造物のように見えなくもない。
メリエルも玉座の間に入ったときから、見えてはいたが、特に気にも留めなかったものだ。
だが、こうして目を凝らしてよく見てみれば、その物体にメリエルは覚えがあった。
確か、アレって――
形状を頼りに思い出す。
大きなラグビーボール――出っ張った部分が太ったお腹に見える――太った男――
メリエルは正体に辿り着いて、血相を変えた。
本物かどうかは分からない。
だが、疑わしいものが目の前にある。
それだけで警戒するには十分な理由だ。
メリエルは深呼吸した。
もしかして、さっき消滅した悪魔、アレを起爆するために隠れていたのでは?
自分だったらそうする、とメリエルは思いつつ、どう処理しようかと悩む。
解体して爆破処理が一番良いのだが、さすがのメリエルも大昔の爆弾の解体処理方法なんぞ知らない。
だが、良い方法がある。
ブラックホールに吸い込んでしまえばいいのだ。
ともあれ、ラフタリア達には状況を説明しておく必要がある。
「凄く簡単に状況を説明するわ」
急に黙り込んで、血相を変えたと思ったら、一転して冷静になって話しだしたメリエルにラフタリア達は訝しげな視線を向ける。
「アレ、私の世界にあった旧式の核爆弾で、爆発するとこの廃墟都市全体が吹っ飛ぶ」
ラフタリア達は目が点になった。
核爆弾というのは分からないが、とりあえず危険な代物であることは理解できた。
とはいえ、信じられるものではない。
「……えっと、冗談ですか?」
「ところがどっこい、メルティ、たぶん冗談じゃないのよ。さすがにウランじゃないだろうから、汚染はないだろうけど……たぶん魔力を使って、この世界で手に入る代替品を使って作ったやつだろうから……」
「いや、あの、そういう話じゃなくてですね……」
「どう処理するかってこと?」
「そうです。どうするんですか?」
「ブラックホールに吸い込みます」
メリエルの回答にメルティは目をパチクリとさせた。
それはラフタリア達も同じこと。
ブラックホールって何?
そんな疑問にメリエルは実演してみせた。
「
楕円形の物体の近くに小さな孔ができ、それはみるみるうちに巨大化し、あっという間にその物体を吸い込んで、閉じていった。
「ね? 簡単でしょ?」
「……よく分からないけど、とりあえず良かったです」
メルティの言葉に、そういえば、とメリエルは告げる。
「ナナはアイツから核兵器って聞いたことない?」
「聞いたことないよ」
「それならいいわ。もし、ヤツが持っていたら、私も全面核戦争を覚悟しなければいけなかった」
良かった、と胸を撫で下ろすメリエルに遂にラフタリアが口を挟む。
「メリエル様、さっさと行って装置を壊しましょう。そして大人しくレベリングしましょうね」
「フィトリアも同じ意見。メリエルに喋らせると、なんか危険」
2人の言葉にメリエルは頬を膨らませたが、すかさずフィーロとフィトリアが両頬を指で突っついた。
その構図から、フィロリアル形態でクチバシで頬を突かれるメリエルがラフタリア達には連想できてしまい、一同は爆笑の渦に包まれた。
そんなこんなで一行は更に進み、地下へと潜る。
その最中、他のチームに進捗状況を報告しつつ、ヘンテコな物体があったら触らないようにとメリエルは伝えた。
幸いにも、あの一発だけだったのか、他のチームから発見報告はない。
トラップがあったが、メリエル以外の面々が協力して破壊する。
何でもかんでもメリエルに任せっきりは良くないというラフタリア達の判断だ。
迷路のような地下通路を進み、一行は最深部に到達した。
そこは地下の広大な実験場であった。
実験場の入り口前の壁には看板が掛かっており、煤けていたが、どうにかメリエルは読むことができた。
「システムエクスペリエンス? そのまんまね」
「アレがその装置っていうわけですか……メリエル様、どうしますか?」
いきなり入ることはせず、こっそりと入り口から顔だけ出して様子を窺う面々。
実験場の床には幾重にも魔法陣が掘られており、その中央には何やら巨大な装置があった。
その装置の下は赤く光っており、何かの蓋をしているようにも見えた。
ラフタリアの問いかけにメリエルは尋ねる。
「ところで聞きたいんだけど、敵の索敵範囲に入る前に敵をぶち殺せるのに、わざわざ敵の前に行きたいって人はいる?」
メリエルの問いに全員が首を横に振る。
「情報収集は大丈夫ですか?」
メルティの問いにレールディアが答える。
「大丈夫よ。さっきの欠片によればアレは大地に根を張って、人々が強くならないようにする為に経験値を吸い取っているみたいね。あいつを倒せば、経験値は増えるわよ。それこそ活性化地域と同じくらいに」
「問答無用で倒しても良さそうですね」
メルティの言葉にメリエルは尋ねる。
「じゃ、いいかしら?」
全員が頷いた。
それを確認し、メリエルはその場から少し後ろへと離れ、全員に横に退くよう告げる。
そして、その手に白銀の巨大な槍を顕現させた。
「一応、聞きますけど、何ですかそれ?」
「よくぞ聞いてくれた、タヌキチちゃん。これは熾天の槍といって、投擲すれば地殻をぶち抜ける威力があるのだ」
「あ、そうですか。被害がないようにしてくださいね」
「あっはい……」
極まった塩対応、しかし、このノリはメリエルにとって懐かしい。
メリエルさん、それ何ですか?
よくぞ聞いてくれた、モモンガよ。
あ、やっぱりいいです。
泣いた――
メリエルは昔を思い出しながら、バフを幾つか唱えて巨大な装置目掛けて思いっきり槍を投擲した。
装置は防衛機構を作動させたのか、幾重も障壁を張って、迫りくる槍の勢いを止めようとしたが、そんなもので止まるわけがない。
紙を貫くかのように槍は障壁をぶち抜いて、勢いそのままに巨大な装置の中心に突き刺さった瞬間、眩い光に包まれた。
轟音と振動、衝撃波。
それらが全て収まった後、そこには装置は跡形もなく、また実験場の天井部分が吹き飛んだのか、空が見えていた。
「終わったわね……ん?」
突如として地響きが起こった。
しかし、メリエルは慌てない。
まずは他のチームに連絡し、脱出を指示し、そして
「さ、逃げるわよ。地響きが収まったら再調査ということで」
メリエルはにんまりと笑みを浮かべて、そう言ったのだった。
NGシーン
ナナ「核兵器……聞いたことがあります」
メリエル「ちょっと核のパイ投げしてくる」
世界は核の炎にry
NGシーン
めりえる「機械だから海水に弱い! そーれ!(大津波を引き起こす)」
らふたりあ「砂漠でこれほどの水魔法を!?」
フィトリア「というか、これだとフィトリア達も溺れる」